アフガニスタン軍

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アフガニスタンの軍事
Afghan National Army emblem.svg
アフガニスタン国軍のエンブレム
創設 1880年代
再組織 2002年12月1日
派生組織 アフガニスタン国軍
アフガニスタン国軍空軍
本部 カーブル
総人員
徴兵制度 なし
適用年齢 18歳[1]
現総人員 約187,000人(2020年12月)[1]
財政
予算 19.1億ドル(2019年)[2]
軍費/GDP 1.2%(2019年)[1]
関連項目
歴史 アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)
アフガニスタン紛争 (1989年-2001年)
アフガニスタン紛争 (2001年-)
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アフガニスタン軍(Afghan Armed Forces)とは、アフガニスタン・イスラム共和国の軍隊のこと。

アフガニスタン治安部隊[編集]

アフガニスタン治安部隊(Afghan National Defense and Security Forces)とはアフガニスタン・イスラム共和国の軍隊や警察国家保安局に所属する部隊の総称である[1]


アフガニスタン軍は国防省に所属し、以下の組織で構成される[1]。総兵力は18万7000人である[1]

  • アフガン国陸軍(Afghan National Army)
  • アフガン空軍(Afghan Air Force)
  • アフガン陸軍特殊作戦軍団/コマンド(Afghan National Army Special Operation corps/Command)[3][4]
  • アフガニスタン国陸軍地域隊(Afghanistan National Army Territorial Forces)
  • アフガン国境警備隊(Afghan Border Force)
  • アフガン国家社会秩序隊(Afghan National Civil Order Force)
  • その他各種後方支援部隊[3]

アフガニスタンの警察は内務省に所属し、以下の組織で構成される[1]。総兵力は11万8000人である[1]

  • アフガン国家警察(Afghan Uniform (National) Police)
  • 公安警察(Public Security Police)
  • アフガン国境警察(Afghan Border Police)
  • アフガン防犯警察(Afghan Anti-Crime Police)
  • アフガン地方警察(Afghan Local Police)- 2020年9月廃止[5]
  • アフガン公衆保護隊(Afghan Public Protection Force)
  • 特殊治安隊(Special Security Forces)

条約[編集]

アフガニスタンは以下の条約を結んでいる[6]

  • アメリカ合衆国・アフガニスタン地位協定(2002年)
  • 戦略的パートナーシップ協定(2012年)
  • アメリカ合衆国・アフガニスタン安全保障協定(2014年9月)
  • NATO・アフガニスタン地位協定(2014年9月)

主要な敵対組織[編集]

アフガニスタン軍は以下の組織と交戦している[7]

陸軍[編集]

陸軍の編成(2010年)

アフガニスタン国陸軍は7つの軍団で構成される。201軍団(カブール)、203軍団(ガルデーズ)、205軍団(カンダハール)、207軍団(ヘラート)、209軍団(マザーリシャリーフ)、215軍団(ラシュカルガー)、217軍団(クンドゥーズ)[8]である。この他に111師団(カブール)がある。

アフガニスタン国陸軍地域隊は地方警察の軍隊版である。展開地域の治安と住民を守り、ターリバーンから作戦行動の余地を奪い、都市部や幹線道路からターリバーンを遠ざけることを任務とする[9]。地域隊の活動により、陸軍部隊は治安維持以外の任務に専念できる[9]。地域隊の部隊は「トレイズ」(tolays)と呼ばれ、トレイズ中隊は最大121人で編成される[9]。隊員はその地域の住民や地方警察官から採用される[10]。装備は陸軍部隊と比べると軽装備である[9]。2021年3月現在、ヘルマンド州とニームルーズ州以外の34州中32州に186部隊が展開している[9]

アフガン国境警備隊は国境から30マイル以内の制限地帯のテロや犯罪活動を抑止する部隊である[11]。2017年にアフガン国境警察から改組した[12]。2019年現在、6個旅団が存在する[11]。装備はNATO系とワルシャワ条約機構系の武器が混在している[11]

