イエスタデイ

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イエスタデイ
ビートルズシングル
初出アルバム『4人はアイドル
B面 アクト・ナチュラリー (US-1965)
恋する二人 (UK-1976)
リリース
録音 アビー・ロード・スタジオ
1965年6月14日17日
ジャンル バロック・ポップ[1]
チェンバー・ポップ[2]
時間
レーベル アメリカ合衆国の旗 キャピトル・レコード
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
チャート最高順位
  • 1位 (アメリカ)[3][4]
  • 10位(日本、洋楽チャート、1965年当時[5]
ビートルズシングル盤 U.K. 年表
レット・イット・ビー
b/w
ユー・ノウ・マイ・ネーム
(1970年)
イエスタデイ
b/w
恋する二人
(1976年)
バック・イン・ザ・U.S.S.R.
b/w
ツイスト・アンド・シャウト
(1976年)
ビートルズシングル盤 U.S. 年表
ヘルプ!
b/w
アイム・ダウン
(1965年)
イエスタデイ
b/w
アクト・ナチュラリー
(1965年)
恋を抱きしめよう
両A面
デイ・トリッパー
(1965年)
ビートルズシングル盤 日本 年表
ザ・ナイト・ビフォア
b/w
アナザー・ガール
(1965年)
アクト・ナチュラリー
b/w
イエスタデイ
(1965年)
恋を抱きしめよう
b/w
デイ・トリッパー
(1966年)
ビートルズシングル盤 日本 年表
ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
b/w
フォー・ユー・ブルー
(1970年)
イエスタデイ
b/w
恋する二人
(1976年)
ヘルター・スケルター
b/w
ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ
(1976年)
4人はアイドル 収録曲
A面
  1. ヘルプ!
  2. ザ・ナイト・ビフォア
  3. 悲しみはぶっとばせ
  4. アイ・ニード・ユー
  5. アナザー・ガール
  6. 恋のアドバイス
  7. 涙の乗車券
B面
  1. アクト・ナチュラリー
  2. イッツ・オンリー・ラヴ
  3. ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ
  4. テル・ミー・ホワット・ユー・シー
  5. 夢の人
  6. イエスタデイ
  7. ディジー・ミス・リジー
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イエスタデイ 」 ("Yesterday")はイギリスロックバンドビートルズの楽曲。

解説[編集]

概要[編集]

ビートルズ「イエスタデイ」のシングル盤に対してアメリカレコード協会が授与したゴールドディスクのレコード

1965年8月6日(金)に発売された5枚目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム4人はアイドル』(B面6曲目)に収録されている[注釈 2]。名義はレノン=マッカートニーだがポール・マッカートニーが単独で作詞作曲。リード・ヴォーカルはポール。

弦楽四重奏をバックにしたアコースティック・バラードをビートルズ名義で初めて発売した曲であり、数あるビートルズ・ナンバーの中でも人気の高い作品のひとつである。世界中のミュージシャンに数多くカヴァーされており、ビートルズ活動時点で既に1,000を超えるカヴァー音源が存在し、正確なカバー数は把握困難である。「世界で最も多くカヴァーされた曲」としてギネス・ワールド・レコーズに認定されている。BMI調べによる「20世紀アメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた100曲」のランキングでは、700万回以上のオンエアで3位にランクインされた[6]。英国BBC4が2012年に放送したドキュメンタリー番組 「ザ・リッチエスト・ソングス・イン・ザ・ワールド」にて音楽史上最も稼いだ10曲を選出しイエスタデイは第4位にランクしている[7]

1999年の英国BBCラジオ2の世論調査において20世紀最高のベストソングにランク。翌2000年にローリングストーンとMTV共同のグレイテスト・ポップソング100において第1位にランク[8]

また、ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では13位にランクされている。「ロックバンドがスリーコードやロックンロールのメロディにとらわれない作曲を行なった」「ロックバンドがストリングスを使用した」と評価される。ビートルズは、この試みの走りとなり、次第にアーティスト集団として見られるようになっていった。この曲は、現在では「ヘイ・ジュード」と共に主に日本の中学校・高等学校の音楽の教科書に採用され教材になっている。

