津軽弁

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津軽弁(つがるべん)または津軽方言(つがるほうげん)は、青森県津軽地方で話される日本語の方言である。東北方言北奥羽方言)に属する。

区分[編集]

青森県内の方言は、津軽地方の津軽方言と南部地方南部方言に大きく分かれる(南部方言のうち、さらに下北方言を分けて3区分とすることもある)[1]。両者はそれぞれ、江戸時代の津軽藩南部藩の領域であり、津軽弁と南部弁の違いは明瞭である。境界は平内町刈場沢と野辺地町馬門の間で、1kmほどしか離れていない両集落の間でも明確な方言差が認められる[1]。このような方言差から、青森県民同士でも互いの方言がわからず、相互の理解が困難となることもある。これを逆手に取り、青森県のローカルテレビ番組には南部弁話者に津軽弁の意味を当てさせるようなクイズ番組も存在する。

南部弁がいくつかの下位方言に区分されるのに比べると、津軽弁の内部差は小さい。そのなかでも、藩都だった弘前市付近は敬語が発達し都会的な言葉とされる[2]。また日本海沿岸部(深浦鯵ヶ沢周辺部)にも特色が認められる。

津軽方言一般は敬語表現があまり発達していないが、弘前城下で話されていた弘前方言だけは別で、敬語が発達し丁寧な表現が多い。現代でも、津軽の人たちは青森市よりも弘前市の方言を「きれい」「上品」と評価し、津軽弁の標準語とみなしている[3]。弘前方言では、「ごす」(ございます)や、間投助詞「ねさ」「ねは」などが付いた丁寧な表現が女性を中心に使われていた。現代ではこのような表現はほとんど聞かれなくなっている[3]

特徴[編集]

共通語とは発音が大きく異なり、独特の言い回しが多いため、日本語話者では難解な方言として有名である。津軽地方以外の人にはほとんど理解できないため、全国放送のテレビ番組では津軽弁に対して共通語の字幕を付けることが多い。津軽地方の医療現場で、地元出身でない医師や看護師が患者の津軽弁を誤認するという問題も起こっている[4]。津軽弁を聞き慣れない人には外国語のように感じられることもあり、2010年には津軽弁とフランス語を聞き間違えるという内容の「トヨタ・パッソ」のCMが話題になった[5]

よく知られた津軽弁の表現は、下にある「どさ」「ゆさ」である。長い文章を短く表現するという東北方言の特徴を端的に表しているが、道行く人にいきなり「どさ」と言っても言葉が足りないため通じないと思われる。「どごさ行ぐの」「湯さ行ぐどご」の省略形であり、「さ」は方向を表す助詞である。

津軽弁の方言詩人高木恭造の命日である10月23日は「津軽弁の日」である[6]。1988年に伊奈かっぺいらを中心とする「津軽弁の日やるべし会」が制定したもので、毎年津軽弁による弁論大会などが開催されている。

ルーツ[編集]

津軽弁は大和言葉をベースに、当時北海道から北東北に掛けて居住していたアイヌ人アイヌ語が少し入っている。そのため、津軽弁の単語の中には、現在ほとんど使われない古語が転訛したと見られるものがしばしば見受けられる。

大和言葉・古典漢語の転訛の例
  • 「あげた・おどげ」→「上顎・下顎」の意→「顎門(あぎと)・頤(おとがい)」(大和言葉の転、「あぎと」の転訛した言葉は全国の方言に多く見られる)
  • 「てぎ」→「面倒」の意→「大儀」(漢語の転)
  • 「ほいど」→「強欲、けち」等の意→「陪堂(ほいと:現在の共通語ではあまり使われない仏教用語。物乞いのこと)」(漢語の転)
アイヌ語に由来する単語
  • 「ちゃぺ」→「ネコ」
  • 「ばっけ」→「ふきのとう」

発音[編集]

