整備新幹線

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整備新幹線(せいびしんかんせん)とは、新幹線計画路線のうち、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)第7条に基づいて日本政府が1973年(昭和48年)11月13日に整備計画を決定[1]した以下の5路線を指す。当初は「整備5線」「整備5新幹線」とも呼ばれていたが、現在は「整備新幹線」の呼称が定着している。

なお、この5路線以前に計画されていた新幹線である東海道新幹線山陽新幹線、東北新幹線の東京駅 - 盛岡駅間、上越新幹線成田新幹線(計画失効)は整備新幹線には含まれない。また、計画中の中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法第7条に基づく新幹線ではあるが、整備計画の決定が2011年5月であったため、整備新幹線には含まれない。

整備新幹線の概要[編集]

整備新幹線の一覧
路線名 起点 終点 進捗状況 距離 備考
北海道新幹線 青森県青森市 北海道札幌市 一部開業
新青森 - 新函館北斗間)
360km 函館市付近・小樽市付近経由
東北新幹線 岩手県盛岡市 青森県青森市 全線開業 179km 八戸市経由
北陸新幹線 東京都 大阪府大阪市 一部開業
東京 - 金沢間)
600km 長野市富山市小浜市付近[2]経由
東京 - 大宮間は東北・上越新幹線、大宮 - 高崎間は上越新幹線と共用
九州新幹線
鹿児島ルート
福岡県福岡市 鹿児島県鹿児島市 全線開業 257km 熊本市薩摩川内市経由
九州新幹線
長崎ルート
福岡県福岡市 長崎県長崎市 一部開業
博多 - 新鳥栖間)
118km 佐賀市付近経由
博多 - 新鳥栖間は九州新幹線(鹿児島ルート)と共用

このうち、2016年(平成28年)3月26日までに、北海道新幹線の新函館北斗駅 - 新青森駅間149km、東北新幹線の新青森駅 - 盛岡駅間179km、北陸新幹線の高崎駅 - 金沢駅間346km、九州新幹線(鹿児島ルート)の博多駅 - 鹿児島中央駅間257kmが開業している。また、北海道新幹線の新函館北斗駅 - 札幌駅間は2030年(平成42年)度末、北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間は2022年(平成34年)度に開業予定であるが、九州新幹線(長崎ルート)の武雄温泉駅 - 長崎駅間はフリーゲージトレイン(軌間可変列車)の開発に時間がかかっているため、開業を予定していた2022年(平成34年)度から2025年(平成37年)度以降にずれ込む見通しであった[3]。しかしその後、国土交通省はフリーゲージトレインの営業車両投入までの暫定処置として博多駅 - 武雄温泉駅間は在来線特急、武雄温泉駅以西は新幹線のリレー方式を採ったため、開業予定は従来通りの2022年(平成34年)度とした[4]

一方で、2015年現在、北陸新幹線の敦賀駅 - 新大阪駅もしくは天王寺駅[5]間、および九州新幹線(長崎ルート)の新鳥栖駅 - 武雄温泉駅間は未着工である(#未着工区間の項目参照)。

路線建設の計画および着工の推移[編集]

以下に整備計画決定から現在までの、路線の計画および着工の推移を時系列で列記する。

なお、政権与党による着工区間の決定は、着工に向けた条件の1つにすぎず、着工が確約されたことを必ずしも示すものではない。国の所管官庁、整備新幹線および並行在来線の沿線都道府県、沿線市町村、さらにJRとの間で諸調整や意見の対立が見られることがある。例を挙げると、九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)に関しては、「並行在来線沿線自治体すべての同意」の条件を満たせなかったため、建設工事には着手できなかった。その後、佐賀県・長崎県・JR九州による、いわゆる「三者合意」により「並行在来線沿線自治体すべての同意」が必要ではなくなったため、着工が認可された。

運輸省案と3線5区間の着工[編集]

1988年、運輸省(当時)が、東北・北陸・九州(鹿児島ルート)の3線について、建設費を削減しつつスピードアップを図るため、ミニ新幹線やスーパー特急方式を組み合わせた、いわゆる「運輸省案」を発表。

