日本の選挙

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日本の選挙(にっぽんのせんきょ)では、日本における公職選挙制度について述べる。

選挙の種別[編集]

国政選挙[編集]

  • 総選挙(衆議院議員総選挙
    衆議院議員の任期満了または衆議院解散による選挙(公職選挙法第31条)[1][2]。任期満了(4年)または衆議院解散により衆議院議員全員を選ぶために執行される選挙をいう[1]。衆議院議員の定数は475人で、小選挙区選出議員295人を選ぶ小選挙区選挙と比例代表選出議員180人を選ぶ比例代表選挙を同じ投票日に執行する[1]
  • 通常選挙(参議院議員通常選挙
    参議院議員の任期満了に伴う選挙をいう(公職選挙法第32条)。参議院議員の任期は6年であるが、3年ごとの半数改選となっており、3年に1回、参議院議員の半数を選ぶために執行される選挙をいう[1]。参議院議員の定数は242人で、比例代表選出議員96人と選挙区選出議員146人からなる[1]

地方選挙[編集]

  • 一般選挙
    都道府県や市区町村(地方公共団体)の議会に所属する議員(または当選人)が、任期満了(4年)や解散などによってすべていなくなった場合に、その議会の議員全員を選ぶための選挙[1]
  • 地方公共団体の長の選挙
    都道府県知事や市区町村長(地方公共団体の長)に、任期満了(4年)、住民の直接請求(リコール)による解職、不信任議決による失職、死亡、退職、被選挙権の喪失による失職が発生した場合に、その長を選ぶための選挙[1]
  • 設置選挙
    地方公共団体が新しく設置された場合に、その地方公共団体の議会の議員と長を選ぶために行われる選挙[1]

特別の選挙(国政・地方)[編集]

  • 再選挙
    選挙が行われても選挙のやり直しや当選人がなお不足するため補う必要があるときに行われる選挙[1]
  • 補欠選挙
    選挙の当選人が議員となった後に死亡や退職があり、繰上当選でも議員の定数に不足する場合に行われる選挙[1]
  • 増員選挙
    地方公共団体の議会で、議員の任期中に、議員の定数を増やすこととなったときに行われる選挙[1]

選挙権と被選挙権[編集]

選挙権[編集]

日本の選挙で実際に使用される投票箱
候補者ポスター掲示場(貼付前の様子)
選挙での投票を呼びかける横断幕(日本)
日本には選挙運動関連用品を扱う専門業者が存在する(※手前の「9条」は同運動用品ではない)。業者ブースにて。

衆議院議員及び参議院議員[編集]

日本国民で年齢満18歳以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する(公職選挙法9条1項)。

日本国憲法の改正手続に関する法律附則において、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上となるよう法制上の措置を講ずることが盛り込まれた。その後、2015年6月に改正公職選挙法が成立し選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられることになった[3]

地方公共団体の議会の議員及び長[編集]

日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する(公職選挙法9条2項)。

2015年6月に改正公職選挙法が成立し選挙権年齢は20歳以上から18歳以上に引き下げられることになった[3]

被選挙権[編集]

日本国民は、選挙の期日の年齢に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する(公職選挙法10条)。

  • 衆議院議員については年齢満25年以上の者
  • 参議院議員については年齢満30年以上の者
  • 都道府県議会議員についてはその選挙権を有する者で年齢満25歳以上のもの
  • 都道府県知事については年齢満30年以上の者
  • 市町村議会議員についてはその選挙権を有する者で年齢満25歳以上のもの
  • 市町村長については年齢満25歳以上の者

選挙権及び被選挙権を有しない者[編集]

次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない(公職選挙法11条)。

  1. (削除)(1号)
    1号には成年被後見人が定められていたが、2013年(平成25年)3月の東京地方裁判所での違憲判決が出され、同年5月の改正公職選挙法で削除され、成年被後見人にも選挙権が認められることとなった[4]
  2. 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者(2号)
  3. 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)(3号)
  4. 公職にある間に犯した刑法197条から197条の4までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者(4号)
  5. 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者(5号)

また、公職にある間に犯した刑法197条から197条の4までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から5年を経過したものは、当該5年を経過した日から5年間、被選挙権を有しない(公職選挙法11条の2)。

他の法令上の資格要件との関係[編集]

