象牙質知覚過敏症

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象牙質知覚過敏症
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ICD-10 K03.8
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療
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象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう、Hypersensitive Dentin (Hys) )とは、生活歯において象牙質の露出をきたし、様々な刺激による知覚亢進を主症状とする硬組織疾患のこと。単に「知覚過敏」を呼ばれることも多い。

原因[編集]

象牙質知覚過敏症の原因は、まだ不明な点も多い[1]が、主として象牙細管の開口によって、細管内の組織液が動き神経を刺激することという動水力学説が広く受け入れられている[2]。細管内の組織液の移動は、エナメル質の欠損、歯頸部歯肉退縮などによる根面露出[2]を引き起こす様々な事象に由来する。

エナメル質欠損の要因としては、咬耗症によるエナメル質の物理的磨耗[2]、摩耗症[2]、破折[2]酸蝕症などによる化学的磨耗、さらには歯科治療による齲蝕歯質の除去や窩洞形成[2]がある。根面露出の要因としては、辺縁性歯周炎の進行や歯みがきの不正、歯肉の加齢変化が挙げられる。

これら直接的要因に加えて、過労妊娠、精神的素因によってもたらされる歯髄の知覚亢進のような間接的要因もある。

症状[編集]

一般には、冷温刺激による一過性の疼痛をあらわし、咬合時の疼痛を示さず原因となる部位への接触痛は強い。 刺激による疼痛の程度により軽度(軽い痛みを自覚)、中等度(耐えられる痛み)、強度(耐えられない痛み)の三段階に分類する場合もある。

咬合時に痛みを生じたり、耐えられない痛みが持続して自発痛となっている場合は歯髄炎である場合が多く、たとえ治療中であっても経時的に知覚過敏症から歯髄炎へと移行する場合も一定の割合で存在するようである。

診療科[編集]

治療法[編集]

動水力学説に基づき、象牙質表面を被覆する方法や、象牙細管を閉塞させることにより、刺激を遮断することが処置の基本方針となる[3]

研究中[編集]

新たな治療法として研究・開発が勧められている物もある。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 菅俊行「(ミニレビュー)象牙質知覚過敏症の病態解明と歯質成分により開口象牙細管を封鎖する治療法の開発」、『日本歯科保存学雑誌』第51巻第6号、特定非営利法人日本歯科保存学会、2008年12月、 596-598頁、 ISSN 0387-2343
  2. ^ a b c d e f 「Section2 保存修復 1.歯の硬組織疾患の検査法 H.象牙質知覚過敏症」『歯科臨床ハンドブック-臨床ヒント集ダイジェスト版-』 戸田忠夫、五十嵐清治、石橋寛二、大関悟、太田紀雄、田中貴信、寺中敏夫、三浦廣行クインテッセンス出版東京都文京区2006年1月10日、第1版、43頁。ISBN 4-87417-890-1。
  3. ^ a b c d e f 笠原悦男 「第8章知覚過敏の処置」『保存修復学』 平井義人、寺中敏夫、寺下正道、千田彰医歯薬出版東京都文京区2007年4月10日、第5版、335-339頁。ISBN 978-4-263-45606-4。
  4. ^ a b c 関根一郎 「各論2章歯の硬組織疾患 3.歯の硬組織疾患の治療 4.その他の硬組織疾患の処置 3)象牙質知覚過敏症」『歯内治療学』 安田英一、戸田忠夫、医歯薬出版東京都文京区1998年9月20日、第2版、85-86頁。ISBN 4-263-45418-9。
  5. ^ 関根一郎 「各論2章歯の硬組織疾患 2.象牙質除痛法 5)その他の除痛法 (3)レーザー光線の照射」『歯内治療学』 安田英一、戸田忠夫、医歯薬出版東京都文京区1998年9月20日、第2版、76頁。ISBN 4-263-45418-9。
  6. ^ 菅俊行、石川邦夫、松尾 敬志、恵比須繁之「フッ化ジアミンシリケートの象牙質知覚過敏症治療剤への応用 : 抜去歯を用いた象牙細管封鎖能の検討」、『日本歯科保存学雑誌』第50巻第3号、特定非営利法人日本歯科保存学会、2007年6月、 313-320頁、 ISSN 0387-2343

関連項目[編集]