津軽弁の発音の特徴は、他の東北方言北奥羽方言とおおむね共通する。

  • 母音i、uは中舌母音。eはiに近い発音。
  • 「シ」と「ス」、「チ」と「ツ」、「ジ」と「ズ」の区別がない。 例)寿司→スス(尻高) 獅子→スス(頭高)
  • 語中、語尾のカ行、タ行が濁音化してガ行、ダ行になる。 例)イカ→イガ みかん→みがん いちご→いぢご
  • 上記と連動して、語中・語尾のザ行、ダ行、バ行音は、直前に軽い鼻音を伴って発音される。[7] 例)油(あぶら)→ あぶら  すじこ→すずご  
  • 合拗音クヮ、グヮの発音が存在する。例)元日(グヮンジツ) 生姜(ショウグヮア)
  • 連母音ai、aeは融合してエァɛとなる。普通のエとは異なる音である。oi、uiも同様の融合を起こす。例)浅い→あせぁ 大根→でぁご[8]
  • 「せ」「ぜ」は「しぇ」「じぇ」と発音されることもあるが、「せ」はむしろ「ひぇ」「へ」になることが多い。「ざ」「ぞ」「さ」も、それぞれ「じゃ」「じょ」「しゃ」になることがある。
  • 長音(ー)、促音(っ)、撥音(ん)は共通語よりも短く発音される。(シラビーム方言

アクセント[編集]

津軽弁の語のアクセントには、ある場所から高くなり、それ以降もそのまま高く続くという規則性がある[9]。共通語のアクセントの場合は、あるところから低くなるという特徴があり、低くなる直前の拍を「アクセント核」と呼ぶ。津軽弁の場合は、高くなった直後の拍をアクセント核と呼ぶ。例えば、「雨」は2拍目にアクセント核があり、「低高」と発音し、「雨も」は「低高高」である。「帯」は1拍目にアクセント核があり、最初から高い「高高」。「帯も」は「高高高」。「飴」にはアクセント核がなく、単独では「低高」だが、助詞が付くと高音部が移動して、「飴も」は「低低高」となる。

文法[編集]

用言[編集]

動詞活用は基本的に共通語と同じだが、五段活用をする動詞の「行こう」「やろう」などにあたる形はなく(代わりに「行ぐべ」のように「べ」を使う)、四段活用である。また「買う」「習う」などのワ行四段動詞が、「かる」「ならる」のように、ラ行四段活用やラ行変格活用となることがある[10]。一段動詞の命令形は、「起ぎろ」、「開げろ」のように「ろ」語尾を使うが、日本海側の西津軽郡では「起ぎれ」、「開げれ」のように「れ」語尾とすることがあり、秋田弁北海道方言と共通する。「する」は、未然形では「しねぁ」または「さねぁ」(しない)、終止形は「し」または「しる」、仮定形は「せば」、命令形は「しろ」または「しれ」「せ」となる[11]

形容詞は、終止形語尾が連母音融合を起こした形、例えば「赤い」なら「あげぁ」が語幹となっており、それ自体は活用しない。連用形は「あげぁぐ」(赤く)、仮定形は「あげぁば」(赤ければ)となり、語幹に直接「ぐ」「ば」などの接尾辞を付ける。カリ活用は発達しておらず、過去形「赤かった」は「あげぁくてあった」「あげぁふてあった」と言う。南部弁でカリ活用が発達しているのとは対照的である。

形容動詞では、連体形が「しずがだもり」(静かな森)となって、終止形と同形になる。また仮定形も、「静かだら」(静かならば)、あるいは「静がだば」のように 「-な」ではなく「-だ」に統一された形となる[12]

助動詞など各表現[編集]

