高校受験

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高校受験(こうこうじゅけん)は、高等学校入学試験のことである。高校入試(こうこうにゅうし)と呼ばれることもある。

本項目では、高等学校の入学試験以外にも、高等学校・特別支援学校高等部・専修学校高等課程(いわゆる高等専修学校)などの後期中等教育を実施する教育機関、および、高等専門学校高専)の入学試験と入学についても扱う。

本項目で述べる「学校」とは、一条校に加え、専修学校高等課程(高等専修学校)などの後期中等教育を実施する教育機関を含めるものとする。また、特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。

なお、公立高校では入学試験は入学者選抜のための検査であるので、「受験」ではなく「受検」と表記する。

入学資格[編集]

高等学校をはじめとする後期中等教育課程に入学するには通例、学校教育法第57条に基づき、下記の前期中等教育課程のいずれかを修了しなければならない。

この際、入学志願者の年齢は入学年度の4月1日時点(以下「年初」と表記)で満15歳以上となる[1]

後期中等教育を行う学校に出願できるのは以上の入学資格を満たしている者、または年初で満たす見込みがある者(現役生)である。制度上は高校を始めとする後期中等教育の学校に入学できる年齢に上限は設定されておらず、また、過年度卒業生の進学が禁止されているわけでもない。

しかしながら、各学校等においては年齢に上限を設ける場合や、過年度卒業生に対して入学資格を設定していない場合もある[2]。このように、日本の高校では年齢主義が強い傾向があり、学力を満たしていても必ずしも受験できるわけではない。

現状では高校等の入学志願者の多くが中学校等を卒業する見込みの者(現役生)であり、浪人などの過年度生はあまりいない。ただし、帰国子女の場合は各国の学校制度が違うことから[3]、ある程度年齢に幅を持たせて募集している場合も見られる。

なお、以上の例は高校の大多数を占める全日制高校の場合に多く当てはまるものであり、定時制高校通信制高校では過年度生も多い。また、専修学校高等課程(高等専修学校)の場合は過年度生もある程度存在する(詳細は「過年度生」を参照)。

なお、私立高校では完全中高一貫校中等教育学校の意味ではない)となって、高校からの外部入学者の募集をせず、併設中学校からの内部進学のみとする学校も多く存在する。併設型中高一貫教育を実施している中学校の場合は、併設の高校に、筆記試験による学力検査を受けることなく進学できる場合が多い。この高校受験をしなくて済むという点が、中高一貫校のメリットの一つである。ただし、以下の者に対しては内部進学資格が失われる場合もある。

  • 成績不振のほか、性行不良など
  • 他校を含めた外部受験(一般受験)をした場合(不合格を含む)

学区制[編集]

公立高校では生徒本人(実質的には保護者)の住所によって通える高校が厳密に指定されている。これを学区制という。近年、徐々に学区の範囲は広がっており高校の選択肢は増えている。また普通科以外の場合は学区制限がゆるい場合もある。一例として茨城県、東京都、神奈川県の一部、埼玉県、静岡県、広島県、群馬県、栃木県の全ての公立高校は学区が完全に撤廃されている。通信制高校の学区はかなり広い。

国立高校では学区をかなり制限している場合(筑駒名大附属など)も、ほとんど制限がない場合(学附広大附属など)もある。私立高校ではあまり厳密な学区制限はない場合が多い。

統計[編集]

2003年の統計では中学校卒業者の97.3%が高等学校特別支援学校高等部・専修学校高等課程(高等専修学校)等の後期中等教育を実施する教育機関や、高等専門学校に進学している。このうち通信制への進学者を除いた、中学校卒業者に対する割合は96.1%である。都道府県別での最高は石川県で98.6%、次点は富山県で98.5%、最低は沖縄県で94.9%である。

中高一貫校や通信制高校など入学試験のない高校もあるため、上記数値の全員が高校受験をしたわけではない。

歴史[編集]

新制高校発足当初は高校三原則によって、公立高校は希望者全入にすることが原則となっていた[4]。しかし、第二次世界大戦終結直後は教室が極度に不足していたことから、入学試験で志望者を絞り込むことが最善と考えられるようになった。また、旧制中学の名門校を復活させたい動きも入学試験による選抜を後押しした[4]

受験全般[編集]

現状[編集]

