あさぎり (護衛艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
検索に移動
あさぎり
洋上を往く「あさぎり」 奥はロシア海軍1155型大型対潜艦
洋上を往く「あさぎり」
奥はロシア海軍1155型大型対潜艦
基本情報
建造所 石川島播磨重工業東京第1工場
運用者  海上自衛隊
艦種 汎用護衛艦(DD)
級名 あさぎり型護衛艦
建造費 430億円
母港 舞鶴
所属 護衛艦隊第14護衛隊
艦歴
発注 1984年3月29日
起工 1985年2月13日
進水 1986年9月19日
就役 1988年3月17日
2005年2月16日練習艦に種別変更)
2012年3月14日護衛艦に再種別変更)
要目
基準排水量 3,500 トン
満載排水量 4,900 トン
全長 137m
最大幅 14.6m
深さ 8.8m
吃水 4.4m
機関 COGAG方式
主機 川崎ロールス・ロイス スペイSM1Aガスタービン × 4基
出力 54,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
最大速力 30ノット
乗員 220名
兵装 62口径76mm単装速射砲 × 1門
Mk.15 Mod2 高性能20mm機関砲CIWS) × 2基
ハープーンSSM4連装発射筒 × 2基
GMLS-3型A シースパロー短SAM 8連装発射機 × 1基
74式アスロック8連装発射機 × 1基
68式3連装短魚雷発射管 × 2基
搭載機 HSS-2B/SH-60Jヘリコプター × 1機
C4ISTAR OYQ-7B-1 戦術情報処理装置
OYQ-101 対潜情報処理装置
SFCS-6C 水中攻撃指揮装置
レーダー OPS-14C 対空
OPS-28C 水上
OPS-20 航海用
81式射撃指揮装置2型-22A/2型-12E
ソナー OQS-4A
OQR-1 曳航式
電子戦
対抗手段
NOLR-8 ESM
OLT-3C-1 ECM
Mk.137 デコイ発射機 × 2基
その他 AN/SLQ-25 曳航式デコイ
テンプレートを表示

あさぎりローマ字JS Asagiri, DD-151,TV-3516)は、海上自衛隊護衛艦あさぎり型護衛艦1番艦で、護衛艦籍復帰前はやまぎり型練習艦の2番艦であった。艦名は「朝、日が昇らないうちに立ちこめる」(朝霧)に由来し、旧海軍春雨型駆逐艦朝霧」、吹雪型駆逐艦朝霧」に続いて日本の艦艇としては3代目。

艦歴[編集]

「あさぎり」は、中期業務見積り (1983)に基づく昭和58年度計画3,500トン型護衛艦2222号艦として、石川島播磨重工業東京第1工場で1985年2月13日に起工され、1986年9月19日に進水、1988年3月17日に就役し、第2護衛隊群第42護衛隊に編入され、佐世保に配備された。

1990年3月6日、第2護衛隊群隷下に第47護衛隊が新編され、「やまぎり」「さわぎり」とともに編入。 同年7月1日に護衛艦「くらま」「やまぎり」とともに第23期一般幹部候補生課程出身初任幹部約100名を乗せて江田島湾を出港し、グアムフィリピン方面に派遣され、父島の二見港、硫黄島、グアムアプラマニラスービック及び沖縄勝連に寄港した。

1991年7月1日から7月31日まで護衛艦「くらま」「やまぎり」「たちかぜ」とともにフィリピン方面を巡航した。

1992年及び1994年環太平洋合同演習 (RIMPAC) に参加。

1997年3月24日、隊番号の改正により第47護衛隊が第6護衛隊に改称。

1998年10月16日、第2護衛隊群第2護衛隊に編入。

2000年5月から護衛艦「こんごう」「くらま」「しまかぜ」「むらさめ」「はるさめ」「ゆうだち」「きりさめ」、補給艦はまな」、潜水艦なつしお」とともに環太平洋合同演習に参加。5月15日横須賀基地出港し、5月26日から7月5日ハワイ真珠湾に寄港し、5月30日から7月6日にハワイ周辺海域で演習に参加した。7月13日から7月21日アメリカ合衆国西海岸サンディエゴに寄港。7月30日から8月3日に真珠湾へ再び寄港し、8月16日に横須賀へ帰港した。

2002年3月6日第4護衛隊群第8護衛隊に編入され、定係港がとなり、同地に転籍。

2003年7月15日テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「はるな」、補給艦「とわだ」と共にインド洋に派遣。同年10月まで任務に従事し、11月19日に帰国する。