意志・勧誘・推量「べ」
意志・勧誘・推量には、「べ」を用いる。推量には、「べ」に「おん」を付けた「びょん」を使う[13]。四段動詞や形容詞、形容動詞には「かぐべ」(書こう)、「あげぁべ」(赤いだろう)、「しずがだべ」(静かだろう)のように終止形に付くが、一段動詞には「おぎべ」(起きよう)、「あげべ」(開けよう)のように未然形に付く。カ行変格活用「来る」の場合、「くるべ」のほか、「くべ」「きべ」と言う話者もいる[11][14]。「らしい」にあたる語として、共通語と同じ「らし」もあるが、「降るよんた」のような「よんた」を主に使う[15]
丁寧
「ます」に相当する丁寧の表現は、「かぎし」(書きます)、「おぎし」(起きます)のように連用形に「し」(す)を付ける。「し」の否定は「せん」の変化した「へん」「ひぇん」[16][17]。より丁寧な表現として「書ぐでごし」(書きます)、「行ぐでごし」(行きます)、さらに丁寧な表現として「書ぐでごえし」「行ぐでごえし」のような表現が、弘前を中心に使われていたが、現代では聞かれなくなった[16]。「読みへ」(読みなさい)、「おぎへ」(起きなさい)のように、連用形に「へ」をつけると丁寧な命令表現となり[18][19]、「かいでけへ」(書いてください)、「起ぎでけへ」(起きてください)のようにも言う[20]
断定
断定には、共通語と同じく「だ」を使い、丁寧形は「です」。「です」の否定が「でひぇん」(←でせん)となる点が共通語と異なる[21]
継続相
共通語の「ている」にあたる継続には、「くってら」(食べている)、「書いでら」(書いている)のように「てら」「でら」を用いる。若年層では、「くっちゅ」「書いじゅ」のような「ちゅ」「じゅ」、あるいは「書いじゃ」のような「ちゃ」「じゃ」と言う場合がある。「ちゅ」を使う若年層では、「みでら」(見ていた)のように「てら」を共通語の「ていた」にあたる完了の意味でも用いるようになっている。元来の津軽弁では、完了の意味には「見であった」のように「てあった」を用いる[22]
(例)手紙 書イジュはんで(手紙を書いているから)[23]
可能・受身・自発・使役
可能を表す形には、「かげる」(書ける)、「おぎれる」(起きられる)、「あげれる」(開けられる)、「これる」(来られる)のような可能動詞形(四段動詞以外は、可能動詞から類推して発生した形)と、「書ぐにいい」「起ぎるにいい」のような形があり、前者は能力可能を表す。また受身を表すのに「かがえる」(書かれる)、「おぎらえる」(起きられる)のように「える」「らえる」(「れる」「られる」からrが脱落したもの)が使われるが、この形で可能も表す[24]。自発を表すのには、「書かさる」「押ささる」「積まさる」「起きらさる」のように「さる」を使う。使役を表すのには、「かがせる」(書かせる)、「おぎらせる」(起きさせる)、「こらせる」(来させる)のように「せる」「らせる」を用いる。

助詞[編集]

格助詞等[編集]

共通語の「が」にあたる、主語を表す格助詞は使われず、無助詞で表す(例)花咲いだ(花が咲いた)。「を」にあたる対格も普通は無助詞だが、強調する場合には「ごど」「ば」などを使うことがある(例)「さげごどのむ」(酒を飲む)。係助詞「は」も用いられず、「雨ぁ」(雨は)のように軽く母音が入る程度だが、強調する場合には「きゃ」「だきゃ」があり、「わきゃ行く」(私は行く)のように用いる[25]

共通語の「に」にあたる語には、「ね」と「さ」がある。「さ」は元々は「へ」にあたる方向を示す語であったが、意味範囲が拡大している。(例)「せんせさ聞ぐ」(先生に聞く)、「静がさなる」(静かになる)

準体助詞としては、例えば「行くのをやめる」なら「行ぐのごどやめる」「行ぐのやめる」「行ぐんずやめる」のように複数の言い方がある[26]。「行ぐんず」は、五所川原市を中心とした日本海側で使う[26]

終助詞・間投助詞[編集]

文末の動詞・形容詞に付いて意味を強める「じゃ」(「でぁ」とも)がある。(例)さびじゃ(寒いな)