  • 最高裁判所裁判官国民審査
  • 裁判員
    • 裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、選任するものとする(裁判員法13条)。
  • 検察審査員
    • 検察審査会は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定した11人の検察審査員を以てこれを組織する(検察審査会法4条)。
  • 人権擁護委員
    • 市町村長は、法務大臣に対し、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する住民で、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について理解のある社会事業家、教育者、報道新聞の業務に携わる者等及び弁護士会その他婦人、労働者、青年等の団体であって直接間接に人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員の中から、その市町村の議会の意見を聞いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない(人権擁護委員法6条3項)。
  • 民生委員
    • 民生委員推薦会が、民生委員を推薦するにあたっては、当該市町村の議会(特別区の議会を含む)の議員の選挙権を有する者のうち、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、かつ、社会福祉の増進に熱意のある者であって児童福祉法の児童委員としても、適当である者について、これを行わなければならない(民生委員法6条1項)。

選挙の運営[編集]

選挙期日[編集]

  • 総選挙
    • 衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う(公職選挙法第31条第1項)。
    • 衆議院の解散に因る衆議院議員の総選挙は、解散の日から四十日以内に行う(公職選挙法第31条第3項)。
  • 通常選挙
    • 参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う(公職選挙法第32条第1項)。
  • 一般選挙
    • 地方公共団体の議会の議員の任期満了に因る一般選挙は、その任期が終る日の前三十日以内に行う(公職選挙法第33条第1項)。
    • 地方公共団体の議会の解散に因る一般選挙は、解散の日から四十日以内に行う(公職選挙法第33条第2項)。
    • 地方公共団体の設置による議会の議員の一般選挙は、当該地方公共団体の設置の日から五十日以内に行う(公職選挙法第33条第3項)。
  • 長の選挙
    • 地方公共団体の長の任期満了に因る選挙は、その任期が終る日の前三十日以内に行う(公職選挙法第33条第1項)。
    • 地方公共団体の議会の解散に因る一般選挙は、解散の日から四十日以内に行う(公職選挙法第33条第2項)。
    • 地方公共団体の設置による長の選挙は、当該地方公共団体の設置の日から五十日以内に行う(公職選挙法第33条第3項)。

選挙の運動期間[編集]

日本においては、選挙の際に活動できる期間が規定され、この期間に候補者と政党は制限付きの選挙活動を行うことができる。期間は公職選挙法が規定するが、選挙の種類により期間は異なっている。運動期間は選挙告示日(公示日)から始まる[要出典]

  • 国会議員の選挙については参議院議員が17日間、衆議院議員は12日間
  • 都道府県知事の選挙は17日間
  • 政令指定都市の市長選挙は14日間
  • 都道府県および政令指定都市の議会議員選挙は9日間
  • 政令指定都市以外の市および東京都特別区の首長および議会議員選挙は7日間
  • 町および村の首長および議会議員選挙は5日間

通常、投票日前日の選挙の街頭運動時間は20時(日本時間)までとなる。日本以外の国ではこのような特別な活動期間は設定されておらず、また戸別訪問の禁止や文書等の配布の制限なども日本は著しく厳しい[要出典]。通常投票日は日曜日に設定されている。ただし、一部離島の地域では日曜日に悪天候で投票箱の輸送ができなくなるのを避けるため通常投票日の3日前~前日に繰り上げ投票が行われる。

当選人[編集]

衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における当選人は、有効投票の最多数を得た者をもって当選人とするが、その者が法定得票を得ていることが必要である(公職選挙法第95条第1項本文)。

衆議院比例代表選出議員及び参議院比例代表選出議員の選挙における当選人の数及び当選人は、ドント方式で決定する(公職選挙法第95条の2、公職選挙法第95条の3)。

得票数が同じで当選人を定めることができないときは選挙会においてくじで当選人を決定する(公職選挙法第95条第2項、公職選挙法第95条の2第2項及び第3項、公職選挙法第95条の3第2項及び第3項)。1946年以前の選挙では、年長者を当選人としていた。

選挙の費用[編集]

国政選挙に係る地方公共団体の費用は国庫から支出され、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律施行令」に基づく「選挙執行委託費」などという[5]。一例として第21回参議院議員通常選挙の予算額は526億円[6]2009年11月17日には総務省の選挙関連経費として開票作業費等、啓発推進経費、明るい選挙推進費のそれぞれの費用が事業仕分けされた[7]

選挙の歴史[編集]

公職選挙法制定以前[編集]

国政選挙[編集]

