わたらせ渓谷鐵道DE10形ディーゼル機関車

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国鉄DE10形ディーゼル機関車 > わたらせ渓谷鐵道DE10形ディーゼル機関車
わたらせ渓谷鐵道DE10形ディーゼル機関車
わ01形客車を牽引する DE10 1537
わ01形客車を牽引する
DE10 1537
基本情報
運用者 わたらせ渓谷鐵道 [1]
製造所 日本車輌製造川崎車輛[2]
種車 JR東日本DE10形[2]
製造年 1971年1974年[3]
導入年 1998年2000年 [3]
総数 2両[4]
運用開始 1998年10月10日[5]
投入先 わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線大間々駅 - 足尾駅[6]
主要諸元
軸配置 AAA-B[7]
軌間 1,067 mm
全長 14,150 mm[8]
全幅 2,950 mm[8]
全高 3,964.6 mm[8]
空車重量 60.0 t[8]
運転整備重量 65.0 t[8]
台車 特殊3軸型DT141、無心皿・内軸箱式DT131E(DE10 1537)[9][10]
特殊3軸型DT132A、無心皿・内軸箱式DT131E(DE10 1678)[9][10]
台車中心間距離 10,380 mm[7]
固定軸距 1,700 mm(3軸台車) / 1,800 mm(2軸台車)[7]
車輪径 860 mm[7]
軸重 13.0 t[11]
燃料搭載量 2,500リットル [12]
動力伝達方式 液体式変速機[13]
機関 V型12気筒DML61ZB[14]
機関出力 993 kW(1350 PS/1,550 rpm[14]
変速機 DW6[15]
歯車比 4.48[8]
制御装置 重連総括制御[1]
制動装置 DL15B空気ブレーキ、手動ブレーキ[16][8][17]
保安装置 ATS-S
最高速度 85 km/h (高速段)
45 km/h (低速段)[13]
最大引張力 191,100 N [18]
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わたらせ渓谷鐵道DE10形ディーゼル機関車(わたらせけいこくてつどうDE10がたディーゼルきかんしゃ)は、1998年平成10年)と2000年(平成12年)に各1両が東日本旅客鉄道(JR東日本)からの購入によって導入されたわたらせ渓谷鐵道ディーゼル機関車である[19][20]。わたらせ渓谷鐵道開業10周年を期に導入されたトロッコ列車牽引用として使用される[21]

概要[編集]

わたらせ渓谷鐵道では、1992年(平成4年)から東日本旅客鉄道(JR東日本)のトロッコ車を借り入れて運用していたが、JRからの借り入れが不可能となり、1995年(平成7年)以降は運転を休止していた[22]。開業10周年を期にトロッコ列車を復活させるため、1998年(平成10年)にわ99形客車京王5000系電車国鉄12系客車の改造により導入、牽引用としてJR東日本からDE10 1537が購入[21]され、客車にあわせた紅銅(べにあかがね)色基調の塗装に変更のうえ運用された[23]。DE10 1537の不調により、2000年(平成12年)にDE10 1678が追加で購入されたが、こちらは塗装変更されずに運用されている[24]

車体[編集]

1エンジン搭載、5軸駆動、液体変速式セミセンターキャブのディーゼル機関車である[25][17]。エンジンが搭載されている側(1エンド側)と反対側(2エンド側)ではボンネットの長さが異なり、高さもわずかに異なっている[25][26]。1エンド側ボンネットにはエンジン、冷却装置変速機などが、2エンド側ボンネットには空気ダメとコンクリート製の死重が搭載されている[3][17]。運転席床下にはコンクリート製の死重が搭載された[27]。2両ともDE10形A寒地仕様として製造された[15]ため、旋回窓などを装備している[28]。2両の製造時期は2年離れており、製造所も異なるが、DE10形自体の外観変化が微小であるため、わたらせ渓谷鐵道の2両にも外観上の変化はほとんどない[17]

動力装置[編集]

国鉄DE10形では1970年(昭和45年)以降の製造車は出力993 kW(1350 PS/1,550 rpm)のDML61ZBエンジンを使用しており[14]1971年(昭和46年)製のDE10 1537、1974年(昭和49年)製のDE10 1678はこれを装備する[2]。変速機はDD51形ホイト式DW2Aをもとに入換仕業を想定した低速段と、本線走行を想定した高速段の2段変速機能を備えた3ステージのDW6液体変速機が全車に搭載された[29][15]制動装置は、ブレーキ弁の角度で自動的に圧力を調整できるセルフラップ機能を備えたDL15Bである[16][17]

台車[編集]

2エンド側台車は2軸式で無心皿・内軸箱式のDT131Eが使用されている[9]。1エンド側台車は3軸式で、曲線通過時の横圧低減のため各軸が独立して懸架されており[11]、DE10 1573はDT132A、DE10 1678は構造を簡略化したDT141を使用している[3]

車歴[編集]

わたらせ渓谷鐵道DE10形車歴
車両番号 製造年 製造所 JR廃車 わたらせ入籍 廃車
DE10 1537 1971年7月[30] 川崎重工業 [30] 1995年11月 [30] 1998年9月[31] -
DE10 1678 1974年10月[32] 日本車輌製造[32] 2000年3月[32] 2000年3月[33] -

運用[編集]

