原子力発電
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原子力発電 (げんしりょくはつでん、英: nuclear electricity generation) とは、原子力を利用した発電のこと。現代の多くの原子力発電は、原子核分裂時に発生する熱エネルギーで高圧の水蒸気をつくり、蒸気タービン及びこれと同軸接続された発電機を回転させて発電する。ここでは主に軍事用以外の商業用の原子力発電の全般について説明する。
- 原子力・核エネルギーの利用全般については原子力を参照
- 特に原子力発電の施設については原子力発電所も参照
- 原子力を利用した炉については原子炉、核分裂炉、核融合炉も参照
- 原子力を利用した電池については原子力電池を参照
- 原子力発電の事故については原子力事故も参照
目次 |
原理
原子核反応は核分裂反応と核融合反応の2種類の反応に大別する事が出来る。ただし、核融合反応の利用は実用段階にはなく、現在原子力エネルギーとして実用化されているのは核分裂反応のみである。そのため、単に原子力発電と言う場合は、核分裂反応時に発生するエネルギーを利用した発電を指す。
原子力発電の仕組みを簡単に表現すると、核分裂反応で発生する熱を使って水を沸騰させ、その蒸気で蒸気タービンを回す事で発電機を回して発電していると言える。火力発電の場合は石油や石炭、液化天然ガスといった化石燃料を燃やして熱を作り出して蒸気を発生させ、その蒸気で蒸気タービンを回す事で発電機を回して発電を行っている。つまり、原子力発電と火力発電は、発生した蒸気でタービンを回し発電機で発電するという点で、同じ仕組みを利用していると言える。このような蒸気でタービン発電機を回転させ、電力へ変換する発電方法を汽力発電と言う。
ただ、火力発電と原子力発電ではタービンを回すまでの過程は大きく異なり、またタービンの形式等も異なる。火力発電所との詳細な相違点については後述する。
核分裂反応
詳細は「核分裂反応」を参照
原子力発電は先述した通り、核分裂反応を利用した発電である。核分裂反応とは、何らかの要因で中性子を捕捉した原子が2つないしそれ以上に分裂する事である。ウラン235の中性子吸収に起因する核分裂反応を例に取ると、以下の様に記述する事が出来る。
つまり、ウラン235の核分裂の結果、核分裂片以外にも2 - 3個の中性子が発生するのである。この核分裂反応で発生した中性子は、他のウラン235に吸収され順々に核分裂反応が起こっていくことになる。この反応を核分裂連鎖反応と言い、連鎖反応の進展程度を示す増倍係数
が1.0以下の状態を未臨界、1.0の状態を臨界、1.0以上の状態を超臨界と言う。尚、中性子を吸収したウラン235は必ず核分裂を起こす訳ではなく、15 %程度の確率でγ線を放出し、ウラン236のまま基底状態に陥る事がある。
また、核分裂反応時は反応前の質量よりも反応後の質量の方が小さくなる。この質量差がE=mc²の関係式に基づき、膨大なエネルギーへと変わっている。このエネルギーの殆どは熱エネルギーへと変わり、原子力発電ではこの熱エネルギーを元に発電するのである。核燃料中からの熱除去及び発電のプロセスに必要な要素が冷却材である。
核分裂反応で発生する中性子は平均エネルギー約1 MeVであり、高速中性子と呼ばれる。熱中性子炉では高速中性子を核分裂反応を起こし易い、平均エネルギー約 0.05 eVの熱中性子と呼ばれる状態まで減速させる必要がある。減速は中性子と軽い原子核との弾性衝突により行われ、この目的を果たすために必要な要素が減速材である。
尚、核分裂反応の結果発生する中性子の大半は核分裂と同時に発生する即発中性子である。しかし、核分裂片の中には崩壊の途中で中性子を発する物があり、これは遅発中性子と呼ばれる。遅発中性子は原子炉内の全中性子の 0.65 %を占めるのみではあるが、遅発中性子がある事により外乱等に対する制御がし易くなっている。
基本要素
核燃料
詳細は「核燃料」を参照
原子には、中性子を捕捉して分裂する物と、捕捉しても分裂しない物があることが知られている。分裂する物として代表的なものは、ウランの放射性同位体であるウラン235、プルトニウム239である。しかし、プルトニウム239は天然にはごく微量しか存在しないため、核燃料としてはウラン235が使われる。このウラン235は天然鉱石である閃ウラン鉱に含まれる。しかしこの中にはウラン235が0.7 %程度しか含まれていないため、21世紀初頭現在の一般的な原子炉で核燃料として利用するには、ウラン濃縮工程と呼ばれるウラン235の濃縮作業が必要となる。
また、分裂しない物としては、ウラン238が知られている。ウラン238は、中性子を捕捉することによってプルトニウム239に転換でき、これを核燃料として使用することができる。
原子炉
詳細は「原子炉」を参照
原子力発電における核分裂反応において必要なことは、核分裂反応を制御することである。核分裂反応の制御とは、開始、持続 (臨界)、そして停止である。原子力発電においては、これらが自由に制御されなければならない。この、核分裂反応を制御できるということが原子力発電と原子爆弾を分ける大きな違いである。そして核分裂反応を制御する装置が原子炉である。
