合計特殊出生率

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国別の合計特殊出生率 (2015年)。先進国の多くは人口再生産に必要といわれる2.08を下回っていることが読み取れる
  7–8 人の子供を産む
  6–7 人の子供を産む
  5–6 人の子供を産む
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  3–4 人の子供を産む
  2–3 人の子供を産む
  1–2 人の子供を産む

合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ、英:total fertility rate、TFR)とは、人口統計上の指標で、一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる。

定義[編集]

期間合計特殊出生率[編集]

女性が出産可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、それぞれの出生率を出し、足し合わせることで、人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む子供の数の平均を求める[1]

ある年において、を「調査対象において、年齢の女性が一年間に産んだ子供の数」、を「調査対象における年齢の女性の数」とすると、その年の合計特殊出生率はで表される。

一般に合計特殊出生率とは期間合計特殊出生率を指す。

コーホート合計特殊出生率[編集]

コーホート(同年代に生まれた人々)の出生率を積み上げて求める。

特定のコーホートの出生力を示すもので、最終的な数字はコーホートが50歳になるまで確定しない。

期間合計特殊出生率の持つ意味[編集]

死亡率が不変で、合計特殊出生率が高ければ、将来の人口は自然増を示し、低ければ自然減を示すことになる。

仮に、調査対象における男女比が1対1であり、すべての女性が出産可能年齢以上まで生きるとすると、合計特殊出生率が2であれば人口は横ばいを示し、これを上回れば自然増、下回れば自然減となるはずである。しかし、実際には生まれてくる子供の男女比は男性が若干高いこと、出産可能年齢以下で死亡する女性がいることなどから、医療技術や栄養状態が相対的に良好な現代先進国においても自然増と自然減との境目はおよそ2.07とされている。もちろん、乳児死亡率が高い(戦争状態や極度の貧困など)地域では、人口維持のためにはより高い合計特殊出生率が必要となる。

一方、期間合計特殊出生率はある年における全年齢の女性の出生状況を、一人の女性が行うと仮定して算出する数値であるから、調査対象のライフスタイルが世代ごとに異なる場合には、その値は「一人の女性が一生に産む子供の数」を正確に示さない。具体的には、早婚化などにより出産年齢が早まると、早い年齢で出産する女性と、旧来のスタイルで出産する女性とが同じ年に存在することになるので、見かけ上の期間合計特殊出生率は高い値を示す。逆に、晩婚化が進行中ならば、見かけ上の期間合計特殊出生率は低い値を示す。

日本の期間合計特殊出生率[編集]

厚生労働省が発表する「人口動態統計特殊報告」によると、終戦直後の出産解禁現象により生じた第1次ベビーブームの頃には期間合計特殊出生率は4.5以上の高い値を示したが、その後出生率が減少し人口減少が起こるとされる水準(人口置換水準)を下回った。1966年(昭和41年)は丙午で前後の年よりも極端に少ない1.58であった。その後、死亡率の減少による人口置換水準の低下により1967年(昭和42年)から1973年(昭和48年)まで、人口置換水準を上回っていたが、それ以降下回るようになった[2]

1989年(昭和64年・平成元年)には1966年(昭和41年)の丙午の数値1.58をも下回る1.57であることが明らかになり、社会的関心が高まったため1.57ショックと呼ばれ、少子化問題が深刻化した[2]。その後も徐々に数値は減少していき、2005年(平成17年)には1.26にまで減少した。失われた10年就職難のあおりを受け、結婚や出産適齢期である層が経済的に不安定だったことや、子育てに対する負担感が増大していることなどが挙げられている[3]

しかし、景気が徐々に回復したこと(第14循環)や30代後半である団塊ジュニア最後の駆け込み出産などの理由により[4]2006年(平成18年)以降はやや上昇方向へ転じている[5]2015年(平成27年)の合計特殊出生率は1994年(平成6年)以来の最高値となる1.45であった[6]

2007年(平成19年)以降は、合計特殊出生率の増加にもかかわらず、出生数は減少傾向にあり、2016年(平成28年)には100万人を下回ると推計されている。これは、出産が可能な女性の総人口が減少していることによるものである。[7]

