お色気番組

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お色気番組(おいろけばんぐみ)とは、下ネタや性的な描写、いわゆるお色気を扱ったバラエティ番組およびテレビドラマ。主に深夜番組の枠で放送される。「エロ番組」と表現されることもある。

概要[編集]

番組放映当時は、通常の情報番組やバラエティー番組として放送されていたが2000年代以降、このような番組が地上波から減少していったため、視聴者やメディアからこのような名称で呼ばれるようになった。

なお現在でも「深夜番組お色気番組」と捉えている視聴者も少なからずいる。

放映される時間帯は、一部はプライムタイム(22時台など。中には昼過ぎに放送されたものもある)以前の時間帯に放送されるケースもあるが、深夜帯を主とする。1984年、フジテレビオールナイトフジ』が深夜番組としては驚異的な視聴率を獲得し、他局も同様の番組を土曜深夜に放送するようになったためである。

放送局別に見ると後述のように、TBSとフジテレビには歴史的にも放映例が少なく特にNHK公共放送としての使命上皆無とならざるを得ない。ワイドショー形式の全国ネット番組が特にそうである。若干は存在するが、TBSではこの種の番組を全国ネットしようとすると準キー局・朝日放送(ABC)と毎日放送(MBS)にネット受けを拒否されるケースがあり、実際にそれを理由とした打ち切りも起こるなど他局に比べて短命であった。

また、多くの番組は独立局をはじめとするローカル局BS、CSで製作・放送されており、キー局ではテレビ東京で製作されている程度である。その分、インターネットテレビでの製作は盛んとなっている。

本来はレジャー情報・事件、さらには政治・経済等を含む時事問題などをも取り上げる深夜・プライムタイムの情報番組やワイドショー形式の番組であっても、お色気を含む場合は番組自体が「お色気番組」とされることが多かった。しかしこのような硬軟・清濁を織り交ぜた番組は、1960年代から1990年代こそ多かったが2000年代後半以降では皆無である。1990年代までは男女共にも放送されていたものの、2000年代頃からは地上波では水着が限界となっている。女性の場合、その水着でさえも批評を受ける状況にあり、内容の過激さは年々失われている。

このような状況になったのは、メディアの影響力は大きく1997年頃から神戸連続児童殺傷事件をはじめ少年犯罪が相次いで起き(年間215,629件)、「性的・暴力的な映像が青少年に悪影響を与える」として対策を検討された事や未成年の生活習慣などの変化によるものだと考えられている。また1998年からは映画のレイティングシステム(R-15指定、R-18指定、PG-12指定)が導入され、性的描写だけでなく暴力や殺人などの反社会的行為に関する描写も重要な判断要素の1つとされた。

有料放送[編集]

2000年代後半頃からはスカパー!などの衛星放送で、お色気・アダルト内容の番組を扱うチャンネルが新設されている。2010年代以降はコンプライアンス問題による自主規制により、そのテイストはCS専門局やウェブ配信番組に移行している[1][2]

中でもパラダイステレビの「おっぱい募金(24時間テレビ エロは地球を救う)」は、東京スポーツが公開した動画の再生回数が2本で80万回を突破し、日本のみならずアメリカ・韓国・台湾・フィリピン・シンガポール・カナダ・ロシアなど海外のニュースでも報道された[3]。当初はイベント自体もあまり知名度がなく参加者も多くはなかったが、近年のインターネットのニュースサイト・SNSなどで当企画が取り上げられ、外国人の募金者や成人女性も多く参加するなどイベントへの参加者が急増した。第13回(2015年)では来場者数7175人と過去最多記録を更新した[4]

BSスカパー!で放送された「徳井義実のチャックおろさせて〜や」はスカパー!加入者限定の特別番組にも関わらず大人気番組となり、動画共有サービスYouTube」にも投稿されたことで、スカパーに加入していない視聴者にも好評を得た[5]。この番組の影響で海外のバラエティ番組に招待された出演者もいるなど、2010年代に最も人気を獲得したお色気番組となった。BAZOOKA!!!の「おっぱいスペシャル」もレギュラー企画となり人気を集めた[6]

海外[編集]

海外では日本と違いお色気番組を放送する際には男女共にヌードや性器の露出なども普通に地上波で放映されている。

イギリスでは夜9時以降であれば映像を処理せず番組を放送することが可能であり、ネイキッドアトラクションのような番組が人気を得ている。また80年代から90年代初頭にかけてイタリアではコルポグロッソのような成人向けテレビ番組が存在し、2000年代にはカナダインターネットテレビ番組「NAKED NEWS」が話題になった。これらの番組は日本のテレビ番組でも紹介された。

近年[編集]

