解説動画

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解説動画(かいせつどうが)(英:explainer video)とは、ひとつの動画ジャンルで、複雑なトピックを、ターゲットグループに短時間で「わかりやすく伝える」ための動画である。わかりやすく伝えるためのクリエイティブ手法には様々な種類があるが、共通する特徴としては、テーマ全体を論じ尽くさず重要なポイントに絞って、それ程長くない数分程度で、効率良く説明することが挙げられる。

simpleshowによるウィキペディアの解説動画
(スマートフォンにて閲覧の場合はフリーなライセンスで提供されている[1]の動画参照)

解説動画を構成する代表的な要素[編集]

デザイン[編集]

コンテクスト(文脈)[編集]

  • コンテクストは、視聴者がトピックを自身の日常体験の実態に当てはめ、それによって主題をよりよく理解できるように選定されていることが多い。つまり、ただ説明だけが流れるということは通常なく、トピックの分析はターゲットグループの観点から行われる。

用語と構文[編集]

  • 解説動画は、多くの場合明快でシンプルな用語で説明を行う。表現は具体的であり、分かりやすい説明を付けたりもする。また、文の構造も単純なものになっている。抽象的な概念や難解な構文よりも、具体的な概念や単純な構文の方が脳には、はるかに迅速に処理できるということは、脳科学的に証明されている[2]

物語化[編集]

  • 物語化を用いることによって、メッセージが心の中にしっかりと根を下ろしターゲットグループの頭と心に訴えかける。また具体的な物語は、トピックを自身の日常体験の実態に当てはめる際の一助となる。物語に、既存の知識を裏付け、ネットワーク化し、将来の状況に備えていつでも取り出せるようにする力があることがあることは、科学的な観点から証明できる[3]
  • 社内広報に用いれば、物語化は、ソリューションを説明することによって、変革プロセスの終了を先取りする機会を提供する。そこから生じる未来のビジョンは、共通の目標を設定することで、従業員のモチベーションを高めることができる[4]

単純なシンボルの使用[編集]

  • 多くの解説動画のフォーマットは、単純なシンボルを用いる。コアメッセージや重要なコンテクストは、目立つイラストやCGで視覚化される。コンセプト理念など抽象的なメッセージもシンボルで表現する。ただし、視覚化をどこまで詳細にするかは、フォーマットによって異なる。

科学的根拠と共感メカニズム[編集]

知識の獲得:マルチメディアによる学習[編集]

  • 多感覚システムは、複数の感覚に訴えかける。人間の脳は、ばらばらに入ってくるシグナルよりも、複数の感覚を通じて同時に到達したメッセージの方を、より迅速に、かつ何倍も集中的に処理できる [5]。リチャード・E・マイヤーのマルチメディア学習の認知理論(2001)は、どのような原理がマルチメディアによる学習を支えているのか、またマルチメディアコンテンツが教育的効果を発揮するためには、それをどのように設計すべきかを、示している。

態度の変化:精緻化見込みモデル[編集]

  • 精緻化見込みモデルは、論じるテーマに対する視聴者の態度の変化という点から見た説得的なコミュニケーションの効果を示している。視聴者の態度において鍵となる障壁の一つは、「反論」「Counter-Arguing」、つまり説得的な弁論とは相容れない認知方法である。2002年に実施されたある調査では、視聴者がストーリーに没頭すればするほど、この自動的な「反論」が減少することが確認された[6]。調査報告の作成者らは、反論をブロックすることにより、エデュテインメントの内容(次項参照)が、説得の試みに通常は屈しない人間に「共感」させる影響を与える特別な可能性をもたらすと結論づけている[7]マンハイム大学メディア・コミュニケーション研究所のDr. Peter Vorderer教授は、2013年の調査の中で、解説動画が「態度に有意な影響を与える。わずか3分間ほどという比較的短い時間の映像にしては、効果が際立っている」ことを証明した[8]

社会認知的学習理論:自己効力感[編集]

  • アルバート・バンデューラの社会認知的学習理論によると、対象モデルとは、知識、価値、認知能力および新たな行動の橋渡し役になるものである[9]アルバート・バンデューラは、自身の社会的学習に関する研究の中で、人間は実際のモデルのみならず象徴的な仮想対象モデルも手がかりにして学習することを突き止めた。それによれば、パターンとしての困難な状況が発生し、さらにそれが解決されることを通して、変革プロセスの過程で実際に遭遇するかもしれない状況に対する心構えをする機会が、人間に与えられる。視聴者は、対象モデルが困難な状況をいかに克服して自身の状況を好転させるかを見ることにより、自分自身がそれを実行するための戦略にとどまらず、「自己効力感」、つまり望ましい結果に自分自身でうまく到達できるという確信も伝達される。