間投助詞では、「さ」「きゃ」「の」「な」「ね」がある。「さ」「きゃ」は主に女性が使い、「の」は男女両方、「な」は主に男性[27][28]。「ね」に「す」を付けると丁寧になる。弘前の年配女性では「ねす」の変形「ねさ・ねは」が使われ、上品な表現とされる[28]

接続助詞[編集]

「から」にあたる理由(順接既定条件)の接続助詞には、「降るはんで」(降るから)のように「はんで」を使う。室町時代の京都で使われた「ほどに」が、「ほでえ」「ほで」「はで」と変化したもの[29]。南部弁では「すけ」を使い、津軽弁の「はんで」と対立する。「はんで」は「ばて」となることもある[30]。「けれども」にあたる逆接既定条件の接続助詞には「ばって」を使い、「ども」などを使う南部弁と対立する。順接の仮定条件には、「行くってせば」(行くとすれば)のように「せば」「へば」を使い、逆接の仮定条件には「降るばたて」(降るとしても)のように「ばたて」を使う[31]

体言[編集]

一人称代名詞には、主に「わ」が使われ、ほかに「おら」等もある。「わ」は古語由来の語で、対応する二人称は「な」だが、現在の津軽では急速に衰退し、「おめ」が使われるようになっている。「わ」の複数形は「わんだい」「わんだじ」、「おめ」の複数形は「おめだじ」[32]

「お茶っこ」「机っこ」のように、名詞に「こ」を付けて親愛の意味合いを添えることが多い。東北方言一般に使われる接尾辞である。

代表的な津軽弁の表現[編集]

  • 「あっつい」→「熱い」
  • 「あっちゃ・かっちゃ・おかちゃ・おが(年配の女性)」→「一般的なおばさん全体を指す場合と母親を呼ぶ場合もある」
  • 「あぐど」→かかと
  • 「あめる」→ 腐る
  • 「あべ」→来い・おいで
  • 「あっぺ」→左右反対や前後反対など表裏反対なら「かっちゃ」になる
  • 「あんちか・わんちか・わんつか」→「ほんの少し」
  • 「あげた」→上顎
  • 「うだで(ぇ)、うだでぐ」=凄い・大変など、語源は古語の「うたてし」
  • 「うって」→「沢山」
  • 「うづげる」→「甘える」
  • 「うるがす」→「水に浸してふやかす事」例「食った茶碗うるがしておげ=食後の茶碗を(汚れが落ちやすいように)水に浸しておけ」
  • 「おたってまった」「こいでゃ」「こいじゃ」→「疲れる」「疲れた」
  • 「おっちゃ・おとちゃ・おど(年配の男性)」→おじさん全般他父親を呼ぶ場合も
  • 「おんろー」「ろーおー」→「すげえ〜」
  • 「おどげ」→「顎」頤(おとがい)
  • 「かちゃくちゃね」→「いらいらする」
  • 「かつくつ」→「いらいら」
  • 「がっぱ」→「とても」
  • 「かんぷげでる」→「腐ってる事だが語源はかびてるなので前述の「あめる」より更に腐ってる状態」
  • 「け」→「食え・頂戴・おかゆ・かゆい・毛」など
    • 「け、ぇ」→「毛が無い」
    • 「けーぇ」→「あげない」
    • 「けぃねぇ」→「消えない」
    • 「けぇねぇ」→「食えない」
    • ーね」→「簡単だよ」
    • 「け」→「頂戴」
  •  「けね?」→「くれない?」
  • 「けやぐ」語源は「契約、契りを交わした仲という意味から」→「仲間・友達」
  • 「けつめる」→「つまづく」

