ザ・シェフ

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ザ・シェフ
ジャンル 料理・ヒューマンドラマ
漫画:ザ・シェフ
原作・原案など 剣名舞(原作)
作画 加藤唯史
出版社 日本文芸社
掲載誌 週刊漫画ゴラク
レーベル ニチブンコミックス
発表期間 1985年 - 1993年
巻数 全41巻
漫画:ザ・シェフ―新章
原作・原案など 剣名舞(原案)
作画 加藤唯史
出版社 日本文芸社
掲載誌 別冊漫画ゴラク
レーベル ニチブンコミックス
発表期間 2004年 - 2012年
巻数 全20巻
漫画:ザ・シェフ・ファイナル
原作・原案など 剣名舞(原案)
作画 加藤唯史
出版社 日本文芸社
掲載誌 別冊漫画ゴラク
レーベル ニチブンコミックス
発表期間 2012年 - 2013年
巻数 全1巻
漫画:ザ・シェフALIVE
原作・原案など 剣名舞(原案)
作画 加藤唯史
出版社 日本文芸社
掲載誌 週刊漫画ゴラク
発表期間 2014年 - (不定期掲載・2016年以降発表なし)
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

ザ・シェフ』は、剣名舞原作・加藤唯史作画による日本漫画、またそれを原作としたテレビドラマである。

本項では続編の『ザ・シェフ-新章』『ザ・シェフ・ファイナル』『ザ・シェフALIVE』についても記す。

概要[編集]

本作は、1985年から『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で連載された。単行本は全41巻が刊行されている。愛蔵版は全10巻が刊行された。

2004年からは『別冊漫画ゴラク』にて続編の『ザ・シェフ-新章』が連載された。単行本は全20巻が刊行されている。なお、新章以後は剣名は原案とのみ表示され、加藤が原作も含めて制作している。

2012年9月より『別冊漫画ゴラク』にてシリーズ最終章を謳った『ザ・シェフ・ファイナル』の連載が開始され、2013年10月号をもって完結した。単行本は全1巻が刊行されている。

2014年、「ゴラク50周年プレミアム特別企画」として『週刊漫画ゴラク』6月6日号より『ザ・シェフALIVE』が3週連続集中連載された。その後も『ALIVE』は2015年頃までは断続的に掲載されていた。

内容[編集]

法外な報酬を受け取る、臨時雇い専門のニヒルな天才シェフ・味沢 匠(あじさわ たくみ)を主人公とする料理漫画である。連載初期の味沢は髪型、服装、法外な報酬を要求する点などが、手塚治虫の「ブラック・ジャック」のオマージュとなっており、作者の剣名自身が本作について「ブラックジャックを料理漫画でやってみた」と表現している。本質はヒューマンドラマであり料理を通した人間模様を追求した内容となっている。

通常の料理コミックと違い、それほど料理それ自体のレシピを専門的に紹介することはなく、料理自体は単に食べた人間が「うまい」と喜ぶ程度でまとめている。むしろその料理を作る土地やそこにいる人間にストーリー性を持たせている。

味沢が、登場人物によって繰り広げられる数多くのトラブルに巻き込まれたり、時には人生相談を受けたりして解決に当たることもある。例えば、

  • 極道とのトラブルを丼料理(深川丼)で解決(愛着)
  • 重度の認知症にある老人(風間竹山師匠)の記憶をオムレツによって呼び覚ます(味返し)
  • 肉の燻製で一家心中を救う(生きる)
  • 少女の味覚障害を治す(失われた味覚)
  • 少女の過食症を治す(過食症候群)
  • サバイバル料理によって、無人島での危機を乗り切る(愛のサバイバル)。

等である。こうしたことから味沢は料理人のみならず、カウンセラーとしての側面も持つ。

連載も後半を過ぎると、味沢の風貌からはモデルとなったブラックジャックの影は薄れ、高額な報酬に関する依頼人との交渉や決裂等もほとんど描かれる事が無くなる。ドジばかりやって味沢に手を焼かせていた弟子の太一も腕を上げて味沢の下を離れて独り立ち、過去に全く関係のない別々のエピソードでそれぞれ複数回登場していた人物同士の出会い、男女の交際等も描かれる等、エピソード自体は相変わらず一話完結式ながらストーリーは徐々にまとめに入って行ったが、特に最終回的なエピソードは描かれず単行本は全41巻で終了となった。

