京成3400形電車

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京成3400形電車
京成3400形電車 (3431)(2014年5月26日)
京成3400形電車 (3431)
(2014年5月26日)
編成 8両編成
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
編成定員 1,044(座席430)人
車両定員 先頭車123(座席47)人
中間車133(座席56)人
全長 18,000 mm
全幅 2,760 mm
全高 4,050 mm
編成質量 271.0t
車両質量 電動車 : 35.0 - 34.0t
付随車 : 31.0t
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V (架空電車線方式
編成出力 3,360kW
主電動機 TDK-8500A形直流複巻電動機 140kW
歯車比 84:16 (5.25)
駆動装置 WN継手式平行カルダン
制御装置 永久並列抵抗制御界磁チョッパ制御
東洋電機製造製ACRF-H8140-766A(永久並列12段、弱め界磁無段階)
台車 S形ミンデン式台車
FS-383A形・FS-083A形
一部はSUミンデン式 FS-543B形
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 C-ATS
製造メーカー 大榮車輌

京成3400形電車(けいせい3400がたでんしゃ)は、1993年平成5年)から導入された京成電鉄通勤形電車

概要[編集]

特別急行列車である初代スカイライナーに運用されてきたAE形は、1990年(平成2年)より2代目スカイライナーであるAE100形へと置き換えが開始された。AE形の車体は経年による劣化が見られたが、それに対して走行距離は少なく、また制御装置をはじめとした走行機器類の劣化は少なく、十分に使用ができる状態にあった[1]

このため、AE形の走行機器類を利用し、新たに大栄車輌で新製した普通鋼製車体を組み合わせて、通勤形車両にしたのが本形式である。1993年1月から1995年(平成7年)11月にかけて種車と同数の8両編成5本(40両)が落成した。書類上は新造ではなくAE形から当形式へ改番を行った上での改造となっている。

車体外観・形状などは1991年(平成3年)より製造が始まっていた軽量ステンレス車である3700形とほぼ同一で、3700形の鋼製塗装版とも言えるが、車体側面から見た前面下部形状が3700形は赤帯の部分から下が傾斜しているのに対し、3400形では垂直になっている。外板塗装は、3200形で試験実績のある「アクティブシルバー」と呼ばれるライトグレーをベースに、赤色の「フューチャーレッド」と青色の「ヒューマンブルー」の帯が採用された。

編成形態は3700形と同様で、車両番号3401 - 3408が3408編成、3411 - 3418が3418編成と浦賀方先頭車の車号で呼称され、乗り入れ先の京浜急行電鉄の車両規定に適合するため、車両番号の末尾3と6が付随車の他は、両先頭車を含めて電動車となる(8両編成でのMT比は6M2T構成である)。東京都交通局都営地下鉄浅草線、京急線や北総鉄道(製造時は北総開発鉄道)北総線にも乗り入れが可能である。

編成表[編集]

 
浦賀
形式  
3400形 (1)
(M2c)
< >
3400形 (2)
(M1)
 
3400形 (3)
(T)
 
3400形 (4)
(M2)
<  
3400形 (5)
(M1')
 
3400形 (6)
(T)
< >
3400形 (7)
(M1)
 
3400形 (8)
(M2c)
機器配置 CP CHP MG CP CHP MG CHP CP
車両番号 3401
3411
3421
3431
3441
3402
3412
3422
3432
3442
3403
3413
3423
3433
3443
3404
3414
3424
3434
3444
3405
3415
3425
3435
3445
3406
3416
3426
3436
3446
3407
3417
3427
3437
3447
3408
3418
3428
3438
3448
凡例
  • <:パンタグラフ
  • CHP:主制御器(界磁チョッパ装置)
  • MG:110kVA電動発電機
  • CP:空気圧縮機
備考
  • カッコは車両番号の末尾を表す。


車内内装[編集]

車内は、アイボリー系色の化粧板、ベージュ色濃淡柄の床材など3700形1次車とほぼ同様の構成である。天井は平天井構造とし、冷気拡散はラインフロー方式と種車から流用の一部スポット方式(フィルター内蔵)で、補助送風機にはラインデリアを採用している。座席は一般席をダークピンク色、優先席は水色の生地とし、1人分の掛け幅は440mmである。

3700形1次車との相違点は先頭車に京成通勤車で初採用の車椅子スペースを配置したこと(3700形は2次車以降に配置)、電動車に主電動機点検蓋を設置したことのほか、冷房装置が異なるため室内のフィルター形状が異なる程度である。