装備[編集]

歩兵装備[編集]

M4(3点バースト)

M16A2[13]

M16A4[14]

AK-47系統[15]

M249軽機関銃[16]

M240機関銃[17][18]

M24[19]

RPG-7[20]

AT-4[21]

M9拳銃[22]

その他各種装備品

大口径支援火器[編集]

ブローニングM2重機関銃[23]

SPG-9[24]

その他各種装備品

車両[編集]

フォード・レンジャー[25]

MRAP[26]

ハンヴィー各種[26][27]

M1117装甲警備車[26][28]

M113装甲兵員輸送車[29]

東風EQ2050「猛士」英語版[30]

その他各種装備品

火砲[編集]

M224 60mm軽迫撃砲[31]

M114 155mm榴弾砲[32]

D-30 122mm榴弾砲[26]

その他各種装備品

空軍[編集]

アフガニスタン空軍は2021年3月現在、65機の固定翼機と115機のヘリコプターを保有している[33]。アフガニスタン空軍は2023年を目処に「アフガン航空機最新化計画」を実施中であり、最終的に2016年の3倍の規模に拡大する予定である[34]

固定翼機
コード名 名称
A-29 エンブラエル EMB-314 23機
AC-208 セスナ 208 コンバットキャラバン 10機
C-208 セスナ 208 28機
C-130 ハーキュリーズ 4機
ヘリコプター
コード名
Mi-17 13機
MD-530 60機
UH-60 ブラックホーク 42機

特殊部隊[編集]

アフガニスタン治安部隊には複数の特殊部隊があり、攻勢を担当する[1]

  • アフガン陸軍特殊作戦コマンド(ANA Special Operations Corps/Command)
  • 警察特殊部隊総司令部(General Command Police Special Units)
  • 特殊作戦飛行隊(Special Mission Wing)

アフガニスタン軍には総参謀長の下にKtah Khas、アフガン陸軍特殊作戦コマンド、特殊作戦飛行隊がある[35]

Ktah Khasは軍事的に価値の高い敵目標を正確に襲撃する軽歩兵大隊である[35]。2015年現在は3個大隊があり、カーピーサ州に独立ヘリコプター強襲部隊が展開した[36]

アフガン陸軍特殊作戦コマンドは第1・第2・第6特殊作戦旅団を指揮する。各旅団には2〜5の特殊作戦大隊(カンダック)と機動打撃隊車両大隊が所属する[37]。10個大隊の総兵力は1万700人である[36]。2017年、特殊部隊を4個旅団に倍増して軍団規模にすることにした[38]

特殊作戦飛行隊は軍と警察の特殊部隊の対テロ作戦および対麻薬作戦を支援する[39]。2015年現在、カブールに2個飛行隊、カンダハールに1個飛行隊があり、Mi-17V5ヘリプター(30機)とPilatus PC-12(13機)が配備されている[39]。Mi-17V5は重量の軽い荷物の運搬、兵員輸送、負傷者後送(CASEVAC)、補給、航空阻止、航空支援、空中護衛、武装付き監視などを行う[39]。Mi-17には全機7.62mmドアガンがあり、12機は23mm前方砲がある[39]ピラタス PC-12ISR(情報収集・警戒監視・偵察)を行う[39]。2017年現在、特殊作戦飛行隊とアフガニスタン空軍はパイロットを再教育して、Mi-17からUH60 ブラックホークに移行中である[40]

教育[編集]

アフガン国陸軍の兵士は入隊後、12週間の基本訓練を受けてから現場に配属される[41]。基本訓練の後、一部の兵士は専門的な教育を受ける場合もある[41]

アフガン国陸軍には専門教育を行う以下の14種類の学校がある[41]