その後10年の時を経て2004年より「ザ・シェフー新章」の連載が始まるが、原作者である剣名舞は自身のホームページにて「この作品についてのコメントは控えさせて頂く」と記述しており、自身は関与していない事を示唆している。「新章」でも基本的な構成は変わらないが、旧作の登場人物は一部を除き登場しない。旧作で何度か登場した「帝都ホテル」は、総料理長が下村信介からその弟子の緒島に変わっており、終盤ではまた料理長が変わっている。味沢自身も旧作とは性格が変わり、旧作中盤以降では見られなくなったコミカルな言動もよく見せるようになる。旧作からの年月の経過も踏まえて、一部エピソードでは味沢の料理を「古い」と断じる人物も出て来た。

「ファイナル」ではそれまでと一転して、味沢に敵愾心を向け、仕事を奪ったり妨害する乾佐千夫との確執がメインとなる。

地名、建物名、社長名、会社名等で「久輪遠」がよく用いられた。新章でも病院の名で登場。

主な登場人物[編集]

味沢 匠(あじさわ たくみ)
依頼人の求めに応じて料理を作り、法外な報酬を受け取る凄腕の料理人。天才的な料理の腕前を持ち、また、毎日のトレーニングも決して欠かさない。
画家の父とピアニストの母の間に生まれたが、父母は海難事故で死亡したため、孤児として養護施設「希望の里」で育つ。血液型A型。佐千夫という名の実弟を幼少期に亡くしていることが別冊漫画ゴラク662号にて明かされた。
長じてフランス料理の道に進んだ。パリのリッツホテルで史上最年少のシェフを務めたこともあるが、事情により流れの料理人となっている。各国料理に対する造詣も深く、メインのフランス料理の他、和食や中華をはじめとした各国各民族料理にも精通するほか、それらにまつわる専門知識や雑学にも広い知識を有する。これは師匠である風間竹山の「フランス料理が専門だからといって洋食しか勉強しないのではだめだ。和・洋・中華全ての料理に精通してこそ一流の料理人といえるんだぞ」との言葉が基になっている。
左腕に大ヤケドのハンディキャップを背負っており、時にフライパンが握れなくなる事もある。7巻「匠の過去」、12巻「セーヌの流れに」、25巻「傷跡の秘密」等で断片的ないきさつは語られるが、詳細な説明は旧作の間は成されなかった。新章でも傷跡についての過去は語られるが、旧作の描写とは齟齬が見られる[1]
人に自分を試される事と、商品等の宣伝に利用されることを嫌う。また、大のマスメディア嫌いであり、雑誌記事の原稿を200万で買い取ったこともある。
ニヒルで、仕事に関係ない身の上話を聞かされるのを何よりも嫌い、その場合は「いい加減にしてもらえませんかな」と嗜める(味沢が「○○さん、私は...」と言い掛けたところで、相手の方で気が付いて、「あなたは余計な話は嫌いでしたな」と仕事の話に移る事も)。依頼人の身の上相談をされることも多く、そのたびに木枯し紋次郎ばりの「私には関係のないことだ」という台詞を吐く。しかし実際には真に人間を愛する人物であり、味沢の作る料理が、依頼人の悩みを解決させたり、解消させるヒントとなる。その事で依頼人に礼を言われると「さて、なんの事ですかな?」と嘯く。また、相手の表情を一瞥するだけで人物像や環境を見抜く能力も高く、どちらも繊細な神経と回転の早い頭脳、そして何よりも人情深さが鉄面皮のような表情の下に隠れていることを伺わせる。
仕事では自身にも周囲の料理人にも決して妥協を許さず、ヘルプだからといってどの店の厨房でも決して遠慮せず、料理人達を顎で使うような態度が多く、失敗しようものなら「バカ野郎!!」と怒鳴りつける事も珍しくない。雇い主に対しても同様であり、時には料理に無理解で納得できない要求をする雇い主に対して出来ない理由をぶちまけたうえで「そんな事も分からんのかバカ野郎!!」と怒鳴りつけ、激昂した雇い主にその場でクビを宣告され、売り言葉に買い言葉で「こんな店で働くのはこちらから願い下げ」と言い残して出て行った事もある。
旧作での一人称は一貫して「私」であり、また語尾に「~ですな」を用いる等、やや気取った言葉遣いに終始していたのに対し、新章ではごくわずかながら「俺」を用いたり、「うざいんだよ」「~だぜ」「サンキュー」等、特に重美のように身近な者に対しては、やや砕けた口調になる事もあった。「~ですな」も新章では初期を除きあまり見られない。
