JR東海の車両形式

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東海旅客鉄道(JR東海) > JR東海の車両形式

JR東海の車両形式(ジェイアールとうかいのしゃりょうけいしき)は東海旅客鉄道(JR東海)に在籍する、あるいは在籍した鉄道車両の一覧である。

概要・特徴[編集]

在来線車両では塗色の特徴としてはオレンジ色の帯、または湘南色と呼ばれるオレンジ色と緑色の帯を巻くことが多い。これらは東海色と呼ばれている。ただし、日本国有鉄道(国鉄)から引き継いだ車両には国鉄時代のオリジナル色で使われている車両もあった。

JR化後の新形式はステンレス車両が多くを占めている。ステンレス車は用途を問わず、全形式とも鋼製の先頭部でコーポレートカラーのオレンジ帯が巻かれているのが最大の特徴である。

新幹線車両では使用する塗装の種類は国鉄時代の100系以来変わらないが、300系以降は純白の車体に窓下部分の太い青帯が全車共通している。ただし300系に対して700系及びN700系を比較すれば、太い青帯と細い青帯の上下配置が逆転している。

会社発足以降登場した新型電車のほとんどは電子音の警笛が搭載されているが、JR東海の在来線では西日本旅客鉄道(JR西日本)と共同開発した285系電車を除いて電子音の採用が認められず空気笛の警笛しか使用できない構造である。

JRグループ7社で唯一、全ての新造車両が国鉄時代と同じ車両フォントを使用している。また、JRグループ旅客会社6社の中で唯一、機関車を保有していない。客車も旅客会社6社の中で最も早く全車廃車にしたため、現在保有するのは電車と気動車のみとなっている。

JR東海ではかつて車両を日本車輌製造日立製作所川崎重工業近畿車輛東急車輛製造の5社に発注していたが、東急車輛製造は1999年度、近畿車輛は2006年度[1]、川崎重工業は2009年度を最後として発注がなくなっている。日本車輌製造は保有する車両のほぼ全形式で製造を担当している。在来線車両では発足以来ステンレス無塗装の新造を原則としており、かつては日立製作所にも発注していたが、同社では1998年頃からステンレス製造を取止めてアルミ製造へ移行した関係で現在では新幹線車両のみ同社への発注を継続中である。なお、リニアモーターカー車両(L0系)は日本車輌製造と三菱重工業で製造している。

JR東海では他のJR旅客会社とは異なり、永らくの間、幕式の行先表示器や2色タイプのスクロール式LED電光掲示板を採用してきたが、2005年3月のN700系Z0編成落成以来、在来線車両も含めて全面的に行先表示器及び車内のスクロール式電光掲示板をフルカラーLEDへ切り換えた。

新幹線車両[編集]

新幹線車両とその変遷[編集]

JR東海保有の新幹線車両について変遷を以下に示す。

表 - JR東海保有新幹線車両の変遷
形式 営業最高速度 1980年代 1990年代 2000年代 備考
0系 210 km/h* 0系(1964年 - 1999年) *のちに220km/h
100系 220 km/h 100系(1985年 - 2003年)
300系 270 km/h 300系(1992年 - 2012年)
700系 270 km/h 700系(1999年 - )
N700系 270 km/h* N700系 2007年より運行
一部で285km/h
保有事業者 国鉄(1987年まで) JR東海(1987年移管)

各形式概説[編集]