原子力発電に使用される原子炉には様々な種類がある。原子炉の種類は、減速材と呼ばれる中性子の制御を行う素材と、冷却材と呼ばれる原子炉から熱を運び出す素材の2つによって分類される。減速材としては、黒鉛、重水、軽水[注釈 1]などがある。冷却材としては、炭酸ガスや窒素ガスなどのガス、重水、軽水などがある。現在の日本の商用原子力発電では、減速材、冷却材のどちらとも軽水を使用している。これは軽水炉と呼ばれる。
核分裂炉を、用いる減速材で分類すると以下のように分けられる。
- 軽水炉
- 加圧水型原子炉 - 沸騰水型原子炉
- 重水炉
- CANDU炉 - 新型転換炉 - ガス冷却重水炉
- 黒鉛炉
- 黒鉛減速ガス冷却炉 - 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉 - 溶融塩原子炉
- 高速炉
- 高速増殖炉
発電施設
原子力発電は、核分裂反応で発生する熱を使って水を沸騰させ、その蒸気で蒸気タービンを回すことで発電機を回して発電する。一方、火力発電では石油や石炭、液化天然ガスといった化石燃料を燃やして熱を作り出して蒸気を発生させ、発電を行っている。つまり、原子力発電と火力発電では、発生した蒸気でタービンを回し発電機で発電するという点で、同じ仕組みを利用しているといえる。
原子力発電所の象徴として、冷却塔の写真が使われることが多いが、これは発電に使用できなかった余りの熱を外部へ水蒸気として排出するためのものである。蒸気による発電では、熱力学第二法則により、発生した熱のすべてを電気エネルギーに変換することは出来ず、必ずある程度の廃熱が発生してしまうことが分かっている。冷却塔はその廃熱を処理するためのものである[注釈 2]。一部の原子力発電所は海や川のそばに建設し、熱を温水の形で海や川に排出することで冷却塔を省いている。日本国内の原子力発電所は全てこのようにして冷却塔の必要がない構造となっている。
施設構成
汽力発電の一種である原子力発電も原理はランキンサイクルであるため、作動流体である冷却材のサイクルを形成する原子炉、蒸気タービン、復水器、ポンプが中心となる。
またこの他にも補助的な役割を果たす多くの機器や設備が必要となる。
軽水炉を使用する原子力発電所の敷地内における施設、機器の構成の概要は以下のようになっている。
- 原子炉建屋
- 原子炉補助建屋
- 放射性廃棄物処理設備
- 中央制御室
- タービン建屋
- 変圧器
- 送電線
- 非常時発電機
- 固体廃棄物貯蔵庫
- 取水口
- 排水口
原子力発電プラントで特徴的な設備は気体、液体、固体の放射性廃棄物処理設備や放射線を検出するための環境センサー類、放射線管理区域の出入りを管理する設備である。
火力発電所との差異
一般的には、分かりやすく「原子力発電所でも火力発電所でも、蒸気タービンによる発電方式ということでは同じである」と説明されることがある。しかし、厳密には以下の点で違いがある。
蒸気
タービンを回す蒸気が原子力発電所では約 284 度、 6.8 MPa (メガパスカル)[1]であり、石炭火力発電所の蒸気の約600度、25 MPa[1]よりも温度、圧力が低く設計されている。この理由は、核燃料棒の被覆に使われているジルコニウムが比較的高温に弱いために[2]一次冷却水を高温には出来ないためである。また、火力発電所では超臨界流体である超臨界蒸気が使用されている。超臨界流体とは、液体の性質と気体の性質を持った非常に濃厚な蒸気であり、熱を効率良く運ぶことが出来るが高温高圧状態が必要なため、原子力発電ではこれを利用することは現在は出来ない。これらの理由から一般的な火力発電所の熱効率は約 47 %程度[3]であるのに対し、21世紀初頭現在の原子力発電における熱効率は約 30 %程度である[4]。尚、冷却材に超臨界流体である超臨界圧軽水を用いた超臨界圧軽水冷却炉が現在研究中であり、これを原子力発電に用いれば熱効率は45 %程度まで上昇すると考えられている[5]。
タービン
原子力用タービン発電機は4極であるため、回転数は1500 rpm又は1800 rpm。火力用タービン発電機は通常2極であるため3000 rpm又は3600 rpmである[6]。
詳細は「タービン発電機」を参照
歴史
1930年代に人類は核エネルギーを発見した。その最初の実用化は1945年の原子爆弾の開発であった。次に実用化されたのは潜水艦の動力炉であった。原爆の開発からわずか9年後の1954年に最初の原子力潜水艦が進水している。軍事用に開発された原子炉を民間に転用するところから原子力発電は始まった[7]。
史上初の原子力発電は、1951年、アメリカ合衆国の高速増殖炉EBR-Iで行われたものである[8]。この時に発電された量は200W電球4個の発光がせいぜいで1kW弱[9]。
本格的に原子力発電への道が開かれることとなったのは、1953年12月8日にドワイト・D・アイゼンハワー大統領が国連総会で行った原子力平和利用に関する提案、「Atoms for Peace」がその起点とされている。これは、従来核兵器だけに使用されてきた核の力を、原子力発電という平和利用に向けるという大きな政策転換であった。アメリカではこの政策転換を受け、1954年に原子力エネルギー法が修正され、アメリカ原子力委員会 が原子力開発の推進と規制の両方を担当することとなった[10]。
