JR東日本107系電車

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JR東日本107系電車
107系0番台 N5編成
107系0番台 N5編成
基本情報
製造所 JR東日本大宮工場
JR東日本大井工場
JR東日本大船工場
JR東日本新津車両所
JR東日本長野工場[* 1]
JR東日本郡山工場[* 1]
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
最高運転速度 100 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 2.0[要出典] km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 5.0 km/h/s
編成定員 座席48・立席88(クモハ107形)
編成重量 37.2t(クモハ107形)
全長 20,000 mm
全幅 2,832 mm
全高 3,935 mm
車体材質 普通鋼
主電動機 MT54 (120kW)
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 5.60 (84:15)
編成出力 480kW (1M1T)
定格速度 全界磁45.0km/h、40%弱界磁72.5 km/h
制御装置 抵抗制御(永久直列)・弱め界磁
制動装置 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置 ATS-SN・ATS-P
備考 脚注
  1. ^ a b 100番台2次車のみ
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107系電車(107けいでんしゃ)は、1988年昭和63年)から1991年平成3年)にかけて製造された東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流通勤形電車である。

概要[編集]

1980年代後半の日光線両毛線など北関東支線区の普通列車には、急行列車の廃止により165系急行形電車が多数転用されていた。しかし以下に示す問題点が発生していた。

  • 新製から20年以上を経たことによる陳腐化と老朽化。
  • ボックスシートデッキ付き片側2扉の車体構造が朝夕のラッシュ輸送に向かず、乗降の手間取りから遅延を発生させる原因になっていた。
  • 最低組成編成が3両であるため、日中閑散時には輸送力過剰となっていた。

非効率な状況を打破するため、国鉄分割民営化によって発足してまもないJR東日本に望まれたのは、時間帯ごとの需要に柔軟に対応できる車両の開発であった。

以上の経緯から誕生したのが クモハ107形 (Mc) + クハ106形 (Tc') から構成される本系列で、以下の特徴を持つ。

なお、履歴簿上は165系からの改造ではなく新車扱いであり、車籍上のつながりはない。

構造[編集]

0番台車内
0番台車内
100番台車内
100番台車内
クハ106-7 運転台
クハ106-7 運転台
編成全体外観
編成全体外観

車体形状は、日本国有鉄道(国鉄)が1981年に新製した105系新製車に準じており、20 m普通鋼製車体に半自動式の両開き扉を片側3か所に設置した。将来のワンマン運転を考慮して客用扉は105系に比べてやや車端部に寄せられているが、2014年時点でワンマン運転対応改造は実施されていない。

前面は105系に類似した切妻の貫通型で、105系と比較すると前照灯尾灯の配置が垂直方向から水平方向に変わる。排障器(スカート)は新製時から装着されており、電気連結器部分を避けるかたちで左右に分割した形状となった。

車内[編集]

客室側窓は下降式1枚窓を扉間に2枚と戸袋窓を設置するが、1989年製の100番台2次車からは戸袋窓を廃したうえで下降窓3枚とし、719系に類似した窓割りとなった。

座席は、ラッシュ時における混雑緩和のためクハ106形のトイレに対向する部分を除いて全席ロングシートとしたが、長時間乗車を考慮して座面奥行きを確保した上で深い位置で自然に座れる「ブリッジシート[2]」と称する形状である。1人分の区画を明確化し、座席の定員乗車を促す副次的効果ももつ。

冷房装置はクモハ107形にAU79A形集中式1基、クハ106形に165系廃車発生品であるAU13E形分散式6基を搭載する。このため両形式では天井構造が異なり冷風吹出も、クモハ107形は平天井ラインフロー、クハ106形は装置個別直接式を採用する。

主要機器[編集]

