アリソン T56

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アリソン T56 は単軸式のモジュラー設計の14段の軸流式圧縮機を4段のタービンで駆動する軍用ターボプロップエンジンである。

原型はアリソン・エンジン社によってC-130輸送機用に開発され[1]1954年から量産された。現在は1995年にアリソン社を傘下に収めたロールス・ロイス・ホールディングスで生産される。民間機用は501-Dとして識別される。1954年以来、改良されながら他に類を見ない生産数と生産期間でこれまで18,000基以上が生産され続けていて累計200万飛行時間以上に達する[2]

設計と開発[編集]

T56ターボシャフトはアリソン社の以前のT38シリーズから発した[1]。最初の飛行時には1954年にB-17飛行試験機の先端に設置された状態で飛行した[1]。 当初C-130ハーキュリーズに搭載され、P-3とE-2/C-2にも採用された。また、民間機のロッキードエレクトラコンベア580にも民間機用の501-Dが搭載された[1]。 T56 の開発作業は1953年5月にアリソン社がロッキード社にT56-A-1を出荷する直前に終了したが、C-130で必要とされていた3,750 shpではなく、たった3,000 hpしか出せなかった。

1953年8月にわずか6.5時間の地上試験で破損した。再設計したエンジンは同年9月に同様の運命を辿った。2度目の再設計後、アリソン社のチームによって成功が実現した。T56は圧縮比の向上と運転温度の上昇を含む改良が加えられた。P-3オライオンに搭載されたT56-A-14は出力4,591 shp、圧縮比は9.25:1であったが、E-2ホークアイに搭載された T56-A-427 では出力5,250 shp、圧縮比は12:1に向上している。また、T56は排気により約750 lbs の推力を発生する[3]

船舶用の501Kエンジンはアメリカ海軍の現用の巡洋艦や駆逐艦の発電に使用される[2]

2013年に提案されたエンジン改良計画では、T56エンジンの燃料消費と運転温度を抑える事により空軍は20億ドルの費用削減とC-130の飛行隊の行動時間延長が期待された[4]

1996年に初飛行したC-130JスーパーハーキュリーズではT56はエンジンとプロペラの制御にFADEC(全デジタルエンジン制御)を用いるロールス・ロイス AE 2100に置き換えられた[5]。これは6葉のダウティ・ロートル製のシャムシール プロペラ英語版を備える。

派生型[編集]

501-D13
(シリーズ I) ロッキード L-188コンベア CV-580 (P&W R-2800を換装)1957年12月に開始
501-D13A
(シリーズ I) -D13と類似
501-D13D
(シリーズ I) -D13と類似
501-D13H
(シリーズ I) -D13と類似
501-D22
(シリーズ II) ロッキード L-100 ハーキュリーズ
501-D36A
(シリーズ II) (型式認証されず)
501-D22A
(シリーズ III)
501-D22C
(シリーズ III) -D22Aと類似
501-D22G
(シリーズ III) -D22Aと類似
501-M62
ボーイング-バートル XCH-62 重量物運搬ヘリコプター用のT701-AD-700 ターボシャフトエンジンの社内分類
1982年に普天間飛行場で移動式試験装置で試験中のT56
2009年に整備中のT56-A-16
T56-A-7
(シリーズ I)
T56-A-8
(シリーズ I)
T56-A-9
(シリーズ I)
T56-A-9D
(シリーズ I) ロッキード C-130A ハーキュリーズに1956年12月から搭載され、全てのグラマン E-2Aに1960年から搭載
T56-A-9E
(シリーズ I) -A-9Dと類似
T56-A-10W
(シリーズ I) 水噴射を備える
T56-A-7A
(シリーズ II) ロッキード C-130B ハーキュリーズ1959年5月から搭載
T56-A-7B
(シリーズ II) -A-7Aと類似
T56-A-10WA
(シリーズ II)
T56-A-14
(シリーズ III) ロッキード/川崎 P-3/EP-3/WP-3/AP-3/CP-140 オーロラに1962年8月から搭載
T56-A-15
(シリーズ III) ロッキード C-130H ハーキュリーズ に1974年6月から搭載
T56-A-16
(シリーズ III)
T56-A-425
(シリーズ III) グラマン C-2A グレイハウンド 1974年6月から搭載
T56-A-14+
(シリーズ III.V) 燃料効率と信頼性を向上
T56-A-15+
(シリーズ III.V)
T56-A-16+
(シリーズ III.V)
T56-A-425+
(シリーズ III.V) グラマン E-2に2011年8月から搭載
T56-A-427
(シリーズ IV) 1972年からグラマン E-2の更新
T56-A-427A
(シリーズ IV) -A-427と類似、グラマン E-2Dに搭載
T701-AD-700
(501-M62) ボーイング-バートル XCH-62 重量物運搬ヘリコプター用のターボシャフトエンジン

搭載機[編集]

軍用機[編集]

民間機[編集]

仕様諸元 (T56 シリーズ IV)[編集]

一般的特性

  • 形式: ターボプロップ
  • 全長: 146.1 in (3,711 mm)
  • 直径: 27 in (690 mm)
  • 乾燥重量: 1,940 lb (880 kg)

構成要素

性能

  • 出力: 4,350 shp (3,915 kW)4,100で制限
  • タービン入口温度: 860°C
  • 燃料流量: 2,412ポンド/時
  • 出力重量比: 2.75:1 (shp/lb)

出典: Rolls-Royce.[6]


関連項目[編集]

  • アリソン T38
  • アリソン T40

類似のエンジン

出典[編集]

  1. ^ a b c d Global Security T56”. www.globalsecurity.org. 2018年5月13日閲覧。
  2. ^ a b Rolls Royce T56 Product Sheet”. www.rolls-royce.com. 2013年2月7日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年11月1日閲覧。
  3. ^ The Rolls-Royce Allison T56 is fifty”. New Zealand Aviation News, September, 2004. 2014年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月2日閲覧。
  4. ^ NOAA 'Hurricane Hunters' First To Get T56 Series 3.5 Engine Enhancement | Aero-News Network”. www.aero-news.net (2013年11月14日). 2018年5月13日閲覧。
  5. ^ Rolls Royce AE-2100 Product Sheet”. www.rolls-royce.com. 2013年2月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年11月1日閲覧。
  6. ^ Rolls, Royce . Training Manual . T56/501D Series III. Rolls-Royce, 2003. 8-1 To 8-24. Print.