本作についてジョン・レノンは「そうね。『イエスタデイ』のことは誰でも知ってるんじゃない。『イエスタデイ』ではぼくもさんざん誉められたな。もちろん、あれはポールの歌で、ポールの秘蔵っ子さ。よくできてるよ。ビューティフルだよ。でもぼくが作っときゃよかったとは、1度も思ったことはないね」と語った[9]

アントニオ・カルロス・ジョビンは生前「『イエスタデイ』に次ぐヒット記録を『イパネマの娘』が達成した」と聞くと「ビートルズは4人だが、僕は1人なんだよ」と笑って答えていたという。しかしながら、『イパネマの娘』がジョビンとヴィニシウス・ヂ・モライスは共作であるのに対し、『イエスタデイ』はポール単独の作詞・作曲(名義はレノン=マッカートニー)であり、録音においてもポールのギター弾き語りに弦楽四重奏を合わせており、事実上ポールのソロ作品である。

後にポール率いるウイングスのアルバム『ワイルド・ライフ』にイントロ・コード進行がイエスタデイと同じアンサー・ソング「トゥモロウ」(Tomorrow)を収録している。

作詞作曲の経緯[編集]

ポール及びビートルズの伝記によれば、当時のガールフレンドであるジェーン・アッシャーと家族が暮らすウェンポール・ストリートにあるポールの部屋で、家で睡眠中に夢の中で流れたメロディを基に作曲したという[10]。ポールは起床後、メロディを忘れないようにするために急いでコードを探してスタジオで完成させた。この時のことをポールは、「あまりに自然に浮かんできたものだから、誰かの曲のメロディなんじゃないかと思って皆に聞かせて回ったけど、誰もこのメロディを知らないみたいだったから、僕のオリジナル曲だと認識した。」と述べている[11]

睡眠中(朝食前)にメロディが浮かんだので朝食のイメージから作曲当初に書いた "Scrambled Eggs,oh my baby how I love your legs?" (歌詞の一節を採って曲名は"Scrambled Eggs")という歌詞を約2週間後に"Yesterday, all my troubles seemed so far away" などと書き直し、その歌詞の冒頭から"Yesterday"へと改題した。歌詞の内容から「自分の元を黙って離れて行った恋人を歌った曲」と解釈されていたが、ポールは「僕が14歳の時に乳癌で死去した母への想いを歌った曲」とコメントしている[12]

レコーディング・編曲[編集]

本作のレコーディングは、ポールの23歳の誕生日の4日前である1965年6月14日に開始された[13][14][注釈 3]。ポールは、ギターのチューニングを全弦1音下げでレコーディング。2テイク録音されたのち第2テイクが採用され、6月17日弦楽四重奏がオーバー・ダビングされた[14]

弦楽四重奏のアレンジは、プロデューサーのジョージ・マーティンによるものである。ポールは最初、ストリングスのアレンジを「マントヴァーニみたいなことはお断りだ」と述べていたが「ではカルテットでどうか?」というマーティンの提案を受容して完成させた。2度目のサビで第1フレーズと第2フレーズの間にチェロが「ドーミbードーシbーラ」と奏するアレンジと、第3コーラスでヴァイオリンが高音域でラの持続音を奏するアレンジはポールのアイデアである。なお、アコースティック・ギターヴォーカルを担当したポール以外、他のビートルズのメンバー3人はレコーディングに参加していない。

1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、第1テイクと1965年8月1日にABCシアターで開催されたライブでのライブ音源が収録されている。

ライブ演奏[編集]

この曲がビートルズのコンサートで演奏に際して、2種類のアレンジが存在している。

  • レコードに倣ってストリングスの演奏に合わせて、ポールがひとりでアコースティック・ギターでの弾き語り形式。ストリングスは、テープ再生か生演奏の場合で分かれ、稀にポールがオルガンで伴奏することもあった。
  • メンバー全員でのバンド形式。バンド形式の演奏では、ポールは通常通りヴォーカルとベースを担当し[注釈 4]、スタジオ音源でポールが弾いたギター部分はジョン・レノンが演奏し、ジョージ・ハリスンはストリングスの部分をギターで演奏した。なお、スタジオ・ヴァージョンがギターが一音下げのチューニングになっているので、コンサートでは逆に一音上げでの演奏になっている[注釈 5]