上述したとおり、義務教育である中学校(前期中等教育)卒業後の進学率は高く、多くの中学生が高等学校等の後期中等教育を実施する学校や、高等専門学校を目指している。

進学率や制服、カリキュラムなどによって志願者数が変わる。定時制高校専修学校高等課程(高等専修学校)などは応募人数が少ない傾向がある。

大学入試と違い、基本的には浪人するという通念はない。

入試制度[編集]

高等学校では入学資格がある志願者を対象に、学力検査内申書(調査書)などの成績評価を資料とする選抜を行い、これに合格した者が入学許可される。ほとんどの公立高校では受験時に内申書の提出を求める。

中高一貫教育などにおける、併設・連携中学校からの入学(内部進学)では筆記試験による学力検査が課されないこともある。また、通信制高校などの場合、そもそも入学者の選抜自体が行われないこともある。

入試は大きく分けて、一般入試推薦入試の2つがある。一般入試では学力と内申書を、推薦入試では内申書や学校外活動実績などを用いて合否が判断される。推薦入試においては面接や小論文などを科す学校もある。一般的には、推薦入試は一般入試よりも先に行なわれる。推薦を前期日程、一般を後期日程と呼ぶ県もある。岡山県では、県立高校の推薦入試を2014年度入学生試験から取りやめ、かわりに「特別入学者選抜」が開始されている。広島県では検査自体を選抜と呼んでいるため、推薦を選抜I、一般を選抜II、二次募集を選抜IIIと呼んでいる。

私立学校の入試制度[編集]

私立高校などでは単願専願)と併願に分け、第一志望者に対して、合格ラインを下げるなどの優遇措置をとる場合もある。私立高校の一般入試では内申書や内申点をほとんど参考にしない場合も多い。私立では本試験よりも前に生徒と相談を行い、本試験の成績にあまり左右されないでほとんど合格が決定している場合(入試事前相談)もあり、その不透明さが批判されている。

公立高校の入試制度[編集]

自治体立の公立高校の入試制度は都道府県により異なっている。

複数の高校を組み合わせて入試の合否の判定を行う総合選抜学校群制度複合選抜などを実施する自治体と、学校単位で選抜を行う単独選抜を行う自治体がある(あった)。

総合選抜[編集]

過度の受験競争、高校の序列化を防ぎ、新設高校を育成するためとして、かつていくつかの都府県で採用されていた選抜制度。しかし、生徒が自由に入学したい学校を選べないという欠点があり、総合選抜を採用した多くの都府県で公立高校からの大学進学率が大きく下落する等の弊害が出たとして、2013年までに廃止された。

特色選抜[編集]

一般選抜に先駆けて、各高校が募集する生徒像を示し、各高校の特色に応じた選抜方法で入学試験を行う制度。定員のうち一部分を分けてこの選抜で募集する。京都府・奈良県・兵庫県など多くの府県で採用されている。

入試時期[編集]

一般的に私立・国立は1 - 2月、公立(都道府県市町村立)は2月の初めに推薦入試、終わりに一般入試がある。また一部地域では3月に一般入試が行われるところがある[5]

合格発表[編集]

一般的に私立高校は試験日の翌日、公立高校の一般入試の合格発表は3月初めごろである。公立高校は受験校に合格者の受験番号を掲示する形で行われ(新聞などで「15の春」として発表風景が報道される)、私立高校は封書を直接郵送する形が多い。

一部公立高校では多数の生徒が受けた中学校には直接合否通知と請書、入学要項を渡し卒業中学校で生徒が結果を知る場合もある。また、最近は広島県などホームページでも結果が分かるようになっている(ただし、合否通知と請書などは受検校か中学校で結果を聞く場合は中学校で受け取らなければならない)。

公立高校入試と他入試との比較[編集]

公立高校入試は中学入試や大学入試と違い、学力検査の結果のみによって合否が決定されるわけではなく、中学校の内申書(調査書)の影響が大きい[6]。これは他の入試には見られない特徴である。

低学力者の受け皿[編集]

15の春を泣かせない」とのスローガンの下、進学希望者の高校進学率を100%にしようとする動きが1960年代に全国的に高まった。その目標がほぼ達成された結果、現在では中学浪人は稀で学力的にかなり不十分である生徒であっても、偏差値が下位の公立高校私立高校(いわゆる教育困難校)や定時制高校、通信制高校などへは入学が可能であり(通信制高校は一般に全入)、これらの学校が低学力の生徒の実質的な受け皿として機能していると言える[7]