味沢の料理が誰をも魅了するのは前述の雑誌記者により「画家の父から視覚を、ピアニストの母から聴覚を、香道家の祖母から嗅覚を、鍼灸師の祖父から触覚をとそれらの優れた資質とセンスを受け継ぎ、そこに自らが鍛えた味覚を加えて食べる者の全感覚を刺激する料理を作れるから」なのではないかと推測されている。
依頼人に請求する「規定の報酬」は100万円以上が普通。腕に絶対の自信をもつ味沢にとっては譲れない部分であり、払えないという依頼人に対しては「慈善事業で料理人をしているわけではない」と言って依頼を断る事もある。その一方で、本人が払えなくても誰かが代わりに払うというのであれば「報酬は誰からもらっても同じ」として仕事を引き受け、全力を尽くす。また、作中の台詞で「給料からローンで払う[2]」「味沢さんに借金もある[3]」「報酬は何年かかっても必ず支払う[4]」等、分割払いに応じたり、支払いを待ってやった事が何度か示唆されている。
それ以外にも、表面上高い請求をしながら(これは友人であるケーキ職人の森山相手でも同じ)、事が済んだ後に相手が報酬の話をした時「私は実際には何も作っていないから」と嘯いてなかった事にしたり[5]、味沢自身が料理を作るのではなく助言のみに留まる事で無料や、格安の請求に留める事もある。店ではなく個人的な依頼に対してはあらかじめ、個人的に依頼すると高くつくと忠告して初めから断る事もあるが、自分が働く店を教えてそこで客としてやってきた(元)依頼人に料理を出す等で対応する事もある。この様に、自分の腕を安売りしないために店、個人に関わらず法外とも取れる請求をするものの、支払い自体は割りと臨機応変に対応しており、依頼人が支払いの宣言さえすれば実際には受け取らない、もしくは格安に留める事も多い。結果的に受け取ったものの元々は受け取る気が無かったと取れるシーンもあった[6]
なお、上記の事例はあくまで高い報酬を払うのが難しい依頼人の場合であり、問題なく支払える店や個人の場合は遠慮なく受け取る。依頼人の中には分割での支払いを約束しながら、支払えるのに支払おうとしない者もおり、味沢の方で一方的に契約を打ち切った事例もある。
元恋人の野咲百合江、渚レイ子をはじめ何人かの女性に言い寄られているが、過去の悲劇もあってレイ子以外は百合江を含めほとんど色恋の面では相手にしない。レイ子に対しても態度自体は優しく友好的だが恋愛面については完全にスルーしていた。
新章では丹阿弥ヒカルのアプローチに満更でもない様子を見せたり、回想シーンで前述の百合江が帰国した後にフランス人女性と肉体関係ありの恋に落ちたり、無印から新章までの期間に女性と肉体関係ありの交際をしていたりと、女性相手に関してはかなりイメージが変わっている。
基本的に相手が誰であろうと無愛想な態度を崩さないが、帝都ホテルの下村信介や希望の里の園長、渚レイ子あたりに対しては終始友好的に接する(それでも言う事は言い、相手の質問にも答えず無言で立ち去る事はある)。また、恩師風間竹山に対しては、部屋に入るなり竹山のベッドの側に平伏して挨拶し、その直後に認知症で変わり果てた姿を目の当たりにした時は思わず取り乱して声を掛けている。
鯨岡 平八郎(くじらおか へいはちろう)
料理研究家。味沢の腕前に心酔しており、度々味沢に個人的に料理を依頼出来るほどの資産を有する。金払いは良いが、時に迷惑な依頼を持ち込む事もあり、味沢も対応に苦慮する事がある。味沢曰く「時には良質のお客、時には最低のお節介者」
温厚そうな外見だが料理に関しては時に辛辣な言葉を口にする事もある。
新章では1巻「認め合う者」の回想シーンで下村の容態についての情報を味沢に伝えたのが唯一の出番だが、外見は旧作と変わりなかった。
香月 汀(かつき みぎわ)
味沢の親類にあたる女性ピアニスト。11巻「前奏曲」の登場時には味沢の母親の妹の娘であり、味沢のいとこと発言していたが、12巻「思い出の香り」では味沢を祖母・静にとって唯一人の孫と発言している。14巻「遺言状」では静の姪の長女とされており、38巻「遺産相続」では再び味沢の事を「従兄」と呼んでいる。ファイナル「海難事故」では味沢の回想で幼少時の二人が登場しているが汀は味沢といとこだと発言している。
初登場以降は、味沢の祖母、静絡みのエピソードで度々登場。
かつて、レコードを出してやるという誘いに乗って芸能界に足を踏み入れたものの、芸能事務所の社長にレイプされそうになり、すんでのところで逃げ出した過去がある。
香月 静(かつき しずか)