   「のめくる」→「つんのめる」例 「けつめでのめくる=つまづいてつんのめる」

  • 「こんつける」「えへる」→「いじける」
  • 「ごんぼほる」→「だだをこねる」ごぼうは掘るのが大変なのでだだをこねる様子にあてはめた
  • 「さしね」 → 「うるさい」
  • 「しかへる」→「教える」「知らせる」
  • 「したばって」→「だけど」
  • 「じぇんこ」語源は銭、銭っこ→「お金」
  • 「じゃいご」→「田舎」「在」
  • 「しゃっこい」→「冷たい」
  • 「じゃんぼ」→「髪」「髪の毛」(カットが絡む時限定?じゃんぼが抜けた、薄いとか言わない)
  • 「すんずご」→「筋子」
  • 「たげ」→「とても」
  • 「だば」→「じゃあ・なら・だったら」
  • 「だらっこ」→「小銭」
  • 「たんだでねー」→「大変だー」
  • 「ちゃかし」→「ドジ」
  • 「〜(し)ちゅー」→「〜(し)ている」
  • 「どさ」「ゆさ」→A「どこにいくの?」 B「いまから風呂にいくところだよ」
  • 「な」→あなた・語源は古語の汝
  • 「なげる」→「捨てる」
  • 「なずぎ」→「額」
  • 「〜(だ)ばって」→「〜(だ)けれど」
  • 「〜(だ)はんで」→「〜(だ)から・なので」
  • 「ふとず」→「同じ」
  • 「ふじゃかんぶ・しじゃかぶ・ひじゃかぶ」→「膝」
  • 「へなか」、「へなが」→「背中」
  • 「へば」→「それじゃぁ」「さようなら」
  • 「ほんずなし」「ほんつけなし」→「勘違い」「学がない」「愚か者」
  • 「ほんつけ」→「勘違い」「頼りない」
  • 「ぼんのご」語源はぼんのくび→「後頭部・首の後ろ」
  • 「まいね(なまって『まいん』と言うところも)」→「駄目・いやだ」
  • 「まんず(まず)」→「とても・本当に」
  • 「まんま」→「ご飯」
  • 「もつけ」→「アホっぽい・落ち着きがない人・お調子者」など・語源は古語の「うつけ」
  • 「わ」→「私」語源は古語の「我」
  • 「わいは」→「あらまぁ・おぉ!・えぇ!?」(驚いたときに喋る)
  • 「わった」→「沢山」
  • 「わんつか・わんちか」→「少し・わずか」
  • 「んだ」→「そうだ」

地域による津軽弁の表現の違いの例[編集]

津軽弁は、南部弁に比べて地域差が小さいが[1]弘前を中心とした中南地域と、五所川原を中心とした西北地域とは語彙等に若干の差がある。

  • 弘前「んだねは」 五所川原「んだきゃ」 → 同意、あいづちの表現
  • 弘前「何しちゃんずよ」(「や」と「よ」が反転する) → 「何をしているのだ?」の意
  • 北津軽郡や五所川原市でよく使われる感嘆表現 → 「あっつぁ」「しっつぁ」 意味:「あらまぁ」
  • 北津軽郡でのみ → 「か」 意味:「ほら」
  • 弘前「たげ」 五所川原「がっぱ」 → すごい、たくさんの意
  • 弘前、黒石など「がも」 浪岡「はど」 → 男性器の意
注)他地区でも使われているので、地区を限定して表記されてあっても、一概に正しいとは言えない。

新しい津軽弁の例[編集]

津軽弁は若者の間で少しずつ変化している。逆に、昔からの津軽弁の意味をわからない人も増えている。ちなみに、新しい津軽弁と言っても津軽地方のすべての人に共通に利用し、理解できるというわけではないので注意が必要である。(新しいといっても、数十年前から使われている言葉も記載している)