着工区間の沿線自治体や政治家からは、この案を「ウナギ(フル規格)を注文したらアナゴドジョウ(ミニ新幹線やスーパー特急方式)が出てきた」と揶揄されるほど不評であったが、この機会を逃すと次回の着工がいつになるか不透明であったことから、やむなくこれを受け入れ、同年、政府・与党申し合わせにより着工順位が決定された。

  • 1.北陸新幹線:高崎 - 長野間(高崎 - 軽井沢間フル規格、軽井沢 - 長野間はミニ新幹線。ただし、長野オリンピックの開催が決定した場合、フル規格への変更も考慮)→1997年フル規格で開業。
  • 1.北陸新幹線:高岡 - 金沢間(スーパー特急方式)→1992年8月、石動 - 金沢間着工。→2015年フル規格で開業。
  • 2.東北新幹線:盛岡 - 青森間(沼宮内(現・いわて沼宮内) - 八戸間フル規格、前後の区間はミニ新幹線)→盛岡 - 八戸間は2002年、八戸 - 青森間は2010年にフル規格で開業。
  • 3.九州新幹線(鹿児島ルート):八代 - 西鹿児島(現・鹿児島中央)間(スーパー特急方式)→起点を新八代に変更の上、2004年フル規格で開業。
  • 4.北陸新幹線:糸魚川 - 魚津間(スーパー特急方式)→1993年10月に着工したが、新黒部(仮称) - 魚津間は在来線への取り付け線のため工事は行われず。

しかし新幹線の建設財源が限られていたことから、優先順位1位でフル規格区間であった高崎 - 軽井沢間のみ翌1989年に着工。その他の区間は、既存新幹線譲渡収入(旧スキームの項を参照)が新幹線建設の特定財源となる1991年以降の着工となった。

1991年、長野オリンピックの開催が決定したことから、軽井沢 - 長野間がフル規格に変更された。一方、同順位だった高岡 - 金沢間は、富山県内の沿線自治体が並行在来線となる北陸本線石動 - 高岡間の経営分離に反対したことから、新高岡 - 金沢間の基本ルートを変更、着工区間は石動 - 金沢間に短縮された。

1994年、5年毎に行うとされた計画見直しで新規着工の機運が高まるが、財源が壁となり、ミニ新幹線で建設するとしていた東北新幹線の盛岡 - 沼宮内間をフル規格に変更する(その代わり八戸 - 青森間は取り下げ)にとどまった。

新スキームによる3線3区間の着工[編集]

1996年、新規着工の財源にJR本州3社の固定資産税軽減特例(1/2)(新スキームの項参照)を活用する方針が示され、新規着工区間の選定が活発化する。

同年12月25日、政府与党合意により、候補となる3線3区間を選定。政府・与党整備新幹線検討委員会による採算性の検討などを行い、1998年1月21日、着工および着工区間の優先順位が決定した。これらの区間は同年3月に着工している。

  • 1.東北新幹線:八戸 - 新青森間(フル規格)→2010年開業。
  • 1.九州新幹線(鹿児島ルート):船小屋(九州新幹線全通に合わせて筑後船小屋に改称) - 新八代間(スーパー特急方式。同時に着工済みの八代 - 西鹿児島間の起点を新八代に変更)→2011年フル規格で開業。
  • 2.北陸新幹線:長野 - 上越(仮称)間(フル規格)→2015年開業。

自自公連立政権成立と2線3区間の新規着工[編集]

1999年自自連立自自公連立による計画見直し案で、既着工区間のフル規格化と新規着工の方針が出され、2000年には、運輸省(当時)が翌2001年度予算の概算要求で、北陸・上越 - 糸魚川間と九州・博多 - 船小屋間の新規着工を要求した。

同年の政府・与党申し合わせで、新黒部(仮称) - 富山間を加えた2線3区間の新規着工が正式に決定した。

  • 北陸新幹線:上越(仮称) - 糸魚川間および新黒部(仮称) - 富山間(フル規格。同時に着工済みの糸魚川 - 新黒部(仮称)間もフル規格に変更)→2015年開業。
  • 九州新幹線(鹿児島ルート):博多 - 船小屋間(フル規格。同時に着工済みの船小屋 - 西鹿児島間もフル規格に変更)→2011年開業。

