やすらぎの館

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やすらぎの館」(やすらぎのやかた)は、藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄名義)の読み切り漫画作品。1974年(昭和49年)『ビッグコミック』12月10号に掲載された。ゴールデンコミックス『異色短編集』第2巻、愛蔵版『SF全短篇』第1巻や、『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』第2巻などのSF短編集に収録。

論評[ソースを編集]

米沢嘉博は本作のアイデアが藤子不二雄による『笑ゥせぇるすまん』の1編「たのもしい顔」に通じるものがあることを指摘している[1]。2人がどうやってこの独創的なアイデアを生み出したのかは定かではないが、互いにアイデアを出し合ったり、助言し合ったり、互いの会話の中からヒントをつかんだのではないかと米沢は想像している[1]。ただし、きっかけとなるアイデアは同じであっても、はストレートにアイデアを形にし、Fが悲劇的な結末を想定しようとするといった違いがあると、米沢は指摘する[1]。本作と「たのもしい顔」で言うのならば、「たのもしい顔」では秘密クラブそのものの戯画的な面白さを描くと、退行し狂気へと陥って行く主人公を描くFという具合である[1]

あらすじ[ソースを編集]

主人公は会社の社長である。社長という立場上、捌け口はなく、また自身がではないかという疑いを持っており、そのうえ会社の乗っ取り計画を察知した事で神経は極度に張り詰めて疲れきっていた。精神的に参っていた彼は、友達の医者から会員制クラブ「やすらぎの館」を紹介された。このクラブの会員には各界のトップクラスの人間がずらりと並んでいるというのだが…。

登場人物[ソースを編集]

主人公
株式会社の社長を務める。社会のトップに属する人間であり、能力もある。周りは彼を頼りにし、服従し、叱られまとわりついている。だが、その彼自身には自分より大きな存在がなく、甘えたり訴えたり泣いたりするような存在がない。
おかあちゃん
会員制クラブ「やすらぎの館」の女性。特殊な女性であり、催眠術のような眼力を持っている巨大な(「長身の」ではない)女性。
友人
主人公の友達で、医者。会員制クラブ「やすらぎの館」を主人公に紹介する。
太一
主人公の息子で、海外担当重役。
専務
会社の失態を次の総会でつつかれないように「対策」を立てている。心強い部下であり、太一からも信頼されている。
三郎
主人公の息子。学生運動で警察につかまり留置所に入れられていたが、すぐ釈放される。立派な口を利くが、仲間の名前を警察に売ったり、母親に泣いて出してもらうように頼んだりなど、乳離れができていない。

出典[ソースを編集]

  1. ^ a b c d 米沢嘉博 「第11章 F、SFプロパーへの道」『藤子不二雄論』 河出書房新社2014年。ISBN 978-4309412825。

関連項目[ソースを編集]