119系に準じた1M方式を採用。主制御器は勾配区間での運用に対応するため、力行抑速時ともノッチ戻し制御可能で抵抗弱め界磁制御方式のCS54B形を搭載。

ブレーキは抑速発電ブレーキ併用応荷重装置付きSELD電磁直通ブレーキで、165系からの発生品に応荷重装置を付加して再用した。

走行機器も165系からの再用品で、台車はクモハ107形はDT32形もしくはDT32B型、クハ106形はTR69B形を装着。DT32形では車体重量の増加に伴って軸バネを新設計のものに交換した。運転台側台車前位には雪かき器(スノープラウ)を装備する。主電動機は定格出力120kwのMT54B形もしくはMT54D形4基を永久直列接続とし、普通列車運用での加減速頻度向上に対応するため歯車比を165系の1:4.21から1:5.60に変更して起動加速度を向上させた。

パンタグラフは国鉄形電車の標準形式であるPS16形をクモハ107形に搭載する。

補助電源装置はクモハ107形に165系から再用品の容量110KVAの電動発電機 (MG) を搭載する一方で、空気圧縮機 (CP) はクハ106形に搭載する。

分割・併合時の作業簡略化のため電気連結器を装備するが、KE76形ジャンパ連結器3基も装備するため上述する制御方式も含めて115系や165系などとも併結可能な構造である[3]

0番台[編集]

1988年5月から10月にかけて大宮・大井・大船の各工場ならびに新津車両所で製造された日光線165系置換用2両編成8本計16両のグループ。小山電車区(現・小山車両センター)に配置された。

勾配区間での空転対策としてクモハ107形の正面下部左右に砂箱と台車に砂撒き装置を装備するほか、寒冷地での運用も考慮され、冬期架線取用パンタグラフを4 - 8は新製時から装備し、1 - 3にも1998年に追加装備した。

  • 4 - 8の霜取パンタグラフは集電機能も持つが、改造で追加搭載された1 - 3は集電機能を持たない。外観上パンタグラフ間の引き通し線などの相違がある。

異常気象発生などの運転速度制限が行われた際に機器類過熱による破損を防止する観点から、15 km/h 運転用スイッチを搭載する。

当初の車体塗装は公募によって決定したもので、クリーム10号を地色とし緑14号で日光線の頭文字「N」をあしらい、前位寄り雨樋下にワンポイントとして「神橋」をイメージした赤1号を配したものである。

2008年3月以降ステッカー貼り付け後 連結部ステッカー 2009年の塗装変更後
2008年3月以降
ステッカー貼り付け後
連結部ステッカー
2009年の塗装変更後

2008年3月から車体にステッカーの貼付が行われ、2009年3月からは以下の塗色変更がN2編成から実施され[4]2010年1月17日をもって全編成の変更が完了。旧塗色での運用を終了した[5]

  • 車体上半部をアイボリー、下半部をクラシックルビーブラウン、境界を金色帯とする。
  • 車両前面貫通扉に中央部に「Nikko Line」の文字、上部に日光駅、下部に編成毎に異なる日光の象徴を模したステッカーを掲出[6]
  • 車両側面にはヘッドマークと同じデザインの日光駅舎、日光の象徴を模したエンブレムを配する[6]
  • 各編成毎に異なるデザインマークの内容は以下の製造分類を参照。
クモハ107+クハ106 0番台製造分類[6]
車両
番号
製造日 製造
工場
新製
配置
編成
番号
霜取
パンタ
デザインマーク
1 1988.05.19 大船 小山 N1 1998年装着
非通電
ニッコウキスゲ
2 1988.05.21 大宮 N2 神橋
3 1988.07.01 大井 N3 日光街道
4 1988.08.16 大船 N4 新製時装着
通電
男体山中禅寺湖
5 1988.08.20 大宮 N5 華厳の滝
6 1988.09.19 大井 N6 いろは坂
7 1988.10.27 新津 N7 眠り猫日光東照宮
8 1988.09.30 大船 N8 三猿(日光東照宮)


100番台[編集]

0番台製造後の1988年11月から製造開始された高崎支社管内地域輸送用の2両編成19本計38両のグループ。0番台に加え後述する2次車からは長野・郡山の両工場も製造を行った。新前橋電車区(現・高崎車両センター)に配置された。