JR東海所有の新幹線営業車両について概説する。詳細については各車両記事を参照のこと。

0系
0系
1964年の開業時に国鉄が投入した車両。1986年までの20年以上にわたって3,000両あまりが製造された。このため、製造年度によって様々な仕様がある。登場時の最高速度は210 km/h。のちに100系に合わせ220 km/hに引き上げられた。
全電動車方式を採用し、普通車グリーン車のほか、ビュフェと称する軽食サービスを行う車両を組み込み、12両編成で登場した。その後、1970年大阪万博輸送に対応するため16両編成が登場。1975年には、山陽新幹線全線開業に合わせ、食堂車が組み込まれた。
晩年はもっぱら「こだま」に用いられ、指定席を一列4人掛けとするなどの車内改良が実施された。1999年に後継車両への置き換えにともない営業運転を終了。西日本旅客鉄道(JR西日本)では2008年まで用いられた。
100系
100系
1985年、長期にわたり製造され陳腐化した0系の置き換えを目的に、新幹線初のモデルチェンジ車両として登場した。
営業運転速度はこれまでより10km/h速い220km/hにとどまったものの、モーターの出力増強・新しいブレーキの採用により、16両編成のうち4両を付随車(モーターを持たない車両)として製造コスト削減。車内もアコモデーションアップが図られ、座席間隔の拡大により3人掛け座席をはじめて回転可能とした。また、グリーン車や食堂車などに2階建車両を2両組み込んだことが大きな特徴であり、個室も設けられた[2]
国鉄時代に112両が製造され、JR移行後は全編成がJR東海に移管した。さらにJR東海では1992年までに800両の増備を実施したほか、JR西日本でも増備が行なわれた。
2003年にJR東海での営業運転を終了。「のぞみ」の大増発にともない、東海道新幹線全列車の最高速度を270km/hに引き上げたための措置であった。一部はJR西日本に譲渡され、山陽新幹線では2012年3月16日に運用を終了した。
300系
300系
東海道新幹線の高速化を図るため、JR東海が開発した車両。最高速度は270km/hに引き上げられ、この車両とともに「のぞみ」が登場。東京・新大阪間を従来より約30分速い2時間30分で結び、大幅な時間短縮を達成した。JR東海のほかJR西日本でも製造され、1998年までにその数を約1,000両とした。
車体はこれまでの鋼製に代わりアルミニウム合金が採用されたほか、車内にも樹脂製部品が積極的に用いられ、徹底した軽量化が行われた。また、インバータ制御を用いた交流モーターを採用し、旧来の直流モーターに比べ小型化・高出力化が図られた。一方、利用の減少が続いていた食堂車や、軽量化・低重心化の障害となる2階建車両は組み込まず、普通車・グリーン車のみによる16両編成とした。
最高速度の向上により大幅な所要時間短縮を達成した300系であったが、後継車両の投入が相次いだことにより2001年には「のぞみ」の定期運用を外れている。その後は、「ひかり」「こだま」の運用が主となり、2007年にN700系の投入が始まると一部編成の廃車も始まり、2012年3月16日に東海道・山陽新幹線ともに引退した。
700系
700系
JR西日本との共同開発により、1999年に営業運転を開始した車両。最高速度の低い0系や100系の置き換えを目的として製造された。
JR西日本は1997年に独自の500系を開発し、山陽新幹線での300km/h運転を実施していた。しかし、製造コストが高く、線形条件の劣る東海道新幹線においては300系と同等の270km/hに留まり、コストに見合った性能が発揮できなかった。そこで700系では費用対効果を重視し、東海道・山陽新幹線全体の底上げを図るとともに、乗り心地・快適性の改善に主眼が置かれた。最高速度は500系より若干抑えた285km/hとし、先頭形状はカモノハシに似た独特の形状が採用された。この形状は、車内空間への影響を最小限に留めつつトンネル微気圧波を抑制するものである。
JR東海は「のぞみ」用16両編成として960両を製造した。このほか、JR西日本でも16両編成および山陽新幹線専用の7000番台(8両編成)を製造。派生車種として台湾新幹線用の700T型九州新幹線用の800系や後述のN700系など、本系列をベースとした車両も多い。
2011年中にJR西日本所有分の300系の置き換え用として9本をJR西日本に譲渡する事が決まっており[3]、同年7月にはC4編成がJR西日本譲渡編成の部品取り車として廃車、2012年3月までにC11 - C18編成がJR西日本に移籍した[4]
N700系
700系を基本に『最速・快適・環境への適合』[5]をキーワードとして、さらなる性能向上を目指した車両。JR西日本との共同開発により、2007年に営業運転を開始した。
N700系
軽量化、空力性能の改善およびモーター出力の増強により、500系以来となる山陽新幹線での300km/h運行を可能とした。東海道新幹線での最高速度は従来と同じ270km/hに留まるものの、加速性能の向上、新幹線初となる車体傾斜装置の導入により、所要時間の短縮を達成している。外観は700系に準じるが、エアロダブルウィングと称する先頭形状、空気抵抗を低減する連結部の全周ほろ、小さな窓、大型のフルカラーLEDによる行先表示等が特徴となっている。また、車内は全席禁煙とされ、喫煙者向けに喫煙ルームが設けられた。
2005年に試作車(9000番台)1本が落成し、2007年から2012年にかけて量産車(0番台)80本(1,280両)が製造された。現在も700系に代わり「のぞみ」への投入が続いており、2013年からはブレーキや走行装置に改良を加えたN700A(1000番台)に増備が移行した。在来車も順次、N700Aと同等仕様(2000番台)に改造される計画である。