  • 戦闘兵器系の学校(Combat Arms Schools) - 歩兵、戦車兵、砲兵[41]
  • 戦闘支援系の学校(Combat Support Schools)- 技術者、通信兵、憲兵[41]
  • 後方支援系の学校(Combat Service Support Schools) - 兵站、財務、人事[41]
  • 共通役務系の学校(General Services Branch Schools) - 宗教・文化問題、広報、法律[41]

2018年、アメリカ合衆国陸軍の第1治安部隊支援旅団がアフガニスタンを訪れてアフガン国陸軍に指導を行った[42]

前史[編集]

王政時代[編集]

アフガニスタンの軍隊は1700年代初頭に誕生したとされており、1700~1800年代は西部国境でサファヴィー朝、南東国境で英領インドと何度も戦争をおこなっている。その後、アブドゥッラフマーン・ハーンが統治していた1880年代に初めて近代的な軍隊が創設され、アマーヌッラー・ハーンが統治した1900年代初頭からザーヒル・シャーが統治した19331973年には軍の増強や近代化が進められた。

第二次世界大戦後、王国軍は、ソ連軍を範に取り組織され、1973年までに約10万人に達した。

共産政権時代[編集]

共産主義政権時代になると政府軍とムジャーヒディーンとの間で内戦が勃発。1979年には政府軍を支援するソビエト連邦軍がアフガニスタンに侵攻(アフガニスタン紛争 (1978年-1989年))した。これに対し、ソ連や共産主義政権と対立するアメリカやパキスタンがムジャーヒディーン側に軍事援助を行ったため、この内戦は米ソの代理戦争と化してしまった。

政府軍からは脱走が相次ぎ、1980年1月までに兵員数は3万~4万人にまで減少した(1978年は約11万人)。

戦いは泥沼化したが、侵攻から10年後の1989年にソ連軍がアフガニスタンから撤退。これにより後ろ盾を失った政府軍は機能不全状態に陥り、ナジーブッラー政権が反政府勢力の攻勢で崩壊してアフガニスタンが無政府状態になったあとは、各軍閥が分裂した政府軍を支配下に治めた。共産政権崩壊時の兵員数は、4万5千人(空軍5千人を含む)だった。

アフガニスタン内戦[編集]

冷戦が終わり、米ソ両国や国際社会から見放された後も内戦は終わらず、アフガニスタンは荒廃した。この混乱した時代にイスラム法を信奉する武装勢力ターリバーンが誕生し、急速に勢力を拡大していくこととなった。ターリバーンは1996年に首都カーブルを攻略するなど国土の大半を掌握しアフガニスタン・イスラーム首長国の成立を宣言したがこれを承認したのはわずか3ヶ国だけであった。また、国内でもターリバーン打倒を目指すムジャーヒディーン勢力が北部同盟を結成したため内戦が終わることは無かった。

2001年までにターリバーンは、各種評価で5万5千~11万人の兵士を擁した。ターリバーンの部隊の多くは、パシュトゥーン人から成り、パキスタン軍の教官が訓練した。対する北部同盟の部隊は、アフマド・シャー・マスード率いるタジク人勢力(2万~6万人)、アブドゥルラシード・ドーストム率いるウズベク人勢力(1万3千~6万5千人)、カリーム・ハリーリー率いるハザーラ人勢力(1万~5万人)から成った。

歴史[編集]

アフガニスタン軍の兵士。

2001年9月、アメリカ同時多発テロ事件が発生した。アフガニスタン・イスラム首長国は事件を首謀したアルカーイダを匿っていた為、アメリカ合衆国軍などの有志連合軍に攻撃された。11月には北部同盟軍が首都カーブルを制圧し、アフガニスタン・イスラム首長国が崩壊。同月、ボン合意が結ばれ、国際連合が主導する国家建設が始まった。国連は国際治安支援部隊(ISAF)を派遣して治安を維持しつつ、治安部隊の再建に乗り出した。しかしアメリカ合衆国のブッシュ政権はアフガニスタンの国家建設に興味がなく、イラク戦争を開始したかったので各国の分担を主張した[43]。そのため軍の再建はアメリカが行うものの、警察の再建はドイツ、司法の再建はイタリア、麻薬取り締まりはイギリスが行うことに成った[43]