味沢の母方の祖母。著名な香道家であり資産家。娘であり味沢の母である雅を身分違いの結婚をした理由で勘当。味沢に対しても「自分に孫はいない」と冷たくあたり、味沢の方も「金持ちからは(報酬を)遠慮なく頂く主義」と嘯いて1000万円の報酬を要求(味沢曰く「これでもサービスしたつもり」)するなど、「アカの他人」として接していた。しかし汀の依頼により味沢が静に料理を作った一件で和解。以後「いくら(高い報酬を要求する)私でも肉親から金を取るつもりはない」と味沢は定期的に無料で料理を作りに行っていた。莫大な遺産は当初その半分を味沢が受けとるよう遺言が書かれたが味沢が辞退。静もその意を汲んで世界中の慈善団体に寄付をした。38巻「遺産相続」において死去。
下村 信介(しもむら しんすけ)
帝都ホテル総料理長。当初は味沢の料理を邪道扱いして毛嫌いしていたが、その腕前と料理に対する真摯な姿勢を目の当たりにしてからは彼の理解者の一人となる。味沢も初対面の時に「私も下村さんを尊敬する一人」と語っており、無愛想な味沢が常に友好的に、謙って接する数少ない人物。新章で鯨岡から下村の明日をも知れぬ容態を聞いた味沢は体を震わせ、「下村さんは私が唯一本音を話せた人物」と語った。作品を通して何度も味沢と仕事で一緒になるが、常に味沢に先を越される役回りとなる。料理人としてのプライドから心の底では味沢に対する複雑な思いがあった。
新章では帝都ホテルの総料理長を引退しており、帝都ホテルの関係者の誰一人連絡先すら知らなかった。1巻「認め合う者」で、ようやく居場所を突き止めた味沢と再会した時には末期ガンに冒され死を待つ境遇であり、かつての肥満体からは想像もつかない程痩せ衰えていた。帝都ホテル時代の様々な人間関係に悩まされ、料理を作る事さえ嫌になっていたと再会した味沢に語り、味沢から(その時点での)現総料理長である緒島との確執についても、「君の想像にまかせる」と、否定しなかった。味沢と互いの作った料理を食べ最後の別れをし、その際に余命間もない我が身と比して、今後も料理人として成長して行くであろう味沢に嫉妬心を抱いた事を告白した。味沢が去った直後喀血し、血だまりの中で倒れているのが最後の描写となった。モデルは帝国ホテル総料理長だった村上信夫[要出典]
天馬 翔一(てんま しょういち)
若くして東京リッツホテル総料理長に抜擢された天才料理人。プライドが高く傲慢な性格で味沢をライバル視しており、何度も彼に勝負を挑むがことごとく敗れる。味沢の腕自体は高く評価しており、自身の結婚披露宴の際には新郎が厨房に立つわけにはいかず、しかし生半可な料理を出すわけにもいかないと断腸の思いで味沢に依頼をする。以後の東京リッツホテルのエピソードでは、彼が病気で休んでいる間のヘルプとして味沢が東京リッツの厨房に立っており、直接は登場していない。
風間 竹山(かざま ちくざん)
味沢の師匠。中学卒業後の味沢を弟子に取り、厳しい指導で持てる全てを叩きこんだ。味沢が「唯一尊敬する」料理人。味沢の料理ポリシーは渡仏の際に風間から餞として言われた「自分の腕だけで金の取れる超一流のプロになれ。本当にうまいものを食べたい人間はいくらでも金を出す。だが金持ちにしか好かれない料理ばかりを作っていてもダメだ」の言葉が影響していると思われる。
再会した時は味沢も家族の顔もわからぬほどの認知症に陥っていた。だが味沢の料理を食べた際には「あじさわ……」とつぶやき彼が作ったことを理解していた。それから間もなくして死去。店である「風間亭」は息子の清志が引き継ぎ、その後も何度か味沢が窮地を救っている。
田部 太一(たべ たいち)
味沢と同じく養護施設「希望の里」出身のコック。料理人としての腕も無いのに喧嘩っ早くて方々の料理店を転々としていた所、味沢と知り合い半ば強引に弟子入りする。おっちょこちょいで短慮な所もあるが、どこか憎めない所があり、味沢も迷惑そうにしながらも何かと面倒をみていた。努力して味沢に認められる程の腕前に成長し、37巻で味沢の元を離れて独立して、レストラン「希望亭」のチーフコックに上り詰めた。38巻で幼馴染の弥生と結婚して家庭を設けた。
新章では妻の弥生と共に壮年の姿で登場。現在でも味沢の一番弟子だった事を誇りに思っており、たまたま立ち寄ったレストランで料理を少し食べただけで味沢が作った事を見抜いた。自分の店を持ち、5児の父になっていると味沢に語り、その後味沢がその店の料理人たちの反発を受けて重美と二人だけで厨房を切り盛りしている事を聞いて、自分の弟子たち(つまり味沢にとっての孫弟子たちになる)を率いて助っ人に登場、味沢の窮地を救う。味沢は感謝の印として、自身の受け取るはずだった報酬を全額太一たちに渡した。「報酬が欲しくて手伝ったんじゃない」と言おうとしたが、弟子たちが遠慮なく受け取っているのを見て突き返せなくなってしまう太一であった。なお、味沢門下の後輩である重美との絡みは特に描かれなかった。
