ひこうき雲 (荒井由実のアルバム)

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ひこうき雲
荒井由実スタジオ・アルバム
リリース
ジャンル J-POP
ニューミュージック
時間
レーベル EXPRESS
プロデュース 村井邦彦
チャート最高順位
荒井由実 アルバム 年表
ひこうき雲
(1973年)
MISSLIM
(1974年)
『ひこうき雲』収録のシングル
  1. 返事はいらない
    リリース: 1972年7月5日
  2. きっと言える
    リリース: 1973年11月5日
  3. ひこうき雲
    リリース: 2013年7月3日
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ひこうき雲』(ひこうきぐも)は、荒井由実(現:松任谷由実)の1枚目のアルバム1973年昭和48年)11月20日に、東芝EMI株式会社[注 1]からリリースされた[注 2]

解説[編集]

本作にはデビュー・シングル曲「返事はいらない」や翌年のシングル曲「きっと言える」とそのB面の「ひこうき雲」が収録されている。デビュー・シングルは300枚しか売れなかったため、「幻のデビュー・シングル」とも呼ばれており、荒井の名を広く知らしめたのは後者の2曲である。フォーク全盛の当時において、プロコル・ハルムミッシェル・ポルナレフの影響を受けたとされる荒井の作品は、衝撃を持って受け止められた[1]。なお「ひこうき雲」については荒井自身が2013年の『SONGS』(NHK)において、ともに愛好する音楽であるクラシックとポップスのギャップについて解決できなかった部分を、プロコル・ハルムの楽曲に影響を受け彼女自身で解釈し、表現できるようになったと語っている。

バック・バンドのキャラメル・ママは、後に夫となる松任谷正隆キーボード奏者として参加しているほか、細野晴臣(ベース)、鈴木茂(ギター)、林立夫(ドラム)という、当時の日本を代表するメンバーで構成されている。プロデューサーの有賀恒夫によると、当初はバックバンドの演奏に比べ荒井の歌唱の未熟さが目立ち、繰り返しの歌の録音の末に本作が完成するまでには1年以上の時間を要したという[1]

ジャケットデザインは、教会音楽を多く扱う名門古楽レーベル『アルヒーフ』のジャケットを模したものと言われている(松任谷正隆などによる)。ブックレットのイラストはユーミン自身が手がけ、少女から大人への変化を綴った「誕生日」という詩が収められている。

2010年(平成22年)1月16日、NHK-BS2にて、録音されたアルバムのマスターテープを聴きながらレコーディング当時について振り返る『MASTER TAPE〜荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る〜』という特番が放送された[注 3]

収録曲[編集]

全作詞・作曲: 荒井由実、全編曲: 荒井由実、キャラメル・ママ。

Side 1
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.ひこうき雲 -Vapor Trail-[注 4]  
2.曇り空 -Cloudy Weather-  
3.恋のスーパー・パラシューター -Super Parachuter of Love-  
4.空と海の輝きに向けて -Toward The Sky and Gleaming Sea- (album version)」  
5.きっと言える -I Know I Can Tell You-  
Side 2
#タイトル作詞作曲・編曲時間
6.ベルベット・イースター -Velvet Easter-  
7.紙ヒコーキ -Paper Plane-  
8.雨の街を -In The Rainy Town-  
9.返事はいらない -No Need To Reply- (album version)」  
10.そのまま -Don't Change-  
11.ひこうき雲 -Vapor Trail- (short version)」  

楽曲解説[編集]

  1. ひこうき雲
    • 2枚目のシングルのB面曲であるが、1989年に発売の8cmシングルのみオリジナルと別Mixで収録され、こちらは現在では入手困難である。
  2. 曇り空
    • バックコーラスの男声は、松任谷正隆が担当した。アルペジオで使われているギターはホセフェリシアーノにフラメンコギターを教えた川添象郎の持ち物で当時で500万円する高価な代物だった。
    • カバー:キリンジ(2002年)、辻香織(2004年)、yanokami(2011年)
  3. 恋のスーパー・パラシューター
  4. 空と海の輝きに向けて(album version)
    • デビュー・シングルのB面曲。シングル盤とは別テイク。
  5. きっと言える
    • 2枚目のシングル。曲中転調を繰り返す。
  6. ベルベット・イースター
    7枚目のシングル『翳りゆく部屋』B面としてシングル・カットされた。
    カバー:川越美和(1991年)、本木雅弘(1992年)、NOKKO(1998年)、中森明菜(2009年)、七尾旅人(2011年)、田村芽実(2020年)
  7. 紙ヒコーキ
    眼下の町へ飛ばした紙ヒコーキと夢中になる自分にふと気付いた心を描写した曲。「きっと言える」と時を同じくしてアサヒ飲料「旨茶」CMソングに使用された。
  8. 雨の街を
    歌唱前に「私の一番好きな曲です」と前置きする楽曲。
    TBS系ドラマ『ルージュの伝言』でドラマ化された(第16話、主演・水島かおり)。
    カバー:桂木文(1982年)、畠山美由紀(2002年)、松本孝弘(2003年)
  9. 返事はいらない(album version)
    デビュー・シングル。アレンジを変えて収録されている。
  10. そのまま
    ユーミンが中学生の頃、友人が書いた英語の歌詞に曲を付けて欲しいと頼まれ作曲したのだが、「イメージが合わない」と友人から却下されてしまった。実は歌詞の中の「bitch」をスラング(あばずれの意)だと思わずに普通に「犬(雌犬)」だと思い込んで作曲してしまったのが原因だった。その後ユーミン自身で歌詞を付け直した。
  11. ひこうき雲(short version)
    デモテープの音源が短く収録されている。

