サイドアンダーミラー

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左フェンダー上の補助確認装置
ホンダ・CR-V

サイドアンダーミラー(Fender-mounted Side Under-Mirror)とは、トラックSUVミニバンに装備されている、補助確認装置としての鏡面である。

主に日本国内で販売される自動車においてみられ、目視やバックミラーでも解消できない助手席側直近側方の死角を解消する補助ミラー。助手席側のフロントフェンダーに装着される。

概要[編集]

現在の日本においては、国土交通省による「道路運送車両の保安基準」(保安基準)に準拠する装備である。同省によると、発進時、駐車時等における事故を防止することが目的であるとされる。

2003年、同省により乗用車及び小型トラック、中型トラックを対象とし、自動車の直前及び左側方(左ハンドル車については右側方)の視界を、鏡等を用いることなどにより確保する「間接視界基準」の導入が決定された。[1] 同基準の要件は、「自動車の前面及び左側面(左ハンドル車にあっては右側面)に接する高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を直接に又は鏡、画像等により間接に視認できること」である。[2]

同基準の適用時期は、新型生産車が2005年1月1日以降の年式から、継続生産車が2007年1月1日以降の年式からである(含、輸入車)。これらの時期以降に生産される自動車(日本国内で運行されるもの)が、直視またはカメラモニターなどによる画像により「直前側方視界基準」を満たしていない場合、サイドアンダーミラーの取り付けが義務付けられる(それ以前の年式の車両は任意装着)。初期状態のミラー・カメラを視界の条件を満たす別のものに交換することは可能。

大型トラックのサイドアンダーミラーに関しては、1970年代からの保安基準が根拠となっている(後述)。

サイドアンダーミラーはデザイン上の障害になるため、各社ともミラーを装着しなくてよいようにさまざまな工夫をしている。

補助確認装置の例

装備仕様[編集]

キノコのような形をしているため、キノコミラーとも呼ばれることも多い。また、キャブオーバー型の車種の一部(トヨタ・ハイエースなど)はガッツポーズに似ていることから、ガッツミラーと呼ばれることがある。

日本国内で販売されるトヨタ・ランドクルーザー(100系、200系)やランドローバー・レンジローバーのように、2面鏡として、側方のみならず前方も確認できる車種もある。

日産・ムラーノ日産・ジューク日産・エルグランド(3代目)、マツダ・CX-7ホンダ・CR-V(3代目)、ホンダ・クロスロード(2代目)、ホンダ・エリシオン(後期型)、トヨタ・ノア/ヴォクシー(2代目)、トヨタ・エスティマ(3代目)、トヨタ・RAV4(3代目後期)、ハリアー(3代目)、トヨタ・カローラルミオンルノー・コレオスなどはサイドアンダーミラーをドアミラーに内蔵して上述の保安基準を満たしているためフェンダー上にサイドアンダーミラーが付かない。 但し、ホンダ・CR-Vとホンダ・クロスロードとホンダ・エリシオン、4代目ホンダ・ステップワゴン(一部グレード)のミラーは「プリズムアンダーミラー」と称する名称からも想像できる通り、プリズムを利用し、左前輪付近を視認できるものであるのに対して、ムラーノのものは左後部付近を視認できるものであり、大きな違いがある。

また、ランドクルーザー(200系・ZXグレード)ムラーノ・CX-7や日産・エクストレイル/デュアリス(メーカーオプションのサイドブラインドモニター装着車)はサイドカメラを装備してモニターを通して視認できるようにしている。

マツダ・CX-5については、ナビの有無の関わらず全車にバックミラー内蔵型モニターとカメラを装備することで、はじめからサイドアンダーミラーの設定が無い。


日本国外では、エクストレイル(初代)のマレーシア仕様ヒュンダイ・テラカンの韓国仕様に装着されているケースがある。

歴史[編集]

大型トラックへの規制[編集]

大型トラックの左折巻き込み事故が頻発した1970年代に、その対策の一環としてとられた措置で、1978年に大型トラックに対して運輸省通達で義務付けられた。

1971年(昭和46年)5月に、衆議院の交通安全特別委員会で「大型貨物自動車の運転者席を低くすることによる他の車両および歩行者などの安全性を確保するうえにおける利害について検討し、早急に結論を得ること。」と決議される。

しかし、大型車の左折時の巻き込み事故と、悲惨な事故が連日続き、1978年、再び国会で問題となる。千葉大学教授(当時)の田村稔の『左折時の事故を防ぐためには左運転台以外にない』という案も国会で公表された程だった。運輸省側と自動車工業会で対策を検討したが、自動車工業会は8トン積み以上、もしくは総重量が14トン以上を主張、運輸省は5トン積み以上、総重量が8トン以上を主張し対立。自動車メーカー側にとっては金額的な影響度が問題となっていた。

運輸省自動車局が1978年(昭和53年)10月4日「大型貨物自動車の左折事故防止のための緊急措置について」運輸省通達として発行し、1978年11月1日以降に生産される大型トラックについて、以下のように規定した。

  1. サイドアンダーミラーの新設。
  2. 歩行者、自転車の運転者等がより明確に視認できるための「補助方向指示器の新設」。
  3. 歩行者等が車体の下へ巻き込まれないようにするための側面防護装置として「サイドガードの改善」。

さらに1979年3月15日には、既存車(現に走っている大型車)についても保安基準を改正し同様の対策を実施。これを『暫定対策』とよんだ。左折事故件数は若干減少したがしかしながら、なお依然として続発した。

ミラーを一つ余計に付けるということだけでは、結果的にドライバーの負担を増やすことに繋がり、事故の防止ということに有効な手だてには十分にはなり得ないのではないかとの疑問もあった。運輸省側も「常にすべてを見るのは難しいし、それだけで100%安全とは言い切れない」とした上で、「しかし常にすべてをみる必要はなく、確認の必要時にはそれに対応できるように装備されるべき」としていた。

RV(SUV)への規制[編集]

大型の乗用車としてRVが一般に普及したバブル期以降、車高の高い車種の左直近にいる子供が巻き込まれる、それら特有の事故が見られるようになる。これを受け、1990年代前半から、日本国内の自動車会社が、国内向けモデルに対し、自主的に補助確認装置を装備するようになった。2003年以降は、国土交通省の保安基準に準拠するもの(前述)となっている。

直前側方視界基準(新車に適用する間接視界基準)[編集]

対象車種[編集]

軽自動車、小型自動車及び普通自動車(定員11人以上のもの及び車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のものを除く)

適用期間[編集]

新型生産車:平成17年1月1日以降に製作された自動車
継続生産車:平成19年1月1日以降に製作された自動車

基準内容[編集]

1.要件

  • 運転者が運転席に座ったとき、自動車の前面及び左側面(左ハンドル車にあっては右側面)に接する高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を直接または鏡、画像などにより間接に視認できること。

2.適用除外

  • Aピラー(窓枠のうち車両最前にあるもの)及び室外後写鏡による一定の大きさ以下の死角。
  • ワイパー、ステアリングホイールにより死角となる部分。

自動洗車機によるトラブル[編集]

車体から飛び出ている事から自動洗車機によるトラブルも少なくない。 特にフロントフェンダーは対歩行者への衝突対策から柔らかく作られており、自動洗車機の上面洗浄ブラシでサイドアンダーミラーを「持って行かれる」と簡単に歪んでしまう。 同様の事案は、フェンダーミラー車でも起こりうる。

参考[編集]

関連項目[編集]