園長
味沢の出身である養護施設「希望の里」の園長である老齢の女性。登場回数は多いものの、外部の人間も含め一貫して「園長」「園長先生」とだけ呼ばれ、氏名は明らかになっていない。園の母親的存在として優しく、時に厳しく子供たちや老人に接している。37巻「少女と園長」で若い頃に殺人の罪を犯して服役していたことを告白している。
味沢も彼女を慕っており、定期的に無報酬で「希望の里」に料理を作りに行っており、園が立ち退きを迫られて彼女が対応に苦慮している時に、味沢の作った料理で立ち退きを回避させた事もある。また、財政危機から園の存続が危ぶまれた時に匿名で多額の寄付をし、その後も定期的に援助を続けているようだが、園長は味沢ではないかと思いながらも彼の意を汲んであえて真実を問うことをせずにいる。
叶 徳治郎(かのう とくじろう)
かつてはホテル東洋の総料理長を務め、伝説の名コックとまで呼ばれた料理人。晩餐会において世界最古の料理本「メナージェ・ド・パリ」の料理再現を失敗し、その責任を取らされ職を失う。以来、酒に溺れ身を持ち崩し、ホームレスにまで落ちぶれる。鯨岡より「メナージェ・ド・パリ」の再現を依頼された味沢が協力者として抜擢。その縁で「希望の里」の専属料理人となる。後に過去の荒んだ生活が祟り死の床につくが、味沢の尽力により今際の際で生き別れの娘と再会することができた[7]
森山 正樹(もりやま まさき)
世界一と評されるケーキ職人。味沢のリッツ時代に同店でパティシエを務めていた。名声を挙げた後、日本のデパートのケーキ店でチーフを務めていたが、ライバルデパートのレストランに雇われた味沢と客取り合戦をすることに。結果は味沢の勝利で、森山は幹部と衝突して店を辞めた。その後しばらくは流しのケーキ職人として定まらずにいたが、やがてかつての修行先である洋菓子店「クルミの木」に出戻って落ち着く[8]。その間も味沢とは一緒に仕事をしたり、味沢から協力を依頼されてケーキを作るなどしている。その後独立を決意し、味沢との仕事で縁を得た女性との結婚を決めた。
渚 レイ子(なぎさ れいこ)
人気ナンバーワンと言われる美人女優。スランプ時代に食品CMの仕事の縁で味沢と知り合い、以後味沢の料理と本人のファンになる。恋心も抱いていたようで味沢に何度も誘いをかけるが友人以上の関係にはいたらなかった。やがて妻と死別した子持ちのTVディレクターと知り合い、結婚。同時に芸能界から引退する。しかし数年後、家族の後押しもありVシネマで女優として復帰した。
野咲 百合江(のざき ゆりえ)
味沢のパリ時代の恋人。病気の祖母が会いたがっているという理由で帰国を促されやむをえず日本に戻ったが二度とパリには帰ってこず、関係はそこで終わった。だが実は傾いた父親の会社を救うために政略結婚させられてしまっていて、再会した時は社長夫人兼高級クラブのママとなっていた。だが未練は断ち切れず、しばらくして夫と離婚し独立。味沢を追うようになる。やがて小さなスナック喫茶を開くが、そこで雇ったマスターから愛を告白され、逡巡のうえ味沢との過去を振り切るため、パリ時代とはまるで変わってしまった味沢と左腕の火傷の謎を知るために再度渡仏[9]、帰国後味沢に、集めた情報から判断した自分の推理を話し、味沢が自身の判断に委ねた事でようやく気持ちに踏ん切りが付き、結婚する。
鮫島 壮一郎(さめじま そういちろう)
グルメで有名な作家でエッセイスト。「日本美食家協会」理事。政界や財界に知人が多く、影響力も大きい。貧乏時代に身なりや服装で料理店に差別されることが多かったので、店を評価する時は一度目は有名人として二度目はみすぼらしい身なりの変装で訪れ、公平な扱いをするかどうかを計っている。料理を食べる時のクセで味沢には変装を見破られた。接客にも料理にも一切のわけへだてや手抜きをしなかった味沢を高く評価した(一方でレストランの方は差別や、変装時の自分をバカにしていた事もあり「最低のレストラン」の評価)(3巻「二つのオードブル」)。以後は際立ったエピソードはないが、豊富な人脈から味沢の紹介者となったり、その回のゲストの知人だったりと登場回数は多い。モデルは石原慎太郎[要出典]