しかし、これらの「受け皿」校では入学後の学習意欲に欠ける生徒が多いため、入学後短期間で高校を中退する率も高い[要出典]。また、通信制高校に入学した場合は通信制サポート校にも併せて入学する場合が多い[要出典][8]

適格者主義[編集]

旧文部省は1963年の通知で、「高校の教育課程を履修できる見込みのない者をも入学させることは適当ではない」といういわゆる適格者主義を明記した。そのため、適格者でなければ例え定員内であっても不合格にされることが行われてきた[9]。しかし、高校全入が常識となり、少子化で定員を超える事態が少なくなってきたことから、適格者主義を廃止し、希望者は全員入学させるべきだとする意見もある[10]

地域性[編集]

校種[編集]

地域によっては私立高校がほとんどない所がある。法人である私立高校は必然的に大都市地域に集中する。

内申書[編集]

都道府県によって内申書の取り扱いはまちまちであり、内申点を重視する都道府県もあれば、学力検査の点数の比重が高い都道府県もある。またかつての宮城県のように内申点と学力試験の比率を明らかにしない県もあった。同じ都道府県内でも、学校によって学力と内申の比率を独自に設定している場合もある。中学3年次の成績のみで判断される場合や、1、2年次の成績もあわせて判断される場合がある。内申書には担当教諭の個人的感情が入り込む余地がある為、実績とは関係のない評価により生徒の将来が左右されてしまう事が危惧されている。

内申点における実技科目の加点は県によってかなり違いがある。主要5教科と比較し、実技科目では筆記試験の他に判断する人間の主観が入りやすい実技により点数がつけられるため、客観性に欠けるきらいがある。内申点において実技科目の加点が大きい県は大分県(中3時は6倍加点)・高知県香川県徳島県広島県島根県和歌山県京都府兵庫県福島県宮城県沖縄県となっている(平成19年度入試時点)。

高校受験において学力検査よりも内申点の扱いが低い静岡県茨城県埼玉県などでは公立高校の大学進学実績がよい。また、内申点と学力検査をほぼ同等に扱う広島県において、合格定員の20%は内申点:学力検査=2:8で計算し合格者を出したところ、大学進学実績が急激に伸びた高校がある。

なお、難関とされるような私立の進学校などでは調査書の提出が義務付けられていても、ほとんど学力検査の成績のみで合否が決定され、内申の合否への影響は極めて少ないとされる。最たる例では鹿児島ラ・サール高等学校では出願の際の調査書(内申書)の提出は不要であったり、公立校でも東京都立日比谷高等学校の一般入試では内申書を無視し学力検査の点数のみで合否を決する特別枠を一部に設けていたりする。

しかし、内申書の中でも、欠席日数については極端に多い場合、仮に入学試験で合格点に達していても、入学を認めない場合がある。例を挙げると、開成高等学校では、調査書を提出するにあたって、中学3年度の欠席日数のみを必須化にしており、灘高等学校の場合は欠席日数が極端に多い場合は入学試験の受験を認めないことがある。

また、愛知県東三河地方の県立普通科高校では主要5教科以外でも内申書に1の評点が付いた場合、病気等の特別な事情がない限り、「大勢の生徒と同等の授業をさせるのが困難な生徒」として、学力検査の結果によらず不合格にしたケースがあった。

その他[編集]

また、地域性として、秋田県福島県長野県富山県広島県熊本県などの一部では、出身大学ではなく、出身高校ごと(広島県では出身私立中高一貫校)に学閥が形成される傾向があるため、中学浪人をしてでも名門高校に進学しようとする生徒が存在する。そうした生徒のための全日制の高校受験予備校も存在し、また、出身中学校でも一定の支援体制を整えている場合が多い。[要出典]

また、高等学校卒業程度認定試験(高認)を受検して、高等学校に進学することなく、高等学校卒業程度の学力が必要な資格(大学進学、国家試験受験)を得る人もいる(ただし、高認合格者で、高等学校在籍経験がない場合は、集団生活適応力の欠如の疑い等により、一般企業の高卒対象者の就職試験の資格がなかったり、高卒対象者の就職選考に洩れる第一要因になるケースが生じている[要出典])。なお、司法試験1次試験は大学2年修了程度の学力を検定するが、これにより、高校卒業や大学入学資格が認定されるわけではない。

試験内容[編集]

