横浜市交通局3000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

移動先: 案内検索
横浜市交通局3000形電車
横浜市交通局3000A形(2015年7月20日 / 新羽駅)
横浜市交通局3000A形(2015年7月20日 / 新羽駅
基本情報
製造所 東急車輛製造(1・2次車)
日本車輌製造(3次車以降)
製造初年 1992 - 1993年(1次車)
1999年(2次車)
2004 - 2005年(3次車)
2005 - 2006年(4次車)
2016年 - (5次車)
主要諸元
編成 6両
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V 第三軌条集電方式
最高運転速度 80 km/h
設計最高速度 90 km/h
起動加速度 3.2 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
台車 ボルスタレス台車
3000R形
SS062(動力)/SS162(付随)3000S形
SS004(動力)/SS104(付随)
主電動機 かご形三相誘導電動機
1次車 SEA-331(140 kW / 基)
2次車以降 MB-5080(140 kW / 基)
駆動方式 WN平行カルダン
歯車比 98.15 (6.53)
制御装置 三菱電機VVVFインバータ1C4M×2群
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATC ATO
テンプレートを表示

横浜市交通局3000形電車(よこはましこうつうきょく3000がたでんしゃ)は、横浜市交通局横浜市営地下鉄)がブルーライン(1・3号線の路線愛称)にて運用する目的で導入した通勤形電車である。

3000形(以下「本形式」)には、1992年平成4年)より導入された1次車(通称「3000A形[1]」)、1999年(平成11年)に増備された2次車(通称「3000N形[1]」)、2004年(平成16年)より1000形の代替を目的として導入された3次車(通称「3000R形[1]」)、2005年(平成17年)より2000形の代替目的で同形式より一部機器を流用して新造された4次車(通称「3000S形[1]」)、2017年(平成29年)より本形式の1次車(通称「3000A形[1]」)の代替を目的として導入される予定の5次車(通称「3000V形[2]」)が存在し、本項では上掲5形式について詳述する。

形態別概要[編集]

本形式はマイナーチェンジを繰り返しつつ、1992年から現在にかけて5次にわたって増備され、個々に製造目的や仕様が異なる。以下にそれぞれの特徴を記述する。

1次車(3000A形)[編集]

3000形1次車(3000A形)
(2015年7月20日 / 新羽駅)
3000形1次車の先頭車の運転席後部の客室に設置されたボックスシート

新横浜 - あざみ野間開通に伴う運用増加分として1992年(平成4年)に落成した。東急車輛製造製で、6両編成8本(第24 - 31編成・48両)が在籍する。

制御装置は三菱電機GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御を採用した。

無塗装軽量ステンレス車体に水色と青の帯を配する。座席は先頭車の運転室後部がボックス式クロスシートで、その他はロングシートである。また、蛍光灯にはカバーが装着されているが、これは関東地方鉄道事業者の通勤形車両では採用例が少ない。客用扉の室内側は化粧板仕上げで、幅は1000形2000形に比べて30cm広い150cmになった。これは後述する2 - 4次車も同様である[3]。2 - 4次車に比べるとドアのガラスの幅が広い。客用扉上部にはLED・2段式の車内旅客案内表示器と路線図式の次駅案内装置を一体化した装置(札幌市営地下鉄5000形と類似のもの)が設置されている。

2号車・4号車のあざみ野寄りに設置されている貫通扉の機構は2次車以降も含めて圧力によるドアクローザ式である。

かご形三相誘導電動機の採用で保守軽減が図られたことから電動車の主電動機点検蓋(トラップドア)は省略された。ただし、2次車以降も含めて各車両の貫通路前の床面に点検蓋が設置されている。

車両価格は1編成あたり8億8千万円である。

2007年(平成19年)12月から開始したワンマン運転を前に自動列車運転装置 (ATO) 対応改造が施され、3000A形と呼称されるようになった。これに併せて車内旅客案内表示器の表示内容が2次車以降と同一になったほか、次駅案内装置も引き続き稼動しているものの駅名の下に駅番号が追加された。

先頭車の非常用貫通扉には、後から横浜市交通局のマスコットキャラクター「はまりん」のステッカーが装着されたが、2008年頃から彩色されたステッカーに交換された。

2次車(3000N形)[編集]

3000形2次車(3000N形「はまりん号」)
(2010年9月26日 / 新羽駅)

戸塚 - 湘南台間開通に伴う運用増加分として1999年(平成11年)に登場した。東急車輛製造製で、6両編成7本(第32 - 38編成・42両)が在籍する。

New(ニュー:英語で「新しい」という意味)の略称で、3000N形と呼称される。VVVFインバータ制御装置の使用素子はIGBTに変更され、後に純電気ブレーキの機能が追加された。

