あしなが育英会

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一般財団法人あしなが育英会
団体種類 一般財団法人
設立 1988年4月20日
所在地 102-8639
東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館4階
主要人物 玉井義臣(会長)
活動地域 日本の旗 日本
ウェブサイト http://www.ashinaga.org/
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一般財団法人あしなが育英会(あしながいくえいかい)は、東京都千代田区平河町に本部を置き、さまざまな国内外の遺児を支援している非政府組織(NGO)。交通遺児の“恩返し”活動によって発足した団体であるが、公益財団法人交通遺児育英会とは別の組織である。

設立以来任意団体として活動していたが、2019年4月に一般財団法人に移行した[1]。法律上、収支の公開は義務付けられておらず(公開はされている)、また、同会への寄付は所得税法上の寄附金控除の対象とはなっていない。

概要[編集]

  • 1993年 発足(母体である「災害遺児の高校進学を進める会」は1988年発足)
  • 代表者: 会長 玉井義臣(第2代)
  • 所在地:
本部: 〒102-8639 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館4階
神戸レインボーハウス・虹の心塾: 〒658-0012 兵庫県神戸市東灘区本庄町1-7-3
あしながレインボーハウス・あしなが心塾: 〒191-0033 東京都日野市百草892-1

由来[編集]

名称は、アメリカの小説家ジーン・ウェブスター1912年に発表した小説『あしながおじさん』(Daddy-Long-Legs) にちなむ。交通遺児による“恩返し”活動からスタートしたが、奨学金の支援対象は病気災害(道路における交通事故を除く)・自死(自殺)などで親を亡くした遺児や、それらが原因で親が重度の障害を負った家庭の子どもである。

支援者・支援団体[編集]

活動内容[編集]

あしなが育英会は、「あしながさん」と呼ばれる「奨学金を継続的に送金する支援者」を随時募集している。先述の『あしながおじさん』からイメージを拝借したもので、“どこかの誰かが、どこかの遺児に毎月いくらかのお金を、育英会を通じて贈る”という奨学金制度である。遺児救済「あしなが運動」によって、これまで約10万人の遺児が、「あしながさん」の支援により高校、大学に進学している。

また、あしなが育英会は、奨学金育英事業団体としての活動だけでなく、継続的な心のケアを支援の柱として重要視しており、継続的な心のケアを行う施設として1999年、神戸市東灘区に「神戸レインボーハウス(虹の家)」、2006年には東京都日野市に「あしながレインボーハウス」を建設した。両施設では心のケア活動だけでなく、ケアの手助けをするボランティア「ファシリテーター」の養成もおこなっている。また、両施設には、遺児進学のための学生寮「虹の心塾」・「あしなが心塾」も併設されており、経済的な面でも支援している。レインボーハウスはウガンダにもあり、現地の遺児達の心のケアと教育支援(寺子屋教育)を行っている。

毎年夏頃、主に奨学金貸与者を対象としたキャンプ「つどい」をおこなっている。対象は高校生(高校奨学生のつどい)と大学・専門学校の1年生(西湖のつどい)で、数日間遺児同士が班ごとに分かれ、オリエンテーションや寸劇をしたり、自分自身の過去や未来について考えたり、近年では、ITと呼ばれる世界有名大学からのインターン生や日本に留学している留学生との国際的な交流したりするプログラムも実施されている。「西湖のつどい」では、以前つどいに参加した大学2年以上の学生らが“お兄さん・お姉さん”役として、「高校奨学生のつどい」には、大学・専門学校の1年生らがサポートする。2005年から2007年までの3年間は、毎年「つどい」に海外の遺児約100人を招き交流した。

さらに、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災で保護者が死亡、あるいは行方不明になった新生児から大学院生(専門学校も含む)までの遺児、及び孤児2,075人に使途自由・返済義務のない特別一時金として一律282万1964円を支給すると共に、神戸、東京、ウガンダに次ぐ、親を亡くした子供たちのための心のケア施設「仙台レインボーハウス」、「石巻レインボーハウス」、「陸前高田レインボーハウス」を2014年に建設した。

2018年4月からは、返還の義務がない給付型奨学金制度を新設し、高校生に月2万円、専門・大学生に月3万円、大学院生に月4万円を貸与型奨学金に上乗せして給付する。[6]

奨学金[編集]

親が病気や災害(道路上の交通事故をのぞく)または自死(自殺)などで死亡、あるいは親が著しい障害を負っている家庭の子どもが対象である。[7]※著しい障害とは、次の障害認定を受けている場合をいう

