いつか、眠りにつく日

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いつか、眠りにつく日』(いつか、ねむりにつくひ)は、いぬじゅんによる日本ケータイ小説作品。第8回日本ケータイ小説大賞大賞・進研ゼミ中学講座賞のダブル受賞作品で書籍化されている。文庫化に伴い、表紙イラスト(絵・中村ひなた)が飾られた。書籍化に伴い加筆修正されている。サイトでの掲載時やハードカバーでは横書きであったが、文庫版では縦書きになった。ノンタイアップながら10万部突破のヒット作。2017年度「第一回スタ文総選挙」において優勝し、FODにより連続ドラマ化の予定。

あらすじ[編集]

高校2年生の森野蛍は、友人の大高蓮に5年間の片思いをしていたが、告白もせず、親友にも相談できずにいた。そんな折、蛍は修学旅行中の玉突き事故で思いを伝えられないまま命を落としてしまう――かに思われたが、死んだ蛍の前に案内人だという名もない男が現れる。真っ黒なスーツをはじめ髪の色など全身黒く統一された男は、蛍が3つこの世に残した未練を晴らし“あっちの世界”へと行くために正しく案内するために来たという。蛍はそいつを黒い姿からクロと呼ぶことにした。

案内者や未練を残した相手や同じ境遇の者にだけ姿は見え、未練解消にはタイムリミットがあるらしい。

蛍はクロと共に残された時間の中で未練を晴らすために奔走する。祖母・福嶋タキとの会話、親友・山本栞との仲直り、心残りを一つずつ解決していくかに見えたが、蓮とだけは心の踏ん切りがつかずなかなか会いたくても会えない。覚悟が持てずにいたところ松村涼太や恭子に出会い前に進む気力を得た蛍は、蓮に告白しようとする。初めて会った時から蓮が好きだった蛍。だが、告白したのは蓮からだった。蓮もまた同様に初めて会った時から、会話も覚えているほどに好きだったという。

お互いの気持ちを伝え合うも別れは突然訪れる。蛍は生きている間の、たくさんあった時間をどうしてもっと大切にしなかったのだろうと悔やむ。

蛍はすべての未練を解消したかに思われたが、クロから思わぬ事実を告げられる。

登場人物[編集]

森野蛍(もりの ほたる)
演) - 大友花恋
主人公。いつも校舎横の大きな木の下で読書をするのが趣味で、そこから陸上部の蓮のことも見ている。蓮と友人のひとりであることにジレンマを抱えていた。おばあちゃん大好きっ子。高校に入ってから出会った栞とは親友。
クロ
演) - 小関裕太
“あっちの世界”への案内人。身につけているものが黒いことから蛍からクロと呼ばれているが本当の名は不明。見た目は人間だが、人間が驚かないようにそういう姿をしている。二百年ほど案内人をしているが、クロよりも長い案内人もいる。
大高蓮(おおたか れん)
蛍がふざけて言うには「陸上バカ」で、修学旅行の前日もしばらく練習できなくなるからと、ホームルームの後の修学旅行についての説明もそこそこに急いで部活(陸上部)に参加している。なにかと蛍の髪の毛をくちゃくちゃにする。
山本栞(やまもと しおり)
蛍の親友。蛍が蓮へ片思いしているのに気づいているが、なかなか相談してくれないことを焦れったく思っている。
福嶋タキ(ふくしま たき)
蛍の母方の祖母。総合病院に入院していた。
竹本トシ(たけもと とし)
病院で出会ったいわゆる地縛霊で、嘘をついて精気を吸い取ろうと襲いかかってきたところをクロに倒される。
大場孝夫(おおば たかお)
子供が産まれたばかりなのに死んでしまった者。未練が期間中に叶わない内容なことから地縛霊にならずにこの世に留まっているいわゆる霊。定期的にクロに“あっちの世界”に行くことをすすめられている。
カクガリ
涼太を担当している新人の案内人。カクガリとは蛍が呼んでいる名称。角刈り頭。
松村涼太(まつむら りょうた)
自分が死んだということを理解できずにカクガリにあたりつけていた、5歳くらいの男の子。幼稚園で飼っていたウサギの出産が気がかりだった。
仲山麻紀子(なかやま まきこ)
涼太の通っていた幼稚園の先生。涼太に声をかけたことでトラックに撥ねられてしまったことにショックをうけ、仕事を休んでいる。涼太の母親により立ち直る。
恭子(きょうこ)
高校の屋上で出会った地縛霊。痴情のもつれで二十年前くらいに自殺した。恭子を担当した案内人がいまでも定期的に邪気を吸い取りに来ているおかげでいわゆる悪い霊にならないですんでいる。実はその案内人はクロ。

用語[編集]

未練
命を落とす最後の瞬間に頭に浮かんだこと。親しい人間へのやり残したことなど人によって異なる。
地縛霊
未練の解消に失敗した場合、最終的になってしまう存在。はじめは人間の姿をとっているが、人外の外観になる。

書籍[編集]

ハードカバー
文庫版
  • 2016年4月28日発売、スターツ出版文庫、ISBN 978-4813700920