帯の配色は上部は青、下部は太い青に細い水色が重なる。座席は先頭車のボックス式クロスシートの廃止、蛍光灯カバーを省略し、客用扉の室内側はステンレス無塗装とされた。窓ガラスも接着式になった。これは3次車以降も同様である。客用扉の上部にある車内旅客案内表示器は、次駅をランプで表示するマップ式のものを廃し、次駅名・乗り換え案内を表示するものと、もう一つは神奈川新聞が配信する文字ニュースや交通局など横浜市政全般に関するお知らせなどを表示するものの2種類になった。それぞれ地色を茶色と灰色で千鳥配置しているほか、「このドアが開きます」を表示するドア開閉予告ランプが新設された。ドアエンジンは、閉扉後一定時間戸閉力を弱める「戸閉力弱め機構」を搭載した。また、先頭車の非常用貫通扉下部には横浜市交通局のマスコットキャラクター「はまりん」の銀色のプレートが装着された。客室側窓は黒色スモークガラスである。座席のクッションは1次車と同じく柔らかめに設計しているが、着座区分入りのものに変更されている(但し、現在は着座区分のないものに変更され、柄も後期車と同じものになっている)。

車両価格は1編成あたり7億6千万円であり、1次車と比較してコストダウンが図られている。

なお、第32編成 (3321F) は車体に「はまりん」のイラストステッカーが貼付され、車内旅客案内表示器で横浜市の施設やイベントの案内を表示する他、車内では小・中学生による絵画ポスターを掲出するインフォメーション電車「はまりん号」(2011年は国際森林年にあたり、同年11月1日から12月27日まで三井物産フォレストと提携し森と木のラッピングを施した「しんりん号」として運行[4])として、落成当初から2016年11月7日まで運用されていた。また、第33編成 (3331F) は2005年12月16日から2015年7月7日まで、横浜港開港150周年記念のラッピング車両として運用されていた。これらの編成を充当する列車の時刻は横浜市交通局の公式サイトに掲載されている。

導入後、1次車と同じくワンマン運転開始に備えて全編成に対応改造が施され、また2014年には車内灯に使用されている安定器の絶縁劣化対策として、車内照明を従来の直管蛍光灯からLED照明に交換する工事が全編成を対象に施工された[5]

直管LEDの仕様は下記のとおりである。

型番・EFL-040G/A2WWUE(飛散防止膜搭載モデル)
メーカー・川崎重工業株式会社(製造元・株式会社エクセル)
電源・AC200-254V 50/60Hz
消費電力・22W
発光色・白色(4200K)

3次車(3000R形)[編集]

3000形3次車(3000R形)
(2010年9月26日 / 仲町台駅)

1972年昭和47年)の開業時から使用している1000形の置き換え用として登場し、Replace(リプレイス 英語で「置き換える」という意味)の略称で、3000R形と呼称される。2004年(平成16年)3月30日に営業運転を開始し、2005年(平成17年)7月までに1000形と同じ両数の6両編成14本(第39 - 52編成・84両)が日本車輌製造で製造された。VVVFインバータ装置は3000N形と同一だが、当初から純電気ブレーキ機能を有している。これは後述する3000S形も同様である。

車体は従来と同じステンレス製だが、日本車輌製造のブロック工法が採用されたため、側面の凸凹(ビードプレス加工)が廃された。先頭車前面は3000N形と違ってステンレス無塗装で、正面ガラス下部が曲線になっている。前照灯HID式に変更された。先頭車の貫通扉下部の「はまりん」プレートは彩色された。また、客室側窓は緑色の紫外線 (UV) カットガラスに変更された。

座席形状は3000N形までとは異なり、バケットシートが採用された。ただし、片持ち式ではない。座席表地も営業運転開始時点ですでに全席優先席とされていたため、2次車まで一部の車端部の座席が優先席であることを示していた紫色の表地は採用されず、全席がオレンジ色の表地とされた。貫通扉は各車両間の片側に設置された。

車両価格は1編成あたり8億円である。

増備途中から火災対策強化のためラインデリア整風板の形状がFRPから白色塗装のアルミ合金製に変更された。

制御装置や側面の帯色、車内旅客案内表示器(製造当初から駅名の下に駅番号を追加)の仕様は3000N形と同様である。

2004年投入車両(第39 - 46編成)は落成時点でワンマン運転に対応しておらず、3000N形のワンマン対応改造と同時期に対応改造が施されたが、翌2005年の投入車両(第47 - 52編成)は当初からワンマン運転対応となっている。

4次車(3000S形)[編集]

3000形4次車(3000S形)
(2010年9月26日 / 仲町台駅)

