アイヌ語一覧

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アイヌ語の五十音索引

近代化以前の伝統的アイヌ社会においてはアイヌ語を文字表記しなかったが、現在では北海道アイヌ協会が教科書で使用したラテン文字表記がある程度知られているため、基本的にこれを採用する。カタカナ表記は近似的な発音を表したものである。

あ行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
アイ
アイヌ aynu 人間
アシリ 新しい
アチャポ 伯父・叔父・小父
アットゥシ attus 厚司織
アトゥイ
アトゥイエサマン atuyesaman 海のカワウソラッコ
アトゥシ 厚司、オヒョウの木の皮の繊維で織った布、着物
アフンルパル 窪地・冥界への入り口
アペ
アマム 穀物
アミプ 着物
イウタニ
イオマンテ iomante 熊送り
イクパスイ ikupasuy 捧酒箸
イソ iso 岩礁
イソポ
イセポ
isopo
isepo
ウサギ
イタク itak 言葉
イタタニ まな板
イタンキ
イナウ inaw 木幣、削りかけ
イペ 食事
イペタム ipetam 口承文芸に登場する神刀、人食い刀
イヤイライケレ ありがとう
イヨッペ
イランカラプテ こんにちは(正式には「プ」が小文字)
イレスカムイ 火の神さま
イリワク 兄弟
イワ iwa 岩山
インカルシ inkar ush 眺望する所
ウエペケレ uepeker 昔話・民話・物語
ウェン 悪い、良くない
ウェンペ 悪い人、愚かな人、怠けもの
ウタリ 仲間
ウトマン 夫婦
ウナ
ウパシ
ウポポ アイヌの民謡歌
エカシ 長老
エサマン esaman カワウソ
エタラカ めちゃくちゃ
エトゥピリカ etu pirka エトピリカ
エパタイ 馬鹿者
エペレ 小熊
エムシ emus 儀礼用の刀
エモ 馬鈴薯
エレクシ タラ
オキクルミ 英雄神の名
オタ 砂、砂浜
オタルナイ 砂浜の、中の川
オッカイ 青年
オッチケ
オハウ 汁物、スープ
オプ
オンカミ onkami 拝む、拝礼する

か行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
カー
カッケマ 婦人、奥様
カニ 鉄(日本語の「かね」からの転訛)
カパッチリカムイ の神)オオワシ
カマ kama 岩盤
カム
カムイ kamuy
カムイノミ kamuynomi 神に祈る
カル 作る
カルシ キノコ
カンカイ kankay コマイ
カンカン
カント 天空、空
カンナカムイ 竜神
キトピロ ギョウジャニンニク
キナ 、もしくはゴザ
キムンカムイ (山の神)ヒグマ

クー
ku
クトゥネシリカ kutunesirka (虎杖丸。叙事詩に登場する名刀)
クワ
クンネ
クンネチュプ
ケマフレ kema hure ケイマフリ
ケリ
コソンテ 上等な着物(日本語の小袖からの転訛)
コタン 集落
コタンコロカムイ (村の神)シマフクロウ
コタンコロクル むらおさ
コマイ komay コマイ
コロ 所有する
コロポックル korpokkur (フキの葉の下の)小人 アイヌ伝説に登場する小人
コンル konru

さ行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
サク
サッ sat 乾く
サパンペ sapaunpe 儀式用の冠
サマンペ 女性器
サヨ
サル sar 葦原、葭原
サロルンカムイ (湿原の神)タンチョウ
サンタン アムール川流域、沿海州に住むツングース系の民族[1]
サンベ 心臓
シアマム 米(本来の穀物、の意)
シケレペニ sikerpe-ni キハダ
シサム sisam シャモ、和人
シタ
シト 団子、餅
シノッチャ sinotca
シャモ 隣人(和人
シュー
シュンク エゾマツ
シリ sir 島、峰、土地
シレトコ[2] siretok 陸地の突端
シュマリ キツネ
シンタ ゆりかご
スサム susam シシャモ
ススハム susu ham 柳の葉
スマリ キツネ
スム
スルク トリカブトまたは毒
セセキ 温泉
セタ seta

た行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
タシロ 山刀
タント tanto 今日
タンネ 長い
チエ 男性器
チェプ
チカプ
チキサニ ハルニレ
チセ cise
チセコロクル 家の主
チプ
チポロ イクラ(イクラ、はロシア語)
チャシ casi
チャランケ caranke 談判
チュク
チュプ 太陽、月
チライ イトウ
チロヌップ cironnup キタキツネ
テイネ 濡れる
テパ
トー[3] 沼、湖
トイ
トイタ 畑仕事
トゥキ tuki
トゥレプ オオウバユリ
トゥナカイ tunakay トナカイ
トノ 上様、役人(日本語の『殿さま』より)
トノト
トンコリ tonkori トンコリ(樺太アイヌに伝わる弦楽器)
トンニ ナラの木