九州新幹線部分開業と3区間の新規着工[編集]

2004年3月13日、九州新幹線・新八代 - 鹿児島中央間が部分開業。開業に前後して新規着工に向けた見直し作業が行われ、2004年6月10日、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームの合意により3区間(福井駅周辺区間の整備を含めると4区間)の新規着工区間が決定した。

  • 北海道新幹線:新青森 - 新函館(仮称)間(フル規格)→2016年開業。
  • 北陸新幹線:富山 - 石動間および金沢 - 白山総合車両基地(仮称)間(フル規格。同時に着工済みの石動 - 金沢間もフル規格に変更)→2015年開業。
  • 北陸新幹線:福井駅 →2005年6月4日着工、2009年2月19日完成。2015年から2018年頃まで暫定的にえちぜん鉄道が使用する予定[6]
  • 九州新幹線長崎ルート(西九州ルート):武雄温泉 - 諫早間(スーパー特急方式)

2005年、北海道新幹線と北陸新幹線の新規区間が着工された。長崎(西九州)ルートについては、並行在来線となる長崎本線肥前山口 - 諫早間の沿線自治体(佐賀県江北町鹿島市)が経営分離に反対していたため、2005年以降国の公共事業費として毎年10億円が計上されていたが着工できず、予算は消化できないという状況が続いていた。その後、2007年12月に推進派3者(佐賀県・長崎県・JR九州)による、いわゆる「三者合意」による「上下分離方式」により、JR九州が並行在来線区間を新幹線開業後20年間運行するという形で決着が図られ、2008年3月に着工認可が下り、翌4月に着工された。

民主政権初の新規着工[編集]

北海道・北陸・九州(長崎ルート)の未着工区間 2009年9月の民主党への政権交代に伴い、大幅な公共事業の見直しが行われ、北海道・北陸・九州(長崎ルート)の未着工区間の建設は一時凍結されることになった。これらの区間については、莫大な建設費や並行在来線の分離に対する沿線自治体の合意などの面でも大きな問題を抱えていた。しかし、JRが支払う線路使用料を建設費に充てることで財源の目途が立ったことや沿線自治体との協議が進んだこと、また、東日本大震災以降、軸となるインフラの整備を集中的に行っていく方向に進んでいたこともあり、2011年末に、沿線自治体との合意という条件付きで以下の3区間の新規着工の方針が国土交通省によって示された[7]

  • 北海道新幹線:新函館(仮称) - 札幌間 212km
  • 北陸新幹線:金沢 - 敦賀間 124km(福井駅部分を除く)
  • 九州新幹線長崎ルート(西九州ルート):諫早 - 長崎間 21km

そして、2012年6月29日に正式に着工が認可された[8]。北海道は2035年度、北陸は2025年度、九州(長崎ルート)は着工済の武雄温泉 - 諫早間を含めて2022年度の完成を目指して建設が進められることになった。その後、自民政権下の2015年1月14日に前倒しが正式に決定した[9]

未着工区間[編集]

2015年3月現在の未着工区間は以下の通りである。

  • 北陸新幹線:敦賀 - 新大阪間 128km(キロ程は小浜経由)
    • 敦賀以西はルート未公表であり、新大阪まで整備計画通りに小浜を経由するルート(小浜ルート)、北陸本線に並行して米原で東海道新幹線に接続するルート(米原ルート)、湖西線に並行して京都に向かうルート(湖西ルート)に加えて、2015年8月には小浜ルートの中間的な案として、小浜と京都を経由するJR西日本が考案したルート(小浜・京都ルート)[10]が、同年末には京都府選出の参議院議員である西田昌司が提唱したルート(舞鶴ルート)[11]が検討されている(北陸新幹線参照)。
  • 九州新幹線長崎ルート(西九州ルート):新鳥栖 - 武雄温泉間 51km

北陸新幹線については、フリーゲージトレインにより、暫定的に湖西線・北陸本線[注 1]への乗り入れが検討されている。

また、九州新幹線長崎ルートは武雄温泉以西が標準軌による整備に変更されたことで、当該区間のみが狭軌という形で取り残される形となった。この場合、フリーゲージトレインの軌間変更が2回必要な形になることから、所要時間の増加につながる。このため、当該区間の扱いについて注目されている。