1947(昭和22)年以降の
日本の出生数と合計特殊出生率[8]
出生数(人) 合計特殊出生率
1947(昭和22) 2,678,792 4.54
1948(昭和23) 2,681,624 4.40
1949(昭和24) 2,696,638 4.32
1950(昭和25) 2,337,507 3.65
1951(昭和26) 2,137,689 3.26
1952(昭和27) 2,005,162 2.98
1953(昭和28) 1,868,040 2.69
1954(昭和29) 1,769,580 2.48
1955(昭和30) 1,730,692 2.37
1956(昭和31) 1,665,278 2.22
1957(昭和32) 1,566,713 2.04
1958(昭和33) 1,653,469 2.11
1959(昭和34) 1,626,088 2.04
1960(昭和35) 1,606,041 2.00
1961(昭和36) 1,589,372 1.96
1962(昭和37) 1,618,616 1.98
1963(昭和38) 1,659,521 2.00
1964(昭和39) 1,716,761 2.05
1965(昭和40) 1,823,697 2.14
1966(昭和41) 1,360,974 1.58
1967(昭和42) 1,935,647 2.23
1968(昭和43) 1,871,839 2.13
1969(昭和44) 1,889,815 2.13
1970(昭和45) 1,934,239 2.13
1971(昭和46) 2,000,973 2.16
1972(昭和47) 2,038,682 2.14
1973(昭和48) 2,091,983 2.14
1974(昭和49) 2,029,989 2.05
1975(昭和50) 1,901,440 1.91
1976(昭和51) 1,832,617 1.82
1977(昭和52) 1,755,100 1.80
1978(昭和53) 1,708,643 1.79
1979(昭和54) 1,642,580 1.77
1980(昭和55) 1,576,889 1.75
1981(昭和56) 1,529,455 1.74
1982(昭和57) 1,515,392 1.77
1983(昭和58) 1,508,687 1.80
1984(昭和59) 1,489,780 1.81
1985(昭和60) 1,431,577 1.76
1986(昭和61) 1,382,946 1.72
1987(昭和62) 1,346,658 1.69
1988(昭和63) 1,314,006 1.66
1989
(昭和64/平成元)
1,246,802 1.57
1990(平成2) 1,221,585 1.54
1991(平成3) 1,223,245 1.53
1992(平成4) 1,208,989 1.50
1993(平成5) 1,188,282 1.46
1994(平成6) 1,238,328 1.50
1995(平成7) 1,187,064 1.42
1996(平成8) 1,206,555 1.43
1997(平成9) 1,191,665 1.39
1998(平成10) 1,203,147 1.38
1999(平成11) 1,177,669 1.34
2000(平成12) 1,190,547 1.36
2001(平成13) 1,170,662 1.33
2002(平成14) 1,153,855 1.32
2003(平成15) 1,123,610 1.29
2004(平成16) 1,110,721 1.29
2005(平成17) 1,062,530 1.26
2006(平成18) 1,092,674 1.32
2007(平成19) 1,089,818 1.34
2008(平成20) 1,091,156 1.37
2009(平成21) 1,070,035 1.37
2010(平成22) 1,071,304 1.39
2011(平成23) 1,050,806 1.39
2012(平成24) 1,037,231 1.41
2013(平成25) 1,029,816 1.43
2014(平成26) 1,003,539 1.42
2015(平成27) 1,005,677 1.45
2016(平成28) 981,000 -

※赤字は最低値、2016年(平成28年)は推計値。

以下のグラフは、1947年(昭和22年)以降の合計特殊出生率と出生数の推移を表したものである。

合計特殊出生率と出生数の推移 日本の出生数と合計特殊出生率.jpg

都道府県別[編集]