2005年2月16日練習艦に種別変更され、艦籍番号がTV-3516に変更、練習艦隊第1練習隊に編入。

2008年及び2011年、練習艦「かしま」等とともに遠洋練習航海に参加。

2012年3月14日、護衛艦に再度種別変更され[1]、艦籍番号は護衛艦時代のDD-151に変更。護衛艦隊第14護衛隊に編成替えとなり、定係港が舞鶴となり、同地に転籍。

2014年及び2016年、遠洋練習航海に参加。

2018年7月5日から10日にかけて舞鶴港及び若狭湾北方海域において多用途支援艦「ひうち」等とともに日露捜索・救難共同訓練に参加。ロシア海軍からはウダロイ級駆逐艦「アドミラル・トリブツ」「アドミラル・ヴィノグラードフ」、補給艦「ペチェンガ」が参加[2]

また、護衛艦として初の女性副長が勤務した艦でもある(練習艦時代の女性副長が種別変更後も引き続き勤務していたため)[3]

2019年3月16日第33次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖・アデン湾へ向けて出航する[4]。その進出途上の3月27日には、マレーシアランカウィにおいてマレーシア海軍主催国際観艦式に参加し、3月31日にはランカウィ周辺海空域において実施されたマレーシア海軍主催多国間海上演習に参加し[5]、終了後にはインド海軍哨戒艦カドマット」と共同訓練を実施した[6]。5月2日にはオマーン海軍の哨戒艦「AL MABRUKAH」と海賊対処訓練を実施した[7]

同派遣中の5月24日、艦長が寄港地などが分かる情報を公表前に自分のスマートフォンを使い、居場所や食事の内容をFacebookで複数回公開。防衛省情報保全義務違反に当たると判断し、服務規律違反の疑いがあるとして、艦長の佐藤吉範2等海佐護衛艦隊司令部付とした。後任には砕氷艦南極観測船)「しらせ」副長から波江野裕一2等海佐が就いた[8][9]。6月24日付で佐藤前艦長は停職7日の懲戒処分を受けた[10]

6月20日、ソマリア沖・アデン湾で、沈没しつつあるインド船籍の貨物船から遭難信号を受信し現場に急行。乗組員2人を救助した[11]

8月下旬に「さざなみ」に任務を引き継ぎ、帰国途上の9月1日、中東・オマーンの首都マスカットに寄港し、同国周辺海域でオマーン海軍の哨戒艦「アル・シーブ」と戦術運動や通信訓練等、親善訓練を行った[12]。9月24~26日にはフィリピン海軍コルベットエミリオ・ハシント」と共同訓練を実施[13]。 10月4日、ソマリア沖派遣任務を終えて舞鶴に帰港した[14]

現在は、護衛艦隊第14護衛隊に所属し、定係港は舞鶴である。

歴代艦長[編集]

歴代艦長(特記ない限り2等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
1 菊田愼典 1988.3.17 - 1988.12.19 防大10期 あさぎり艤装員長 海上自衛隊第1術科学校砲術科長
2 米永 譲 1988.12.20 - 1990.12.14 防大13期 ちくご艦長 海上自衛隊第1術科学校総務課長
3 高井 賢 1990.12.15 - 1992.3.24 第4海上訓練指導隊砲術科長 海上自衛隊第1術科学校教務課長
4 佐原章友 1992.3.25 - 1994.1.9 防大15期 護衛艦隊司令部幕僚 海上幕僚監部防衛部装備体系課
5 椋尾康広 1994.1.10 - 1995.12.17 防大17期 海上幕僚監部監理部総務課 海上自衛隊第1術科学校教官
兼 研究部員
6 山本勝規 1995.12.18 - 1996.12.1 防大19期 むらくも艦長 海上自衛隊第1術科学校教官
兼 研究部員
7 坂上隆康 1996.12.2 - 1998.4.14 防大19期 護衛艦隊司令部幕僚 第4海上訓練指導隊船務科長
8 江崎哲夫 1998.4.15 - 1999.6.17 防大21期  とかち艦長 いかづち艤装員長
9 三木 功 1999.6.18 - 2000.8.31 防大22期 よしの艦長 海上自衛隊第1術科学校教官
兼 研究部員
 
10 大塚嘉徳 2000.9.1 - 2001.8.9 おおよど艦長
11 山田勝規 2001.8.10 - 2002.10.29 防大25期 ゆうだち船務長 兼 副長 佐世保地方総監部防衛部
第3幕僚室長
  