また、各客用ドア上部にはLED式の車内案内表示器を設置している。

乗務員室

京成3400形 運転台

前面は3700形同様に正面貫通扉を車掌台側に寄せ、運転台のスペースを広く取っている。乗務員室は3700形とほぼ同じ構成で、室内は薄い緑色色、計器盤は黒色である。直通規格に合わせた主幹制御器はT字形ワンハンドルマスコン式としている。また、計器盤右端には主要機器7点の故障を表示する故障表示盤を設置した。

冷房装置は3700形とは異なり、種車である(初代)AE形・3200形・3300形(通称「赤電」)や3500形3600形と同様の集約分散式の能力10,500kcal/h (44.1kWh) の装置、三菱電機製のCU-15Aまたは東芝製のRPU-3041形を3基搭載した(1両31,500kcal/h≒132.3kWh)。

走行機器など[編集]

走行機器類は、基本的にAE形の機器を更新修繕の上、再利用している。

制御装置はAE形からの流用品である東洋電機製造製の電動カム軸永久並列界磁チョッパ制御主電動機もやはり種車からの流用で、東洋製TDK-8500A (140kW) である。定速走行装置は撤去された。

パンタグラフは下枠交差式(PT4804-B-M形)を搭載。空気圧縮機 (CP) はレシプロ式のC-2000M形を搭載した。電動発電機 (MG) は110kVA出力のCLG-350C形を搭載し、故障時に備えて自動受給電装置を新設した。これら補機類も全てAE形からの流用品である。

台車は、AE形時代のものに サフィックスの「A」を追加したもので、電動台車はFS-383A形、付随台車はFS-083A形とした。これらの軸箱構造はS形ミンデン式である。ただし、3444・3445はAE形時代に制御車から中間電動車化したAE64・AE65のものを流用したため、SUミンデン式台車であるFS-543A形を改造したFS-543B形を使用している。

基礎ブレーキはFS-383A台車は両抱き踏面ブレーキ構造を踏襲したが、保守簡易化のためにFS-083A形はディスクブレーキ方式から片押し式ユニットブレーキ方式へと改良し、編成全体で踏面ブレーキ方式に統一した[2]。ただし、FS-543B形は片押し踏面式である。

マスコン段数は他の通勤形電車に合わせて5段式となり、P1が「起動」(AE形におけるONに相当)、P2が「並列制御」(AE形の50Kに相当)、P3からP5までは弱め界磁制御を行うがこの3400形のみ弱め界磁制御を3段階に分けられるようになっている。ブレーキ段数は従来通り常用5段のままである。

ブレーキ作用装置は流用品で、回生ブレーキ併用の全電気指令式空気ブレーキであるが、通勤車用への改造に際し、応荷重装置の新設など改修を実施した。性能上は3600形に近いが、特徴的なのは、機器の流用元であるAE形が特急車であったがために、低速域の衝動防止のために回生制動の回路を直列に切り替える機構がなく(主制御器自体に直列段がない)、やはり直並列制御を行わず、配線の類似している京王電鉄6000系1M車(電動車ユニットを構成しない)などと同様に45km/hで回生制動が失効し、それ以下の速度では空気制動しか機能しないことである。この現象は特にブレーキ初速度の低い都営浅草線内でしばしば観察することができる。

諸元表[編集]

新製後の動き[編集]

全編成とも、落成当初は末尾4と5の中間電動車ユニットを除いた暫定6両固定編成で落成し、6両編成の普通運用を中心に営業運転を開始したが、数か月遅れて中間電動車ユニットが落成した後に8両固定編成化された。

各編成の機器供出元編成[3]と6両編成落成年月および8両編成化(中間電動車ユニット落成後配置)は以下の通り(左は6両編成落成年月、右は8両編成化)。

  1. 3408編成 : AE10編成/1993年1月/1993年3月
  2. 3418編成 : AE20編成/1993年9月/1994年5月
  3. 3428編成 : AE50編成/1994年3月/1994年7月
  4. 3438編成 : AE60編成/1995年1月/1995年3月
  5. 3448編成 : AE70編成/1995年9月/1995年11月

落成後の6両固定編成時代は千葉線千葉急行電鉄(現・千原線)にも営業運転で入線したことがあったが、時期的な関係上3418・3448編成以外は大森台 - ちはら台間に入線したことはない。ただし、3418編成は1999年(平成11年)5 - 9月に暫定6両固定編成になり同区間に入線した(後述)。