財源問題[編集]

東北・上越新幹線は、国鉄の自己資金や財政投融資等の借入金によって建設され、結果的に国鉄債務増大の一因となったことへの反省から、整備新幹線は原則として、返済の必要がない無償資金による公共事業方式で建設され、営業を担当するJRからは、開業後の受益に応じた線路貸付料を受け取る形とした。

しかし、公共事業費の増額には財務省(旧・大蔵省)の抵抗が大きく、新規着工や開業前倒しには新たな財源探しが付き物となる。

旧スキーム[編集]

1989年、北陸新幹線・高崎 - 軽井沢間着工の際に決められた[13]

  • JR:50%
    • 整備新幹線の線路貸付料
    • 既設新幹線(東海道・山陽・東北・上越)のリース料から新幹線保有機構の旧国鉄債務を返済した余剰分
  • 国(公共事業費等):35%
    • 第一種工事(線路その他の主体等の鉄道施設に係る工事) - 40%
    • 第二種工事(駅その他の地域の便益に密接に関連する鉄道施設に係る工事) - 25%
  • 地方:15%
    • 第一種工事 - 10%
    • 第二種工事 - 25%

地方負担分は原則として都道府県の負担となるが、90%は地方債の起債が可能。また10%は沿線市町村に負担させることができる(新スキームでも同様)。

1990年、既存新幹線のJR3社への売却を翌年に控え、譲渡収入のうち資産再評価に伴う上乗せ額1.1兆円が整備新幹線の特定財源とされ、毎年724億円が国およびJR(既存新幹線リース料余剰分に代わるもの)の財源となった。

なお北陸新幹線(高崎 - 長野)については、開業を長野オリンピック開幕に間に合わせるため、例外として有償資金である財政投融資(2775億円)が投入された。開業後は後に開業した東北・九州を含む開業済み区間の線路貸付料で返済を行ってきたため、線路貸付料から建設費にはほとんど充当されなかった。しかし、2011年6月8日に成立した「改正国鉄債務処理法」によって、鉄道・運輸機構の特例業務勘定における利益剰余金から債務が償還されたため、その分が建設費に充てることができるようになった[14]

新スキーム[編集]

1996年、3線3区間の新規着工に伴い、国・地方・JRの負担割合の見直しを行った[13]

  • JR:受益の範囲を限度とした貸付料など
  • 国:JR負担分を除く2/3
    • 公共事業費
    • 既存新幹線譲渡収入(旧スキームでJRの負担とされていたものも含む)
  • 地方:JR負担分を除く1/3
    • うち90%は地方債の起債が認められ、償還の際には元利償還金の標準財政規模に占める割合に応じて元利合計の50%から70%に対して地方交付税措置を行う(JR本州3社の固定資産税軽減特例(1/2)終了に伴う地方交付税減額分を配分)。したがって地方の実質負担は約12%から18%となる。

2004年末の政府・与党申し合わせで、既存新幹線の譲渡収入の中から2013年度以降の分を前倒しする形で活用することが決まった。

また、着工予定区間である北陸新幹線(富山 - 金沢)や北海道新幹線(新青森 - 新函館)の収支改善効果試算の過程で、他社区間に乗り入れることになるJR東日本の収益増加額(いわゆる「根元受益」)が巨額(北陸390億円/年、北海道220億円/年)となることが明らかになり、この分についても負担を求める方針も盛り込まれたが、当事者のJR東日本は難色を示している。

整備新幹線建設費の推移[編集]

整備新幹線建設費の推移(単位億円)[15]
1989年 63

1990年 211

1991年 373

1992年 1296

1993年 1922

1994年 1942

1995年 2548

1996年 1725

1997年 1482

1998年 1899

1999年 2379

2000年 2753

2001年 2916

2002年 2380

2003年 2072

2004年 2207

2005年 2253

2006年 2509

2007年 2687

2008年 3178

2009年 3666

2010年 2510

並行在来線問題[編集]