  • がへー(がふぇ)→「ださい」「かっこわるい」「古臭い」
  • →「ちょうだい」
  • げる→「盗む」。「げっちゃー」は「盗んでる」、「げろ」は「盗め」、「げった」は「盗んだ」。「ぎる」からの変化。
  • そい(こい)→「あれ」「それ」「これ」 例:「そいけ(そいけっさ)」→「それ(これ)ちょうだい」
  • どすべ→問題が発生した時などの「どうしよう」、「どうしよう?」
  • どっすー→「(これから)どうする?」「何しようか?」
  • どっひゃー(どひゃばー)→「どうしてる?」「元気してる?」。「どしちゃば」の変化。
  • どひゃ→「どうすれば」
  • なへ(なへよ)→「なぜ?」「どうして?」
  • なんした(なんしたば)→「どうした?」「一体何があった?」
  • はいる→「(番組が)放送される」
  • ひゃー→「では」「じゃあ」「そうしたら」「だったら」。「せば」「へば」の変化。
  • ひゃーろー(ひゃーなー)→「じゃあな」「またな」「さようなら」。「へばな」の変化。
  • ふぇい→津軽弁の「さしね」と同じ意味。当時使われていた「うっふぇー」が変化したものと思われる。
  • まい→津軽弁の「まいね」の進化版。「まいよ」「まいじゃ」「まいはんで」と使うのが一般的。
  • むっつい→食べ物が口の中の水分を吸ってしまう状態。簡単に言うと「カステラを食べた時の、なんともいえない感じ」…「カステラめばって、むっついっきゃ」(カステラおいしいけど、口の中の水分がなくなるよね)
  • もぐ→「たばこ」
  • わや→「とても」。青森周辺で主に使われており、例えば身長が大きい時に「わや大きい」(とても大きい)というふうに使われる。ただし弘前周辺ではほとんど「たげ」が使われる。
注1)他地区でも使われているので、地区を限定して表記されてあっても、一概に正しいとは言えない。
注2)津軽弁としての【単語の書き方】が記入者によって違うので、あくまで【記入者の感覚】である。

津軽弁での会話の一例(若者編)[編集]

友人との会話の一例。地域によっては多少の違いがある。

1. 「おぉ、おめこったどごでなーっちゃんず?」

  • A 「おー、おめこったどごでなーっちゃんず?」
(やあ、お前こんな所で何してるの?)
  • B 「あー、Aだばん。わー今けやぐどまぢあわせしちゃんだばって、まんだだもこね。おめは?」
(あー、Aだ。私は今友達と待ち合わせしてるんだけど、まだ誰も来ていないんだよね。Aは何してるの?)
  • A 「わが? わっきゃ暇だはんでまぢあるいじゃ。てがもぐ一本け」
(俺?俺は暇だったから街歩いていたんだよ。それより、タバコ一本ちょうだい)
  • B 「んで持ってねんずよ。しゃーねー。ろ!火っきゃ貸さねでぃやー」
(何で持っていないの?しょうがないなー。ほれ!ライターは貸さないよー)
  • A 「なっちゃんず。だばわー吸えねーばん。たのむはんでけっさ」
(何言ってるんだよ。じゃあ俺吸えないじゃん。お願いだからライター貸してよー)
  • B 「わったった。ひゃーやるはんであいんど来るまでわの相手してけ」
(わかったわかった。じゃあライター貸してあげる代わりに、友達来るまで私に付き合ってよ)
  • A 「いいや。てが、きたくせぐね?あいんどだべ?」
(わかった。てゆうか、友達来たんじゃない?あの子達でしょ?)
  • B 「んだ。へばわーいぐはんで。ひゃーな」
(あ、本当だ。じゃあ私行くね。バイバイ)
  • A 「おー、ひゃーろー」
(おー、それじゃあまた)

2. 五所川原編〜待ち合わせ〜

  • A 「おめ、どさいってあったぁば?」
(B、あなた、どこに行っていたの?)
  • B 「わり、ちょ腹いでしてやー。トイレさいだった」
(ごめん、ちょっとお腹が痛かった。それでトイレにいた)
  • A 「おーんなんずな! たげまったいなー」
(へーそうだったのか。かなり待ったよー)
  • B 「ほんにわりぃ。ちょ、もういがねばまいぐね?」
(本当ごめん。ちょっと、もう行かないとダメじゃない?)
  • A 「お! んだべな。いぐべ!」
(あ!そうだね。行こう!)
  • B 「おー急ぐべー!」
(うん。急ごう!)
注)あくまで【記入者の表現】なので、最近の津軽弁記入者本人が津軽弁だと思って使っているだけの部分が混ざっていると思われる。