1966年6月30日(木)から7月2日(土)までの日本武道館公演において、ポールが「イエスタデイ」を歌いだすと、それまでの観客の歓声が急に止んだ。ビートルズの公演では異例なことで、ジョンも「クラシックコンサートのステージに急に立ったみたいで、緊張した」と述べている。ポールも「日本のファンはマナーを守って僕らの曲を聴いてくれるので好感が持てる。親日家になったきっかけだ」と述べている[注釈 6]

ウイングス時代は一人でエレアコを演奏し、ストリングス部分はサポートのホーン隊が演奏した。ウイングス解散後のコンサートでもギターを一人で演奏しているがストリングスはキーボードで演奏されている。

ポールのソロ・コンサートでは主にアンコールで演奏されており、90年代のツアーではアルバレズ・ヤイリやタカミネのエレアコを使用していたが、2002年のツアーからは、この曲のレコーディングで実際に使用したエピフォン・テキサンを使って演奏している。2013年の日本公演では「福島被災者に捧げたい」と前置きし歌っている[15]

ポールは、本作をそのキャリアを通じて、ライヴの定番としている。近年では、ポールと一緒に観客が大合唱する様子が見られる。

ミキシング[編集]

モノラル・ミックスはステレオ・ヴァージョンに比較し全体的にエコーが抑えられているが、1番の"something wrong, now I long"の箇所にのみステレオ・ヴァージョン以上に深いエコーがかけられている。

サビの部分でビートルズ得意のダブル・トラック風に聴こえるが、スタジオ内のモニター用スピーカーからの音でダブル・トラックではない。1987年のCD化の際にリミックスされ、ポールのヴォーカルとギター、ストリングスの演奏を完全に左右に振り分けた。

パーソネル[編集]

※出典[13][16]

シングル盤[編集]

「イエスタデイ」のシングル盤は1965年9月13日アメリカで発売された。本作は英国では8月6日にアルバム『4人はアイドル』において発表済みではあったが、米国キャピトル編集盤 『ヘルプ(四人はアイドル)』(1965年8月13日発売)には「イエスタデイ」は収録されなかった。そのため米国では新曲扱いのシングル盤となっていた。ビルボード4週連続1位、キャッシュボックス誌では3週連続第1位を獲得。アメリカでは100万枚以上の販売を記録している。B面は「アクト・ナチュラリー[注釈 7]。日本でもアメリカと同じカップリングのシングル盤は販売されたがA面は「アクト・ナチュラリー」。

イギリスではビートルズの活動中にはシングル・カットはなされなかった。ただし4曲入りEP『イエスタデイ』においてカット発売され、他国への輸出専用盤として「ディジー・ミス・リジー/イエスタデイ」のシングル盤が製造されている。ビートルズ解散後の1976年3月8日、「恋する二人」をB面にして英国内販売用にもシングル・カットされた。なお日本ではこちらのシングル盤も販売されている。

収録盤[編集]

ビートルズ・オリジナル[編集]

ポール・マッカートニーによるセルフ・カヴァー[編集]

カヴァー[編集]

イギリスでは、マット・モンローのヴァージョンが全英8位、マリアンヌ・フェイスフルのヴァージョンが全英36位をそれぞれ記録している。1967年には、レイ・チャールズのヴァージョンもシングル販売され、ビルボード誌では最高第25位、全英最高第44位をそれぞれ記録している。