1954年6月27日、ソビエト連邦のモスクワ郊外オブニンスクにあるオブニンスク原子力発電所が、実用としては世界初の原子力発電所として発電を開始し[11]、5 MWの発電を行った。
1955年に、原子力平和利用国際会議が開催され、原子力技術の発展について討議した[12]。
1956年に、世界最初の商用原子力発電所としてイギリスセラフィールドのコールダーホール原子力発電所が完成した[13]。出力は50 MWであった。アメリカでの最初の商用原子力発電所は、1957年12月にペンシルベニアに完成したシッピングポート原子力発電所である。
1957年には欧州経済共同体 (EEC) 諸国により欧州原子力共同体 (ユーラトム) が発足した。同年に国際原子力機関 (IAEA) も発足した[13]。
原子力発電初期のキャッチフレーズは、「Too cheap To meter」であった。これは、「原子力発電で作った電気はあまりに安すぎるので、計量する必要がないほどだ」、という意味である[14]。原子力発電はそれだけ安く大量に電気を供給できるものと期待されていた。しかし現実はそうではなかった。バックアップ装置の増設等により、建設費が高騰したのだ[14]。原子力発電は他の発電に比べて設備費の割合が非常に大きいため、建設費が高騰するとその影響がより大きくなってしまった。
1974年には、アメリカ原子力委員会 (AEC) が推進と規制の両方を担当する事への批判から、AECを廃止し、推進をエネルギー研究開発管理部 (ERDA)、規制を原子力規制委員会 (NRC) に分割することとなった[10]。
1974年に、ノーマン・ラスムッセン教授を中心とした原子炉安全性研究において示されたラスムッセン報告により、確率論を基礎にした原子力発電の安全性に関する理論が推進の立場から広く語られるようになった。これによれば、大規模事故の確率は、原子炉1基あたり10億年に1回で、それはヤンキースタジアムに隕石が落ちるのを心配するようなものであるとされたのである[15]。現在の原子力発電は、この理論を応用した多重防護というシステムを基に設計されている[16]。
1977年、アメリカでは民主党のジミー・カーター政権が誕生した。カーター政権は1977年4月に核拡散防止を目的としてプルトニウムの利用を凍結する政策を発表した。これによりアメリカでは高速増殖炉の開発が中止され、核燃料サイクルが中止された。これ以降アメリカでは核燃料は再処理されず、基本的にワンススルー利用されるものとなった[17]。
1979年3月28日、スリーマイル島原子力発電所事故が発生した。この事故は、世界の原子力業界に大きな打撃を与えた。特にアメリカ国内では先述した建設費用の高騰と合わせる形での事件であったため、原子力発電の新規受注は途絶えた[18]。
続いて1986年には人類史上最悪の原子力事故であるチェルノブイリ原子力発電所事故が発生。これにより原子力発電を利用していく際のリスク面が、一般に広く知れ渡ることとなった[19]。
日本
1945年8月の第二次世界大戦敗戦後、日本では連合国から原子力に関する研究が全面的に禁止された[注釈 3]。しかし1952年4月に日本国との平和条約 (サンフランシスコ講和条約) が発効したため、原子力研究は解禁されることとなった[20]。
日本における原子力発電は、1954年3月、改進党の中曽根康弘・稲葉修・齋藤憲三・川崎秀二らにより原子力研究開発予算が国会に提出されたことがその起点とされている。この時の予算2億3500万円は、ウラン235にちなんだものであった[21]。
1955年12月19日に原子力基本法が成立し、原子力利用の大綱が定められた。この時に定められた方針が「民主・自主・公開」[注釈 4]の「原子力三原則」であった[22]。そして基本法成立を受けて1956年1月1日に原子力委員会が設置された[23]。初代の委員長は読売新聞社社主でもあった正力松太郎である[24]。正力は翌1957年4月29日に原子力平和利用懇談会を立ち上げ、さらに同年5月19日に発足した科学技術庁の初代長官となり、原子力の日本への導入に大きな影響力を発揮した。このことから、正力は日本の「原子力の父」とも呼ばれている。
1956年6月に日本原子力研究所(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)が特殊法人として設立され、研究所が茨城県東海村に設置された[25]。これ以降、東海村は日本の原子力研究の中心地となっていく。
1957年11月1日には、電気事業連合会加盟の9電力会社[注釈 5]および電源開発の出資により日本原子力発電が設立された[26]。
日本で最初の原子力発電が行われたのは1963年10月26日で、東海村に建設された実験炉であるJPDRが初発電を行った。これを記念して毎年10月26日は原子力の日となっている[27]。