以上の新幹線営業車両の諸元をまとめ下表に示す。形式によって複数の仕様を持つものは、断りのない限り代表的な値を示した。

表 - 新幹線営業車両の諸元
形式 0系 100系 300系 700系 N700系
新製時の編成 12両・16両 16両 16両 16両 16両
最高速度
(km/h)
東海道 220 ( 210*) 220 270
山陽 270 285 300
編成質量(16両) 967 t 839 t 711 t 708 t 700 t
車体材質 普通鋼 アルミニウム合金
編成出力
(16両編成時)
11,840 kW(16M)* 11,040 kW(12M4T) 12,000 kW(10M6T) 13,200 kW(12M4T) 17,080 kW(14M2T)
電動機 直巻整流子電動機 かご形三相誘導電動機
製造初年 1964年 1985年 1992年 1999年 2007年
製造両数 (3,216両*) 912両 976両 960両 (約1,280両*)
備考
  • 0系の最高速度は国鉄時代の1986年まで210km/h。
  • 0系の製造量数は国鉄時代の総数。
  • 編成出力におけるM・Tは、それぞれ編成中における電動車(モーター付車両)・付随車(モーターなし車両)の両数を示す。
  • N700系は増備継続中。製造両数は2011年度までの予定数量。

事業用車両[編集]

  • 922形(T2編成・廃形式)
  • 923形(T4編成・事業用)
  • 955形(高速試験車「300X」・廃形式)

在来線現有車両[編集]

電車[編集]

気動車[編集]

民営化後の新形式については、国鉄時代と一線を画する独自の2桁の形式数字をとる。

導入予定車両[編集]

  • 新幹線車両
    • N700S系
      2020年度を目処に導入開始される予定のN700系の後継車両。2016年6月24日に確認試験車(量産先行車)の制作が発表された[6][7]。「S」は、「最高の」を意味する "Supreme" の頭文字から採ったもの。
      先頭車両のデザインはN700系・N700Aの「エアロダブルウィング形」を進化させた「デュアル・スプリーム・ウィング形」と呼ばれる双対の翼を広げたような形状として、トンネル突入時の騒音を低減させ、走行抵抗も減らすことを目指す。
      駆動システムに発熱が少ない炭化ケイ素 (SiC) 素子を使用して冷却機構を簡略化し、駆動システムの大幅な小型軽量化を目指す。また、機器の小型軽量化と床下機器配置の最適化により、従来の16両編成だけではなく、基本設計をそのまま用いて12両や8両など、台湾高速鉄道アメリカテキサス州高速鉄道計画等を意識した様々な編成を構成させることを可能とする「標準車両」を目指して制作される。
      車内の快適性・利便性の向上を目指して、普通車全座席にモバイル用コンセントを設置。グリーン車にはフルアクティブ制振制御装置を搭載し、乗り心地の向上も図るとしている。
      確認試験車は2018年3月の落成を予定している。

過去の在来線車両[編集]

機関車[編集]

電車[編集]


気動車[編集]

客車[編集]

定期列車用の車両は国鉄から1両も承継されておらず、いずれも臨時列車・イベント用であった。
  • 特急形

貨車[編集]

脚注・参考文献[編集]

  1. ^ なお、近畿車輛では2010年度から2011年度、213系5000番台飯田線への転用改造を行った。
  2. ^ 木俣政孝「100系New新幹線─設計上の狙い─」『鉄道ファン』285号、1985年。
  3. ^ 東海道・山陽新幹線から来春300系が引退します (PDF) - 東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 2011年10月20日
  4. ^ 700系C編成3本の側面JRマークが青に - railf.jp. (2010年9月11日) 2010年9月11日閲覧
  5. ^ 新幹線N700系」東海旅客鉄道。
  6. ^ “東海道・山陽新幹線 次期新幹線車両 N700S 確認試験車の製作について” (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2016年6月24日), http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000030982.pdf 2016年6月25日閲覧。 
  7. ^ “JR東海「N700S」東海道・山陽新幹線次期車両の確認試験車、2018年春完成へ”. マイナビニュース. (2016年6月25日). http://news.mynavi.jp/news/2016/06/25/008/ 2016年6月25日閲覧。 

関連項目[編集]