アタオコロイノナ

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アタオコロイノナ(Ataokoloinona (at'-u-awk-oh-loi-noh'-nu))は、マダガスカル島の南西部に伝えられる、とされる神話である。

名前は現地の言葉で「なんだか変てこりんな物」を意味する[1]

アタオコロイノナの伝説[編集]

太古の昔、ヌドリアナナハリという神が、息子であるアタオコロイノナを、地上生物を創造できるか調査をさせに遣わした。ところがアタオコロイノナが地上に着くと、あたりは酷熱で包まれており、驚いた彼は地中に潜って行ってしまった。こうしてアタオコロイノナは行方不明になってしまい、これがアタオコロイノナと呼ばれることになった所以である。

北杜夫との関係[編集]

作家北杜夫の著作『どくとるマンボウ航海記』の冒頭部分で紹介され、アタオコロイノナの名前は日本でも少し定着した。といっても、名前が出ているだけで、一切の詳細は書かれていない。その後『どくとるマンボウ昆虫記』であちこちからこの言葉について聞かれたことに触れ、その神話の概要について説明をしている。

研究の進展[編集]

従来は北杜夫の著作以外の登場が無いこと、日本で刊行された多くの研究者のフィールドワークの報告や様々な神話集・伝承集などに一切記述が無いことなどから、実際は北杜夫の創作した神であると考えられてきた。

これに対し元東邦大学薬学部非常勤講師の長谷川亮一[2]は、Googleブック検索で “Ataokoloinona” を検索してみたところ、北杜夫が『どくとるマンボウ昆虫記』で紹介したものとほぼ同じ内容の話を南西マダガスカルにつたわる神話として記載した英語の文献を見つけることができたため、アタオコロイノナの伝承は北杜夫の創作ではないだろうと結論付けている[3]

ただし、長谷川自身も「オリジナルの記録にまで遡っているわけではないので、マダガスカルに本当にそういう伝承が存在するのかまでは確定できていません(可能性としては低いと思いますが、最初の報告の段階で嘘もしくは誤りが含まれている可能性もあるので)。」と述べており[4]、この点に関しては今後の研究の進展が待たれる部分である。

なお、現地人に聞いた話として「(現地の人でもアタオコロイノナのことは)ぜんぜん知らない。アタオコロイノナという名前も解釈できない。マダガスカルのどこですか? 方言としか考えられない」として、「(アタオコロイノナは)やはりどくとるマンボウお得意の口から出任せだったようである。」と記したサイト[5]が存在するが、たとえ現地人であってもその国や地域の全ての伝承に精通しているわけではなく、その現地人の発言が直ちに「北杜夫の口から出任せ」の根拠とはなりえない。

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 北杜夫『どくとるマンボウ昆虫記』、新潮文庫、1966年