入試の科目数は、公立は多くが5科目、私立は3科目が多い。その他に面接試験を課したり、1つの科目を2つに分けて2日間実施したりするところもある。また、1960年代まで公立では実技教科を含めた9科目で実施していた学校も多かった。過去には東京都学校群制度を導入していた時代は3科目入試を実施していた。

高校入試への批判[編集]

日本の高校入試は学科間・学校間の序列が大きく、過酷な受験競争を中学生に強いているといわれている[11]。また、内申書の支配が中学教育の権威主義と管理主義を生み出し、中学生を苦しめているという批判がある[12]

高校入試を廃止することにより学校間の序列が解消され、生徒の努力次第でどの高校からも一流大学への進学が可能になるという意見がある[13]

諸外国の高校受験[編集]

アメリカ、イギリス、カナダなどでは一部の私立のエリート校をのぞくと高校入試は存在せず、総合学科のため、日本の高校のような学校間の序列は存在しない[14]

フランスやドイツなどのヨーロッパ諸国では、大学進学を目的とする普通科課程の中等教育学校、卒業後に技術的な専門教育へと接続する技術科課程の中等教育学校、職業人として社会に出る準備をおこなう中等教育学校のいずれかに進学するための選抜がおこなわれるが、所定の学力の基準点に達していれば合格とされ、同一種別の学校間の序列は存在しない[14]

脚注[編集]

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  1. ^ 学校教育課程では初等教育は満6歳以上からとなっている。初等教育の修業年限は6年間であり、前期中等教育の修業年限は3年間であるため、後期中等教育の課程への入学年度の年初で満15歳以上となる(学齢#学齢の期間も参照)。ただし、就学義務猶予免除等により前期中等教育の課程を修了していない者でも、年初に15歳以上であれば、中学校卒業程度認定試験(中検)に合格することで一般の中学校卒業者と同等とされ、同様に後期中等教育の課程に入学できる(学校教育法施行規則第95条第4号)。なお一部の後期中等教育の学校では、中検に代えて独自の試験をして出願資格を判断することもある。
  2. ^ 例えば、一部の国立私立の高校では募集要項で「その年度に中学校を卒業する見込みの者(既卒ではない中学生)」のみを対象としている。また、募集の対象が「中学校を卒業する見込みの者」(現役生限定)であれば、16歳以上の卒業見込みの中学生も現役生として入学できるかに見えるが、実際には年齢の上限が別に設けられている場合も多く、入学が許可されるとは限らない。
  3. ^ 学校教育法施行規則第95条第1号における、「外国において、学校教育における9年の課程を修了した者」。
  4. ^ a b 大脇康弘「戦後高校教育の歴史-1945年〜1990年-」、『教育学論集』第23巻、大阪教育大学教育学教室、1994年9月、 pp. 43-44,47、2008年12月12日閲覧。
  5. ^ 大阪府では中学校の卒業式の数日後に公立高校の一般入試を行うことが慣習になっている。愛知県でも同様に中学校の卒業式を行った後の3月中旬に公立高校の一般入試が行われている。
  6. ^ 『教育改革をデザインする』 28-31・ 75・90-91頁。
  7. ^ ただし、最近の公立高校や私立高校などでは定員未満でも「足切り」して不合格にするケースが目立っている。
  8. ^ 「サポート校」は自校を卒業すれば高卒資格が得られると謳っている場合もあるが、実態として高卒学歴を与えることができるのは通信制高校の方であり、サポート校自体は学籍に何ら寄与しない。
  9. ^ 瀬戸純一 『【新教育の森】キーワードの軌跡 今週のテーマは…「高校」』 毎日新聞朝刊、1999年5月1日。
  10. ^ 岡山高教組・高校像検討委員会編 (1999年5月). “提言2 総合選択制高校と希望者全入の追求を”. 私たちのめざす高校像 - 5つの提言. 岡山県高等学校教職員組合. 2008年8月3日閲覧。
  11. ^ 『教育改革をデザインする』 75頁。
  12. ^ 『教育改革をデザインする』 28-31・75-76頁。
  13. ^ 『教育改革をデザインする』 89頁。
  14. ^ a b 『教育改革をデザインする』 74-75頁。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 佐藤学 『教育改革をデザインする』 岩波書店〈教育の挑戦〉(原著2000年10月25日)、第5版。ISBN 4000264419。2009年3月29日閲覧。