尚、日本に初めて設立された商用原子力発電所は同じく東海村に建設された東海発電所であり、運営主体は日本原子力発電である。原子炉の種類は世界最初に実用化されたイギリス製の黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉であった。しかし経済性等の問題[28]によりガス冷却炉はこれ1基にとどまり、後に導入される商用発電炉はすべて軽水炉であった。
2011年には、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因する福島第一原子力発電所事故が発生した。国際原子力事象評価尺度に基づく評価は確定していないが、原子力安全・保安院による暫定評価は最悪のレベル7となっており、日本における最大規模の原子力事故である[29]。
略年表
- 1895年 - 放射線の発見[8]。
- 1939年 - 原子核分裂の発見[8]。
- 1951年 - 世界初の原子力発電がEBR-Iで実施[8]。
- 1953年 - Atoms for Peace提案[13]。
- 1954年 - ソビエト連邦のオブニンスク原子力発電所発電開始[11]。
- 1955年 - 原子力基本法が成立[30]。
- 1956年 - 初の商用原子力発電所、イギリスのコルダーホール発電所運転開始[13]。
- 1957年 - 国際原子力機関発足[13]。
- 1963年 - 日本初の原子力発電実施[13]。
- 1966年 - 日本初の原子力発電所、東海発電所完成[8]。
- 1974年 - アメリカ原子力委員会分割[10]。
- 1979年 - スリーマイル島原子力発電所事故発生[19]。
- 1986年 - チェルノブイリ原子力発電所事故発生[19]。
- 1999年 - 東海村JCO臨界事故発生[31]。
- 2006年 - 国際原子力パートナーシップ発表[32]。
- 2011年 - 福島第一原子力発電所事故発生
事故
詳細は「原子力事故」を参照
原子力事故
臨界状態は、核分裂反応が連鎖している状態であるが、仮にこの連鎖反応が一気に進むと、エネルギーの発生も一度に起こり、発生する高熱と強力な放射線が周辺に放たれてしまう。これが核爆発である。ただし、現在の発電用原子炉で核爆発が起きることは全く無い[33]とされ、起こり得る事故は以下のようなものとなる。
炉心溶融
詳細は「炉心溶融」を参照
原子力発電所で起こり得る最悪の事故としては炉心溶融 (メルトダウン) が挙げられる。これは、原子炉の炉心冷却が不十分な状態が続いた結果、若しくは炉心の異常な出力上昇の結果、炉心温度が上昇して溶融に至る事故である[34]。最悪の場合は水素爆発や、より威力が強く破壊される範囲が広い水蒸気爆発などを誘発し、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋等を破壊し、原子力発電所の外に放射性物質を大量に拡散させる恐れがある[35]。
炉心溶融を防止するために、現在は冷却材喪失事故の防止策として非常用炉心冷却装置等の設置[36]、また異常な出力上昇の防止策として原子炉に自己制御性を持たせている[37]。
しかし、現在までに3件以上の事例が記録されており、最も深刻なチェルノブイリ原子力発電所事故では広範囲に放射性物質を拡散させ、一部は日本や中国などの極東においても計測された。また、2011年3月の福島第一原子力発電所事故では1、2、3号炉で炉心溶融が発生していた[38]。
臨界事故
臨界事故とは、制御棒の予期せぬ引き抜け等により想定外の臨界状態になる (持続的な核分裂反応が始まってしまう) ことである。1978年11月2日に福島第一原子力発電所3号機で発生した事例がある[39]。
国際原子力事象評価尺度
原子力発電所の事故、故障は国際原子力事象評価尺度に照らされ、0 - 7のレベル (8段階) に分けられることになっている。放射線被曝を伴わない事故の場合でも安全管理不適切と判断され、レベル1以上になることがある[40]。
現状
2010年の時点で、世界30の国・地域で432基の原子力動力炉が運転されており、同時点での発電容量は3億8,915万6,000 kW (グロス値) である[注釈 6][41]。
以下に各地域の原子力発電の現状を記載する。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国は最も多くの量の原子力発電を行っており[42]、原子力発電によってアメリカ国内の総電力の20 %を賄っている[43]。
中南米
2005年12月の時点で中南米で原子炉を運転している国はメキシコ、アルゼンチン、ブラジルの3ヶ国である。尚、キューバは1983年に原子力発電所の建設を開始した事があったが、資金面の影響により1992年に工事を中断し、現在に至っている[44]。
ロシア
ロシアで運転している原子炉は計27基2.319万kW[45]、2005年の発電量に占める原子力発電の割合は15.8 %[46]。ロシアでの問題は老朽化である。運転中の原子炉の内、6割が老朽化していると言われている[47]。
ヨーロッパ
