アフガニスタンの鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
世界の鉄道一覧 > アフガニスタンの鉄道
アフガニスタン、バルフ州ハイーラターン近くで機関車を検査中のアフガン国境警察(ABP)のメンバー。

アフガニスタンの鉄道は19世紀に計画されたが、まだ未完の状態である。1920年代、首都カーブルにて1路線が建設されたが、その後廃止された。経済成長を促進する鉱山開発のプロジェクトを支援するため、様々な鉄道プロジェクトが提案されている。

現在、アフガニスタンマザーリ・シャリーフウズベキスタン北部とを結ぶ鉄道がある[1]。アフガニスタン政府は、その路線をカーブルまで拡張し、さらに東部の国境の町であるトールハムまで延長し、そこで隣国パキスタンの国鉄に接続しようと思案している。その事業は、中国冶金グループ株式会社英語版(MCC)によって、2014年までに完了することが期待されていた[2]。このプロジェクトはアジア開発銀行から16,500万ドルの融資を受けた[3]。他にマザーリ・シャリーフとトルクメニスタン間330キロの鉄道を建設するプロジェクトが2013年6月に発表された[4]インドは鉱山資源の豊富なアフガニスタンのハージーガク峠英語版イランにあるチャーバハール港英語版に接続する900キロメートルの鉄道路線を建設する計画を立て、建設の援助を行なうと確約している[5]

歴史[編集]

カーブル・トラム[編集]

1920年代には、アマーヌッラー・ハーンは3両の小型の蒸気機関車をドイツカッセルヘンシェルから購入し、カーブル(カブール)からダルラマン宮殿間の7キロメートルを結ぶトラム(軌間762ミリメートル)の運行に使用した[6]。そのトラムは後(日付不明)廃止され、機関車はダルラマンのカーブル博物館に保存されている[6]。蒸気機関車に関する雑誌、Locomotive Magazineの1922年12月号によると「アフガニスタンの鉄道の状況は、カーブルからダルラマンまでの6マイルが敷設されており、車両の一部はカーブルの工場で製造されている」そして、同誌1928年8月号によると「アフガニスタンの現時点で唯一の鉄道はカーブルとダルラマンの間5マイルである」とも言及している。

産業鉄道[編集]

1950年代に水力発電所がカーブルの東サロビ英語版に建築された。ヘンシェル社製で1951年製の四輪ディーゼル油圧式機関車(軌間600ミリメートル)(製造番号24892、24993、24994)3両が発電所に提供された。

1979年に鉱山または建設業向けにボンのベディアマシーネンファブリーク製のD35/6 2車軸ディーゼル油圧式機関車5両(軌間600ミリメートル、製造番号150〜154)が、アフガニスタンに引き渡された[7]

これらの機関車の消息は不明である。

軌間[編集]

米軍ヘリコプターから見たアフガニスタン=ウズベキスタン友好橋からマザーリ・シャリーフへ延びる鉄路

アフガニスタンの周辺国で採用されている軌間は3種類あり、それらの国との鉄道路線の接続はほとんどない[8]

アフガニスタンの鉄道路線は25キロメートル未満であり、軌間は、ロシアで主に採用されている広軌である1520ミリメートルである。イギリスやロシアなどの外国による干渉の助長を抑える戦略的な理由から、これまでのアフガニスタン政府は鉄道建設には消極的であった[8]

西方のイランおよび東方の中国では、標準軌である1435ミリメートル、南方のパキスタンでは、広軌である1676ミリメートル、北方の中央アジアのトルクメニスタンウズベキスタンタジキスタンでは広軌である1520ミリメートルを採用している。

2010年、アフガニスタン国内の鉄道網は、標準軌である1435ミリメートルを採用するとした[9][10]

鉄道駅[編集]

アフガニスタンには旅客サービスや旅客駅は存在しない。

アフガニスタン鉄道公社[編集]

アフガニスタン政府は、欧州委員会が提供する技術協力により鉄道建設委員会を形成することにした。それは、2011年7月のG8会議で議論された。鉄道建設委員会は、国内の鉄道網と隣国へ接続する路線を建設するのを監督するために、鉄道網の建設工事の世話を担当している[11]。2011年10月、アジア開発銀行は、アフガニスタン鉄道公社への拠出を承認した[12]

現在の鉄道や今後の計画[編集]

バルフ州北部で運行されている貨物列車

ウズベキスタンとの鉄道連絡[編集]

