あすか (鉄道車両)

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国鉄12系客車 > あすか (鉄道車両)
国鉄14系客車 > あすか (鉄道車両)
あすか
JRwest14Asuka.JPG
「あすか」
基本情報
運用者 西日本旅客鉄道
種車 12系客車
14系客車
製造年 1987年
改造所 西日本旅客鉄道鷹取工場
改造数 7両
運用開始 1987年昭和62年)11月1日
廃車 2018年平成30年)3月31日
主要諸元
編成 7両編成
軌間 1,067 mm
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EF58 150牽引による「あすか」(1988年、高松駅)

あすかは、かつて西日本旅客鉄道(JR西日本)が1987年昭和62年)から2018年平成30年)まで保有していた鉄道車両客車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。

概要[編集]

日本国有鉄道(国鉄)大阪鉄道管理局(大鉄局)では、かつてスロ62形・スロフ62形客車を改造したお座敷客車であるスロ81形・スロフ81形客車の6両編成を置き換えるため、1986年(昭和61年)に新たな和風客車として「みやび」を登場させていた。しかし、JR化目前の1986年12月28日に「みやび」は余部橋梁上で日本海からの強風にあおられ全車両が転落し、廃車となったため、大鉄局には和風客車が存在しない状態となった。転落事故で廃車となった「みやび」の代替が早急とされたのであった。

このため、1987年1月には新型和風客車の構想が発案され、同年4月には正式に改造・製作が決定され、同年6月より鷹取工場において本格的に製造が開始されたものである。

車両[編集]

号車 車両形式 側面の扇の配色 改造前 定員 設備
1 マロフ12 851「桜」 縹色 スハフ12 132 24人 展望車
2 オロ12 851「銀杏」 芥子色 オハ12 348 28人 談話室
3 オロ12 852「菖蒲」 鶯色 オハ12 337 28人 談話室
4 オロ14 851 茜色
木賊色
黄土色
オハネ14 3 - フリースペース
ハイデッカー車
5 オロ12 853「すすき」 薄群青色 オハ12 339 28人 談話室
6 オロ12 854「水仙」 桜桃色 オハ12 340 28人 談話室
7 マロフ12 852「桜」 中紫色 スハフ12 30 24人 展望車

全車両、宮原総合運転所(現・網干総合車両所宮原支所)所属で、全車グリーン車扱いとなる。4号車のハイデッカー車のみ14系寝台客車、それ以外の車両は12系客車より改造されており、両端の車両はマロフ12形850番台、中間の車両はオロ12形850番台、イベント車はオロ14形850番台である。日本の客車では初めてベンチレーターを電動開閉式とし、手動レバーを廃止した。

各車両共通の改造として、すべての窓をブロンズガラスで統一したほか、デッキと客室の出入口は自動ドアとした。また、便所については従来のFRP製のユニットを一旦撤去した上で、暖色系の化粧板を使用したユニットを設置し、清潔で豪華な雰囲気を狙った。便所床にはステンレス板を使用し、電着塗装によりクリーム色とした。洗面所は化粧室とするため、温水器・冷水機などを移設した上、大理石風のカウンターを使用してレール方向に長くとり、大型の鏡を設置した。化粧板は淡いクリーム色とし、洗面器はグリーン系統の色とした。

コンセプト[編集]

「あすか」

それまでのお座敷列車は、中・高年齢層向けというイメージが強かったため、本車両ではレトロ・モダンな雰囲気を車両内外に取り入れることで、若年者層の乗客にも違和感なく利用できることを狙った。

外部塗装は、シンプルかつシックで安らぎを感じられるように、日本の古典的配色を使用することで、外観で車両イメージを表現するよう配慮した。やわらかいグレー系をベースカラーとし、車両の連結面付近には白い雲を表現したデザインを施すことで編成としての流れをあらわした。また、各車両には扇面を大きく描いたが、扇の色は日本古来の伝統的な色から9色を選び、各車両で色を変えることにより華やかさをかもし出すことを狙った。特に4号車のハイデッカー車では、3色の扇を並べることで変化をもたせるとともに、編成の中心であることを表現した。

展望室[編集]

7号車 マロフ12 852

編成の両端の1号車と7号車には展望室を設置するため、スハフ12形の乗務員室側連結面を編成内側に向け、便所・洗面所を撤去した上で車端部から4.95メートル分を展望室とした。展望室の窓には可視光線透過率を47%とした曲面ガラスを採用し、吹き寄せ部分を可能な限り細くした。

