越直美

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日本の旗 日本の政治家
越直美
こし なおみ
生年月日 1975年7月5日(39歳)
出生地 大阪府茨木市
出身校 北海道大学法学部
北海道大学大学院法学研究科修士課程
ハーバード大学ロー・スクール
前職 弁護士
所属政党 無所属
称号 修士(法学)(北海道大学)
LL.M.(ハーバード・ロー・スクール
公式サイト こし直美公式Webサイト

Flag of Otsu, Shiga.svg 第23代 大津市長
当選回数 1回
任期 2012年平成24年)1月25日 - 現職
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越 直美(こし なおみ、1975年(昭和50年)7月5日 - )は、日本政治家弁護士滋賀県大津市長(第23代)。

来歴[編集]

生い立ち[編集]

大阪府茨木市に生まれ、3歳で大津市へ転居する。大津市立南郷幼稚園、南郷小学校、南郷中学校、滋賀県立膳所高等学校北海道大学法学部卒業。北海道大学大学院法学研究科修士課程修了。

弁護士[編集]

2000年平成12年)に司法試験に合格し、司法修習修了後、弁護士登録し、2002年(平成14年)10月から西村あさひ法律事務所に勤務し、M&Aなどを専門とする。 弁護士として、「知的財産法概説」[1]、「リーガルデューディリジェンスの実務」[2]等の共著がある。その傍ら、2005年には、早稲田大学大学院非常勤講師をつとめる。 2009年(平成21年)、ハーバード大学ロー・スクールを修了。ハーバードの修士論文は、「Takeover Defense in Japan」(日本の買収防衛)[3]。 ニューヨーク州司法試験に合格し、ニューヨークの法律事務所Debevoise & Plimpton LLPに勤務[4]2010年平成22年)9月からコロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所の客員研究員となり、2011年(平成23年)1月国連ニューヨーク本部法務部にて研修[5]

大津市長[編集]

2012年(平成24年)1月、大津市長選挙に民主党社民党対話でつなごう滋賀の会推薦で立候補。滋賀県知事・嘉田由紀子の当選に貢献した選挙プランナーの松田馨を選挙参謀に据え[6]、現職だった目片信自由民主党公明党推薦、みんなの党支持)らを破って初当選した。

当選時の年齢は36歳で、歴代最年少の女性市長となった[7]。また都道府県の知事、県庁所在地の市長を同時に女性が務めるのも、全国初の例である[8]

いじめ自殺問題に関して[編集]

経緯[編集]

前大津市長の目片信市政当時の2011年(平成23年)10月に発生し、越が市長になるまで警察や教育委員会が事件として認めなかった大津市中2いじめ自殺事件に絡み、越は2012年(平成24年)3月に、自殺した生徒が通っていた中学校の卒業式に出席し、小学校3年生や高校1年生の頃に自らが受けていたいじめの体験を語り、その上で、いじめや自殺の再発防止を誓った[9]

その後、大津市と加害者と遺族の間での民事裁判口頭弁論において、市側弁護士が、自殺した生徒の死といじめの因果関係を否定し、教員のだれがどこで、いかなるいじめを目撃し放置したか、を明らかにするよう要求していたこともあり、生徒の遺族は市長の対応と市側弁護士の見解の差を非難していた[10]

大津市中2いじめ自殺事件の事実関係が明らかになると、越はいじめと自殺の因果関係を認め、和解の意向を表明し、遺族に謝罪を申し入れ、遺族と面会し「学校や市教育委員会の調査は不十分で、もっと早く再調査するべきだった。本当に申し訳ございません」と述べ、遺族は「市長の気持ちはよく分かった」と応じた[11]

生徒の一周忌に、遺族が「法律事務所の先生方を始め、大津市の越市長、第三者調査委員会の委員の先生方、中学校の生徒の方々、滋賀県警の方々、マスコミの方々、皆さん一生懸命この問題に正面から向き合って調査をしていただき、しっかり考えていただいております。」と代理人の運営する支援サイトに寄稿した[12]

また、遺族は、2013年に『文藝春秋』に寄せた手記において、「越市長にも感謝しています。市の非を認めて、第三者調査委員会の設置を提案してくれました。私も信頼できる方だなと感じました。」と事実関係が公になった以降の越の対応を評価した[13]

第三者調査委員会の設置[編集]

2012年8月、越は、いじめ事件の再調査のための第三者調査委員会を設置[14]し、原因調査に取り組んだ。第三者調査委員会は、約5ヶ月の調査を行い、2013年1月31日、231ページにおよぶ報告書を提出した[15]

越は、第三者調査委員会を、教育委員会から切り離し市長の下に設置し、第三者調査委員会の委員構成は遺族に配慮し、6人のうち半数の3人を遺族推薦で選出。これまでも、他地域のいじめが疑われる問題で第三者委が設置された例はあったが、遺族の推薦は初のケースだった[16]ことから、委員の一人である尾木直樹は、「これまでとは本気度が違う」と発言した[17]他、自身のブログにおいて、第三者調査委員会の報告を受けた越の対応を、「素早く動いている」、「市長の孤軍奮闘」と評価した[18]

いじめ対策[編集]