1980年代初頭、ソ連は、ウズベキスタンのテルメズからアフガニスタンのハイラーバード村までの約15キロの鉄道路線を建設した。アムダリア川アフガニスタン=ウズベキスタン友好橋で渡る[13]。2010年1月、アフガニスタンとウズベキスタンの間75キロメートルの路線延長の工事が開始された。軌間はソ連によって建設された区間と同じ1520ミリメートルである[14]。2010年12月には、アフガニスタン復興プロジェクトとして建設資材の輸送が開始された[15]

ハイーラターンからマザーリ・シャリーフ国際空港までの路線が完成した。その路線の運行は、アフガニスタンの鉄道部門が設立されるまで3年間、ウズベキスタンの国営鉄道であるウズベキスタン鉄道が担っている。貨物輸送サービスは、2011年8月ごろに開始した[1][16][17]

トルクメニスタンとの鉄道連絡[編集]

トルクメニスタンのセルヘタバットからアフガニスタンのタウラグーンディー英語版までの10キロメートルの延長が行なわれている。この路線はソ連によって建設されたが、2007年に改良が行われた[18]

アフガニスタンのバルフ州からファーリヤーブ州のアキナ陸上港までの330キロの鉄道軌道の建設が2013年6月に発表された。推定40億アフガニの費用で、ジョウズジャーン州シェベルガーンを通過し、ファーリヤーブ州アンドホイ英語版郡にあるアキナ陸上港にてトルクメニスタンの鉄道と接続する路線である[4]

パキスタンとの鉄道連絡[編集]

パキスタン国鉄の2路線(広軌(1676ミリメートル))が国境付近の町であるチャマンランディー・コタル英語版まで存在している。2010年7月に、パキスタンとアフガニスタンは、両国間に鉄道路線の敷設を進め行くための了解覚書に署名した。鉄道路線はパキスタンクエッタからアフガニスタンのカンダハルまでの区間とパキスタンのペシャワールからアフガニスタンのジャラーラーバードまでの区間を結ぶ[19]

2012年5月29日には、パキスタンのチャマンからアフガニスタンのスピンボルダックの区間(12キロ)が認可された[20]

タジキスタンとの鉄道連絡[編集]

アフガニスタンとタジキスタン間に鉄道路線の接続の計画がある[21]

南北回廊[編集]

2010年9月、中国冶金グループ株式会社(MCC)は、アフガニスタン鉱山大臣とアフガニスタンの南北鉄道の建設調査をすることに署名した[22]。その路線は、マザーリ・シャリーフからカーブル、それから、アフガニスタン東部の国境の町であるトールハムまで建設される。MCCは、メス・アイナク英語版の銅鉱山の採掘権を獲得し、そこまで鉄道と接続する予定である。MCCは、軌間1676ミリメートルの鉄道路線を921キロメートル建設し、カブールと北はウズベキスタン、東はパキスタンと連結する予定である[2]

イランとの鉄道連絡[編集]

イランのマシュハドを終点とする標準軌(1435ミリメートル)の貨物線が、アフガニスタンから最も近い路線である[23]。この路線は、現在、ヘラートまでの202キロメートル東に延長されている[24][25]。2007年4月17日、アフガニスタン外務大臣であったランギーン・ダードファル・スパンターは、フワーフ(ハーフ)英語版ペルシア語版 - ヘラート間の鉄道(貨物のみ)の執行業務プロジェクトは、2006年に始まったと言った。イラン南部のチャーバハール港からアフガニスタンの領域のハージーガク峠までの鉄道の計画もある。

ハージーガク - チャーバハール鉄道[編集]

インドは鉱山資源の豊富なアフガニスタンのハージーガク峠とイランにあるチャーバハール港に接続する900キロメートルの鉄道路線を建設する計画を立て、建設の援助を行なうと確約している[5][26]

その他の国との鉄道連絡[編集]

中国とは2016年から貨物列車が運行している[27]タジキスタンとは鉄道で連絡されていないが、タジキスタンとは2008年に提案された[28]

異なる軌間の接続[編集]

2010年からの鉄道建設の計画により、軌間の異なる路線の接続が5か所発生する[9]

  • カンダハール 1676ミリメートル / 1435ミリメートル
  • ハイバル(カイバル)峠 1676ミリメートル / 1435ミリメートル
  • タウラグーンディー 1520ミリメートル / 1435ミリメートル
  • マザーリ・シャリーフ 1520ミリメートル / 1435ミリメートル
  • シェール・ハーン・バンダル英語版 1520ミリメートル / 1435ミリメートル

隣接国との鉄道接続状況[編集]