敗退したターリバーンやアルカーイダはいずれ自然消滅すると考えられていたので[44]、国内に割拠するムジャーヒディーン軍閥は武装解除して、アフガニスタン・イスラム共和国の大統領の下で新兵を採用して治安部隊を建設していく方針がとられた。

ところがターリバーンやアルカーイダはパキスタンの連邦直轄部族地域に撤退して勢力を回復し、2005年後半から反撃を開始した。当初は自爆テロのような治安事件だった為、国連は国際治安支援部隊(ISAF)を各州に展開して治安を維持しつつ、地方復興チームがインフラ整備を行うことで民心を掌握し、ターリバーンの伸長を抑えようとした。しかしターリバーンは塹壕戦のような本格的な戦闘をしかけ[45]即席爆発装置(IED)により被害を急増させていった。

2009年、アメリカ合衆国のバラク・オバマ政権はターリバーンの鎮圧に乗り出した。アメリカ軍はイラクで成功した反政府活動鎮圧をアフガニスタンでも行おうとした[46]。反政府活動鎮圧とはイラク駐留アメリカ軍司令官のデヴィッド・ペトレイアス将軍が考案した作戦で、「敵を殺しても戦争を終わらせることは出来ない」「住民を守り、人心を収攬し、ともに生活し、安定した有能な政府が栄えるように治安を維持しなければならない」と言う考えに基づく作戦である(対反乱作戦[46]。反政府活動鎮圧を行う為には40~50人の住民を守るために軍人や警察官が1人必要で、アメリカ軍が10万人[47]、軍や警察などの治安部隊が40万人必要だった[47]。アメリカ軍などの国際治安支援部隊(ISAF)は兵力を増強し、治安部隊の建設を急激に進めた。しかし計画通りには進まなかった[48]。警察は軽武装でターリバーンに立ち向かわなければならないため、死傷者が多く応募者が少なかった。またインターネットの普及により、国際治安支援部隊(ISAF)の本国の動きは筒抜けだった。コーラン焚書活動のようなニュースが喧伝されることで人心が動揺し、アフガニスタン軍に入隊した後で気が変わってターリバーンに寝返り、同僚に発砲する事件が頻発した[49]。国際治安支援部隊の高官(ハロルド・グリーン)が死亡することもあった。

2009年から2011年にかけてアメリカ軍などの国際治安支援部隊(ISAF)は激しく戦い、短期決戦によりターリバーンを撃滅しようとしたが結局うまく行かなかった。2014年12月に国際治安支援部隊(ISAF)は終了し[50]、最盛期には約13万人にも及んだ外国軍の多くが国外に撤退した。多国籍軍は確固たる支援任務に移行し、ターリバーンとの戦いはアフガニスタン軍や警察が担うことに成った。

2015年にはイスラム国がアフガニスタンに「ホラサン州」(ISIL-K)の設置を宣言し[51]、戦闘は激しさを増した。ターリバーンは州や郡の中心都市を占領し、占領・影響地域を広げていく戦略をとった[52]。ターリバーンはまず1つの州都を占領しようと攻撃をしかけた[52]。9月、ターリバーンはアフガニスタン第六の都市クンドゥーズを短期的に占領した(クンドゥーズの戦い)。アフガニスタン軍は地元の民兵組織と共にクンドゥーズを防衛していたが、少数のターリバーンに攻められて総崩れになった。中央政府は大統領選挙のあと長期に渡って政争を続け、軍を指揮すべき国防大臣が空席だった。