  • 1889年(明治22年) - 大日本帝国憲法発布。衆議院議員選挙法制定(制限選挙・小選挙区制・記名投票)[8]。満25歳以上の男性で直接国税15円(太平洋戦争後の価値で60万円から70万円に相当)以上を納めている者に選挙権付与。
  • 1890年(明治23年) - 第1回衆議院議員総選挙[8]
  • 1900年(明治33年) - 納税要件緩和[8]。納税条件が10円以上に引下げ。大選挙区制・秘密投票を導入[8]
  • 1919年(大正8年) - 納税要件緩和[8]。納税条件が3円以上に引下げ。小選挙区制を導入[8]
  • 1925年(大正14年) - 納税条件撤廃。満25歳以上の男性全員(総人口の20.12%)に選挙権付与(狭義の普通選挙男子普通選挙)。中選挙区制を導入[8]
  • 1945年(昭和20年) - 衆議院議員選挙法改正[8]。満20歳以上の男女に選挙権付与(広義の普通選挙・完全普通選挙)。大選挙区制限連記制を導入[8]
  • 1946年(昭和21年) - 改正された衆議院議員選挙法に基づく大選挙区制限連記制による衆議院議員総選挙を実施(大選挙区制限連記制はこの1回のみ)。
  • 1947年(昭和22年) - 参議院議員選挙法が制定され第1回参議院議員通常選挙を実施[8]全国区、地方区で選出)。衆議院議員選挙法改正で中選挙区制が復活[8]日本国憲法施行。

地方選挙[編集]

  • 1878年(明治11年) - 府県会規則が制定され、府と県に公選議員からなる府県会を設置[9](制限選挙・記名投票[8])。
  • 1880年(明治13年) - 区町村会法が制定され、区町村に公選議員からなる区町村会を設置[9]
  • 1888年(明治21年) - 市制町村制が制定され、市町村会は等級選挙制に基づく公選名誉職議員で構成[9](制限選挙・等級選挙・秘密投票[8])。なお、市長は市会から推薦のあった者のうちから内務大臣が選任し、町村長は町村会で選挙されていた[9]
  • 1890年(明治23年) - 府県制、郡制が制定され、府県会は府県内郡市の複選制選挙による名誉職議員で構成し、郡会は町村会選出議員と高額納税者互選議員で構成[9]
  • 1899年(明治32年) - 府県会は各選挙区選出議員で構成し(複選制廃止)、郡会議員の複選制・高額納税者議員制を廃止[9]
  • 1921年(大正10年) - 直接市町村税納税者に公民権を拡張、市を2級選挙制に改め、町村会議員の等級選挙を廃止[9]。郡制を廃止して純然たる行政区画とする[9]
  • 1922年(大正11年) - 府県会議員の選挙権・被選挙権を直接国税納入者に拡大[9]
  • 1926年(大正15年) - 市町村会議員、道府県会議員について普通選挙制導入[9]。市長は市会による選挙により選任し、町村長は選任時の府県知事認可を廃止[9]
  • 1943年(昭和18年) - 市長は市会の推薦を受け内務大臣が選任、町村長は町村会において選挙し府県知事が認可することとなる[9]
  • 1946年(昭和21年) - 都道長官・府県知事・市町村長の公選制導入、選挙管理委員会の制度の創設[9]。地方選挙でも男女の普通選挙制を導入。
  • 1947年(昭和22年) - 日本国憲法施行に伴い地方長官は都道府県知事に移行。地方自治法制定。

公職選挙法制定以後[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 選挙の種類”. 総務省. 2016年12月18日閲覧。
  2. ^ なお、日本国憲法第7条第4号に「国会議員の総選挙」という記述があるが、ここでいう「総選挙」には参議院議員通常選挙を含む(憲法草案では一院制を想定していたため「国会議員の総選挙」としており、両院制への改正案が出た後も「国会議員の総選挙」という記述はそのままだったためとされる)
  3. ^ a b c “選挙権年齢「18歳以上」に 改正公選法が成立”. 47NEWS. (2015年6月17日). http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015061701001110.html 2015年6月18日閲覧。 
  4. ^ “成年被後見人に選挙権 今夏の参院選から適用”. 日本経済新聞. (2013年5月27日). http://www.nikkei.com/article/DGXNZO55547850Y3A520C1CC1000/ 2016年9月6日閲覧。 
  5. ^ 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律施行令
  6. ^ 選挙執行委託費財務省)(PDFファイル)
  7. ^ 2009年11月17日、第1会場評価結果・議事概要選挙関連経費(総務省)
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 選挙の歴史”. 福井県選挙管理委員会事務局. 2016年12月18日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 地方自治制度の歴史”. 総務省. 2016年12月18日閲覧。

関連項目[編集]