内海鱒男(うつみ ますお)
その辛辣な言動から「料理人殺し」の異名を持つ料理評論家。本来は落語などを対象とした芸能評論家だが、グルメブームの影響で料理評論の仕事ばかり来るようになってしまったという。
父親はかつて「うつみ屋」という定食屋を経営しており、風間竹山、味沢師弟が勉強のため食べに来るほどの腕前だったが、いかにも「取材してやっている」と言いたげな横柄な態度に怒って追い出した新聞記者に「最低最悪の味」と散々新聞で叩かれて客足が激減、店が潰れて失意のうちに亡くなってしまった。
彼に料理を食べさせる事を依頼された味沢は、彼を「料理にケチをつけるのが生きがいのような人物」と揶揄して「失敗すると分かっている仕事は始めから引き受けない主義」と言って依頼を断る姿勢を見せ、慌てた依頼人から「報酬はあなたの言い値の倍を出す」という言葉を引き出すが、それでも更に「金は積まれれば積まれるほど、失敗した時の恨まれ方も酷いから」と嘯き、ついに「成功失敗に関わらず、約束した報酬は必ず支払うし、失敗しても決して恨まない。そのための誓約書も書く」という条件を引き出して依頼を引き受ける。
味沢の作った、かつての父の得意料理である親子丼を食べて、それまで意識的に料理の悪口を書いていた事を反省。味沢に「私が『料理人殺し』なら、あなたは(料理を食べた人間が誰も悪口を言えなくなってしまうという意味で)『評論家殺し』だ」と賛辞を送る。
実は、辛辣な評価をしながら、自身では料理はほとんど作れないため、一人息子は幼い頃から料理をさせて鍛え、テレビの料理番組でレギュラーを持つほどの腕になるが、息子には「自分じゃ何も作れないくせに他人の料理の悪口ばかり言う」事で嫌われていた。
重美(しげみ)
新章で登場する味沢の弟子。元は後述のヒカル担当の芸能マネージャーだったが、マネージャー同士の料理勝負で勝った事でヒカルから料理人への転身を薦められ、料理勝負の前に一時的に弟子入りした味沢に、強引にではあるが正式に弟子入りする。当初は5頭身程度だったが連載が進むにつれて3頭身にまで縮む。結婚を憧れて料理に打ち込んでいた事もあるため、腕前は内弟子時代の太一より上。若い女性弟子ということでしばしば周囲から味沢との関係を疑われているが本人の言うとおり「あくまで師匠と弟子だけの関係」であり、お互いとも恋愛感情を抱いている描写すら見られない。店での仕事は洗い物がメインで、弟子入り初期には直接指導されないことを不満に思ったこともあるが、味沢より見ているだけでも勉強になると叱責され改心。一度だけ太一と共演した事があるが、作中では特に味沢門下の先輩後輩としての会話をする場面はない。
丹阿弥 ヒカル(たあや ひかる)
新章より登場。人気急上昇中のJ-POP系の実力派歌手。味沢に一目惚れをし、以後追い掛け回すようになる。ラジオ番組内で恋人にすると宣言したり、味沢に強引にキスをしたりと積極的。味沢自身も珍しく満更でもなかった節があるが、すれ違いもあって結局仲は進展しなかった。マネージャー時代の重美は味沢のスケジュール調査とアポ取りに奔走させられた。マネージャーを離れた重美とも味沢関連で何度か連絡を取り合っている。
阿久根 修造(あくね しゅうぞう)
新章より登場。ホテルミツクラ東京の総料理長。日本のフランス料理界のドンと呼ばれており、業界内に多大な権力と影響力を持っている。味沢のことは自分の傘下に引き入れたいと望むほどその腕を認めていたが、味沢が協力を拒みまた阿久根の弟子の店を打ち負かしたことにより憎悪するようになる。以後は弟子たちに味沢を叩き潰すよう指令を出したり、新聞に味沢のイメージダウンになるような記事を書かせたりと妨害工作に熱心になるが、新章中盤あたりから登場しなくなる。
乾 佐千夫(いぬい さちお)
ファイナルより登場。味沢同様の助っ人専門のフランス料理人。料理店オーナーだった義父が自殺したのは味沢のせい(味沢在籍中は繁盛したが辞めた後は味のギャップで却って客が離れ、また高額の仕事料を工面するため借金をしその返済に追われて心労が重なった)と憎み、復讐を誓っている。味沢の依頼先に現れては彼より低額で引き受けると持ちかけ、味沢から仕事を奪うことを繰り返す。やがて日本でも指折りのシェフたちが集まった国際会議の宴席の場で非凡な腕前を披露、一躍名を上げ時代の寵児になる。そしてメディアを通じて自分と勝負するよう味沢を挑発する。対決の場で味沢は義父の仇であると同時に生き別れた実の兄でもあると発言する。

