筑波久子

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つくば ひさこ
筑波 久子
本名 村田敏子
別名義 チャコ・ヴァン・リューウェン
生年月日 (1939-11-06) 1939年11月6日(77歳)
出生地 日本の旗 日本
国籍 日本→アメリカ合衆国
民族 日本人
職業 女優プロデューサー
ジャンル 映画
主な作品
『肉体の反抗』『春泥尼』『海底から来た女』『男の銘柄』『きさらぎ無双剣』『ピラニア』

筑波 久子(つくば ひさこ、1939年11月6日[1][3] - )は、日本の元女優で、アメリカ合衆国映画プロデューサーである。米国での別名はチャコ・ヴァン・リューウェン (Chako van Leeuwen)。

来歴・人物[編集]

本名、村田敏子。茨城県多賀郡大津町(現・北茨城市大津町)五浦出身。父・弥一郎、母・ハツの間に4人兄妹の末っ子として生まれる。両親は地元大手の旅館「五浦観光ホテル」を経営。旅館の女将だった母親に溺愛され、母を憧れにして育つ。中学時代は生徒会長を務め、トップ成績で慶應義塾女子高等学校に進学。

日活へ[編集]

慶応義塾女子高では演劇部に所属、幼いころに映画関係者にスカウトされたこともあり、両親に無断で日活のオーディションを受けトップ合格。娘の芸能界入りに、母親は賛成したが厳格な父親は猛反対。「駄目なら高校もやめる」としてついに父親が根負け、日活第3期ニューフェイスとして日活に入社。同期に二谷英明小林旭がいる。

続いて慶應義塾大学法学部政治学科に進学するが仕事が忙しくなり中退[5]

1957年(昭和32年)、『肉体の反抗』が大ヒット、筑波の身体を張った演技が話題となり、筑波主演の「肉体シリーズ」が日活のドル箱となる。

新人賞を受賞し、仕事には恵まれたが、もともと体があまり丈夫でなく、一本撮り終えるごとに2週間の入院静養を余儀なくされ、初恋の男性の急逝もあって酒浸りとなる。また「肉体派女優」というレッテルを私生活にまで貼られ、心身疲労。ついに虫垂破裂で横浜のレストランで倒れ、緊急入院。きわどい瀬戸際だったといい、「救われた命だから生活を一から変えよう」と決意、これを機に渡米を考える。

米国へ[編集]

1963年(昭和38年)、人気絶頂の中、24歳で突如芸能界を引退、渡米してコロンビア大学に語学入学。

27歳の時に、遠距離恋愛を経て3歳年下のマシュー・ヴァン・リューエンと結婚。カリフォルニアに新居を構えるが、映画への思いは捨てられず、カリフォルニア大学の脚本コースに進む。

1967年(昭和42年)、長男キースを出産[6]

1966年(昭和41年)及び1968年(昭和43年)に一時帰国[7]し、東映の映画などに出演。その後はアメリカに定住。

当時米国は泥沼化するベトナム戦争のさなかにあり、知人にも戦死者がいた。筑波は退廃的な生活を送る若者たちを題材にしたドキュメンタリー映画『若いアメリカ人たち』を撮る。

1973年(昭和48年)、第2作目作品『Tender Loving Care』が大物プロデューサーロジャー・コーマンに認められ、「チャコ・ヴァン・リューウェン」名義で全米配給。「彼女の作品を試写室で見てショックを受けた。キャリアの浅いチャコが作ったのが信じられなかった、それくらいクオリティの高い作品に仕上がっていた」(コーマン談)

1978年(昭和53年)、ジョー・ダンテを監督に抜擢して、1億円の低予算で製作したパニック映画『ピラニア』が、興収40億円の大ヒット。ハリウッドの大物プロデューサーとなった。

1981年(昭和56年)、『ピラニア』のリメイク作品『殺人魚フライングキラー』の監督に、当時無名で駆け出しの28歳、ジェームズ・キャメロンを抜擢。

1986年(昭和61年)、旧ソ連でチェルノブイリ原発事故が起こり、感受性の強い一人息子のキースが世を儚んで拳銃自殺してしまう。筑波は一時このショックから精神不安定となり、自殺を試みたこともあったという。

2013年(平成24年)春、息子の思いを支えに、東日本大震災からの復興、自殺防止、高齢者・若者の支援を目的とする団体「ファミリー・グループ」を日本で組織。政治活動も行っている[6]

主な受賞歴[編集]

出演[編集]

映画[編集]

