アボガドロ定数

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アボガドロ定数
Avogadro constant
記号 NA
6.022140857(74)×1023 mol−1 [1]
定義 物質 1 mol の中に含まれている構成要素の総数
相対標準不確かさ 1.2×10−8
語源 アメデオ・アヴォガドロ
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アボガドロ定数(アボガドロていすう、: Avogadro constant )とは、物質量 1 mol を構成する粒子(分子原子イオンなど)の個数を示す定数である。そのSI単位mol−1 である。

なお、アボガドロ定数と時に混同される定数として、0 ℃・1 atmの気体1 cm3に含まれる分子の数、ロシュミット数: Loschmidt's number)がある。

名称と記号[編集]

フランスの物理学者であるジャン・ペランが1909年に、イタリア出身の化学者アメデオ・アヴォガドロにちなんで名付けた。当初はアボガドロ数(アボガドロすう、: Avogadro number )と呼ばれたが、1969年IUPAC総会でアボガドロ定数に名称が変更された。

アボガドロ定数の記号は、 NA である。

定義と値[編集]

アボガドロ定数は、ある物質 1 mol の中に含まれている要素粒子(elementary entities)の総数であり、正確に質量 0.012 kg12 g)の炭素1212C)の中に含まれている原子の総数で定義される。

2014CODATA推奨値は NA = 6.022140857(74)×1023 mol−1 である[1]

アボガドロ定数の測定の仕方としては初期のものとして、ヨハン・ロシュミット (J. J. Loschmidt) による気体の分子数の測定(最初の測定、1865年)や、ブラウン運動から求められているが、現在では以下の方法が用いられている。

  1. ファラデー定数素電荷との比から求める。
  2. プロトン陽子)の核磁気回転などから求める。
  3. X線回折と結晶の密度から求める。
  4. X線と光干渉計を組み合わせた実験による測定(単結晶の格子定数を精密に求める)。

以上のうち、最後の方法が他のものより若干精度的に優れている。問題は現実の結晶には不純物欠陥があることで、これが格子定数の精度を落としている。いかに完全結晶に近い結晶を作成し、観測するかが求めるアボガドロ定数の精度の鍵となっている[2][3]

現在、もっとも不純物が少なく、且つ欠陥も少ない結晶は単結晶シリコンである。28Si製単結晶の格子定数 aX線干渉計英語版で計測し、 この単結晶から作った真球の体積と質量から密度 ρ を計測すると、28Siのモル質量 M およびシリコン単位格子中の原子数 n を用いて、アボガドロ定数 NA = nM/ρa3 を 10−8相対不確かさで決定できる。この方法により測定された値 6.02214078(18)×1023 mol−1 が2011年1月に発表された[4]

物質量モルの基準[編集]

2019年に予定されている国際単位系(SI)の改定では、物質量モル (mol) は、アボガドロ定数によって定義されることになる。従来は「12グラムの炭素12の中に存在する原子の数に等しい数の要素粒子を含む系の物質量」であったが、アボガドロ定数の測定精度が向上したことで、アボガドロ定数そのものからモルを定義するように改定される。現行のモルの定義は質量の定義に依存しているが、新しい定義ではこの依存関係はなくなる。逆に「炭素12を1モル集めた質量」は12グラムからわずかにずれることになる。

新SIにおけるアボガドロ定数の値は、正確に 6.02214076×1023 mol−1 である[5]。2018年11月の国際度量衡総会で決議され、2019年5月20日に発効される予定である。

脚注[編集]

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  1. ^ a b CODATA value: Avogadro constant”. NIST (2015年6月25日). 2015年8月4日閲覧。
  2. ^ 日高 洋 (2005年2月). “アボガドロ定数はどこまで求まっているか (PDF)”. ぶんせき. 2015年8月4日閲覧。
  3. ^ 藤井 賢一 (2008年10月). “本格的測定を開始したアボガドロ国際プロジェクト 28Si によるキログラムの再定義”. 産総研TODAY. 2009年6月11日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年2月28日閲覧。
  4. ^ Andreas (2011).
  5. ^ A concise summary of the International System of Units, SI (PDF)”. BIPM (2018年2月6日). 2018年5月9日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]