にあんちゃん

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にあんちゃん』は、1958年に出版された安本末子の著書。在日コリアンである安本が10歳の頃に書いた日記である。

本項では、同書を原作とする映画とテレビドラマに関しても記述する。

書籍[編集]

1958年に光文社からカッパ・ブックスの一冊として出版され、1959年の出版ニュース社調べによる年間ベストセラーランキングで1位を記録した[1]

その後も1975年に光文社から改訂版が出版され、1977年に筑摩書房からちくま少年文庫の一冊として、1978年に講談社から講談社文庫の一冊として、2003年に西日本新聞社から、2010年に角川書店から角川文庫の一冊として発行されている。

佐賀県東松浦郡入野村(現在の唐津市)を舞台[2]に第1部は昭和28年(1953年)1月22日から12月2日まで[3]と第2部は昭和29年(1954年)2月25日から9月3日まで[4]と綴っている。

朝鮮語の訳本の原題は「クル・ムン・フルゴ(雲は流れて)」である[5]

映画[編集]

概要[編集]

1959年10月28日公開の日本映画日活が製作・配給した。今村昌平監督。

今村と池田一朗が脚色し、今村が映画化した。

映画製作時には作品の舞台となる佐賀県の大鶴炭鉱が閉山されていたので[6]、実際の撮影は海を挟んだ対岸の長崎県福島(当時は福島町、現在の松浦市)にある福島鉱業所鯛之鼻炭鉱でロケが行われた[7][8]。映画では鯛之鼻ではなく鶴之鼻炭鉱になっている。

昭和28年(1953年)頃の小さな炭鉱町を舞台に、両親を亡くした4人の兄妹が貧しくても懸命に生きる姿を重厚なリアリズムで描いている。

この作品で今村は文部大臣賞を受賞しているが、今村はこの映画はやりたい企画ではなく、文部大臣賞の受賞については健全な映画を撮ったことに反省したという。第33回キネマ旬報ベスト・テン第3位。

スタッフ[編集]

出演者[編集]

安本喜一:長門裕之
安本家の長男。鉱山で働いていたが首になり、辺見の紹介で長崎の工場で働く。
堀かな子:吉行和子
保健婦。西脇にレントゲン写真を撮らせようと説得する。
松岡亮一:二谷英明
かな子の婚約者。
安本高一:沖村武
安本家の次男。妹のためにいりこ屋でアルバイトをしたり、東京で働きに行こうとする。
安本末子:前田暁子
安本家の次女。物語は彼女の視点から描かれている。
安本良子:松尾嘉代
安本家の長女。精肉店で働いている。
坂田の婆:北林谷栄
人身売買のようなことをしている。安本家の父の出棺の時にアイゴーと泣く真似をしている。
坂井:芦田伸介
炭鉱の労務課長。辺見とは旧友である。
北村五郎:西村晃
炭鉱の共同浴場の風呂焚き。
金山春夫:小沢昭一
炭鉱の労働者。浪花節が上手い。
辺見源五郎:殿山泰司
炭鉱の労働者。安本の父の仕事仲間。事故で足を怪我する。
鉱業所長:山内明
閔さん:大森義夫
安本の父に世話になった男。
正禹:高木均
炭鉱の労働者。
かな子の母親:賀原夏子
西脇せい:山岡久乃
西脇の妻。かな子にレントゲンや生活保護はいらんと怒鳴る。
桐野先生:穂積隆信
小学校の教諭。
西脇:浜村純
かな子からレントゲンを撮れと説得されている。子供が赤痢で亡くなり、自殺する。
曽我:垂水悟郎
炭鉱の坑夫。
精肉店主:松本染升
良子を雇っている。
坂田義雄:福原秀雄
坂田の婆の倅。
労務幹部:加原武門
閔の妻:牧よし子
源五郎の妻たつ:辻伊万里
自転車店員:高原駿雄
自転車店長:河上信夫
西河:大滝秀治
いりこ屋の主人。高一をアルバイトとして雇う。
義雄の妻花子:高山千草
北村の妻菊枝:田中敬子
保健所係長前田:日野道夫
榎木兵衛(クレジットでは榎本兵衛になっている)

テレビドラマ[編集]

1959年版[編集]

にあんちゃん 十才の少女の日記』(にあんちゃん じゅっさいのしょうじょのにっき)というタイトルで、1959年2月27日金曜) 22:00 - 22:45 (日本標準時)にKRテレビ(現・TBS)製作・三洋電機提供の『サンヨーテレビ劇場』で放送。

スタッフ[編集]

出演者[編集]

1960年版[編集]

1960年11月27日から同年12月11日までフジテレビ製作・富士電機提供の『富士ホーム劇場』で放送。全3回。放送時間は毎週日曜 19:30 - 20:00 (日本標準時)。

スタッフ[編集]

  • 原作:安本末子
  • 脚本:松田暢子
  • 演出:島田親一

出演者[編集]

KRテレビ サンヨーテレビ劇場
前番組 番組名 次番組
燃えろ燃えろ
(1959年2月27日)
にあんちゃん 十才の少女の日記
(1959年2月27日)
遺留品
(1959年3月6日)
フジテレビ 富士ホーム劇場
つづり方兄妹
(1960年11月6日 - 1960年11月20日)
にあんちゃん
(1960年11月27日 - 1960年12月11日)
ともしび
(1960年12月18日 - 1960年12月25日)

脚注[編集]

  1. ^ [戦後ベストテン]「にあんちゃん」=1959年 4人兄妹の生活誌読売新聞、1995年8月19日付東京夕刊。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  2. ^ 安本末子. にあんちゃん. 角川書店(角川文庫). p. 12. 
  3. ^ 安本末子. にあんちゃん. 角川書店(角川文庫). p. 11. 
  4. ^ 安本末子. にあんちゃん. 角川書店(角川文庫). p. 129. 
  5. ^ 安本末子. にあんちゃん. 角川書店(角川文庫). p. 272. 
  6. ^ 社団法人唐津観光協会、「唐津んもんだより」第55号(2011年5月6日)、「日活映画にあんちゃんの思い出」,2019年2月5日閲覧。
  7. ^ 日活、映画、にあんちゃん,2019年2月5日閲覧。
  8. ^ 一般社団法人石炭エネルギーセンター、様々な媒体から見る炭鉱の風景、映像作品、映像作品,2019年2月5日閲覧。