ヨーロッパ全体での発電量に占める原子力発電の割合は2009年の時点で28 %[48]。欧州連合 (EU) での原子力政策は加盟各国によってまちまちであり、ノルウェー、アイスランド、ポーランド、イタリア等の国では原子力発電は行われていない[48]。反対にフランスは発電量に占める原子力発電の割合が世界で最も高い国である。59基もの原発が稼動しており[48]、総電力の約80 %もの電気エネルギーを原子炉から得ている[43]。2007年には国内純発電量の12.4 %に相当する電力を輸出している[49]。
また、ベルギーでは2004年の時点で7基の原子炉を使用しているが、既に2003年1月に脱原子力法が議会で可決・成立しており、2025年までに原発を廃止するとしている[50]。
アフリカ
アフリカ地域の1人あたりの電力使用量は先進国と比べるとまだまだ低い水準であり[51]、原子力発電を実施している国は南アフリカ共和国ただ1国である。実施は1984年。発電量に占める原子力発電の割合は2005年の実績では5.5 %であった[52]。その他、エジプト、ケニア、ナイジェリアといった国々が2011年2月時点では原子力発電の導入を検討しているとされた[53]。
中東
中東地域ではイランのブシェール原子力発電所が唯一の稼動中の原子力発電所である[54]。しかし、トルコ[55]、アラブ首長国連邦 (UAE)[56]で原子力発電所の新規建設が決定されている。
中国
中華人民共和国における原子力発電は1994年に開始されたばかりで、後発国といえる。2003年の発電量に占める原子力発電の割合は1.5 %となっているが 、今後の経済発展に伴う需要増に対応するため中国政府は相当数の原発建設を計画している。[57]。
日本
日本の原子力発電は、経済性や安全性から軽水炉の2つのタイプ、沸騰水型原子炉 (BWR) と加圧水型原子炉 (PWR) が使われている。また、需要に合わせた電気出力の増減、負荷追従運転は行わず、常時一定の電力供給を専門としている。
2010年現在、日本における電力量の約23 %を原子力が担っている[43]。一次エネルギーとしての原子力エネルギーは電力事業のみであり、日本での一次エネルギーに対する割合は2002年の時点で15 %程度となっている[58]。
また、2010年3月に営業運転期間が40年に達した敦賀発電所1号機をはじめ、長期運転を行う原子炉が増加する見込みである事から、これらの安全性の維持が課題となっている、と指摘された (2010年11月時点)[59]。ただし福島第一原子力発電所事故の影響により、世論のみならず国会内部においても「反原発」、「脱原発」の動きが活発になったことから先行きは不透明である。
発電比率
日本の各電力会社での全発電量 (売買電力量を含む) に占める/占めていた原子力発電比率 (2009年前後) は以下の通り。
- 北海道電力: 約40 %[60]
- 東北電力: 約16 %[61]
- 東京電力: 約23 %[62]
- 中部電力: 約15 %[63]
- 北陸電力: 約33 %[64]
- 関西電力: 約48 %[65]
- 中国電力: 約8 %[66]
- 四国電力: 約38 %[67]
- 九州電力: 約41 %[68]
- 沖縄電力: 0 %[69]
世界の原子力発電所開発状況
詳細は「原子力発電所」を参照
31ヶ国中上位15ヶ国を掲載。2007年のデータ[45]。
アメリカ合衆国: 104基 10,606万kW
フランス: 59基 6,602万kW
日本: 55基 4,958万kW
ロシア: 27基 2,319万kW
ドイツ: 17基 2,137万kW
韓国: 20基 1,772万kW
ウクライナ: 15基 1,384万kW
カナダ: 18基 1,343万kW
イギリス: 19基 1,195万kW
スウェーデン: 10基 938万kW
中国: 11基 912万kW
スペイン: 8基 773万kW
ベルギー: 7基 612万kW
中華民国: 6基 516万kW
インド: 17基 412万kW
世界合計: 435基 39,224万kW
原子力発電の推進/撤退をめぐる状況
現在、世界的には2つの流れがある。すなわちエネルギー源としての原子力の利用を削減、廃止していこうとする流れと、エネルギー源としての原子力の利用を推進していこうとする流れである。
原子力撤廃
詳細は「原子力撤廃」を参照
ベルギーでは2003年1月に脱原子力法が成立し、2004年に7基あった原子炉を2025年までに全廃すると決めた[50]。
スウェーデン、イギリスは脱原子力を過去に目指していたものの、地球温暖化等の問題によりその政策を見直した[70]。 2011年3月の福島原発事故後、ドイツ、スイスが脱原発に踏み出した。イタリアも国民投票の結果、投票の9割を超える反対で原発再開は凍結された[71]。
原子力推進
詳細は「国際原子力パートナーシップ」を参照
一方、アメリカは2006年に輸入化石燃料への依存量を減らすなど幾つかの目的を持つ新しいエネルギー政策「国際原子力パートナーシップ」を発表。日本、フランス、中華人民共和国、ロシアなどとの協力によってこの政策を推進してゆくことを発表した。
2007年にはオーストラリア、ブルガリア、ガーナ、ハンガリー、ヨルダン、カザフスタン、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、ウクライナ、イタリア、カナダ、大韓民国がこの計画への参加を表明している。