当形式の落成時期別の差異は下記の通りである。

  • 3418編成からは種別・行先表示器書体小文字併用英字併記細ゴシック体ナール)を採用した。前面非常用貫通扉の種別表示器でこのタイプを採用したのは京成では初めてである(3408編成も後に交換)。
  • 3448編成からは前面に3700形と同様の排障器(スカート)を設置したほか、発車予告の車外放送、カバン置き、計器盤と前面ガラスの間のゴム、乗務員室仕切り扉のルーバー、車掌台と運転台それぞれの足元部分に暖房器などが追設された。3438編成以前の編成についても発車予告放送以外は後に追設された。なお、スカートは1996年(平成8年)9月までに3408 - 3438編成へも設置工事が実施された。

主な改造・動き[編集]

  • 3418編成は、1999年に行った定期検査時に中間電動車ユニットの3414-3415の制御装置に不具合が発見された。このため、1999年5月上旬 - 9月下旬に同ユニットを除いた暫定6両固定編成で運用に入った。また京成電鉄車両の弱冷房車は8両編成のみ(浦賀寄り3両目)の設定であるがこの時は弱冷房車シールは外していなかった。

新ロゴマークの貼り付け

  • 2001年(平成13年)3月、京成グループのCI導入に伴い、全車両の側面にK'SEI GROUPロゴを貼付した。従来の筆記体Keiseiロゴは存置された。

北総鉄道へのリース

  • 3408編成は、2002年5月末 - 8月末に当時の北総開発鉄道に短期リースを行った。これは同社で廃車直前の7050形8両に定期検査期限延期に伴う休車が発生したためである。短期リースのため車両番号や形式、車体塗装等は一切変更せずに北総車の運用に入った。

種別表示器の変更

  • 2002年7月 - 9月には、全車両の前面・側面の種別表示器を10月12日の種別変更によるダイヤ改正対応のものに交換した。
  • また、2010年からは各種別カラーを背景に、白抜きの文字とした種別幕への交換を実施している[4]

転落防止幌の設置

  • 2003年(平成15年)9月 - 2004年(平成16年)3月に連結部に3700形6次車以降と同様の転落防止幌を設置した。その後、一時期撤去されたが後に3000形4次車以降と同タイプのものに再設置された。

客室座席表地の交換

  • 2003年8月 - 2005年(平成17年)10月に客室座席の生地をダークピンク色のものからラベンダー模様入りの色(3700形6次車以降・新3000形などと同色)のものに変更した。

蛍光灯の交換

  • 蛍光灯破損による事故防止のため、2004年4月 - 6月に全車両の客室部蛍光灯すべてを従来の昼白色タイプから飛散防止形白色タイプに交換した。この関係で多少室内の色温度が低くなりイメージが変わった。

車内案内表示器の交換

  • 2005年9月から3418編成を皮切りに扉上部のLED式車内案内表示器を新3000形と同タイプに交換する作業が進められている。この案内表示器は千鳥(交互)配置とされ、非設置の箇所には広告枠が設けられた。現在は全編成が交換されている。

パンタグラフの交換

  • 2003年 - 2005年にパンタグラフを下枠交差式(PT4804-B-M形)からシングルアーム式(PT7131-B形)に交換した。

優先席の改良

  • 車内マナー向上のため、2005年12月 - 2006年2月に全車両の優先席付近のつり革を黄色いタイプのものに変更するとともに、窓には優先席を表すステッカーも貼付された。

車内放送について

  • 2006年4月29日から開始された英語放送(市販のICレコーダーを用いて行う簡易的なもの)に関連して、全編成の車掌側放送機器にICレコーダー接続箱が新設された。なお、英語放送を実施するのは京成上野 - 成田空港間の快速特急・特急・快速の一部(8両編成のみ)である。

運用[編集]

本形式はすべて8両編成であり、都営浅草線京急線北総線への直通運転にも対応しているため、8両編成の3000形3700形とともに主に本線や押上線・都営浅草線・京急線直通の優等運用に使用されるが、成田スカイアクセス線運用対応工事は未施工のため、同線経由のアクセス特急運用には充当されない。

現在は京急本線京急蒲田駅以南には乗り入れないが、かつては久里浜線三崎口まで入線した実績がある。

脚注[編集]

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  1. ^ 鉄道ピクトリアル1997年1月臨時増刊号「京成電鉄特集」を参照。
  2. ^ 鉄道ファン1993年5月号新車ガイド「京成3400形通勤形電車」参照。
  3. ^ 「大榮車輌ものがたり(下)」47Pを参照。
  4. ^ 京成電鉄 種別幕交換車が続々登場交友社鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2010年7月11日

参考文献[編集]