食玩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

移動: 案内検索

食玩(しょくがん)は食品玩具の略。「おまけ」として玩具を添付した食品(もしくは飲料)の商品様態の総称である。業界用語では玩菓玩具菓子の略)とも言われる。玩具業界では食玩は「食べられる玩具」(玩具の形をしたお菓子。風船ガムもこれに分類される)という意味で使われていたこともあり、玩具菓子の方が使われる。

文化の中の食玩[編集]

食品に食品以外の「おまけ」が付属するという状態は、極端に考えれば原始生活に起源を求める事が出来る。原始生活では、獣を狩れば皮が、魚を獲れば骨が、植物を採取すれば種が、食料の付属品として存在していた。[独自研究?]

食品玩具とは、高度に加工され「おまけ」を失った現代の食料に、敢えて食料ではない異物を挿入し、自然だった状態を人工的に模した物と考える事も出来る。食物という必要不可欠なものに、不必要な筈の「おまけ」を付けるという行為はある意味、ゆとりの証明でもある。[独自研究?]

食料の自然付随物としての「おまけ」ではなく、不純物のない純粋な食料に敢えて人が異物を混めたという意味での食品玩具の元祖[独自研究?]には以下の文化が該当し、どれも特別な日に複数人で食べる呪術的要素を含んだ食品という共通点を有する。[独自研究?]

  • ガレット・デ・ロワ - フェーブ(fève・本来はソラマメの意だが、この場合は陶器製の模型を指す)を生地に入れておき、切り分けられたパイ、またはガレットにソラマメが入っていた人は1年間幸せになれる、またはその日一日間、それを食べ合った人達の中で王様になれる(フランスブルターニュ地方)
  • ヨウルプーロ - 甘い米粥。皮を剥いたアーモンドを一粒だけ入れ、それを当てた人は来年幸せになれる。そのアーモンドは独身者には配偶者を、既婚の女には子供を授ける力を持っている(1800年代以降のクリスマス フィンランド)
  • ビュッシュ・ド・ノエル - 材料を掻き混ぜる際願い事をしながら硬貨や指輪を入れ、切り分けた時に自分のケーキにそれが入っていたら、その小物に合わせた願い事が叶う(クリスマス フランス)
  • スコーン - 複数のスコーンを作る際、生地の中に硬貨を含ませておき、硬貨の入ったスコーンを当てた人は幸せになれる(ハンガリー)
  • クラウディ - スープの中に指輪、コイン、おはじきが混ぜてあり、どれを掬うかで一年の運勢が分かる(ハロウィン ケルト地方)
  • ウェディングケーキ - ケーキの中に一粒だけあるインゲン豆に当たった人は幸せになれる(イギリス)
    • 未婚女性が中から指輪を当てると結婚出来る(ブラジル)
  • からから煎餅 - 中に玩具が入った中空の三角形の煎餅(江戸時代 庄内・鶴岡地方)
  • 辻占菓子 - 中に占紙が入った団子、餅、煎餅(江戸時代の正月 北陸・中越地方)
  • フォーチュン・クッキー - 運勢、格言が書かれた紙の入ったクッキー。辻占煎餅をクッキーに変えたもの(1915年 アメリカ・パナマ万国博覧会)

日本食玩史[編集]