トロッコ列車を牽引するDE10 1678
わ01形客車を牽引するDE10 1678

わたらせ渓谷鐵道では、1992年(平成4年)からJRのトロッコ車を借り入れて運用していたが、トロッコ車の検査期間が切れたことからJRからの借り入れが不可能となり、1995年(平成7年)以降は運転を休止していた[22]。開業10周年を期にトロッコ列車を復活させることとなり、JR12系客車と京王5000系電車を改造したわ99形客車を、JR東日本から購入したDE10 1537が牽引する編成によりわたらせ渓谷線大間々駅 - 足尾駅間で1998年(平成10年)10月10日から運転を開始した[21][22]。DE10 1537は入線にあたりボンネットが紅銅色、運転室と台枠がゴールド、運転室屋根上が灰色に変更されている[1][34]。旅客列車専用としてDE10を導入したのは、純粋な観光鉄道である嵯峨野観光鉄道を除くとわたらせ渓谷鐵道が唯一の事例である[35]。DE10 1537の不調により、2000年(平成12年)にDE10 1678が追加で購入されたが、こちらは塗装変更されずに運用されている[1]。DE10 1678購入まではJR東日本のDE10を借り入れて対応した[1]2001年(平成13年)3月にはトロッコ列車が運転できない冬季の集客を狙ってJR東日本12系お座敷車を改造したわ01形客車が導入され、これの牽引も担当した[36][37][38]。わ01形は2009年(平成21年)に廃車されている[39]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p66
  2. ^ a b c 『私鉄機関車30年』p167
  3. ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p68
  4. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻891号p79
  5. ^ 『トロッコ列車』
  6. ^ 『新車年鑑1999年版』p114
  7. ^ a b c d 『国鉄車両一覧』p483
  8. ^ a b c d e f g 『鉄道ファン』通巻66号付図
  9. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p11
  10. ^ a b 『私鉄機関車30年』p58
  11. ^ a b 『100年の国鉄車両(1)』p162
  12. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p43
  13. ^ a b 『鉄道ファン』通巻66号p6
  14. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p12
  15. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p13
  16. ^ a b 『鉄道ファン』通巻66号p7
  17. ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p14
  18. ^ 『機関車諸元』
  19. ^ 『新車年鑑1999年版』p92
  20. ^ 『新車年鑑2000年版』p102
  21. ^ a b c 『新車年鑑1999年版』p16
  22. ^ a b c 『新車年鑑1999年版』p113
  23. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻891号p76
  24. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p46
  25. ^ a b 『国鉄車両一覧』p266
  26. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p40
  27. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p16
  28. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p15
  29. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p10
  30. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p62
  31. ^ 『新車年鑑1999年版』p178
  32. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p63
  33. ^ 『新車年鑑2000年版』p189
  34. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p81
  35. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻694号p45
  36. ^ 『私鉄機関車30年』p15
  37. ^ 『新車年鑑2002年版』p20
  38. ^ 『新車年鑑2002年版』p125
  39. ^ 『新車年鑑2010年版』p119

参考文献[編集]

書籍[編集]

  • 日本国有鉄道工作局・車両設計事務所『100年の国鉄車両(1)』交友社、1975年。
  • 『国鉄車両一覧』ジェイティービー、1986年。ISBN 4533044468。
    • 「DE10形・DE11形ディーゼル機関車」 pp. 266-269
    • 「国鉄車両諸元表」 pp. 328-510
  • 寺田 祐一『私鉄機関車30年』JTBパブリッシング、2005年。ISBN 4-533-06149-4。

雑誌記事[編集]

  • 鉄道ファン』通巻66号(1966年12月・交友社)
    • 国鉄車両設計事務所 石井 幸孝「新車ガイド 新鋭ディーゼル機関車 DE10誕生」 pp. 6-7
    • 「RF13007 日本国有鉄道 1250PS 液体式ディーゼル機関車 形式DE10」 pp. 71
  • 鉄道ピクトリアル』通巻582号「新車年鑑1999年版」(1999年10月・電気車研究会
    • 「注目のNew Face」 pp. 5-20
    • 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 91-107
    • わたらせ渓谷鐵道(株)運輸部 大野 勇「わたらせ渓谷鐵道 わ99形(トロッコ車)」 pp. 113-114
    • 「1998年度車両動向」 pp. 176-185
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻692号「新車年鑑2000年版」(2000年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 101-119
    • 「1999年度 車両動向」 pp. 187-201
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻694号「【特集】DE10・11・15形」(2000年12月・電気車研究会)
    • 服部 朗宏「DE10・11・15形のあゆみとプロフィール」 pp. 10-23
    • 鉄道ピクトリアル編集部「DE10 DE11 DE15 detail file」 pp. 36-43
    • 「私鉄&専用線 DE10タイプ in action」 pp. 44-45
    • 高嶋 修一「私鉄・専用線等で活躍するDE10タイプ」 pp. 46-48
    • 鉄道ピクトリアル編集部「DE10・11・15形車歴表」 pp. 60-64
    • 高嶋 修一「私鉄・専用線等で活躍するDE10タイプ」 pp. 65-72
    • 「私鉄・専用線等で活躍するDE10タイプ カラー編」 pp. 81
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻723号「鉄道車両年鑑2002年版」(2002年10月・電気車研究会)
    • 「2001年度のニューフェイス」 pp. 8-20
    • わたらせ渓谷鐵道(株)技術部 飯豊 努「わたらせ渓谷鐵道 わ01形「サロン・ド・わたらせ」」 pp. 164-166
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻840号「鉄道車両年鑑2010年版」(2010年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2009年度民鉄車両動向」 pp. 116-142
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻891号「【特集】ディーゼル機関車」(2014年7月・電気車研究会)
    • 服部 朗宏「私鉄のディーゼル機関車 ここ10年の動き」 pp. 73-88

Web資料[編集]

  • 機関車緒元”. 秋田臨海鉄道. 2017年7月16日閲覧。(リンク先名 原文ママ)
  • トロッコ列車”. わたらせ渓谷鐵道. 2017年5月7日閲覧。