アンジオテンシン変換酵素阻害薬

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アンジオテンシン変換酵素阻害薬(アンジオテンシンへんかんこうそそがいやく、Angiotensin-converting-enzyme inhibitor)は、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する薬物である。略称はACE阻害薬(エースそがいやく)。

解説[編集]

日本薬局方に収載されているカプトプリルをはじめ、多くの薬物が臨床で用いられている。

降圧作用
アンジオテンシン変換酵素を阻害して、昇圧作用のあるアンジオテンシンIIの生成を抑制するとともにブラジキニンの分解抑制による一酸化窒素の増加により末梢血管を拡張し、血圧を下げる作用を示す。
腎保護作用
腎臓の輸出細動脈を拡張し、アンジオテンシンII受容体拮抗薬とともに糸球体内圧を下げることによる直接的な腎保護作用がある。ただし、腎機能が中程度から高度に低下し血清クレアチニン値が3mg/dL以上あるいはクレアチニンクリアランスが30未満の患者では、輸出細動脈の拡張に伴い糸球体内圧が過度に低下し、乏尿など腎機能が却って悪化することがある。
その他
  • インスリンの感受性を改善し、その効果は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬よりも優れるとの報告がある(FISIC試験:2011)。
  • 高齢者の肺炎防止効果が認められ肺炎発生率を1/3程度に低下させたとの報告がある(脳卒中治療ガイドライン2009)。高齢者では、大脳基底核でのドパミンの産生低下に伴いC繊維のP物質が低下し嚥下機能が低下する事で、夜間に唾液が肺に入り肺炎が起こる。ACE阻害薬は、P物質の分解を抑制することで、嚥下機能を改善し、夜間の不顕性誤嚥を防止することで肺炎を防止すると考えられている(http://www.jsts.gr.jp/guideline/118_119.pdf)。
  • 心筋梗塞心不全患者の心筋リモデリングを防止し、予後の改善効果が報告されている。
副作用
ACEは、キニナーゼIIとして、ブラジキニンやP物質を分解する働きもある。ブラジキニンやP物質の過剰産生による、血圧低下や空咳などが知られている。空咳は若い女性に比較的多くみられるが、閉経後や高齢者では少なく心保護効果や誤嚥性肺炎を防止する効果がある。

適応[編集]

など

副作用[編集]

など

透析患者について[編集]

ACE阻害薬の服用者は、ブラジキニンの分解が遅くなるため、血液透析を行う場合、ポリアクリロニトリル共重合体膜の1種であるAN69膜を使用すると、高い確率でアナフィラキシーを起こすことが知られている [1] [2]

禁忌[編集]

  • 催奇形性があるため妊婦には禁忌
  • 高度腎機能低下

など

出典[編集]

  1. ^ Verresen 『Bradykinin is a mediator of anaphylactoid reactions during hemodialysis with AN69 membranes.]』 (1994年)
  2. ^ Brunet 『Anaphylactoid reactions during hemodialysis and hemofiltration : Role of associating AN69 membrane and angiotensin I - converting enzyme inhibitors』 (1992年)

関連項目[編集]