な行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
ナイ[4] nay
ni
ニシパ 親方、旦那さま
ニス
ニセイ 峡谷
ニセウ ドングリ
ニタイ
ヌイ
ヌプ 野原
ヌプリ nupuri
ヌペ nupe
ノヤ ヨモギ
ノンノ nonno

は行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
ハシカプ[5] haskap ハスカップ
パスイ pasuy
ハト hat ヤマブドウ
ハトカップ[6] hatkap ヤマブドウの皮
ハポ 母親
パンケ[7] panke 川下、~の下
ピセ 油入れ
ピパ pipa カワシンジュガイ
ピラ
ピラッカ 下駄
ピリカ 美しい、可愛い 良い
pu 食料倉
プクサ pukusa ギョウジャニンニク、アイヌねぎ、キトビロ
フシコ 古い
フチ おばあさん
フプ トドマツ
プヤラ
フラ hura 臭いくさい
フレ
フレシサム ロシア人
フンペ
ペコ (東北方言の『ベコ』より)
ペツ[8] pet
ヘペライ heperay イオマンテで使用する花の矢
ペンケ[9] penke 川上、~の上
ポクナモシリ 冥界
ポッケ 温かい
ポネ
ポロ 大きい
ホロケウ horokew
ポン pon 小さい
ポンコタン 小さな集落
ポンペ 幼児

ま行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
マキリ 小刀
マク mak 背後、奥
マタ
マンタラメ mantarame 源流、源
ミチ 父親
ミナ 笑う
ムカル
ムックリ mukkuri
メアン 寒い
メノコ 女の子、娘
メトトゥシカムイ 山の神さま
mo 小さい
モシリコルチ 国土の神さま
モユク タヌキ

や行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
ヤーシ
ヤム
ユー[10] 温泉
ユーカラ(ユカラ) yukar 叙事詩、ゆかり事
ユク エゾシカ
ヨシペタイ 胃袋の森

ら行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
ライ 死ぬ
ラッコ rakko ラッコ
ラッチャコ[11] 灯明皿
ラメトク 勇気
ラヨチ
ラン 下る
ランコ カツラの木
リムセ 踊り、舞踏の儀式
ルー
ルイペ ruype ルイベ
ルヤンペ
レタル 白、白い
レプンカムイ repunkamuy (沖の神)シャチ
レラ rera

わ行[編集]

仮名文字表記 ラテン文字表記 意味
ワッカ wakka 水、質の良い水
ワリウネクル 人間を生み出した神

参考図書[編集]

  • 『アイヌ語入門』知里真志保
  • 『アイヌ語入門』『アイヌ語基礎語彙』『アイヌ語入門解説』田村すず子 早稲田大学語学研究所 1983年-
  • 『言語学大辞典』第一巻所収「アイヌ語」(田村すず子解説)三省堂 1988年
  • 『アコロイタク』北海道ウタリ協会 ISBN 4905756219 C0086 1994年
  • 『エクスプレス アイヌ語』中川裕・中本ムツ子 白水社 1997年
  • カムイトラノ協会、片山言語文化研究所などがビデオ教材やテキストを作成している。
  • 『民族文化資料集 第5集 イヨマンテ―熊おくり』民族文化映像研究所 1979年

辞書[編集]

  • アイヌ語方言辞典服部四郎
  • 『分類アイヌ語辞典』知里真志保
  • 『アイヌ語地名小事典』知里真志保
  • 『アイヌ語イラスト辞典』知里高央・横山孝雄
  • 『アイヌ語絵入り辞典』知里高央・横山孝雄
  • 『アイヌ語千歳方言辞典』中川裕 草風館 〔普及版〕ISBN 4883230783・〔机上版〕ISBN 4883230775 1995年
  • 『萱野茂のアイヌ語辞典』萱野茂 三省堂 ISBN 4385170509 1996年
  • 『アイヌ語沙流方言辞典』田村すず子 草風館 ISBN 4883230937 1996年

脚注[編集]

  1. ^ アイヌは彼らと山丹交易と呼ばれる交易活動を行っていた。
  2. ^ 岬によくつけられる名称。 (知床半島)
  3. ^ オンネトーなどの湖の名に残っている。
  4. ^ 「~内」という地名に残っている。
  5. ^ 語源は has-ka-o-p「枝の上にたくさんなるもの」の意。
  6. ^ 単冠湾はこれに由来。
  7. ^ 現在も地名に数多く残る。札幌市盤渓など。
  8. ^ 「~別」などの地名の語源。
  9. ^ 現在も地名に数多く残る。
  10. ^ 日本語の「湯」が語源。
  11. ^ 室町時代に蝋燭を表していた言葉「らっそく」の転訛らしい。

関連[編集]