嗜好品

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嗜好品(しこうひん)とは、風味や味、摂取時の心身の高揚感など味覚や臭覚を楽しむために飲食される食品・飲料や喫煙物のことである。また趣味性が強く、操作や体感的に楽しむ自動車オートバイカメラなどの物品をさす場合もある。比喩的にコンピュータゲームアニメ漫画等といった一部の人に対して強烈な依存性のある商業娯楽作品を、嗜好品などとして表現する向きもある。

概要[編集]

嗜好品という用語は1912年大正元年)の雑誌「太陽」に掲載された森鴎外の短編小説「藤棚」の記述

藥は勿論の事、人生に必要な嗜好品に毒になるような物は幾らもある。世間の恐怖はどうかするとその毒になることのある物を、根本から無くしてしまおうとして、必要な物までを遠ざけやうとする。要求が過大になる。出來ない相談になる。

森鴎外「藤棚」、『太陽』第18巻第9号、1912年

によるという。嗜好という言葉のある中国には嗜好品というカテゴリーはなく、韓国語には「嗜好品」という言葉はあるが日本語の借用語といってよく、和英辞典の英訳もしっくりとしない。1999年平成11年)ARISE(楽しみの科学研究学会)が京都でおこなった国際シンポジウム「楽しみと嗜好品を科学するシンポジウム QOLの向上をめざして」では嗜好品の英訳pleasure productsを用意したにもかかわらず英米の外国人研究者は研究発表討論にsikohinを用いたという。嗜好品の特質は以下のとおり[1][2]

  1. 普通の飲食物ではない。:栄養・エネルギー源を期待しない。
  2. 普通の薬ではない。:病気治療を期待しない。
  3. 生命維持に強い効果はない。
  4. ないと寂しい感じ。
  5. 食べると精神(心)にいい効果がある。
  6. 人の出会い意思疎通を円滑にする。
  7. 植物素材が多い。


ほとんどの場合、心理的あるいは薬理学的な機序により習慣性を有し、物質嗜癖の対象となりうる。嗜好品は、薬理学的依存形成作用の有無で二つに分けられる。すなわち炭酸飲料や菓子のように向精神作用はないが、味や香りなどによって心理的に習慣性を形成するものとコーヒー[3]、アルコール、タバコなどのように、味や香りによる習慣の他に加えて薬理学的な依存性を有するものである。

食品と飲料[編集]

非食品[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 高田公理『なぜ「ただの水」が売れるのか 嗜好品の文化論』 PHP研究所 ISBN 4-569-63358-7
  • 高田公理・栗田靖之・CDI『嗜好品の文化人類学』 講談社メチエ選書 ISBN 4-06-258296-1
  • 嗜好品文化研究会+TASC+CDI『現代都市と嗜好品』 ドメス出版 ISBN 4-8107-0635-4

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  1. ^ 高田公理嗜好品とその市場性-ミネラルウォーターの価格と楽しみの価値」、『FFIジャーナル』第213巻第1号、日本食品化学研究振興財団、2008年1月、 71-72頁、2008年9月24日閲覧。
  2. ^ Takada, MasatoshiShikohin and Its Marketability- Price of Mineral-water and the Value of 'Pleasure' in Contemporary Japan (PDF)」 、『FFIJournal』第213巻第1号、The Japan Food Chemical Research Foundation、2008年1月、 71-72頁、2008年9月24日閲覧。
  3. ^ 『カフェインの科学 コーヒー、茶、チョコレートの薬理作用』 第9章 カフェインの依存性
  4. ^ たばこ病訴訟判決文 (PDF)