参加ミュージシャン[編集]

  • ピアノ:荒井由実
  • ベース:細野晴臣
  • キーボード:松任谷正隆
  • ギター:鈴木茂
  • ドラム:林立夫
  • ナイロン・ストリングス・ギター:細野晴臣(A-1,A-5)
  • パーカッション:松任谷正隆(A-3)、鈴木茂(A-3)、林立夫(A-3,A-5,B-4)、小原礼(B-4)
  • バンジョー:松任谷正隆(B-5)
  • フルート:宮沢昭(A-2)
  • コーラス:松任谷正隆(A-2)、Singers Three(A-3)、荒井由実(B-4)
  • テナー・サックス:西条孝之介(A-5)
  • スチール・ギター:駒沢裕城(B-2,B-5)
  • ハンドクラッピング:レコーディング・スタッフ(B-1)

再発盤[編集]

一時期、音源の原盤権の都合でアルファレコードから発売されたこともある[注 5]

2000年平成12年)4月26日LPのブックレットを復刻し、バーニー・グランドマンによるデジタルリマスタリングで音質を大幅に向上したリマスタリングCD(TOCT-10711)をリリース。2005年(平成17年)3月10日より音楽配信された。

40周年記念盤[編集]

ユーミン×スタジオジブリ 40周年記念盤 ひこうき雲
松任谷由実スタジオ・アルバム
リリース
ジャンル J-POP
時間
レーベル EMI Records Japan
プロデュース 松任谷正隆
鈴木敏夫
チャート最高順位
松任谷由実 アルバム 年表
日本の恋と、ユーミンと。
(2012年)
ひこうき雲 40周年記念盤
(2013年)
POP CLASSICO
(2013年)
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  • 表題曲「ひこうき雲」が主題歌として採用されたスタジオジブリ映画『風立ちぬ』の公開と、オリジナル盤発売から40周年を記念した企画盤で、「荒井由実」の名義で発売。また、EMIミュージック・ジャパン消滅に伴う移籍後初の作品となった。
  • 2形態での発売となり、CD+DVDの2枚組のものと、そこにLPがついた3枚組のものが発売される。いずれも宮崎駿の18枚の絵で構成されたLPサイズの絵本仕様、完全生産限定となる。
  • 発売に先駆け、2013年7月3日に「ひこうき雲」が配信限定シングルとしてリリースされた。ジャケットは「風立ちぬ」バージョンとなっている。

収録内容[編集]

CD / LP[編集]
  • オリジナル盤の2013年デジタル・リマスタリング版
  • アナログ盤:180g重量盤
DVD[編集]
  • ひこうき雲 ミュージッククリップ
    発売から40年を経て製作された。監督は2011年に映画『エンディングノート』で数々の賞を受賞し、注目を集めた砂田麻美
  • ひこうき雲 (RE-MIX) / 荒井由実×松任谷由実 (ミュージック+静止画)
    ストリングスアレンジと、松任谷由実のアディショナル・ヴォーカルが追加されたリミックス・ヴァージョンを収録。

脚注[編集]

  1. ^ 後の株式会社EMIミュージック・ジャパンユニバーサルミュージック合同会社 / EMIレコーズ・ジャパンレーベル。
  2. ^ LP:ETP-9083・ETP-72051、CT:ZA-1578・ZT25-326。
  3. ^ 出演:松任谷由実、細野晴臣(ベース)、松任谷正隆(キーボード)、林立夫(ドラム)、有賀恒夫(「ひこうき雲」レコーディング・ディレクター)、吉沢典夫(「ひこうき雲」レコーディング・エンジニア)、駒沢裕城(スチール・ギター) VTR出演:村井邦彦(「ひこうき雲」プロデューサー、元アルファレコード社長)、雪村いづみ(荒井のデビュー前に「ひこうき雲」をレコーディング)、シー・ユー・チェン(荒井がおっかけをしていた「ザ・フィンガーズ」の元ベース) ナレーション:小島聖 制作・著作 NHK、エイベックス&イースト 制作統括:林信男、波多野健 構成:中川真由美 演出:片岡K
  4. ^ 配信を機に本人監修のもと全曲英語表記が公式に発表された[2]
  5. ^ CD:35XA-1・32XA-121・34A2-28・ALCA-463・ALCA-9029・ALCA-5241、LP:ALR-4006、CT:ALC-506。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 酒井順子『ユーミンの罪』2233、講談社〈講談社現代新書〉、東京都文京区、2013年11月20日(日本語)。ISBN 978-4-06-288233-0。