この計画の中心となるのは核燃料サイクルと超臨界圧軽水冷却炉、ナトリウム冷却高速炉、鉛合金冷却高速炉、超高温ガス炉、ガス冷却高速炉、溶融塩原子炉といった第4世代原子炉[72]である。また、本質的に安全な原子力発電プラントや核融合炉の開発、海水淡水化、暖房供給への利用等の研究が現在も世界各国で続けられている。また、トリウム232をウラン233へと転換させ、核燃料として利用する、トリウムサイクルの実用化に向けた研究も行われている[73]。
また2008年7月の第34回主要国首脳会議 (洞爺湖サミット) に際して行われたG8エネルギー大臣会合関連ではエネルギー供給源の多様化等の観点から、原子力発電の重要性を確認した[74]。
2010年6月に2010年日本APECの一貫として福井市で開かれたエネルギー担当相会合 (EMM) では、域内での温室効果ガス排出削減や省エネ製品の普及などで協力することを盛り込んだ議長声明を採択した。同声明は「エネルギー安全保障に向けた低炭素化対策に関する福井宣言」と題される。声明ではAPECとして初めて、原子力発電所が温暖化対策に貢献することを認め、建設促進を盛り込んだ[75]。
国際原子力パートナーシップ参加国以外では、アラブ首長国連邦 (UAE)[76]やベトナム[77]などが原子力発電所の建設計画を持っている。UAEは2020年頃の稼動開始を目指した他、ベトナムは2030年までに原子炉14基を稼働させる計画を明らかにした (2010年6月時点) [78]。
日本
経済産業省の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の原子力部会は、2006年6月時点でまとめた報告書に「日本の原子力政策は、原子力設備の更新が予想される2030年以後も原子力発電が現在の総発電量の3割程度という水準か、それ以上の割合を占める事が適切である」といったことを記載し、それが資源エネルギー庁のウェブサイトにも掲載された[79]。
また、増え続ける使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの処分方法とウラニウムの輸入量を減らすための解決策として、高速増殖炉計画が推進され、2010年現在は原型炉のもんじゅが試験を繰り返し行っている。並行して核燃料サイクル政策としてMOX燃料によるプルサーマル計画が進められている。
「原子力村」も参照
原子力産業
エネルギー安全保障問題、地球環境問題等の影響で世界的に原子力への期待が高まっている。そのため、原子力エネルギー政策の国際的な協調が行われるようになってきており、アレヴァと三菱重工業、ウェスティングハウス・エレクトリック(CBSコーポレーション)と東芝、ゼネラル・エレクトリックと日立製作所が提携するなど、原子力産業界に変化が見られる[80]。
日本では、国外の売り込みにおいてUAEで韓国勢に[76]、ベトナムではロシア勢に[77]それぞれ敗れるなど遅れが目立ち始めたため、2010年10月には東芝・日立・三菱重工に加え東京電力などの電力会社を交えた合弁会社として国際原子力開発を設立し、日本国外向けの受注活動で相互協力する姿勢を示している[81]。
諸議論 (原子力発電の利点と問題点)
利点
現行の原子力発電の利点として、以下の諸点が主張されている。
- 環境汚染が少ない
- コストが安い
- 発電コストに占める燃料費の割合が他の発電方法に比べ極めて低いため、燃料価格が上昇してもトータルの発電コストが上昇しにくい[84]。
- 燃料のエネルギー密度が高く、備蓄及び輸送が容易[85]。
- 燃料を一度装填すると一年程度は交換する必要がないこと[85]。
- 発電量当りの単価が安いため、経済性が高い[86]。
- 原料の安定供給
- 中東に大きく依存するガスや石油と違い、ウラン供給国は政情の安定した国が多い[87]。
- 核燃料物質の国際的な入手ルート・価格がほぼ確立し安定している為に、化石燃料型の発電に比べて相対的に安定した電力供給が期待できる[88]。
- 技術の国際的アピール
-
- 優秀な原発技術を国外へ売り込むことができる[89]。
- 実用化できれば有利となる条件
- 比較的少量の核燃料を繰り返し使用する核燃料サイクルの確立できれば、化石燃料資源の乏しい国でも核燃料物質の入手に関わる制約を緩和できる[90]。
- 海水からのウラン採取が実現すれば燃料はさらに豊富となる。技術自体は既に存在している[91]
- 地元の経済効果
問題点
現行の原子力発電には以下の問題点が主張されている。
- 並外れた危険性
- 軽水炉の場合、万一 水が止まってしまうと、大量に発生し続ける崩壊熱を除去できなくなり、30分後には核燃料が溶けはじめてばらばらになり、2時間ほどで原子炉が損傷、破壊されるという構造上の不安定性をかかえている[7]。このような事態は、放射性降下物(一般的に死の灰と呼ばれる)の大量放出、社会的な非常事態に直結している[7]。
- 放射性廃棄物の後始末ができない[7]。
- 冷却に大量の海水を使う場合、立地場所が海岸沿いに限定され[97]、津波の被害を受ける可能性がある[98]。
- 後進国や発展途上国で原発が建設された場合、安全性が懸念される[99]。