越は、第三者調査委員会の報告書を受け、「いじめ問題を教育委員会任せにしない」として、平成25年度から、いじめ対策推進室を市長部局に設け、弁護士や臨床心理士、滋賀県警派遣の警察官を含む8人が常駐する体制で、生徒や保護者からの相談を受ける。また、常設の第三者機関として「大津の子どもをいじめから守る委員会」を設置し、いじめの解決や調整を図っている[19]。また、その他のいじめ対策を含め、平成25年度当初予算として、総額3億4千万円を計上[20]。 また、越は、第三者調査委員会の報告書を下村文部科学大臣[21]、日本弁護士会会長[22]などに提出し、いじめ対策の充実を訴えた。

教育委員会制度に関する発言[編集]

越は、これまでの市教委の対応のずさんさを改めて認めた上で、その遠因に教育委員会制度の矛盾があると指摘。「市民に選ばれたわけではない教育委員が教育行政を担い、市長でさえ教職員人事などにかかわれない。民意を直接反映しない無責任な制度はいらない」と述べ、国に制度改革を求める意向を示した[23]

第三者調査委員会の報告書の提出後には、下村博文文部科学大臣教育再生会議に対して、「教育委員会制度の改正について」という文書を提出し、教育委員会制度の改正を求めている[24]

一方、越は、大津市において、教育委員会の改革のため、2013年2月、民間出身の富田眞を新たな教育長として選任[25]し、更に3月、第三者調査委員会委員であった桶谷守を教育委員として選任した[26]

また、滋賀県に対しては、嘉田由紀子滋賀県知事らに対して、第三者調査委員会の調査結果を報告した上で、教員の処分を求めたが[27]、滋賀県教育委員会が生徒の担任教諭に対し減給10分の1(1か月)の懲戒処分を下したことについて、越は「非常に軽い処分だ。一人の子どもの命が失われたことをよく考えてほしい」と批判し、処分を始めとする人事上の任免権を大津市ではなく滋賀県教育委員会がもっていることに対し、「制度の弊害が現れた」と述べた[28]

脚注[編集]

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  1. ^ 知的財産法概説<第4版>”. 西村あさひ法律事務所. 2013年10月3日閲覧。
  2. ^ リーガルデューディリジェンスの実務”. 西村あさひ法律事務所. 2013年10月3日閲覧。
  3. ^ [1]
  4. ^ http://www8.gsb.columbia.edu/cjeb/sites/cjeb/files/CJEB_AR_1011.pdf (PDF)
  5. ^ 大津市長のプロフィール”. 大津市. 2013年10月3日閲覧。
  6. ^ 朝日新聞 2012年1月23日付。
  7. ^ “大津市長に越氏当選確実 女性で歴代最年少”. 共同通信. (2012年1月22日). http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012201001744.html 2012年1月22日閲覧。 
  8. ^ “知事と県庁所在地市長、全国初の女性ペア誕生”. 読売新聞. (2012年1月23日). http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120123-OYT8T00180.htm 
  9. ^ “越市長、いじめ撲滅誓う 大津 中学卒業式で涙の告白”. 京都新聞. (2012年3月13日). http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20120313000071 
  10. ^ “「市長のいじめ被害告白はパフォーマンス、むごい」口頭弁論で、いじめ自殺の生徒の父」”. 産経新聞. (2012年5月23日). オリジナル2012年7月22日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20120722120412/http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120523/waf12052308490013-n2.htm 
  11. ^ “越直美大津市長、遺族に謝罪「学校や市教委の調査は不十分」”. 産経新聞. (2012年7月25日). オリジナル2012年12月10日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20121210064409/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120725/crm12072511440007-n1.htm 
  12. ^ 息子の一周忌を迎えるに当たり”. 大津中2いじめ自殺裁判支援サイト. 2013年10月3日閲覧。
  13. ^ 『文藝春秋』平成25年(2013年)4月号
  14. ^ 大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会(第1回) 市長あいさつ(平成24年8月25日)”. 大津市. 2013年10月3日閲覧。
  15. ^ . 読売新聞. (2013年2月1日). http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130201-OYT8T00289.htm [リンク切れ]
  16. ^ 産経新聞[http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130131/waf13013123130028-n1.htm]
  17. ^ 産経新聞[http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/586429/]
  18. ^ 尾木直樹オフィシャルブログ 「市長の孤軍奮闘」
  19. ^ 毎日新聞2013年2月20日 「いじめ対策:大津市、常設の第三者機関を新設」
  20. ^ 読売新聞2013年2月20日 「大津市長部局にいじめ対策室、警察官・弁護士も配置」
  21. ^ 京都新聞2013年2月6日 「文科相にいじめ被害救済の第三者機関常設を要望」
  22. ^ 産経新聞2013年2月15日 「大津市長が日弁連に協力要請 いじめ対応で」
  23. ^ 読売新聞7月19日(木)17時25分配信 「大津市長「裏切られた…教育委員会制度は不要」」]
  24. ^ 京都新聞2013年2月6日 「教委制度の改正を」=いじめ自殺で越大津市長-下村文科相を訪問」
  25. ^ “「悲劇繰り返さない」大津市教育長に富田氏就任”. 京都新聞. (2013年2月19日). http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20130219000154 
  26. ^ 産経新聞2013年3月6日 「大津市教育委員に第三者委の桶谷氏」
  27. ^ 産経新聞2013年2月4日 [2]
  28. ^ いじめ元担任処分、大津市長「非常に軽い」”. 読売新聞. 2013年6月12日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年5月19日閲覧。


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