その他、エルヴィス・プレスリーフランク・シナトラスプリームスボブ・ディランマーヴィン・ゲイマイケル・ボルトンケイティ・ペリーなど、音楽ジャンルを問わず今でもカバーされ続けている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 演奏前後のメンバーの話も含むので演奏時間は更に短い。演奏時間の出典は『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』のインデックス。
  2. ^ アメリカでは未収録で、1965年9月13日にシングルで発売されたのち、1966年6月20日に発売されたアルバム『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』に収録された
  3. ^ 同日には、同じくポール作の「夢の人」や「アイム・ダウン」のレコーディングも行なわれた。
  4. ^ 但しポールは通常ベースを弾く時はピック弾きだが、この曲では指弾きでベースを演奏している。
  5. ^ 但し、日本公演では6月30日のみ半音下げのチューニングだったため、半音上げでの演奏になっている
  6. ^ 但し、これは日本だけの現象ではなかったようで、イギリスやアメリカ等の他の国でのテレビ出演時にも、ポールが「イエスタディ」の演奏を始めると観客の声が全く無くなり、静かに聞いている映像が複数残されている
  7. ^ ドイツカナダノルウェーデンマークカナダチリペルーオーストラリアニュージーランドインドではアメリカと同じ「アクト・ナチュラリー」をB面として[1]オランダベルギースウェーデンフィンランドメキシコでは「ディジー・ミス・リジー」のB面として[2]イタリアでは「ザ・ナイト・ビフォア」をB面として[3]フランスフィリピンでは「悲しみはぶっとばせ」のB面として[4]、シングルカットされている。

出典[編集]

  1. ^ Hall, Claude (1965-10-30). Billboard. p. 40. ISSN 0006-2510. 
  2. ^ Gorlinski, Gini (ed.) (2010). The 100 Most Influential Musicians of All Time. New York, NY: Britannica Educational Publishing. p. 275. ISBN 978-1-61530-006-8. 
  3. ^ The Beatles Chart History”. Billboard. 2019年4月13日閲覧。
  4. ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950–1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32–34. 
  5. ^ 『日経BPムック 大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 世界制覇50年』日経BP社、2015年、33頁。ISBN 978-4-8222-7834-2
  6. ^ BMI Announces Top 100 Songs of the Century、BMI.com、1999年12月13日。
  7. ^ ザ・ビートルズ「イエスタデイ」、著作権で史上最も稼いだ曲のトップ10入り BARKS 2013年1月4日
  8. ^ Rolling Stone & MTV: '100 Greatest Pop Songs': 1-50 RockOnTheNet.com
  9. ^ 『PLAYBOYインタビュー ジョン・レノン』、1981年 集英社(94頁)
  10. ^ Turner, Steve (2005). A Hard Day's Write: The Stories Behind Every Beatles Song (3rd ed.). New York: Harper Paperbacks. p. 83. ISBN 0-06-084409-4. 
  11. ^ Cross, Craig (2005). The Beatles: Day-by-Day, Song-by-Song, Record-by-Record. Lincoln, NE: iUniverse, Inc.. p. 464-465. ISBN 0-595-34663-4. 
  12. ^ “ポール・マッカートニー、“イエスタデイ”は母親について歌っていたと語る (2013/09/27) 洋楽ニュース|音楽情報サイト”. rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム) (ロッキング・オン). (2013年9月27日). https://rockinon.com/news/detail/89504 2019年7月15日閲覧。 
  13. ^ a b Lewisohn, Mark (1994). Anthology 2 (booklet). The Beatles. London: Apple Records. p. 10. 31796.
  14. ^ a b Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. p. 59. ISBN 0-517-57066-1. 
  15. ^ “ポール・マッカートニー @ 東京ドーム2013.11.19 洋楽ライブレポート”. rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム) (ロッキング・オン). (2013年11月19日). http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2013111902000155.html 2019年7月15日閲覧。 
  16. ^ MacDonald, Ian (2008). Revolution in the Head, 2nd revised edition. London: Vintage Books. p. 157. ISBN 978-0-09-952679-7. 


先代:
ザ・マッコイズ
「ハング・オン・スルーピー」
Billboard Hot 100 ナンバーワンシングル
1965年10月9日 - 10月30日(4週)
次代:
ローリング・ストーンズ
一人ぼっちの世界

関連項目[編集]