AV女優のテレビ進出・タレント化もあり、前述の状況と相反し、お色気番組に限らず、AV女優や風俗嬢などが深夜番組に出演するのは珍しいことではなくなっている。地上波でエロネタ・下ネタが取り上げられる事はほぼ皆無になったが、時代に逆行する形で、TOKYO MXの「5時に夢中!」ではエロネタ・下ネタが取り上げられている。特に月曜と木曜がそうであり、時には批判を浴びることもある。またYouTubeなどではセクシー女優YouTuberがエロ企画・エロネタを行っていたりもする。

放送基準・性表現[編集]

日本民間放送連盟による性表現(11章)の放送基準では、以下の通りである[7]

  • 性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
  • 性感染症や生理衛生に関する事柄は、医学上、衛生学上、正しい知識に基づいて取り扱わなければならない。
  • 一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも過度に官能的刺激を与えないように注意する。
  • 性的犯罪や変態性欲・性的倒錯を表現する場合は、過度に刺激的であってはならない。
  • 性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。
  • 全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。
  • 出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。

民放各局はこの基準に準じて番組を制作しなければならないという規制がある。

クレーム[編集]

お色気番組へのクレームは1960年代頃から郵政省(現:総務省)をはじめ、PTA国会衆議院予算委員会)などからも槍玉に上げられるなど問題視されており、青少年不良防止の為の低俗番組追放といった表現の自主規制介入が行われていた。

1980年代には当時、内閣総理大臣を務めていた中曽根康弘首相性風俗店の摘発やお色気番組の規制にも力を入れた。

中曽根首相は、国会答弁で「まず当面は、郵政省が監督権を持っておるわけでございますから、郵政省の側においてよく民放の諸君とも話をしてもらって、そしていやが上にも自粛してもらうし、その実を上げてもらう。郵政省としてはそれをよくチェックして見て、そして繰り返さないようにこれに警告を発するなり、しかるべき措置をやらしたいと思います。」と述べ、その後のお色気番組の自粛の遠因になった。

世間一般では「低俗番組」や「女性蔑視」などの評価を受けることも多い。

BPO(放送倫理・番組向上機構)の場合は「番組を監視して罰するところではなく、あくまでも放送事業者自身が自主的にさまざまな問題を解決していくために視聴者やスポンサーからの苦情・意見を審議する」団体であり、直接番組へクレームを入れている訳ではない。

2009年サンテレビで放送されていた「今夜もハッスル」が青少年委員会から「あまりにも低俗すぎる」という厳しい意見が相次いだため、放送倫理・番組向上機構(BPO)が質問状を送った。指摘を受けたサンテレビ側は「外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました。」と行き過ぎが多いと判断したため、番組の打ち切りが決定した[8]

代表的なお色気番組[編集]

日本

1960年代[編集]

1970年代[編集]

1980年代[編集]

1990年代[編集]

2000年代[編集]

2010年代[編集]

海外

その他[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ パンチラ、おっぱいの揉み合い、ブラジリアンワックス!――過激な内容でもオイシイ現場!? AbemaTVとグラドルの関係”. サイゾーpremium (2018年9月30日). 2019年5月10日閲覧。
  2. ^ ネット版『モヤさま』でグラドル大暴れ! 火花バチバチのセクシーアピール合戦で男性スタッフを悩殺” (日本語). メンズサイゾー (2019年4月16日). 2019年5月10日閲覧。
  3. ^ https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_36956/
  4. ^ https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/gravia/480598/
  5. ^ https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_20130718_20521/
  6. ^ https://www.excite.co.jp/news/article/Kai_you_14229/
  7. ^ https://j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032#hk11
  8. ^ https://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/OSK200906270093.html
  9. ^ a b c d シロツグ、54頁
  10. ^ a b c d シロツグ、55頁
  11. ^ こじへい (2017年9月12日). “全裸姿がカメラに……伝説のお色気番組を振り返る” (日本語). エキサイトニュース. 2019年5月11日閲覧。
  12. ^ 下地直輝 (2016年12月20日). “乳首も丸出し…もの凄くエロかった「志村けんのバカ殿様」” (日本語). エキサイトニュース. 2019年5月11日閲覧。
  13. ^ こじへい (2017年3月14日). “全裸のAV女優が多数登場……「低俗の限界」に挑んだ伝説の企画とは?” (日本語). エキサイトニュース. 2019年5月11日閲覧。
  14. ^ a b シロツグ、56頁
  15. ^ 男性ウケお色気番組受難の時代 独自路線の深夜バラエティーは生き残れるか – 東京スポーツ新聞社” (日本語). 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社 (2018年4月2日). 2019年5月11日閲覧。

参考文献[編集]

  • シロツグケンイチ「BPOにモノ申す! オレたち、やっぱり地上波で裸が見たい!! 伝説の『TVエロ企画』30年史」『CIRCUS MAX』第6巻第3号(平成25年6月号)、ベストセラーズ、2013年5月10日、 54-57頁、 全国書誌番号:01022562
  • 「そもそもなんでダメなんだっけ?[1]」(テレビ東京) - 2019年12月30日 / お色気番組の規制について取り上げられた。

関連項目[編集]


  1. ^ https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2019/020883.html