12 田中亮二 2002.10.30 - 2004.3.30 防大26期   艦艇開発隊艦艇第1科長  
13 梅崎時彦 2004.3.31 - 2005.3.24 防大29期 護衛艦隊司令部幕僚 海上自衛隊幹部候補生学校
第1学生隊長
14 岩澤 務 2005.3.25 - 2006.3.28 防大31期 海上幕僚監部防衛部防衛課  
15 水上智雄 2006.3.29 - 2007.3.25 専修大
40期幹候
第1護衛隊群司令部幕僚 海上幕僚監部防衛部運用支援課  
16 服部一男 2007.3.26 - 2008.10.14   ましゅう副長 佐世保海上訓練指導隊砲雷科長
17 松味利紀 2008.10.15 - 2009.9.30 水産大学校
41期幹候
第3護衛隊群司令部幕僚 海上自衛隊第1術科学校総務課長
18 高橋 毅 2009.10.1 - 2010.12.19 防大35期 第1護衛隊群司令部幕僚 防衛研究所所員 2010.7.1
1等海佐昇任
19 小牟田秀覚 2010.12.20 - 2012.3.22   自衛艦隊司令部幕僚 海上自衛隊幹部学校 2012.1.1
1等海佐昇任
20 橋本聖一 2012.3.23 - 2013.7.15 神戸市外大 海上幕僚監部人事教育部援護業務課 大湊海上訓練指導隊砲雷科長
21 南薗健一 2013.7.16 - 2014.4.22 防大38期 海上訓練指導隊群司令部 護衛艦隊司令部 
22 川内健治 2014.4.23 - 2015.3.22 防大34期 横須賀海上訓練指導隊砲雷科長 護衛艦隊司令部幕僚
23 寺岡寛幸 2015.3.23 - 2016.12.19 防大39期 呉海上訓練指導隊 自衛艦隊司令部幕僚
24 藤﨑 勝 2016.12.20 - 2017.11.19 第3ミサイル艇隊司令
25 加藤淳子 2017.11.20 -2018. 9.19 しもきた副長 護衛艦隊司令部 女性艦長[15]
26 佐藤吉範 2018.9.20 - 2019.5.23 海上自衛隊第1術科学校主任教官 兼 研究部員 護衛艦隊司令部付[8]
27 波江野裕一 2019.5.24 - 2019.10.10 しらせ副長
28 松岡正洋 2019.10.11 - おうみ副長

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 護衛艦「あさぎり」ASAGIRI型,『世界の艦船』2014年1月号,P82,海人社
  2. ^ ロシア海軍艦艇の訪日及び日露捜索・救難共同訓練の実施について (PDF) 海上自衛隊プレスリリース
  3. ^ “「あさぎり」に初の女性副長 舞鶴母港海自護衛艦”. 京都新聞. (2013年2月28日). http://kyoto-np.co.jp/top/article/20130228000032 2013年3月7日閲覧。 
  4. ^ 派遣海賊対処行動水上部隊の交代について (PDF) 防衛省プレスリリース
  5. ^ マレーシア海軍主催国際観艦式及びマレーシア海軍主催多国間海上演習について (PDF) 防衛省プレスリリース
  6. ^ インド海軍との共同訓練について (PDF)
  7. ^ DSPE「あさぎり」とオマーン海軍との海賊対処共同訓練海上自衛隊自衛艦隊ニュース(2019年10月6日閲覧)
  8. ^ a b 海賊対処の海自護衛艦艦長を更迭 SNSで寄港地情報明かす” (2019年5月24日). 2019年5月26日閲覧。
  9. ^ 派遣海賊対処行動水上部隊指揮官の交代について (PDF) 防衛省プレスリリース
  10. ^ 寄港地情報をSNSに投稿 護衛艦の前艦長、停職7日” (2019年6月30日). 2019年6月24日閲覧。
  11. ^ 護衛艦「あさぎり」ソマリア沖でインド貨物船乗船員2人救助 笑顔でハイタッチ” (2019年6月27日). 2019年7月12日閲覧。
  12. ^ 「海賊対処帰国途中の「あさぎり」がオマーン海軍と訓練」朝雲新聞(2019年9月12日付)
  13. ^ 海上自衛隊とフィリピン海軍が通信訓練・戦術運動の共同訓練ASEANPORTAL(2019年9月30日)2019年10月6日閲覧
  14. ^ ソマリア沖派遣の海自護衛艦「あさぎり」帰港関西テレビFNN(2019年10月5日)2019年10月6日閲覧
  15. ^ 京の人今日の人:舞鶴初の海自女性艦長 加藤淳子さん 自然体で220人を指揮 /京都” (日本語). 毎日新聞. 2020年5月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
  • 『世界の艦船』第750号(海人社、2011年11月号)

関連項目[編集]