2016年、ターリバーンはヘルマンド州クンドゥーズ州ウルズガーン州の州都を占領しようと試みたが、アフガニスタン軍に阻止された[53]。アフガニスタン軍は「保持・戦闘・妨害」戦略(Hold-Fight-Disrupt)により優先順位をつけて戦った[53]。ヘルマンド州の215軍団は戦死などにより4.5%の損害を被ったが、全体としては新兵を採用して17万人前後の兵員を維持し、総兵力19万5000人を目指した[53]。パイロットや特殊部隊の養成も進んでいる[54]。特殊部隊は軍と警察を合わせて1万7000人であり、8割型自律的に行動できるように成った[54]。A29 攻撃機は長距離攻撃任務を開始し、ヘルマンド州で偵察・爆撃を行った後でカンダハール空港に着陸して燃料補給を行えるようになった[54]。A29は99回出撃して、255個の爆弾と199個のロケット弾を投下した[54]。アフガニスタン軍は四半期(2016年7月1日〜9月8日)で6879人の反乱軍を殺害した[54]

2017年7月、ターリバーンはウルズガーン州やヘルマンド州、クンドゥーズ州など34州中21州で激しい攻撃を仕掛けてきた[55]。アフガニスタン軍は反撃し、一進一退の戦いが続いた[55]。アフガニスタン軍は州都の陥落は防いでいるが、郡の中心都市は守りきれず、半年間で45郡をターリバーンに奪われた[55]。その結果、アフガニスタン政府の支配地域は407郡中231郡(57%)、ターリバーンの支配地域は54郡(13%)、混在地域は122郡(30%)になった[56]。国民の25%がターリバーンの支配地域や影響地域に居住し、影の州知事が住民サービスを提供して影響力を強めた[55]。ターリバーンの総兵力は常勤・非常勤を合わせて2万5000人〜3万5000人であり[55]、奪った武器や闇市場から購入した武器で武装している[55]。アフガニスタン軍はターリバーンに奪われた地域を数日から数週間で奪還したが、ターリバーンは防備が手薄な検問所を攻撃したり[55]、戦闘地域から遠く離れた別の州で攻撃を開始したりしてアフガニスタン軍を翻弄した[55]。アフガニスタン軍は特殊部隊を倍増して攻撃能力を強化すると共に、一般部隊は重要地域の防衛に専念できるようにした[38]。またアフガン公衆保護隊やアフガン国境警察の一部など警察の準軍事的な部隊を軍に移行することで[12]、警察が市民警察として法執行に専念できるようにした[38]

同年11月、アフガニスタン空軍は連合軍と共に「鉄の嵐作戦」(Operation Iron Tempest)を開始し、ターリバーンの麻薬工場を破壊して資金源を断つことにした[57]

2018年、ターリバーンはガズニー州ファーリヤーブ州などを攻撃し、アフガニスタン軍は守勢に立たされた。2018年4月、アフガニスタン国陸軍地域隊が創設された[10]第一段階として5000人の兵士が採用され、ヘラート州カンダハール州ラグマーン州カピーサ州に配置された[10]。アフガニスタン空軍は四半期(4月〜6月)に221回出撃して、3962個の爆弾を投下した[57]。6月、アフガニスタン軍とターリバーンの間で初の一時停戦が行われた。しかし8月、ターリバーンはガズニー州の州都を攻撃し、中心部まで侵入することに成功した[58]。治安軍の検問所に対する攻撃も続いており、被害の蓄積や兵力配置が問題になった[59]。2018年7月現在のアフガニスタン軍は約19万4000人であり、南部の激戦地に展開する205軍団と215軍団は定員割れしているものの、全体としては順調に増員が進んでいた。連合軍は給料未払いによるアフガニスタン兵の退職を防ぐために自動給料振込システム(Automated Pay and Personnel System)を開発した。また退職制度を整備して定員の2倍に達した将官・大佐を引退させ、士官の若返り・指導力の強化による兵士の不満解消を行った[60]