2014(平成26)年人口動態統計(確定数) 都道府県別順位
厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課[9]
都道府県 合計特殊出生率 順位
全国平均 1.42
北海道 1.27 45
青森 1.42 36
岩手 1.44 30
宮城 1.30 43
秋田 1.34 38
山形 1.47 21
福島 1.58 9
茨城 1.43 34
栃木 1.46 25
群馬 1.44 31
埼玉 1.31 40
千葉 1.32 39
東京 1.15 47
神奈川 1.31 42
新潟 1.43 32
富山 1.45 26
石川 1.45 27
福井 1.55 14
山梨 1.43 33
長野 1.54 15
岐阜 1.42 35
静岡 1.50 19
愛知 1.46 22
三重 1.45 29
滋賀 1.53 17
京都 1.24 46
大阪 1.31 41
兵庫 1.41 37
奈良 1.27 44
和歌山 1.55 13
鳥取 1.60 8
島根 1.66 3
岡山 1.49 20
広島 1.55 12
山口 1.54 16
徳島 1.46 24
香川 1.57 10
愛媛 1.50 18
高知 1.45 28
福岡 1.46 23
佐賀 1.63 6
長崎 1.66 4
熊本 1.64 5
大分 1.57 11
宮崎 1.69 2
鹿児島 1.62 7
沖縄 1.86 1
2014年人口動態統計(確定数) 都道府県別順位
データは東北大学、石井憲雄による[10][11]
都道府県 合計特殊出生率 順位
全国平均 1.42
北海道 1.28 45
青森 1.43 37
岩手 1.46 34
宮城 1.32 43
秋田 1.36 38
山形 1.50 24
福島 1.60 12
茨城 1.47 32
栃木 1.50 24
群馬 1.50 24
埼玉 1.35 39
千葉 1.35 39
東京 1.20 47
神奈川 1.34 42
新潟 1.45 35
富山 1.51 22
石川 1.49 28
福井 1.62 9
山梨 1.48 30
長野 1.60 12
岐阜 1.50 24
静岡 1.56 18
愛知 1.53 20
三重 1.51 22
滋賀 1.58 15
京都 1.28 45
大阪 1.35 39
兵庫 1.44 36
奈良 1.29 44
和歌山 1.57 16
鳥取 1.65 6
島根 1.72 2
岡山 1.53 20
広島 1.60 12
山口 1.57 16
徳島 1.49 28
香川 1.61 10
愛媛 1.54 19
高知 1.47 32
福岡 1.48 30
佐賀 1.65 6
長崎 1.69 4
熊本 1.67 5
大分 1.61 10
宮崎 1.71 3
鹿児島 1.64 8
沖縄 1.88 1


(赤字は最低値)

世界各国の合計特殊出生率[編集]

アメリカ合衆国を除く先進国では、日本と同様に合計特殊出生率の低下が見られ社会問題となっているが、フランススウェーデンイギリスオーストラリアデンマークなどでは1990年代以降顕著な出生率の上昇が見られる一方で、ドイツイタリアなどは、依然として出生率が低水準に留まっており、少子化問題は二極化の方向を見せている。

関連用語[編集]

  • 総再生産率 - 一人の女性が一生に産む女児の平均数。
  • 純再生産率 - 一人の女性が次世代の母親を生む平均数。総再生産率に女性の年齢別生残数を考慮した数。この値が1を超えると人口が拡大され、1を下回ると人口が縮小される。

合計特殊出生率が 1.37 であった2008年の統計では、総再生産率が 0.67 であり、純再生産率が 0.66 であった[12]

脚注[編集]

  1. ^ 厚生労働省公式サイト - 合計特殊出生率について
  2. ^ a b 平成18(2006)年版 厚生労働白書”. 厚生労働省. 2011年3月29日閲覧。 (合計特殊出生率は第二次ベビーブーム以降、人口置換水準を下回っている)より
  3. ^ 平成16年版 少子化社会白書(概要) 第2章 なぜ少子化が進行しているのか 第2節 少子化の原因の背景”. 内閣府. 2010年1月19日閲覧。
  4. ^ 図録合計特殊出生率の推移(日本と諸外国)”. 社会実情データ. 2010年10月3日閲覧。
  5. ^ 平成21(2009)年 人口動態統計(確定数)の概況”. 厚生労働省 (2010年9月2日). 2010年10月3日閲覧。2009年は1.37であった。
  6. ^ 平成27(2015)年人口動態統計(確定数)の概況”. 厚生労働省. 2016年12月25日閲覧。
  7. ^ 出生数、初の100万人割れ”. 朝日新聞. 2016年12月25日閲覧。
  8. ^ 厚生労働省 人口動態調査
  9. ^ 平成26年(2014)人口動態統計(確定数)の概況
  10. ^ 「合計特殊出生率 本当の都道府県ランキング」-厚生... | プレスリリース | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY- - 2015年6月24日16時00分
  11. ^ 「合計特殊出生率 本当の都道府県ランキング」-厚生労働省による計算方法の問題点を改善- - 2015年6月24日
  12. ^ 第2章 人口・世帯”. 総務省 統計局. 2011年1月29日閲覧。 2-25 標準化人口動態率及び女性の人口再生産率より。

関連項目[編集]