  • 『復讐は誰がやる』 (1957年、日活) - 恵美子
  • 『街燈』 (1957年、日活) - ゆり
  • マダム』 (1957年、日活) - けい子
  • 『肉体の反抗』 (1957年、日活) - 吉行英子
  • 『殺したのは誰だ』 (1957年、日活) - 道子
  • 『狂った関係』 (1957年、日活) - 福島笙子
  • 『肉体の悪夢』 (1957年、日活) - 石川芙美
  • 『燃える肉体』 (1957年、日活) - 稲葉比沙子
  • 『乳房と銃弾』 (1958年、日活) - 三笠ゆり
  • 『春泥尼』 (1958年、日活) - 春泥尼
  • 『悪魔の爪痕』(1958年、日活) - 女給洋子
  • 『死の壁の脱出』 (1958年、日活) - 三浦恵子
  • 『地獄の罠』 (1958年、日活) - 新勢以子
  • 『裸身の聖女』 (1958年、日活) - イザベル比佐子
  • 『海女の岩礁』 (1958年、日活) - 並木雅枝
  • 『都会の怒号』 (1958年、日活) - 水原恵子
  • 『忘れ得ぬ人』 (1958年、日活) - 香椎美也子
  • 不道徳教育講座』 (1959年、日活) - 京子
  • 『らぶれたあ』 (1959年、日活) - 梢
  • 仮面の女』 (1959年、日活) - 辻亜美子
  • 『傷つける野獣』 (1959年、日活) - 佐藤芳子
  • 『夜霧に消えたチャコ』 (1959年、日活) - 広瀬久子
  • 『暗黒の旅券』 (1959年、日活) - 大月香代子
  • 『非情な銃弾』 (1959年、日活) - 雪江
  • 『海の罠』 (1959年、日活) - 森麗子
  • 『0番街の狼』 (1959年、日活) - アイリン・利根
  • 海底から来た女』 (1959年、日活) - 少女
  • 『昼下りの暴力』 (1959年、日活) - 澄子
  • 『トップ屋取材帖 悪魔のためいき』 (1960年、日活) - 本郷朱実
  • 『刑事物語 殺人者を挙げろ』 (1960年、日活) - マリ
  • 『影のない妖婦』 (1960年、日活) - 千代
  • 『海から来た流れ者』 (1960年、日活) - 佐伯ルミ
  • 『君は狙われている』 (1960年、日活) - 松浦エミ
  • 『俺は銀座の騎兵隊』 (1960年、日活) - クラブ「赤い馬」のダンサー(洋舞)
  • 『ヒマラヤ無宿 心臓破りの野郎ども』 (1961年、ニュー東映) - ジーナ・カトマンズ
  • 『次郎長社長よさこい道中』(1961年、ニュー東映) - 花千代
  • 『男の銘柄』 (1961年、大映東京) - 志村里枝
  • 花影』 (1961年、東京映画) - 亜矢子
  • 『八人目の敵』 (1961年、東映東京) - 久保圭子、笹尾ルリ
  • アワモリ君西へ行く』 (1961年、宝塚映画) - 芳子
  • 『大吉ぼんのう鏡』 (1962年、シナリオ文芸協会) - 秀玉尼
  • 『新婚シリーズ 月給日は嫌い』 (1962年、東映東京) - 中井絹子
  • 最初が肝心 (1962年、東映東京) - 中井絹子
  • 黄門社長漫遊記 (1962年、東映東京) - 吉田仙子
  • きさらぎ無双剣 (1962年、東映京都) - おえり
  • 雲の上団五郎一座 (1962年、宝塚映画) - 浅山道子
  • 丹下左膳 乾雲坤竜の巻 (1962年、東映京都) - 千鳥
  • 向う見ずの喧嘩笠 (1962年、東映京都) - おみよ
  • 伝七捕物帖 影のない男 (1962年、東映京都) - お俊
  • まぼろし天狗 (1962年、東映京都) - おみね
  • がんこ親父と江戸っ子社員 (1962年、東映東京) - 鰯田鮎子
  • 東京アンタッチャブル (1962年、東映東京) - サリイ・南
  • カレーライス (1962年、東映東京) - ゆみ子
  • 遊民街の銃弾 (1962年、東映東京) - 春子
  • 恐怖の魔女 (1962年、東映東京) - 鈴村和子
  • 裏切者は地獄だぜ (1962年、東映東京) - 波子
  • 暴力街 (1963年、東映東京) - 緑川亜矢子
  • 柔道一代 (1963年、東映) - 与那嶺ミキ
  • 特別機動捜査隊 東京駅に張り込め (1963年、東映) - 野沢町子
  • 浅草の侠客 (1963年、東映東京) - 青木ヒカル
  • 残月大川流し (1963年、東映京都) - お祭りおもん
  • ジェリーの森の石松 (1963年、東映京都) - ひまわり太夫
  • 毒ある愛撫 (1963年、Gプロファースト・フィルム)
  • わが恐喝の人生 (1963年、東映東京) - 村岡真紀
  • 図々しい奴(1964年1月15日/東映) - キリ子
  • この道赤信号 (1964年、ワールド・プロ) - 佐和子
  • The Love Statue (1965年、アメリカ) - Mashiko(マシコ)
  • 黄金バット (1966年、東映東京) - 秋山ナオミ
  • 男なんてなにさ (1967年、東映東京) - 奈美