整備新幹線の並行在来線は、原則的にJRから経営分離され、第三セクター鉄道に転換または廃止されている(JRの経営のまま残った区間もある)。これは、高額な新幹線の施設と地方閑散線区に転落した並行在来線を両方所有運営することによる、JRの負担を軽減する措置である。1996年12月25日の「整備新幹線の取扱いについて 政府与党合意」[16]で「建設着工する区間の並行在来線については、従来どおり、開業時にJRの経営から分離することとする」としており、今後開業する整備新幹線の並行在来線についても、同様の措置とする予定である。並行在来線では、沿線の利用者や貨物列車および並行在来線の枝線の扱い、新事業者の経営をどのように支えるかが課題となる[17]。新幹線開業により廃線となった路線は、信越本線横川駅 - 軽井沢駅間のみである。なお、既存路線(整備新幹線以外の新幹線路線)の並行在来線は、経営分離される予定はない[注 2]

整備新幹線の並行在来線の一覧
整備新幹線 並行在来線
新幹線開業前 区間 営業キロ 移管(廃止)日 新幹線開業後
北海道新幹線 JR logo (hokkaido).svg北海道旅客鉄道
(JR北海道)
江差線 五稜郭 - 木古内 37.8 2016年3月26日 道南いさりび鉄道へ移管
函館本線 函館 - 小樽 252.5 2030年度 第三セクター会社へ移管(予定)
大沼 - 35.3
小樽 - 札幌 33.8 JR北海道のまま存続(予定)
東北新幹線 JR logo (east).svg東日本旅客鉄道
(JR東日本)
東北本線 盛岡 - 目時 82.0 2002年12月1日 IGRいわて銀河鉄道へ移管
目時 - 八戸 25.9 青森県および青い森鉄道へ移管(上下分離方式
八戸 - 青森 96.0 2010年12月4日
北陸新幹線 信越本線 高崎 - 横川 29.7 JR東日本のまま存続
横川 - 軽井沢 11.2 1997年10月1日 廃止(ジェイアールバス関東碓氷線へ転換)
軽井沢 - 篠ノ井 65.1 しなの鉄道へ移管
篠ノ井 - 長野 9.3 JR東日本のまま存続
長野 - 妙高高原 37.3 2015年3月14日 しなの鉄道へ移管
妙高高原 - 直江津 37.7 えちごトキめき鉄道へ移管
JR logo (west).svg西日本旅客鉄道
(JR西日本)
北陸本線 直江津 - 市振 59.3
市振 - 倶利伽羅 100.1 あいの風とやま鉄道へ移管
倶利伽羅 - 金沢 17.8 IRいしかわ鉄道へ移管
金沢 - (未定) 130.7 2022年度 IRいしかわ鉄道へ移管(予定)
(未定) - 敦賀 第三セクター会社へ移管(予定)
九州新幹線
(鹿児島ルート)
JR logo (kyushu).svg九州旅客鉄道
(JR九州)
鹿児島本線 博多 - 八代 154.1 JR九州のまま存続
八代 - 川内 116.9 2004年3月13日 肥薩おれんじ鉄道へ移管
川内 - 鹿児島中央 46.1 JR九州のまま存続
九州新幹線
(長崎ルート)
長崎本線 肥前山口 - 諫早 60.8 2022年度 新幹線開業後20年間は上下分離方式(予定)
(長崎県・佐賀県が施設を管理、JR九州が列車を運行)
諫早 - 長崎 24.9   未定
喜々津 - 浦上 23.5

北陸新幹線[編集]

1997年10月1日北陸新幹線長野新幹線)高崎駅 - 長野駅間開業に伴い、並行在来線となる信越本線のうち、高崎駅 - 横川駅間が東日本旅客鉄道(JR東日本)の路線として存続、 横川駅 - 軽井沢駅間が廃止、軽井沢駅 - 篠ノ井駅間が第三セクターのしなの鉄道に経営移管され、並行在来線経営分離の最初の例となった。

2015年3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業時には、並行在来線となる信越本線と北陸本線のうち、長野県内区間(信越本線長野駅 - 妙高高原駅間)がしなの鉄道に、新潟県内区間(信越本線妙高高原駅 - 直江津駅間および北陸本線直江津駅 - 市振駅間)がえちごトキめき鉄道に、富山県内区間(北陸本線市振駅 - 倶利伽羅駅間)があいの風とやま鉄道に、石川県内区間(北陸本線倶利伽羅駅 - 金沢駅間)がIRいしかわ鉄道にそれぞれ経営移管された。

