佐藤誠三郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

移動先: 案内検索

佐藤 誠三郎(さとう せいざぶろう、1932年7月8日1999年11月28日)は、日本政治学者東京大学名誉教授正四位勲二等瑞宝章大平正芳中曽根康弘両政権時のブレーンを務め、保守派の論客として知られた。

経歴[編集]

東京生まれ。祖父は衆議院議員を務めた佐藤虎次郎。姉はクラシック歌手の佐藤貴美子[1]。弟は国立教育研究所研究部長、日本大学文理学部教授を務めた佐藤秀夫1950年東京都立日比谷高等学校に入学。この頃マルクス主義の影響を受け日本共産党に入党。1957年東京大学文学部国史学科卒業。この時期の友人に東大名誉教授の伊藤隆渡辺昭夫がいる。その後、丸山眞男の著作をきっかけに共産主義から転向文学部の大学院入試に失敗し、翌年に東京大学法学部政治学科に学士入学した。

1960年、同大学法学部政治学科卒業と同時に岡義武教授のもとで法学部助手として日本政治外交史を研究した。1964年立教大学法学部助教授、また1967年東京大学教養学部助教授、1977年教授。東大教養学部では、政治学入門等の講義のほか、教養課程の1・2年生向きのゼミを主催し、学界・官界などで活躍する後進を育てた。政治学を志望する学生は3・4年の専門課程で法学部に進むことが多く、教養学部所属の佐藤に学部四年間・大学院を通じて指導を受ける弟子は少なかったが、北岡伸一御厨貴加藤淳子飯尾潤米山隆一舛添要一岡田克也ら多くの政治家や政治学者に影響を与えている。

東京大学教養学部において自治会主導で行われた年中行事的な「ストライキ」に対しては保守派教授として「スト破り」の講義を敢行し、その際のスト支持派の活動家学生との応酬は「駒場名物」の一つであった。

1970年代初め、日本学者アルバート・クレイグの招きでハーバード大学に滞在したことなどから、海外、特に米国の学界にも知己が多く、日本政治や日米関係を研究する多くの若手研究者にとっての受け入れ窓口的な存在でもあった。ジョージ・ブッシュ大統領(第43代)の対日政策に大きな役割を果たしたマイケル・グリーンもその一人である。

1988年に発生した、東京大学教養学部教養学科相関社会科学分科における、新任教官人事をめぐる紛争(東大駒場騒動あるいは東大中沢事件などと呼ばれる)では中沢新一を推す西部邁や村上泰亮、公文俊平らを支持した。

1992年に定年を前にして東大を去り、慶應義塾大学総合政策学部に移り、「比較政党論」「安全保障論」「国際紛争論」の講義を行う。その後、埼玉大学大学院政策科学研究科教授、政策研究大学院大学副学長などを歴任した。

大平正芳および中曽根康弘政権で、大平内閣政策研究グループ幹事や第二次臨時行政調査会参与などブレーンを務めた。のちに中曽根が設立したシンクタンク世界平和研究所所長代理に就任。

無類の酒好きとしても知られた。

夫人は弁護士評論家秀明大学教授の佐藤欣子評論家佐藤健志は実子。

1999年11月28日肝臓疾患により死去。66歳。

著書[編集]

単著[編集]

  • 『「死の跳躍」を越えて――西洋の衝撃と日本』(都市出版、1992年/千倉書房、2009年) ‐ 佐藤の代表作とされる。
  • 笹川良一研究――異次元からの使者』(中央公論社、1998年)

共著[編集]

  • 村上泰亮公文俊平)『文明としてのイエ社会』(中央公論社、1979年)
  • 松崎哲久)『自民党政権』(中央公論社、1986年)
  • 加藤寛)『日本の組織・戦略と形態(1)国をつくる組織――行革日本とブレーン政治』(第一法規出版、1989年)
  • 岡崎久彦西村繁樹)『日米同盟と日本の戦略――アメリカを見誤ってはならない』(PHP研究所、1991年)
  • (中曽根康弘・村上泰亮・西部邁)『共同研究「冷戦以後」』(文藝春秋、1992年)
  • (岡崎久彦)『日本の失敗と成功――近代160年の教訓』(扶桑社、2000年/扶桑社文庫、2003年)

編著[編集]

  • 『東西関係の戦略論的分析』(日本国際問題研究所、1990年)
  • 『新戦略の模索――冷戦後のアメリカ』(日本国際問題研究所、1994年)
  • 『正翼の男――戦前の笹川良一語録』(中央公論新社、1999年)。解説「笹川再論」を収録

共編著[編集]

  • (R・ディングマン)『近代日本の対外態度』(東京大学出版会、1974年)
  • 吉田常吉)日本思想大系56『幕末政治論集』岩波書店、1976年)
  • 大森彌)『日本の地方政府』(東京大学出版会、1986年)
  • Prospects for Global Order, co-edited with Trevor Taylor, (Royal Institute of International Affairs, 1993).
  • Future Sources of Global Conflict, co-edited with Trevor Taylor, (Royal Institute of International Affairs, 1995).
  • (今井隆吉・山内康英)『岐路に立つ国連と日本外交』(三田出版会、1995年)

参考文献[編集]

  • 西部邁 「空飛ぶ人の情け」『生と死、その非凡なる平凡』 新潮社、2015年、30-34頁。ISBN 9784103675068。 - 西部が佐藤について論じている。

[編集]

  1. ^ 吉良芳恵「日本近代史料情報機関設立の具体化に関する研究」