外肛動物

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?外肛動物

エルンスト・ヘッケルKunstformen der Naturより
分類
ドメ
イン
: 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 外肛動物門 Bryozoa
  • 狭喉綱 Stenolaemata
  • 裸喉綱 Gymnolaemata
  • 掩喉綱 Phylactolaemata

外肛動物(がいこうどうぶつ、Bryozoa または Ectoprocta)は小さな群体を作って生活する動物である。サンゴに似た炭酸カルシウムなどの外壁からなるコロニーを作る。一般にはコケムシの名で呼ばれる。温帯から熱帯の海を好むが、世界中に分布する。約5000種が確認され、その何倍もの種類の化石が知られている。

目次

形態

外肛動物の群体は、山型、扇型、小枝型、栓抜き型など様々な形をとる。外壁には小さな穴が無数に開いていて、それぞれが個虫(zooid)と呼ばれる個々の個体である。これらは口から肛門まで続く消化管からなる真体腔の構造も持っている。口の周りの触手には繊毛が生えている総担(ふさかつぎ)と呼ばれる構造があり、珪藻藻類を含む微生物を捕まえて餌とする。これは繊毛の生えた触手が口を囲んで配置したもので、全体をまとめて触手冠をなす。触手冠は、完全に動物体の内部に引き込むことができる。

サンゴ様のCostazia costazi

触手冠

チゴケムシの触手

触手冠はこの動物のよく目立つ特徴であるが、その形には大きく二つの形がある。一つは円形に配置するもので、もう一つはそれが大きく曲がってUの字になったものである。前者を裸喉類といい、ほとんどが海産である。後者を掩喉類といい、すべて淡水産である。この二つはコケムシ類中の大きな二群をなす。裸喉類の触手冠は触手が輪になって並んでいるが、その内側は例えばイソギンチャクの口盤のような広い面を持っておらず、触手の寄り集まったところに口が開く。掩口類ではUの字の底のところに口が開き、その両側の触手の列が大きく同一方向に伸びたような形になっている。肛門は触手冠のすぐ外に開く。掩口類ではやはりUの字の底、口のある位置近くに開く。触手は繊毛に覆われていて、繊毛を使うことによって水流を作り、餌を口まで運ぶ。

内部構造

外肛動物は小さすぎるため、きちんとした呼吸器系循環器系を持たないが、神経系や骨格系は持っている。骨格の結晶学的解析によると、方解石アラレ石に似た構造が見られた。

消化管はU字型に湾曲しており、咽頭から食道を通り、噴門、盲嚢、幽門と3つの部分に分かれたへと続く。幽門から小腸を経て直腸肛門につながっている。ある種では、噴門の前に砂嚢がある。消化管系は、個虫がそれぞれ持つ器官であるが、コロニーを作る時に再構成される。多くの外肛動物では一部の若い個虫しか消化機能を持たない。

掩喉類の触手冠

大きさが小さいために、外肛動物には循環系がない。ガス交換は体表全体で行うが、特に触手の部分で盛んである。

群体内の多形

裸喉類では、群体を構成する個虫に多形がみられる例が多い。触手を持ち、えさをとる普通の個虫を常個虫という。これに対して、特殊な形になったものを異形個虫と呼んでいる。以下のようなものが知られる。

  • 空個虫:個虫本体は退化し、個虫の部屋のみが残ったもの。群体の支持を担う。
  • 鳥頭体:個室の入り口がくちばし状になって突出したもの。外敵の防衛や群体の清掃。
  • 振鞭体:長い鞭状の突起が生じたもの。同じく外敵の防衛や群体の清掃。
  • 卵室:卵を保持。

生殖と発生

既知の全ての外肛動物は雌雄同体であり、外肛動物は無性生殖有性生殖も行う。無性生殖ではコロニーが大きくなるに伴って新しい個虫が生まれる。コロニーの一部が壊れると、それぞれの破片が成長し、新しいコロニーができる。このようにしてできたコロニーはクローンであり、初虫(ancestrula)と呼ばれる。

掩喉類では、特有の休芽が形成される。これは二枚の殻に包まれたもので、耐久性があり、冬をこれで乗り切るほか、水鳥の足などにくっついて分布を拡大するにも役立っているとされる。

生態

ほとんどの外肛動物は海に生息するが、淡水中に生息する種類も50種ほど知られている。水中では、砂地、岩地、貝殻や木、海草の上などどのような場所にも存在する。しかしある種は固い基盤の上では育てず、堆積物上で生活する。また、8200mもの深海で生息する種もいるが、多くは浅い場所で生活する。多くの外肛動物は固着性で自分では動けないが、コロニーを作るある種は砂地を這うことができ、単独で動き回りながら生活する種もある。また南極海を漂いながら生きる種もいる。淡水ではオオマリコケムシが浮遊するコロニーを形成する。

外肛動物のコロニーは数百万匹もの個体が集まってできることもある。個体の大きさはミリメートル以下だが、コロニーの大きさは数ミリメートルから時には数メートルにも達する。一部では、群体を構成する各個体に分化がみられる。餌を集める通常の個体に対して、コロニーを強化する個体や掃除をする個体もいる。Monobryozoon ambulansという1種のみがコロニーを作らないことが知られている。