  • 江戸時代 - 庶民の旅行が難しかった時代、富山の薬売りに代表される日本中を旅する薬売りは、顧客に各地の情報、名産品等を薬のおまけとして提供していた。特に江戸時代後期から明治時代にかけての売薬版画は有名。子供には紙風船等の玩具も提供していた。
  • 1899年(明治32年) - 村井兄弟商会のタバコタバコカード(トランプ花札、軍人の写真、西洋の女性画のカード)が付き始める。アメリカのタバコ販促を真似たもので、これが日本の商業食玩の実質的な始祖となる。子供がカード目当てにタバコを吸う事が問題視され、翌年未成年者喫煙禁止法が成立。
  • 1923年(大正12年) - 江崎グリコグリコにカードが付き始める。タバコカードを基にした販促手法で、本製品から近代商業食品玩具が始まる。1927年(昭和2年)にはメダルが付属し始める。
  • 1952年(昭和27年) - カバヤ食品のカバヤキャラメルに点数カードが付き始める。点数カードを集めて応募すると小学生向け名作小説の単行本(カバヤ文庫)が貰えるというサービスで、1954年まで実施。
  • 1964年(昭和39年)3月 - 明治製菓マーブルチョコレート鉄腕アトムのシールが付き始める。キャラクターをおまけにした初めての食玩で、これ以降TVキャラクターの食玩化が激化する[1]
  • 1967年(昭和42年)2月 - 森永製菓チョコボールが発売される。ランダムに付属するマークを集めて応募すると「まんがのカンヅメ」なる景品が貰える。これまでの食玩は既存の菓子に販促として後からおまけを付けるという売り方であったが、本製品は初めからおまけを付属させる売り方をした初めての食玩である。
  • 1971年(昭和46年)12月 - カルビー製菓仮面ライダースナックが発売される。仮面ライダーの特製名場面カードが付属する。子供達の間で大流行となり、おまけの特製名場面カード目当てに菓子を買いつつ菓子本体は捨てるという社会問題が発生した。
  • 1973年(昭和48年) - カルビー製菓のプロ野球スナックが発売される。仮面ライダースナックの人気を追ったもので、プロ野球選手のカードが付属する。
  • 1977年(昭和52年) - ロッテビックリマン どっきりシールが発売される。いたずらシールが付属する。本製品自体は特に大きな人気も出ないまま終了するが、10回の改変を経て8年後にビックリマン 悪魔VS天使シールが誕生する。
  • 1978年(昭和53年)4月 - カバヤ食品のビッグワンガムが発売される。付属するプラスチックモデルがパッケージの大部分を占めガムは一枚だけと、「ガムの方がおまけ」とも言われ、後の高級化した食玩の祖とも言える。ブラインド式ではなく、組み立て説明書に書かれた番号が見える小窓(穴)が開いていて、パッケージ裏面のカタログと併せて中身を判別できる。カバヤ食品の食玩はこの小窓が開いた形式が主流となる。
  • 1980年代中期頃 - サンヨー食品のサッポロボーイおもしろカップが発売される。子供向けカップラーメンの容器の中にミニプラモデルやアクセサリーが付属する。カップラーメン初の食玩。
  • 1985年(昭和60年) - ロッテのビックリマン 悪魔VS天使シールが発売される。オリジナルキャラクターのシールが付属する。ロッチに代表される類似商品の乱発、子供達の間でのシールの売買、公正取引委員会の介入等様々な問題を生んだ。また、今まで漫画やアニメをおまけの原作として来た食玩が、逆に漫画やアニメの原作の立場になった初めての食玩でもある。本製品の成功を受けて駄洒落交じりのシールをおまけにした食玩が続々と誕生する。