解説動画の動向[編集]

  • インターネットの普及とデジタルデバイスの進化にともない、解説動画を通じた情報入手は、近年ますますポピュラーになっている。例えば2013年のドイツにおける週当たりの動画の利用は前年より大幅に増加した。オンラインユーザー(約2,300万人)の43パーセントが、ネットでビデオを定期的に利用している。これは6パーセントの増加に相当する[10]。このため、ドイツにおける解説動画の利用とサービス提供者数も増加し、2012年から2014年までの間にほぼ倍増するに至った[11]。かくして既に2015年には、DAX指数構成銘柄の90%、中型株指数であるMDAX指数構成銘柄の68%、また小型株指数であるSDAX株価指数の構成銘柄の54%が、自社の企業広報の中で解説動画を利用している[12]

ハウツー動画との区別[編集]

  • 解説動画は、ターゲットグループのニーズと要求に応えるものである。中心となる要素は、感情に訴えかけるストーリーテリングである。つまり視聴者は、ビデオの主人公に共感するがゆえに、そのまま引き込まれていく [13]。これに対しハウツー動画は、大半の場合、サービス製品、または、ショップをどのように利用するかを紹介するものである。こうした動画では、感情的な絆は生じないとされている。

利用される分野[編集]

  • 解説動画は、伝統的なマーケティングコミュニケーション の中で最も良く利用されている。動画が製品やサービスのほか企業を紹介しているサイトでは、訪問者の滞在時間がより長くなる。解説動画は、コンバージョン最適化のために利用されることがますます増えている。マーケティング動画、製品動画やイメージフィルムとしてもターゲットグループに効果的にアピールすることができる。また、社内広報でも、解説動画が利用される。これはコンプライアンスコーポレートガバナンス、またチェンジマネジメントのような重要性の高いテーマのほか、どの雇用主にも義務づけられている伝統的な作業指導(例えば労働災害防止、データ保護または火災防止)においても同様である。またEラーニングでも、従業員に知識を小分けにして提供する目的で解説動画が用いられている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Häusel, H.G. (2012). Neuromarketing: Erkenntnisse der Hirnforschung für Markenführung, Werbung und Verkauf. Freiburg: Haufe-Lexware, S. 54
  2. ^ Reiter, M.: Sag’s einfach. In: Gehirn und Geist, Heft 1-2/2014, S. 62 - 67
  3. ^ Mast, C.: Unternehmenskommunikation. 5. Auflage, Konstanz und München 2013, S. 55
  4. ^ Mast, C.: Unternehmenskommunikation. 5. Auflage, Konstanz und München 2013, S. 57
  5. ^ Institut für multisensorisches Marketing, abgerufen am 17. Februar 2014 (HTML, deutsch), Multisensorisches Marketing
  6. ^ Slater, M.D., Rouner, D.: Entertainment education and elaboration likelihood: Understanding the processing of narrative persuasion. In: Communication Theory 12. Heft 2/2002, S. 173-191
  7. ^ Slater, M.D., Rouner, D.: Entertainment education and elaboration likelihood: Understanding the processing of narrative persuasion. In: Communication Theory 12. Heft 2/2002, S. 175
  8. ^ Erklärvideo-Studie 2013, abgerufen am 28. Mai 2014 (HTML, deutsch)
  9. ^ Bandura, A: Social Cognitive Theory for Personal and Social Change by Enabling Media. In: Singhal, A., Cody, M., Rogers, E.M., Sabido, M.: Entertainment- Education and social change. History, research and practice. Mahwah New Jersey London. 2004, S. 78
  10. ^ ARD-ZDF-Onlinestudie, abgerufen am 7. September 2013 (PDF, deutsch), ard-zdf-onlinestudie 2013
  11. ^ Verbraucherportal Erklärvideo, abgerufen am 10. März 2014 (HTML, deutsch)
  12. ^ Videoboost-Onlinestudie, abgerufen am 9. Februar 2015 (PDF, deutsch), Videoboost Erklärvideo Studie 2015
  13. ^ Lambert, J. (2012). Digital Storytelling: Capturing Lives, Creating Community. London: Routledge, S.78