未収録作品[編集]

単行本14巻「インパクト」で西会長という人物のモノローグに、以前味沢の料理に衝撃を受けたコマの描写があるが、該当の話は当時『別冊漫画ゴラク』で連載されていた「包丁無宿」の作者たがわ靖之との共作『味沢匠vs暮流助』で、包丁無宿の主人公である暮流助と味沢が競演しており、単行本・愛蔵版ともに収録されておらず欠番扱いになっている。長らく単行本化される事がなかったが、2015年冬に発売されたGコミックス『ザ・シェフvs包丁無宿』にて、コンビニ版という変則的な形ではあるが初めて単行本化された。なお、ザ・シェフ本編では「包丁無宿」の敵組織と同名の「大日本料理会」(会長の名前も歌川)、その後継組織として「全日本調理士会」が登場するエピソードがある[10]。また、愛蔵版3巻には、単行本全41巻の最終エピソードである「鯨獲りたち」の後に、単行本版未収録のエピソードが3話(『バリア』『再興』『青雲』)収録されている。

注釈[編集]

  1. ^ 旧作において味沢はヤケドをした時期を尋ねられた際「これはリッツにいた頃に」と答え(7巻「匠の過去」)、また事情を知る友人とヤケドの件でリッツを辞めざるを得なかったと受け取れる会話をしているが(12巻「セーヌの流れに」)新章ではヤケドはリッツを辞め別の店で働いている時に負ったことになっている。また野咲百合江の調査では味沢がヤケドを負った日にそれに関する記事は新聞に載ってなかったとあったが(25巻「傷跡の秘密)新章では「有名店で起きたことなので新聞にデカデカと載った」とされている(15巻「日本農園」)。
  2. ^ 単行本25巻『片思い』
  3. ^ 愛蔵版第3集『不在証明』50ページ
  4. ^ 単行本第11巻『望郷』199ページ
  5. ^ 単行本第11巻『再建』
  6. ^ 単行本19巻『ペンションの魅力』98ページ
  7. ^ 単行本19巻『最後の願い』
  8. ^ 単行本第11巻『再建』
  9. ^ 味沢の項にあるように、新章の設定とは齟齬が見られる。
  10. ^ 単行本第13巻『組織と個人』