  • 1985年(昭和60年)2月2日 - 雪印食品の電撃戦隊チェンジマンソーセージが発売される。電撃戦隊チェンジマンの人形が付属する。本製品以降、スーパー戦隊シリーズをおまけにしたソーセージ、カレー、ふりかけが発売され続けていく。2001年の『百獣戦隊ガオレンジャー』迄同商品を発売し続けてきたが、2002年の雪印食品廃業に伴い『忍風戦隊ハリケンジャー』以降スーパー戦隊シリーズのソーセージの権利はプリマハムに移管される。
  • 1985年(昭和60年)3月15日 - 丸大食品の巨獣特捜ジャスピオンソーセージが発売される。巨獣特捜ジャスピオンのカードが付属する。これ以降、スーパー戦隊シリーズ以外の特撮をおまけにした食品が発売され続けていく。
  • 1992年(平成 4年) - カルビー製菓のJリーグチップスが発売される。プロ野球スナックのサッカー版で、サッカー選手のカードが付属する。袋の外側に貼り付けられたカードが盗まれる事件が多発した為、一部店舗では予めカードを外し、会計時に店員が客に手渡すという対策が講じられた。
  • 1997年(平成 9年) - カンロからキンダーサプライズが販売される。卵形チョコレートの中に玩具が入っている。イタリアのフェレロ社から日本フェレロ社が輸入した製品で、日本での販売は2度目。2年後に始まるチョコエッグの流行の先達となる。
  • 1998年(平成10年) - サントリーペプシコーラペプシマンボトルキャップが付き始める。日本初のボトルキャップ食玩。
  • 1999年(平成11年)1月 - 不二家のミニミニペコちゃんが発売される。世界のペコポコ人形が付属する。出荷が追い付かず3月には販売を一時停止する程大人の女性に人気を博し、これまで子供と大人のおたくが中心だと思われがちだった食玩の購買層を大きく広げた。本製品以後、食玩市場は大人に注目し始める[2]
  • 1999年(平成11年)8月23日 - サントリーのペプシコーラにスター・ウォーズ・シリーズのボトルキャップが付き始める。これ以降ボトルキャップの食玩が次々と流行し定番化していく。
  • 1999年(平成11年)9月 - フルタ製菓チョコエッグ 日本の動物シリーズが発売される。キンダーサプライズ同様、卵形チョコレートの中に玩具が入っている。企画段階から実力のある模型メーカーが参加した事に由る造形の質の高さだけでなく、TVキャラクターの様な流行り廃りがない点やシークレットアイテム(後述「コレクション性」を参照)の混入が功を奏し、大人をも巻き込んだ社会現象を生んだ。業界の拡大、質の高水準化、主力購買層の高年齢化等、食玩・フィギュア業界に与えた影響は大きい。
  • 2002年(平成14年) - ダイドードリンコ缶コーヒー「ダイドーデミタスコーヒー」に自動車雑誌「NAVI」が監修した国産旧車ミニカーが付き始める。以後、同業他社も期間限定で追随する。
  • 2005年(平成17年)3月14日 - バンダイ神羅万象チョコが発売される。ビックリマン 悪魔VS天使シール同様、オリジナルキャラクターのカードが付属する。玩具会社の食玩としては、主におたく層からの高い支持を得た。
  • 2005年(平成17年)9月 - 公正取引委員会がサントリーのペプシコーラに付属する機動戦士ガンダムSEEDボトルキャップに就いて、景品ではなく懸賞品に当たり、またボトルキャップは懸賞金の上限価格を超えると警告。これを受けてサントリーはボトルキャップが入っている袋を透明な物に変更し、懸賞品ではなく景品扱いとなる様改良した。また公正取引委員会は全国清涼飲料工業会にも、同様の販売手法を取らないよう要請した[1]
  • 2009年(平成21年)8月31日 - 日清食品カップヌードルしょうゆ味に『機動戦士ガンダム』30周年記念のコラボレーション商品として、いろプラガンダムシリーズとしては史上最小 (1/380スケール) となる特製オリジナルガンプラをカップヌードルにパックしたカップヌードル miniガンプラパックが数量限定で発売。