テレビドラマ[編集]

  • ミステリー 影(NETテレビ〔現・テレビ朝日〕
    • 「沢蟹」(1960年)- 斎田久子
  • 慎太郎ミステリー 暗闇の声(KRテレビ〔現・TBSテレビ〕
    • 「殺し屋」(1960年)- ユキ
  • 三人の刑事(フジテレビ
    • 「虚飾の女」(1960年)
  • 怪獣マリンコング(1960年、フジテレビ)
    • 第2部「マリンコングの大逆襲」- 高宮比佐子、くれない天使
  • 夫婦百景(日本テレビ
    • 第115回「新婚てさぐり夫婦」(1960年)- 由紀
  • お笑い三人組NHK
    • 「予防注射の巻」(1960年)- 女医
  • 人生うらおもて(日本テレビ)
    • 第2回「愛情診断簿」(1960年)
    • 第35回「なみだ茶漬け」(1961年)
  • 大学は花ざかり(1960~61年、NETテレビ〔現・テレビ朝日〕)
  • お嬢さん奮闘記(1960~61年、KRテレビ〔現・TBSテレビ〕)
  • おかあさん 第2シリーズ(KRテレビ〔現・TBSテレビ〕)
    • 第59回「造花の季節」(1960年)- よよ子
  • 魔神ガロン(1961年、パイロット版)
  • 西鶴物語(NETテレビ〔現・テレビ朝日〕)
    • 第12回「長持の行方」(1961年)
  • 人生の四季(日本テレビ)
    • 第54回「松茸山考」(1962年)- おこん
  • ミステリーベスト21(NETテレビ〔現・テレビ朝日〕)
    • 「期待となづける」(1962年)
  • 東芝日曜劇場
  • 特別機動捜査隊(NETテレビ〔現・テレビ朝日〕)
    • 第83回「はみ出した青春」(1963年)
    • 第375回「鶏はふたたび鳴く」(1969年)
  • 特命捜査室(1969年、フジテレビ)
    • 第3回「真紅のプールサイド」

その他テレビ[編集]

舞台[編集]

  • 三波春夫ショウ-忠治流転笠-(1960年9月、日本劇場
  • コマ爆笑ミュージカル(1960年10月、新宿コマ劇場
    • ロッパの新版ガラマサどん - キャバレーの歌手
    • 秋のパレード - 若い女
    • マゲモノ・ミュージカル 灰神楽道中 - まりりん亭お紋
  • チャーミングな真夜中(1963年6月、大阪OSミュージックホール
  • 城卓矢ショー(1967年1~2月、日本劇場)

ディスコグラフィー[編集]

シングル[編集]

監督・プロデュース[編集]

チャコ・ヴァン・リューウェン名義で活動。

映画[編集]

  • 『若いアメリカ人』- 監督
  • ヘイ・ベイビー THE SEX LIFE (1971年、筑波コーポレーション) - 監督・ナレーション・主演
  • Tender Loving Care (1973年)
  • ピラニア Piranha (1978年)
  • ママ、泣かないで Forever and Beyond (1981年)
  • 殺人魚フライングキラー Piranha Part Two: The Spawning (1981年)
  • スピリット・オブ・ファイヤー/邪教都市 Raging Angels (1995年)
  • ピラニア3D Piranha 3D (2010年)
  • ピラニア リターンズ Piranha 3DD (2012年)

テレビ[編集]

  • ザ・ピラニア/殺戮生命体 Piranha(1995年)

関連人物[編集]

脚注[編集]

  1. ^ IMDb及び『週刊女性』1960年6月5日号、『週刊文春』1999年2月11日号等には「6月1日生まれ」とある。
  2. ^ 筑波久子 - 略歴・フィルモグラフィー”. KINENOTE(キネノート). 2017年1月18日閲覧。
  3. ^ KINENOTEでは1937年生まれになっている[2]
  4. ^ 石橋春海 『'60年代 蘇る昭和特撮ヒーロー』 コスミック出版〈COSMIC MOOK〉、2013年12月5日、57頁。ISBN 978-4-7747-5853-4。
  5. ^ 『'60年代 蘇る昭和特撮ヒーロー』では、映画出演が大学側にばれて退学になったと記述している[4]
  6. ^ a b 『女性自身』「シリーズ人間NO2139 “日活の看板女優”米ハリウッドの映画プロデューサーに転身して大成功 筑波久子さん(75)」(平成25年7月16日号、光文社)から
  7. ^ 『女性セブン』1966年12月1日号及び1968年10月23日号。
  8. ^ a b 筑波久子TV出演情報”. ORICON STYLE. 2016年10月31日閲覧。

関連図書[編集]

筑波久子「わが青春に悔あり 悩殺女優の自分史『罪と愛の告解室』」(『新潮45』1992年9~11月号、1993年8~11月号)