テレビドラマ[編集]

1995年10月21日から12月16日まで、日本テレビ系でテレビドラマ化された。東山紀之主演。全9話。

設定やストーリーはテレビドラマ独自のものへ変更されている。「料理界のSFドラマ」と名乗り、常識外れな展開となっていた。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

主題歌・挿入歌[編集]

サブタイトル[編集]

各話 放送日 サブタイトル ゲスト
第1話 1995年10月21日 謎の天才料理人!超神ワザ世紀の対決 ひいらき亭店主:蛭子能収藤井恒久高知東急
第2話 1995年10月28日 奇跡!! 時速160キロの料理人 松本:モト冬樹伊藤俊人田島穂奈美小野了加門良、高知東急
第3話 1995年11月4日 見えない恐怖!危機からの脱出 石田:河西健司、石田雅子:唐沢潤子、石田キク:槇ひろ子、石田悟:森廉、山下真広
第4話 1995年11月11日 暴かれる過去!恐怖の亡霊が…運命の呪い 店長:山崎一西川浩幸
第5話 1995年11月18日 悪徳ニセ者との対決!死の淵からの挑戦!! 岡崎浩平:渡辺いっけい、岡崎真紀:高橋かおり、岡崎辰平:石田太郎田口主将小林隆森川数間
第6話 1995年11月25日 究極の中華対決!命賭けた超豪華宴席料理 父龍:長門裕之、王小龍:篠井英介、江:東根作寿英、蘭々:高橋玲奈
第7話 1995年12月2日 復讐鬼の女料理人・魔のデザート菓子対決!! 神崎浩子:夏木マリ、若松:団時朗、太田:阿南健治服部幸應、神崎太郎:鳥居紀彦、神崎次郎:柴田卓也、神崎三郎:三觜要介
第8話 1995年12月9日 愛と死の残酷!! 病める少女を救え神秘料理 飯田圭子:長谷川真弓、大野春子:今井和子、小島栄介:阿藤海、杉本早紀:河野由佳相島一之宮地雅子山西惇上杉二美
最終話 1995年12月16日 史上最高Xマスディナー対決…味沢死す 草薙良一滝沢秀明
日本テレビ 土曜グランド劇場
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金田一少年の事件簿
第1シーズン
(1995年7月 - 9月)
ザ・シェフ
(1995年10月 - 12月)
銀狼怪奇ファイル
(1996年1月 - 3月)