津軽弁に対する誤解[編集]

東京などで「津軽弁」または「東北弁」というと、「〜っぺ」や「〜だっぺ」という語尾を想像されるケースが多い。これはこれらの語尾が著しく田舎を連想させるためであるが、語尾に「〜っぺ」や「〜だっぺ」を付けるのは茨城弁をはじめとする宮城県から千葉県にかけての方言であり、津軽弁で用いられるのは「〜だべ」である。また青森県出身で津軽弁話者の吉幾三が『俺ら東京さ行ぐだ』という歌を発表しているが、この歌の歌詞に登場する方言はステレオタイプ的かつ共通語に近付けたものであり、正確な津軽弁ではない。

感覚に根ざす独特の表現[編集]

津軽弁には、他の方言にも見られるように、共通語に表現しなおすことが困難な独特の表現が見られる。主に形容詞に見られ、代表的なものに「あずましい(主に居心地がよく安心でき、落ち着く様子)」「しない(発音は「しねぇ」に近い。馬肉やすじ肉等において、噛んでもなかなか噛み切れない様子)」「むっつい(ゆで卵の黄身や甘食等において、口の中の水分が足りずもっさりとして飲み込みづらい様子)」などがある。

津軽弁を使う著名人[編集]

(括弧内)は出身地。

このうち青山、橋本、麻生は個々のラジオ番組(いずれも青森放送)にて、時折ながら津軽弁を使っている。

津軽弁に関連した作品など[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 平山ほか編(2003)、2-4頁。
  2. ^ 飯豊ほか編(1982)、222頁。
  3. ^ a b 平山ほか編(2003)、28-29頁。
  4. ^ 患者の津軽弁、医師ら誤解多く 方言教育の重要性学会発表へ - 陸奥新報、2010年10月22日。
  5. ^ 天地人 - Web東奥日報、2010年10月25日。
  6. ^ 2007年10月号「3040」
  7. ^ 平山ほか編(2003)、18頁。
  8. ^ 平山ほか編(2003)、17頁。
  9. ^ 平山ほか編(2003)、22頁。
  10. ^ 平山ほか編(2003)、23頁。
  11. ^ a b 平山ほか編(2003)、24-25頁。
  12. ^ 飯豊ほか編(1982)、233頁。
  13. ^ 平山ほか編(2003)、31頁。
  14. ^ 飯豊ほか編(1982)、233頁。
  15. ^ 飯豊ほか編(1982)、233-234頁。
  16. ^ a b 平山ほか編(2003)、25-26頁。
  17. ^ 飯豊ほか編(1982)、233頁。
  18. ^ 平山ほか編(2003)、26頁。
  19. ^ 飯豊ほか編(1982)、232頁。
  20. ^ 平山ほか編(2003)、26頁。
  21. ^ 飯豊ほか編(1982)、234頁。
  22. ^ 平山ほか編(2003)、31頁。
  23. ^ 平山ほか編(2003)、30頁より引用。
  24. ^ 飯豊ほか編(1982)、231頁。
  25. ^ 飯豊ほか編(1982)、235頁。
  26. ^ a b 平山ほか編(2003)、33頁。
  27. ^ 平山ほか編(2003)、36-37頁。
  28. ^ a b 飯豊ほか編(1982)、236頁。
  29. ^ 飯豊ほか編(1982)、153-154頁。
  30. ^ 平山ほか編(2003)、35頁。
  31. ^ 平山ほか編(2003)、36-37頁。
  32. ^ 平山ほか編(2003)、37頁。

参考文献[編集]

  • 平山輝男ほか編『日本のことばシリーズ 2 青森県のことば』明治書院、2003年
  • 飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 4 北海道・東北地方の方言』国書刊行会、1982年

関連項目[編集]