北陸本線金沢駅 - 敦賀駅間については2022年度頃に北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間が開業した時点でJRから第三セクター鉄道会社に経営移管される予定である。境界駅について公式な発表はない。

東北新幹線[編集]

2002年12月1日に延伸開業した東北新幹線盛岡駅 - 八戸駅間、および2010年12月4日に延伸開業した八戸駅 - 新青森駅間についても、並行在来線となる東北本線の盛岡駅 - 八戸駅間および八戸駅 - 青森駅間が第三セクターのIGRいわて銀河鉄道第一種鉄道事業事業者)と青森県第三種鉄道事業者)・青い森鉄道第二種鉄道事業者)に経営移管された。同区間は関東地方 - 北海道を結ぶ物流の大動脈であり、同区間を第二種鉄道事業者として営業を行う日本貨物鉄道(JR貨物)に対して、線路使用料の引き上げを求めた。

JR貨物がJR旅客会社に対して支払っている線路使用料は、アボイダブルコストに基づき算出されている。経営移管に際して第三セクター側はJR貨物に対し、自身の経営規模では非電化単線で済むものを貨物運行のために過剰な電化施設や複線を維持しているとして、保守経費のみを対象としているアボイダブルコスト方式をやめて、過剰な施設負担分を含めた線路使用料を支払うように要求した。

これに対して、JR貨物は自社は何の恩恵も受けないにも拘らず一方的な線路使用料の値上げには応じない方針を示し、東北新幹線を三線軌条に改造する、機関車及びそれに牽引される貨車をフリーゲージトレイン化し東北新幹線上を走行可能にする、羽越本線奥羽本線経由(寝台特急あけぼの」と同一)のルートに迂回する、などの方策が検討されてきたが、いずれも不可能という結論になった。

関係者の間で協議が行われた結果、当該区間の整備新幹線を建設した特殊法人日本鉄道建設公団(後の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)がJR東日本から受けとる新幹線に対する線路使用料を原資として、JR貨物の支払う線路使用料を補填することになった。この制度は後の整備新幹線開業でも適用され、期限はJR貨物の完全民営化時とされている。

新幹線開業後も、上野駅 - 札幌駅間を運行する寝台特急「北斗星」・「カシオペア」がJRからの乗り入れ列車として運行を継続している。また、同区間は日本国有鉄道時代から、秋田や郡山にある工場への入場車両の回送ルートとなっていたが、路線の分断により首都圏を経由するなど大迂回を強いられることとなった。さらに2010年12月4日に在来線八戸駅 - 青森駅間が青い森鉄道に移管されたことにより、大湊線八戸線が自社在来線と直接に接続せず孤立することになったが、そこで使用される車両については、転換後も乗り入れ列車の設定により融通されている。

九州新幹線(鹿児島ルート)[編集]

2004年3月13日に部分開業した九州新幹線新八代駅 - 鹿児島中央駅間において、並行在来線(鹿児島本線)のうち八代駅 - 川内駅間が第三セクター肥薩おれんじ鉄道に経営移管された。この区間はJR貨物が第二種鉄道事業を行っていたため、熊本、鹿児島県境の閑散区間であったにもかかわらず、路線が維持されたもので、JR貨物が株主として出資し、引き続き第二種鉄道事業を行っている。貨物列車の運転用に電化設備が存置されているが、旅客列車は運行経費削減のため軽快気動車による運転となった。この区間で運行されていた夜行列車は同鉄道区間への乗り入れが行われず、博多駅からの特急「ドリームつばめ」が熊本駅までの「有明」に変更、新大阪駅からの「なは」(2008年3月15日廃止)も熊本駅までに運行区間が短縮されていた。これ以外の路線区間は都市圏輸送体系上、分離されずにJR九州が継続して経営を行っている[18]

北海道新幹線[編集]