- 発電施設および核廃棄物処理施設へのテロリズムの危険[100]。軍事目標としての脆弱性[101]。
- ウランは多くない
- 軍事転用の危険
- 天然ウランから核燃料を作る工程で発生する劣化ウランは劣化ウラン弾として使用可能[103]。
- 使用済み核燃料に含まれるプルトニウムは核兵器の材料となり得る(開発国に対しては核拡散防止条約の批准を義務付けることが必要)。ただし、抽出には非常に高い技術と専用の設備が必要である[104]。
- コストが高い
- 原子力発電所の稼動中に発生する放射線への対処が必要となる。
- その他
- 日本では、将来の原子力発電を担う技術者が減少傾向にある[107]。
- 日本では原子力関係の学科が減少傾向にある[108]。
- 通常停止の場合、停止までの所要時間が長い[109]。
- 需給に合わせた細かい出力の調整ができない。[110]
諸試算、コスト比較
原子力発電とその他の発電コスト試算
経済産業省による試算1
1999年に通商産業省(現経済産業省)資源エネルギー庁の発表によれば、1kWhあたりの発電コストは次のように試算された[111]。
- 原子力 5.9円
- LNG火力 6.4円
- 石炭火力 6.5円
- 石油火力10.2円
- 水力 13.6円
原子力資料情報室による試算
2005年6月に「脱原発」を目指し作られた特定非営利活動法人原子力資料情報室が発表した試算によれば、運転年数40年の場合、1 kWhあたりの発電コストは以下の通り[112]。
- 原子力 7.7円
- LNG火力 4.88円
- 石炭火力 4.93円
- 石油火力 8.76円
- 水力 7.20円
経済産業省による試算2
2010年に経済産業省資源エネルギー庁は、各エネルギーにおける1kWhあたりの発電コストを再試算した(ただしこれは福島原発事故以前のデーターを用いたものである。なお、この内原子力発電コストの見積もりについては、原子炉建設の際の漁業補償金、原子力に特有な再処理費用、1kWhあたり1 - 2円の燃料費等のバックエンドコストは含んでいるが、電源三法による地元への交付金 (税金)、電力企業からの地元対策寄付金、原子炉廃炉解体費用、原発事故の際の賠償金等は含んでいないため、これらを算入すると原子力発電コストはさらに高くなる。)[113]:
- 太陽光 49円
- 風力 (大規模) 10 - 14円
- 水力 (小規模除く)8 - 13円
- 火力 7 - 8円
- 原子力 5 - 6円
- 地熱 8 - 22円
(注)2008年における日本のエネルギー別の発電電力量割合は、原子力 26.0%、石油火力 10.3%、石炭火力 25.2%、LNG火力 28.3%、水力 7.8%、その他2.4%であった[114]。
立命館大学国際関係学部 大島堅一教授による試算
エネルギー政策が専門の大学教授である大島堅一は、2010年に各エネルギーにおける1 kWhあたりの発電コストを次のように試算した[115]。
- 原子力 10.68 円
- 火力 9.90 円
- 水力 (一般水力) 3.98 円
なお、「一般水力」とは、揚水発電を除いた余剰電力のエネルギー貯蔵を行わない通常の水力発電を指す。 大島は、経産省による試算は特定のモデルを用いた計算にすぎず、実際に費やされた費用からの試算とは異なると指摘した[105]。
米国エネルギー省エネルギー情報局による試算
2010年に米国エネルギー省|エネルギー情報局(DOE/EIA) が公表した2016年にアメリカで運用を開始する新規発電所の百万kWhあたりの発電コストは以下の通り。1ドル=90円としてkwhあたりコストも表示[116]。
| 発電方法 | 発電コスト(米ドル/百万kwh) | 発電コスト(円/kwh) | |
|---|---|---|---|
| 石炭火力 | 従来型石炭火力 | $94.8 | \8.5 |
| 改良型石炭火力 | $109.4 | \9.8 | |
| 改良型二酸化炭素貯留石炭火力 | $136.2 | \12.2 | |
| 天然ガス(LNG発電) | コンバインドサイクル | $66.1 | \5.9 |
| 改良型コンバインドサイクル | $63.1 | \5.7 | |
| 改良型二酸化炭素貯留コンバインドサイクル | $89.3 | \8.0 | |
| 従来型燃焼タービン | $124.5 | \11.2 | |
| 改良型燃焼タービン | $103.5 | \9.3 | |
| 改良型原子力発電 | $113.9 | \10.3 | |
| 風力 | $97.0 | \8.7 | |
| 洋上風力 | $243.2 | \21.9 | |
| 太陽光発電 | $210.7 | \19.0 | |
| 太陽熱発電 | $311.8 | \28.1 | |
| 地熱発電 | $101.7 | \9.2 | |
| バイオマス | $112.5 | \10.1 | |
| 水力発電 | $86.4 | \7.8 | |
政府内閣府による福島原発事故後の発電コスト試算
2011年11月8日に内閣府の原子力安全委員会では、深刻な原発事故は1基あたり500年間稼働すると1回発生するとして5兆円の損害賠償が必要になると仮定し、従来コストに1.6円積み増して原発コストが最大7.6円/kwhと試算する中間報告を出した[117]。