障害者福祉法、国民年金法、厚生年金保険法施行令、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、労働者災害補償保険法施行規則に定める第1級から第5級

奨学金 月額
高等学校・高等専門学校 国公立 45,000円(内貸与2万5千円・給付2万円)
私立 50,000円(内貸与3万円・給付2万円)
大学・短期大学 一般 70,000円(内貸与4万円・給付3万円)
特別 80,000円(内貸与5万円・給付3万円)
専修・各種学校 7万円(内貸与4万円・給付3万円)
大学院 12万円(内貸与8万円・給付4万円)
入学一時金 貸与額
私立学校入学一時金 高校30万円・大学40万円
進学仕度一時金(高校奨学生対象) 40万円

あしなが学生募金[編集]

あしなが育英会から奨学金を借りている遺児学生によって組織される「あしなが学生募金事務局」によって、春と秋の年二回実施される。募金のスタイルとしては、“手を振って応える足の長い紳士の後ろ姿”のイラストを描いた旗と募金箱を持ち、学生(あしなが奨学生とボランティア)が街頭で“遺児の進学支援のための募金を訴える”ことで知られている。学生による街頭募金が始まったのは1970年秋田大学の春の大学祭からで、当時は交通事故の遺児救済の募金であった。その秋田大学の有志が、全国の大学クラブに呼びかけ、組織が拡大。のちに遺児が主体の活動となり現在に至る。この募金で集まった寄付金は、全額あしなが育英会に寄付されている[8]

学生寮 あしなが心塾・虹の心塾[編集]

  • あしなが心塾:東京都日野市百草892-1(百草園隣接)
  • 虹の心塾:兵庫県神戸市東灘区本庄町1-7-3
  • 遺児進学のための学生寮(短大・大学生が対象、専門学生は対象外)
  • 寮費2食付月1万円
  • 暖かい心、広い視野、行動力、国際性を兼ね備えた人類社会に貢献できる人の育成を目的としている。
  • 最上級生以外は全員4人部屋に入る。人とのぶつかり合い・切磋琢磨が誘導される空間。
  • 便所・風呂:男女別共同
  • 読書感想文や英語レッスン、講座などな様々なカリキュラムがある。

役員など[編集]

  • 玉井義臣 - 会長。遺児救済運動創始者
  • 堀田力 - 副会長。公益財団法人さわやか福祉財団理事長、復興庁復興推進委員会委員、弁護士
  • 村田治 - 副会長。関西学院大学学長。遺児奨学生OB
  • 樋口恵子 - 副会長。特定非営利活動法人高齢社会をよくする女性の会理事長
  • 青野史寛 - 副会長。ソフトバンク株式会社人事部長。遺児奨学生OB
  • 天野聡美 - 副会長。イラストレーター。遺児奨学生OG
  • 有馬朗人 - 副会長。元文部大臣、元東京大学総長
  • 藤村修 - 副会長。元衆議院議員、内閣官房長官
  • 金木正夫 - 理事。ハーバード大学医学部准教授。遺児奨学生OB
  • 副田義也 - 理事。あしなが育英会最高顧問、元筑波大学副学長、名誉教授
  • 下村博文 - 元副会長。元文部科学大臣兼オリンピック担当大臣。交通遺児育英会奨学生第一期生。
  • 村山武彦 - 元副会長。早稲田大学理工学術院創造工学部教授。遺児奨学生OB
  • 近藤正晃ジェームス - 元理事。ツイッタージャパン(株)日本代表、世界経済フォーラム(ダボス会議)ヤンググローバルリーダー

脚注[編集]

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参考資料[編集]

  • 「あしなが運動と玉井義臣―歴史社会学的考察」 副田義也 岩波書店
  • 「災害がにくい ―災害遺児作文集」 玉井義臣 サイマル出版会
  • 「お父さんがいるって嘘ついた―ガン・闘病から死まで、遺族たちの心の叫び」 あしなが育英会 副田義也 廣済堂出版
  • 「黒い虹-阪神大震災遺児たちの一年-」 あしなが育英会 編筑波大学教授 副田義也 監修 廣済堂出版
  • 「自殺って言えなかった。」 自死遺児編集委員会・あしなが育英会 サンマーク出版
  • 「世界の遺児 100人の夢 そして私は一人ぼっちになりました」 あしなが育英会編著 岩波ジュニア新書

関連項目[編集]