北海道新幹線新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業に向けて、2014年8月に北海道道南地域並行在来線準備株式会社(2015年から道南いさりび鉄道株式会社)が設立され[19]、2016年3月26日の北海道新幹線開業とともに江差線のうち五稜郭駅 - 木古内駅間が同社に経営分離された。非電化区間である木古内駅 - 江差駅間は並行在来線にはあたらないが、JR北海道管内で乗降客が最も少ない区間の一つであったため、2014年5月12日をもって廃止された[20]津軽線については、青森県は「津軽線の経営はJR東日本で北海道新幹線の経営はJR北海道が行うため並行在来線ではない」という見解を出しており、JR東日本も2004年に経営分離しないことを明らかにしている。

札幌までの延伸着工は、国土交通省が示した新幹線着工条件の一つであったため、沿線自治体が函館本線函館駅 - 小樽駅間の経営分離に合意している[21]。小樽駅 - 札幌駅間は普通列車快速列車の運行本数・利用客ともに多く、岩見沢方面や新千歳空港方面と一体的な運行を行っていることから札幌延伸後もJR北海道が経営する予定。しかし函館 - 新函館北斗間は厳密には北海道新幹線と並行していないことから、地元財界を中心に経営分離反対の動きもみられる。

九州新幹線(長崎(西九州)ルート)[編集]

長崎本線肥前山口駅 - 長崎駅間が並行在来線にあたるが、具体的なことについては現在調整中の段階にある。新幹線開業後もしばらくはJR九州がこの区間を運行するため、沿線自治体が新幹線の着工条件の一つとして経営分離に同意することは不要とされている[22]

地方格差助長問題[編集]

新幹線の建設を促進する理由として、地方格差の是正と地域振興が主張されるが、地方の衰退を促進する効果が大きいと指摘する専門家もいる。[誰?]

その理由として、以下のようなことを挙げている。

  • 北陸新幹線長野新幹線)の開業で発展した長野県佐久市に対して、新幹線ルートから外れた小諸市は衰退している[23]
  • ストロー効果により、地方格差の是正どころか都心部への一極集中の促進効果が強い。但し、これについては反論も存在する[23]
  • 並行在来線の分離問題により、収益の低い路線を地方に押し付け財政悪化につながる事[23]や、地方交通ネットワークが破壊される。

設計・運行速度[編集]

建設費用の問題や、速達性の需要程度の関係により、整備新幹線区間は、最高速度が260km/hとして設計・整備されている[24]。また、北陸新幹線の30、九州新幹線の35‰(筑紫トンネルほか)勾配や線形など、新規路線にもかかわらず、従来よりもきつい制限が掛かることもある。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 敦賀着工時の国土交通省の試算では、フリーゲージトレイン導入時の設定本数は「現行の在来優等(サンダーバード23本、しらさぎ16本)と同等」としている[12]
  2. ^ 一時期、西日本旅客鉄道(JR西日本)は、北陸新幹線の開業時に、その並行在来線である北陸本線のみならず、北陸本線に接続するこれら支線系統までも経営分離する方針を打ち出していた[要出典]

出典[編集]

  1. ^ 整備新幹線とは (PDF) - 国土交通省
  2. ^ http://www.mlit.go.jp/common/000109162.pdf
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  17. ^ 杉山淳一の時事日想:赤字で当然、並行在来線問題を解決する必要はない
  18. ^ 連載特集・整備新幹線 九州新幹線:明日の九州を支える新幹線整備 - 建設グラフ(自治タイムス)2002年8月号
  19. ^ 14年5月にも三セク準備会社設立へ-江差線五稜郭-木古内間 - 北海道建設新聞、2013年8月27日。
  20. ^ “江差線(木古内・江差間)の鉄道事業廃止届の提出について” (PDF) (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2013年4月26日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130426-1.pdf 2013年4月26日閲覧。 
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  22. ^ 平成19年12月17日知事臨時記者会見(佐賀県公式サイト)での記者との質疑応答より
  23. ^ a b c 鯉江康正「開発投資型新幹線による地域振興策の検討 - 糸魚川地域を例として -」 (PDF) 、6.新幹線整備の影響(正の効果と負の効果)参照、長岡大学
  24. ^ 曽根悟 『新幹線50年の技術史』 講談社、195-196頁。ISBN 978-4-06-257863-9。

関連項目[編集]