3次車と同様に日本車輌製造製である。 2000形の登場から20年を経過し、車体更新の時期を迎えており、また2007年12月から予定されているワンマン運転に対応するため、同形式の台車・ブレーキ装置・補助電源装置などを流用し、車体・制御装置・主電動機について3000R形とほぼ同様のものを新規に製造し、ワンマン運転機器を装備する形で登場した。「Satisfaction」(満足)という意味から3000S形と呼称される。2005年10月28日に営業運転を開始した。6両編成8本(第53 - 60編成・48両)が在籍する。

2000形は6両編成9本(54両)が在籍していたが、そのうち1本(第16編成)は必要編成数の見直しで更新せずに廃車された。

車両価格は旧2000形車両の台車、ATC装置ほか多くの部品を再利用することで他形式より最安価で、1編成あたり5億4千万円である。

3000R形との相違点は、先頭車前面の窓下部分が無塗装から水色とされた点と、車体下部の帯色が同形式の「青が水色を挟む」デザインから「水色が青を挟む」(太い青帯の上下に細い水色の帯が入る)に変更された点である。

平成27年度の事業計画書によると、2次車と同じく車内照明機器の老朽化対策として車内照明のLED化が予定されている[6]

空調装置[編集]

冷房装置は冷房能力19.8kW (17,000kcal/h) の集中式冷房装置のものを1両あたり2基搭載する。機種は下記の通り製造時期によって異なる。

  • 1次車(RPU-4001A(東芝製)冷媒・R22 循環風量・43m³/min 電源・三相AC440V 30-75Hz インバーター制御
  • 2次車(CU-712)冷媒・R22 循環風量・45m³/min 電源・三相AC440V 60Hz ON-OFF制御
  • 3次車以降(CU-712A)冷媒・R407C(循環風量および電源はCU-712と同様)

ワンマン運転対応改造工事[編集]

1・2次車(3000A形・3000N形)は東急車輛製造で施工され、同時にドアチャイムを閉扉時にも鳴動するようにしたが、開扉時の音色は若干低くされている。また、非常通報装置も増設された。また、前述の通り1次車の車内旅客案内表示器では2次車以降と同様に神奈川新聞配信の文字ニュースを表示することが可能になり、千鳥配置になった。

また、3次車(3000R形)の第39 - 46編成は新羽車両基地で施工されたが、1・2次車と同様にドアチャイムの音色が変更されている。

なお、車内旅客案内表示器は、グリーンライン開業時に同線の路線図も追加された。なおこの路線図は2015年に快速運転対応のものに変更されたが、引き継いでグリーンラインの案内も入っている

今後の予定[編集]

5次車の増備[編集]

2017年4月9日より、3000V形の運行を開始する予定となっている[7][8]。前照灯の形状が変更され、車体側面の帯は水平線をイメージした上部水色、下部青色の配色となり、各扉の横にはヨットの帆をイメージしたグラデーションが配され、「ヨコハマを象徴する海を連想させるデザイン」をコンセプトとする。車内照明は当初よりLEDとなり、客用扉上部の車内旅客案内表示器は従来の3000A・N・R・S形のLEDスクロール式からLCD式に変更され、各扉上に2画面配置される。また、車内には従来の3000A・N・R・S形の車椅子スペースに加え、ベビーカーエリアも設置される[8][9][2]

この車両は2022年度までに6両編成8本(48両)が導入され、1次車(3000A形)を置き換える予定となっている[7]

1次車の大規模改修施工(中止)[編集]

2016年度以降、製造から20年以上を経過した1次車(3000A形)を対象とする大規模改修工事が計画されていた[5]。年2編成のペースで2019年度までに全8編成、劣化が進行した制御装置・主電動機など主要機器の更新のほか、車内各部を更新する予定だった。しかし、度重なる工事の延期で1次車の劣化は著しく進行し、結局5次車(3000V形)で置き換える方針に変更された。なお、5次車は元々この工事の際に発生する予備車不足を補うために1編成だけ製造される予定であった。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c d e 地下鉄車両の紹介 - 横浜市交通局
  2. ^ a b 横浜市交通局 ブルーライン3000V形デビューに先立ち試乗会を実施します!! - 横浜市交通局
  3. ^ この影響で座席数が減少し、扉間の座席は6人掛けとなっている(1000形・2000形は7人掛であった)
  4. ^ 横浜市営地下鉄で「しんりん号」出発進行! - 三井物産株式会社 2011年11月1日
  5. ^ a b 平成26年度 事業計画書 (PDF) - 横浜市交通局
  6. ^ 平成27年度 事業計画書 (PDF) - 横浜市交通局
  7. ^ a b 神奈川新聞公式発表、日本経済新聞サイトなど。
  8. ^ a b 横浜地下鉄ブルーラインの新型車は4月9日デビュー…前日に試乗会 - レスポンス、2017年1月31日
  9. ^ 横浜市営地下鉄ブルーライン3000V形、新造車両4-9デビュー - 前日に試乗会 マイナビニュース - 2017年2月1日