詳細[編集]

食玩の種類[編集]

ワールドタンクミュージアム約1/144スケールパンターG後期型・SDカードとのサイズ比較画像

おまけは、初期の頃は独楽やおはじき等の簡単な玩具が殆どであったが、現在ではフィギュアを筆頭に、メダル、シール、カード、バッジ、ブロマイド、絵本、漫画、縮小雑誌、パズル、ジグソーパズル、プラスチックモデルミニカー、鉄道模型、レゴブロック、ムービーカメラ、景品の引換券、オンラインゲームの暗証番号、ゲームCD、音楽CD、映画やアイドルのDVD、文房具、消しゴム、化粧道具、鞄、財布、鉱物、栽培床、疑似餌、知恵の輪、縫い包み、指人形、根付、キーホルダー、ストラップ、ボトルキャップ等多様を極めている。

また、おまけの付く本体も、チョコエッグの成功以降は菓子だけではなく、食品以外の入浴剤(浴玩(よくがん))、雑誌、漫画の単行本、アニメのDVD、アニメのCD等に食玩同様の販売手法が取り入れられて広まっている。

食品の扱い[編集]

グリコキャラメル以降45年間日本の食品玩具とはあくまでも食品が主体であり、玩具は完全なおまけであった。しかし仮面ライダースナックの爆発的な人気は本体とおまけの主従を逆転させ、おまけさえ手にすれば食品は食べずに捨てる、という矛盾した事態を引き起こし社会的に問題視された。これ以降食品玩具の過剰な人気は食品の処分という問題を度々発生させる事になる。

食品玩具には、玩具を食品の流通経路で販売することを目的として、食品玩具という形態をとっているものもあり、バンダイなどの純粋な玩具メーカーも参入をしている(それ以前では、たとえばチョコエッグは海洋堂の名が売りにはなっていたが、あくまでも菓子メーカーであるフルタの商品)。

殆どの食品玩具は、その肩書きを保つため、数粒のラムネガムグミ等を形式的に添えているだけだが、量が少ないことは食品の処分問題を避けるという副次的な効能も備えている。チョコレートが本体のチョコエッグの場合には『チョコエッグ料理』と呼ばれるチョコレートの料理法まで考案された。

近年の食玩の殆どは「菓子がおまけ」と言って然るべき商品構成で、遂には食品を省いたただの小さな箱入り玩具(トレーディングフィギュア)までもが登場し、食玩と同じ棚で売られるようになった。その一方で、通常食品を取り扱う事のない模型店や玩具屋等でも未開封の食玩が普通に売られるようになり、杜撰な温度・衛生管理による食品の劣化・変質(チョコレートの場合は30℃以上の高温で劣化する)が問題視されている。また、既に賞味期限の切れた未開封商品を「おまけ」目的で購入する人の為に"食べられない"と断った上で安価に提供している店も存在する。

コレクション性[編集]

ブラインド式の商品は射幸心を煽り、購買意欲やコレクション性を高める目的で意図的に混入率を低くしているアイテムがある。これをレアアイテムと言う。またアイテム一覧表に公開されていないアイテムもあり、こちらはシークレットアイテムと呼ばれる。 レアやシークレットが当たる確率は、商品によっては1%以下という事もあって一般的に人気が高く、インターネットオークション等でも高値で取引されている。後述の「サーチ」によってレアやシークレットを大量に入手し、インターネットオークションで売り捌くという事例も見られている。

また、1990年代中頃まではフィギュアは塗装が施されていない、または数色が塗装されているだけの物が殆どであったが、1994年9月22日に発売されたガシャポン、ガシャポンHGシリーズ以降は、美麗な塗装が施されている物が普通になった。だが質が向上した反面、塗装という手間と費用のかかる工程を調整する目的で、モノクロセピア調といった単調な塗装の物・金属色等の単一の色で塗装された物・無塗装の物・クリア成型の物等がラインアップに含まれる商品もある。こういった単色品は購買者からは「ハズレ」として扱われるのみならず、結果的に特定商品の希少性をますます押し上げてしまっている(余談だが、これらの生産行程は中国で主に行われているが、人件費の上昇に伴い、近年これらのフィギュアの塗装の質は総じて最盛期よりも低質化している。始祖のガシャポンHGシリーズでは素材の成型色の併用などで塗装工程を減らして対処している)。 更に「地域限定」、「期間限定」、「コンビニエンスストア限定」、「誌上通販限定」、「イベント限定」等販売形態自体が限定された商品では入手出来ない場合も多く、コレクションの困難さに拍車をかけている。

コレクションが困難なシリーズほど、いわゆる「ダブリ」が多く出る事になる為、ダブリを有効に利用しながら効率良く蒐集する目的で、雑誌やインターネットの掲示板を利用した交換が盛んに行なわれている。更に蒐集家の大人がその経済力に物を言わせ、より確実にレアやシークレットを入手する為に、数十個が入ったダンボール毎商品を購入する大人買い・箱買いも珍しい事ではなくなってきた。

脚注[編集]

  1. ^ 串間努「ノスタルジー商店「まぼろし食料品店」 第28回「アトムシールの誕生の謎を探る」の巻」、2007年2月14日更新。
  2. ^ ダカーポ』2001年1月3・17日合併号、68頁。

関連項目[編集]

代表的な食玩シリーズ

バンダイ

  • スタートレイン
  • リアルトレイン

食玩の市場規模