一方、外肛動物自体はウニや魚の餌となっている。淡水産の掩喉類には特殊な寄生虫として軟胞子虫Buddenbrockiaが知られている。

利害

フサコケムシやホンダワラコケムシなど、多くの種類が人工的な基盤上によく繁殖する。生簀に繁殖すると網目を詰まらせ、あるいは船底に付着して船足を止めるので嫌われる。 淡水産のオオマリコケムシは巨大なゼラチン質の群体となって水中に浮遊し、人を驚かせることがあり、また水質悪化を招く場合もある。

一部の種は毒性を持ち、漁夫の皮膚病の原因となる。Bugula neritinaという種は、抗がん剤になりうる細胞毒性を持つブリオスタチンという化合物を生成するとして、注目を集めている。

化石

外肛動物の化石はオルドビス紀初期以降の地層から発見されている。オルドビス紀の海底生態系の中では主要なものの一つで、現代の外肛動物と同じように堆積物の固定化や深海底での食物源として重要な役割を果たしていた。3億5400万年から3億2300万年前のミシシッピ紀には、外肛動物の外骨格はほとんどの石灰岩の元になっている。これまでに1000種以上の外肛動物の化石が見つかっている。カンブリア紀にも外肛動物は存在していたと思われるが、骨格が軟らかかったかその他の理由で化石が残っていない。もしかすると外肛動物はこの頃に箒虫動物から進化したのかもしれない。

外肛動物の化石の多くは鉱物質の骨格である。個虫の骨格は管状のものから箱状のものまで様々な形であるが、繊毛で餌を取り込むための開口がついている。オルオビス紀の外肛動物の化石のほとんどには穴が開いているのは見られないが、個虫同士が上皮細胞でつながれていた証拠が見つかっている。

外肛動物の進化上の最も大きな出来事の1つは、石灰質の骨格の獲得と触手の構造の変化である。固い外骨格を獲得することによって個虫同士はより接近することが可能となり、コロニーとしての進化が始まった。

なお、化石が得られるのは裸喉類のみであり、掩喉類の化石は発見されたことがない。

歴史

この類は古くはサンゴなどとともに植虫(Zoophyta)などと呼ばれたが、その内部構造などが明らかになると、間違いなく動物であり、しかもサンゴなどよりはるかに複雑な構造であることが判明したことから独立に扱われるようになり、Ehrenberg(1831)によりコケムシ類(bryozoa)とされた。当初はスズコケムシ類もこれに含めたが、両者の違いがはっきり理解されるに従い、それぞれ独立した群と見なされるようになった。外肛動物の名は、スズコケムシ類との関連で、コケムシ類の場合は肛門が触手冠の外にあるのに対して、スズコケムシ類ではその内側にあるため、この類を内肛動物と呼んだのに対比させたものである。

分類

構造と生活様式の類似性から、外肛動物は、かつては外肛動物と内肛動物の2つの亜門に分かれると考えられていた。また有輪動物をこの仲間に入れる研究者もいた。しかし内肛動物は体腔を持たずらせん卵割が行われるのに対して、外肛動物は体腔を持ち、放射卵割が行われる。また分子生物学的な研究によっても外肛動物と内肛動物の系統的な位置は離れていることが示された。これらのことから、現在では内肛動物は150種ほどが含まれる独立の門と見なされている[1]

外肛動物は、先述のように大きくは裸喉類と掩喉類の二つに分かれる。この二つは似た点も多いが、相違点も多いため、異なる系統に属する可能性が示唆されている。

裸喉綱 Gymnolaemata

  • 狭喉亜綱 Gymnolaemata
    • †隠口目 Cryptostomata 中生代末に絶滅
    • †変口目Trepostomata 中生代末に絶滅
    • 管口目 Tubuliporata キクザラコケムシ・クダコケムシ・サラコケムシ
  • 広喉亜綱 Eurylaemata
    • 櫛口目 Ctenostomata ツツコケムシ・センナリコケムシ・ホンダワラコケムシ・チャミドロコケムシ
    • 唇口目 Cheilostomata ヒメコケムシ・アミメコケムシ・イタコケムシ・フサコケムシ・チゴケムシ・スナツブコケムシ・アミコケムシ

掩喉綱 Phylactolaemata

  • 掩喉目 Phylactolaemata ハネコケムシ・ヒナコケムシ・ヒメテンコケムシ・カンテンコケムシ・オオマリコケムシ・アユミコケムシ

出典

  1. ^ James W. Valentine (2004). On the origins of phyla. University of Chicago Press. 

参考文献

  • Hall, S.R., Taylor, P.D., Davis, S.A. and Mann, S., 2002. Electron diffraction studies of the calcareous skeletons of bryozoans. Journal of Inorganic Biochemistry 88: 410-419. [1]
  • Taylor, P.D. and Wilson, M.A., 2003. Palaeoecology and evolution of marine hard substrate communities. Earth-Science Reviews 62: 1-103. [2]
  • 白山義久編集;岩槻邦男・馬渡峻輔監修『無脊椎動物の多様性と系統』(2000)裳華房
  • 岡田要,『新日本動物図鑑』,1976,図鑑の北隆館
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