室内は茶色系でまとめ、移動可能な赤紫色モケットのソファーを11席配置した。天井には花びらをデザインしたシャンデリアを設置し、格調高い劇場サロンのようなムードの演出を狙った。シャンデリアは点灯時にはピンク色、消灯時にはブルーに変化する調光式とした。

和室[編集]

2号車 オロ12 851

4号車を除く各車両の客室は、和風客室としている。客室は床面より250ミリかさ上げした上で、588ミリ幅の通路を残して全面畳敷きとした。通路側の座敷下には下駄箱と足元灯を設置している。通路側には座敷からの転落防止用と手すりを兼ね、天井格子と同色の衝立を設置した。座敷上のテーブルは4名1組の折りたたみ式とし、展望車では6卓、それ以外の車両では7卓設置した。掘り炬燵構造にはなっていない。座席は座椅子を配置した。

和室の天井は淡いベージュ色基調とし、天井格子をダークブラウンとした。照明具や空調吹出口が目立たないように配慮している。

側面窓は横に拡大するとともに、横桟に変化を持たせた障子を設けた。この障子は、全開時にはすべて吹き寄せ部分に重ね収納できるようにすることで、座敷からの展望に配慮している。また、荷物棚は扇子をモチーフとしたデザインとし、天井格子と同色とした。

客室端部は、一方には収納庫や洋服かけを設置し、もう一方には28インチテレビやカラオケ機器などを設置した。収納庫の開き戸には各号車の愛称名と同じ植物の絵を描いた。

談話室[編集]

2・3・5・6号車には、少人数で歓談できるように、談話室を設けた。室内はタイルカーペットを敷いた上で5人分のソファーとテーブルを配置した。また、談話室の壁には各号車の植物をモチーフとした額を飾っている。なお、通路側の仕切りはガラス張りとしている。

ハイデッカー車[編集]

4号車 オロ14 851

4号車は本編成の目玉商品として、展望コーナー・イベントコーナー・カウンターコーナーを一体化した上で、それぞれの設備の個性を引き出すことを狙った。この車両では、床面は500ミリかさ上げされ、自然な色合いのカーペットで市松模様に敷いた上で、ソファーの表地も織物を使用することで、リビングルームのような落ち着きを表現し、ゆったりくつろげるように配慮した。

展望コーナーの部分の側面窓は大型の曲面ブロンズガラスを使用し、編成端の展望室同様に広い眺望を得られるようにした。天井は灯火類・スピーカー・空調吹出し口をすべて平天井にまとめ、シンプルな仕上げとした。

客室内の一端にはイベントコーナーを設けた。ステージの背面は鏡張りとした上、床にはボディソニックパネルを2枚埋め込むことで、臨場感を味わうことが出来るよう配慮した。また、このコーナーからは全車両に対してビデオ放送やステージからの実況中継ができるようにした。なお、ステージを使用しない場合は、鏡張り部分はシックな色のカーテンで覆うようにした。

カウンターコーナーは、洋風でカフェバー風のカウンターを設置したが、和風のイメージを感じられるようにカウンターの色は漆調の配色とした。シンプルな中で豪華さを感じられるように、カウンター下部と車内の腰板は絨毯張りとした。

運用[編集]

EF65形に牽引される「あすか」
EF81形に牽引される「あすか」

1987年10月末に展望車とハイデッカー車を含む5両が完成、同年11月1日から暫定的に5両編成で営業運行を開始した。同月20日には残り2両の改造も終了、以後は7両編成で運行されたが、運用区間・需要によっては6両に短縮されて運行されることもあった。

1996年(平成8年)ごろにはリニューアル改造を受け、団体臨時列車中心に運用されたが、運転機会は少なくなってきていた。

2016年(平成28年)7月6日、展望車であるマロフ12 851とマロフ12 852が吹田総合車両所に回送され[1]、2016年9月5日付で廃車された[2]

2016年10月19日、ハイデッカー車を含む中間車5両であるオロ12 851、オロ12 852、オロ14 851、オロ12 853、オロ12 854が吹田総合車両所に回送され[3]、オロ12 851とオロ12 852は2016年11月17日付で廃車された[2]。残りのオロ14 851、オロ12 853、オロ12 854も2018年3月31日付で廃車され[4]、全車廃車となった。

脚注[編集]

  1. ^ 「あすか」展望車2両と「トワイライトエクスプレス」用24系1両が吹田へ - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2016年7月7日
  2. ^ a b 交友社鉄道ファン』2017年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」
  3. ^ "あすか"吹田へ輸送 - 『鉄道ホビダス』ネコ・パブリッシング 最新鉄道情報 2016年10月19日
  4. ^ 交友社鉄道ファン』2018年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」

参考文献[編集]