さらに上記とは別に、2011年12月13日、内閣府国家戦略室のコスト検証委員会が発表した各発電コスト(円/kwh) の2010年時点価格と2030年予測は下記の通り[118]。これによると、既に2010年段階で、原子力と石炭・LNG火力発電コストは約10円/kwhでほぼ等しい。日本の火力発電のうちでも石油火力発電コストは特に高く、太陽光発電と同等の約37円/kwhのコストがかかっている。また、原子力は最少に見積もっても8.9円となっており、リスクモデルに何を取るかによりさらに高価になり、事故の総費用が正確にわからない現状を反映しているので流動的である。
| 発電方法 | 2004年 | 2010年 | 2030年 |
|---|---|---|---|
| 原子力発電 | 5.9 | 8.9以上 | 8.9以上 |
| 石炭火力発電 | 5.7 | 9.5 | 10.8 |
| LNG火力発電 | 6.2 | 10.7 | 10.9 |
| 石油火力発電 | 16.5 | 38.9 | 36.0 |
| 陸上風力発電 | 不明 | 9.9 - 17.3 | 8.8 - 17.3 |
| 洋上風力発電 | 不明 | 9.4 - 23.1 | 8.6 - 23.1 |
| 地熱発電 | 不明 | 8.3 - 10.4 | 8.3 - 10.4 |
| 太陽光発電 | 不明 | 33.4 - 38.3 | 9.9 - 20.0 |
| ガスコジェネ | 不明 | 10.6 - 19.7 | 11.5 - 20.1 |
電力会社が原発建設申請時に経済産業省に提出した発電コストの試算
電力企業が原子力発電所建設申請時に経済産業省電源開発調整審議会に提出した発電原価の試算は以下のとおりである(塩谷喜雄「本当の原発発電原価を公表しない経産省・電力業界の詐術:新潮社ニュースマガジン」より)。
- 柏崎刈羽5号機 19.7円/kwh
- 浜岡3号機 18.7円/kwh
- 泊原発1号機 17.9円/kwh
- 女川1号機 17.0円/kwh
- 玄海3号機 14.7円/kwh
- 大飯3号機 14.2円/kwh
- 大飯4号機 8.9円/kwh
- 玄海2号機 6.9円/kwh
二酸化炭素排出量
温室効果の原因となる二酸化炭素の排出量が少ないことは、原子力発電の利点の一つとされている。電力中央研究所が2000年 (平成12年) に発表した試算によれば、原子力をはじめとする各種発電方式について、発電所の建設から廃止までの発電量と二酸化炭素排出量を考慮した、1 kWhあたりの二酸化炭素排出量は以下のように試算した[119]。
- 原子力 22 グラム
- 水力 11 グラム
- LNG火力 608 グラム
- 石油火力 742 グラム
- 石炭火力 975 グラム
原子力発電では核分裂反応に起因する二酸化炭素の排出は全くないが、発電所の建設、運用、廃止や燃料の生産、輸送、廃棄物の処分等に起因する二酸化炭素の排出も上記の試算には含まれているため、若干の排出が見られる。この点は水力発電も同様である。
発電所建設費の例
- 原子力 北海道電力泊発電所3号機 約2,926億円 91.2万kW (32億円/万kW) 2009年 (平成21年) 12月営業運転開始[120][121]
- 揚水型水力 東京電力葛野川発電所 約3,800億円 160万kW (24億円/万kW) 1999年 (平成11年) 12月3日1号機営業運転開始[122]
- 天然ガス 電源開発株式会社市原発電所 約100億円 11万kW (9億円/万kW) 2004年 (平成16年) 10月営業運転開始[123]
- 石炭 北陸電力敦賀火力発電所2号機 1,275億円程度 70万kW (18億円/万kW) 2000年 (平成12年) 9月営業運転開始[124]
- 風力 電源開発株式会社郡山布引高原風力発電所 約120億円 6.6万kW (18億円/万kW) 2007年 (平成19年) 2月 営業運転開始[125]
注釈
- ^ 原子炉においては、重水と区別するため、一般的な水は軽水と呼ばれる。
- ^ 同様に、廃熱のための施設は火力発電所でも必要となる。
- ^ 連合国軍最高司令官総司令部指令第三号第八項『日本帝国政府はウランからウラン235を大量分離することを目的とする、また他のいかなる不安定元素についてもその大量分離を目的とする、一切の研究開発作業を禁止すべきである』
- ^ 原子力基本法 第2条-原子力開発利用の基本方針
平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。 - ^ 1957年当時。現在は沖縄電力を含めて10社となっている。ただし沖縄電力は日本原子力発電に出資していない。
- ^ 日本の分のみ3月31日時点、他の国・地域は1月1日時点で算定。
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関連項目
外部リンク
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