地図[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b “First major Afghan railway opens”. Railway Gazette International. (2011年8月25日). http://www.railwaygazette.com/nc/news/single-view/view/first-major-afghan-railway-opens.html 2011年8月25日閲覧。 
  2. ^ a b Construction on Kabul-Torkham Railway to Start Soon, Ministry of Mines Says. Tamim Shaheer, October 18, 2011.
  3. ^ ADB President Inaugurates Rail Line Linking Afghanistan and Central Asia.
  4. ^ a b “Work on Afghanistan-Turkmenistan railroad begins”. The Gazette of Central Asia (Pajhwok Afghan News). (2013年6月16日). http://www.pajhwok.com/en/2013/06/16/work-afghanistan-turkmenistan-railroad-begins 
  5. ^ a b http://www.hindustantimes.com/India-news/NewDelhi/India-s-Track-3-Afghan-Iran-rail-link/Article1-763448.aspx
  6. ^ a b Kabul to Darulaman railway, Railways of Afghanistan
  7. ^ http://web.archive.org/web/20070430101935/http://www.ajg41.clara.co.uk/afghanistan.html#sdfootnote40sym Railways in Afghanistan, past and future
  8. ^ a b Railways in Afghanistan, past and future
  9. ^ a b “Answering the Afghan rail question”. Railway Gazette International: 63 (with map). (2010年10月). 
  10. ^ Railway Gazette International May 2012, p76
  11. ^ http://www.kuna.net.kw/NewsAgenciesPublicSite/ArticleDetails.aspx?id=2178307&Language=en
  12. ^ Pajhwok Afghan News - ADB to give $222m for roads, rail tracks. Abdul Qadir Siddiqui. October 19, 2011.
  13. ^ “Aid train reaches Afghanistan”. Railway Gazette International. (2002年1月1日). http://www.railwaygazette.com/news/single-view/view//aid-train-reaches-afghanistan.html 
  14. ^ Ben Farmer (2010年6月13日). “Afghanistan to complete first railway by end of year”. London: Daily Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/afghanistan/7825064/Afghanistan-to-complete-first-railway-by-end-of-year.html 
  15. ^ Railway Gazette: News in Brief”. 2011年1月2日閲覧。
  16. ^ “Afghan railway: First train runs on new line in north”. BBC News. (2011年12月21日). http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16287929 
  17. ^ Afghan railway: First train runs on new line in north, BBC, 2011-12-11
  18. ^ “Afghan rebuild underway”. Railway Gazette International. (2007年7月12日). http://www.railwaygazette.com/news/single-view/view//afghan-rebuild-underway.html 
  19. ^ Kakar, Javed Hamim (2010年7月7日). “Pakistan, Afghanistan ink MoU on rail links”. Pajhwok Afghan News. http://www.pajhwok.com/en/2010/07/07/pakistan-afghanistan-ink-mou-rail-links 2008年10月23日閲覧。 
  20. ^ Railway Gazette International, July 2012, p30
  21. ^ “Afghanistan, Tajikistan, Turkmenistan Sign Railway MoU”. The Gazette of Central Asia (Satrapia). (2013年3月21日). http://www.satrapia.com/news/article/afghanistan-tajikistan-turkmenistan-sign-railway-mou/ 
  22. ^ Agreement signed for north-south corridor”. Railway Gazette International (2010年9月23日). 2010年9月27日閲覧。
  23. ^ “Modern construction methods mastered on Mashhad - Bafgh line”. Railway Gazette International. (2007年7月1日). http://www.railwaygazette.com/news/single-view/view//modern-construction-methods-mastered-on-mashhad-bafgh-line.html 
  24. ^ “Rail Link With Herat”. Iran Daily. (2007年2月27日). http://iran-daily.com/1385/2792/html/economy.htm#s212328 
  25. ^ Murray Hughes (2008年1月29日). “Opening up Afghan trade route to Iran”. Railway Gazette International. http://www.railwaygazette.com/news/single-view/view//opening-up-afghan-trade-route-to-iran.html 
  26. ^ http://www.thefrontierpost.com/?p=75158
  27. ^ “中国発アフガン行き貨物列車が運行開始 旧ソ連侵攻の鉄橋通過 中国の影響力じわり”. 産経新聞. (2016年8月30日). http://www.sankei.com/world/news/160830/wor1608300051-n1.html 2018年1月1日閲覧。 
  28. ^ “Pointers”. Railway Gazette International. (2008年6月15日). http://www.railwaygazette.com/news/single-view/view//pointers-june-2008.html 

参照文献[編集]