2019年4月、治安悪化や住民の抗議などによりクンドゥーズ州217軍団が新設された[8]。アフガニスタン北部はマザーリシャリーフの209軍団の管轄だったが2分割し、クンドゥーズ州・タハール州バダフシャーン州バグラーン州は217軍団の管轄とした[8]。217軍団には第20師団と第8アフガン国家社会秩序旅団が所属する[8]。2019年7月、アフガニスタン軍は16万2000人であり、2018年から3万人以上激減した[61]。これは自動給料振込システム(APPS)の生体認証システムにより兵員数をある程度は正確に把握できるようになった為である[61]。なお自動給料振込システムは発注ミスによりアフガニスタンの生体認証システムと互換性がないため、生体認証データの手動入力が必要であり誤魔化しが可能だと言う[61]

2020年2月、アメリカ合衆国とターリバーンの間で和平合意が成立した(アフガニスタン和平プロセス)。アメリカ合衆国は135日以内(2020年6月)に駐留軍を縮小し、14ヶ月後の2021年4月末までにNATO軍と共に完全撤退することが決まった[62]。和平合意はアフガニスタン政府の頭越しに行われたものであり、ターリバーンはアフガニスタン政府との停戦に応じず、むしろ激しい攻撃をしかけて来た[63]。しかしアメリカ合衆国のドナルド・トランプ政権は一方的に兵力を削減し、2021年1月には駐留軍を2500人まで縮小した[64]。同月成立したジョー・バイデン政権は2021年4月末の完全撤退は延期したものの[65]、2021年9月には完全撤退する方針である[66]

2020年9月、ガニー大統領はアフガン地方警察を廃止した[5]。アフガン地方警察は2011年にアメリカの資金で設立されたが地元実力者の関係者が採用されるなど汚職警官が多く、すぐ退職してしまうという問題があった[5]。2万3000人の警察官のうち3分の2はアフガン国家警察やアフガニスタン国陸軍地域隊に異動し、3分の1は解雇する予定である[5]

2021年3月時点のアフガニスタン治安部隊の総兵力は約30万5000人であり[1]、目標の35万2000人[1]を下回っている。更に国外からの援軍も完全に撤退するため、カーブル陥落の可能性があると言われている[67]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k Afghanistan - The World Factbook”. www.cia.gov. 2021年4月30日閲覧。
  2. ^ 外務省アフガニスタン基礎データ
  3. ^ a b Enhancing security and stability in Afghanistan”. United states of America Department of Deffense. p. 51. 2021年5月5日閲覧。
  4. ^ NSPA completes construction of the Afghanistan Special Operations Command (ANASOC) School of Excellence”. NATO OTAM. 2021年5月5日閲覧。
  5. ^ a b c d 国防総省 監察総監室 (2020). Operation Freedom's Sentinel Lead Inspector General Quarterly Report to Congress October 1, 2020 to December 31, 2020: 25. https://www.stateoig.gov/system/files/lead_inspector_general_for_operation_freedoms_sentinel_dec_2020.pdf. 
  6. ^ 国防総省 監察総監室 (2015). Operation Freedom’s Sentinel Lead Inspector General Quarterly Report and Biannual Report to the United States Congress April 1, 2015 – June 30, 2015: 6-7. 
  7. ^ 国防総省 監察総監室 (2015). Operation Freedom’s Sentinel Lead Inspector General Quarterly Report and Biannual Report to the United States Congress April 1, 2015 – June 30, 2015: 12. 
  8. ^ a b c d 国防総省 監察総監室 (2019). Operation Freedom's Sentinel: Lead Inspector General Report to the United States Congress April 1, 2019 – June 30, 2019: 27. https://media.defense.gov/2019/Aug/21/2002173538/-1/-1/1/Q3FY2019_LEADIG_OFS_REPORT.PDF. 
  9. ^ a b c d e アフガニスタン復興担当特別監察官(SIGAR) (2021). “April 30, 2021 Quarterly Report to Congress”. SIGAR Quarterly Reports to Congress: 70-71. https://www.sigar.mil/pdf/quarterlyreports/2021-04-30qr.pdf. 
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関連項目[編集]