1次車 クモハ107-102 2次車 クモハ107-113
1次車 クモハ107-102
2次車 クモハ107-113

車体塗色はクリーム10号緑14号とピンクの帯を窓下に通したものであるが、1988年 - 1989年上期製造の1次車 (101 - 105) と1989年下期 - 1991年製造の2次車 (106 - 119) では外観上の設計変更が行われ、後者では戸袋窓の廃止と窓割が変更されたほか、新製時からATS-P形も搭載する。

0番台との相違点は、砂撒装置・霜取パンタグラフは未搭載とした上で耐雪ブレーキを装備するほか、信越本線横川 - 軽井沢間の碓氷峠EF63形による牽引・推進運転に対応する横軽対策を施工[7]。識別のため側面形式標記直前に40mm 径の丸印(Gマーク:「●」)が標記された[8]。0番台との併結運転も可能。

  • 横軽対策実施の電車では安全上の配慮から、原則として重量の大きい電動車が麓側(横川方)に編成組成されるが、本系列ではクモハ107形が山側(軽井沢方)を向いた組成となった。
クモハ107+クハ106 100番台製造分類
車両
番号
製造日 製造
工場
新製
配置
編成
番号
車体
形態
備考
101 1988.11.30 大船 新前橋 R1 1次形 新前橋電車区→高崎車両センター
組織変更は2005.12.10
102 1988.12.01 大宮 R2
103 1989.02.01 大井 R3
104 1989.02.28 大宮 R4
105 1989.03.23 新津 R5
106 1989.09.11 大宮 R6 2次形
107 1989.09.30 大井 R7
108 1989.10.20 新津 R8
109 長野 R9
110 1989.11.20 大宮 R10
111 1989.12.27 大船 R11
112 1990.02.28 大宮 R12
113 1990.02.23 大井 R13
114 1990.03.29 大船 R14
115 1990.03.06 郡山 R15
116 1990.09.10 大宮 R16
117 1990.11.12 大井 R17
118 1990.12.26 新津 R18
119 1991.02.27 大宮 R19


運用[編集]

0番台[編集]

小山車両センター配置のN1 - N8編成が以下の区間で運用された。

2013年3月16日に実施されたダイヤ改正で205系600番台に置換えられ定期運用を終了[9][10]。同年6月に全車廃車で番台区分消滅となった[11]

100番台[編集]

高崎車両センター配置のR1・R3 - R11・R13 - R17編成が以下の区間で運用される。

車両需給の関係から相互の貸出も行われ、定期検査・修理などで不足した0番台の代走として100番台が日光線で運用されることがあった。また両毛線から東北本線(宇都宮線)小山 - 黒磯間に乗り入れる1往復[12]に充当された時期もあった。

2016年7月14日付でR2・R12・R18・R19編成の4本8両が廃車された[13]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 100番台2次車のみを製造。
  2. ^ 本座席形状は本系列とほぼ同時期にロングシート改造された113系115系にも採用された。
  3. ^ ただし、検査のための回送列車以外で併結した実績はない。
  4. ^ ネコ・パブリッシング 『鉄道ホビダス/編集長敬白 - JR日光線が変身中。』 2011年8月11日 閲覧
  5. ^ 「さらば「N」トレイン JR日光線、17日で最後 宇都宮駅でセレモニーも」(下野新聞 2010年1月15日)
  6. ^ a b c JR東日本ホームページ > 車両図鑑 > 在来線 > 107系 > 107系 ヘッドマーク
  7. ^ 試運転では軽井沢までの運転事例があるが、営業運転では横川以西への運用事例はない。
  8. ^ 1997年の同区間廃止後は本標記を順次消去。
  9. ^ 鉄道ダイヤ情報 2013年2月号(交通新聞社)
  10. ^ 下野新聞 2013年1月16日朝刊記事 「JR日光線、リニューアル車両公開」(下野新聞社)
  11. ^ 鉄道ダイヤ情報 2013年9月号p.127
  12. ^ 小山駅で進行方向が反転するため、東北本線内では0番台と編成が逆向きとなる。
  13. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2017冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2016年、p.356。ISBN 9784330737164。