イガ (昆虫)

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イガ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
上目 : Panorpida
: チョウ目 Lepidoptera
亜目 : Glossata
下目 : Heteroneura
上科 : ヒロズコガ上科 Tineoidea
: ヒロズコガ科 Tineidae
亜科 : ヒロズコガ亜科 Tineinae
: Tinea
: イガ T. translucens
学名
Tinea translucens
Meyrick1917
和名
イガ

イガ(衣蛾、学名:Tinea translucens) はチョウ目ヒロズコガ科に属する

学名[編集]

日本においてはかつて本種の学名はTinea pellionella L.1758とされていた[1]。しかしRobinson (1979, p. 75)によると、日本でT. pellionellaと報告されたものはすべてT. translucensの誤りであったという。本種(T. translucens)と異なり、T. pellionellaは日本からは発見されていない[2]

形態[編集]

成虫[編集]

成虫の体長は4.5ミリメートル程度[3]、翅の開張は9 - 16ミリメートル[1]。体は灰褐色で頭部は黄色の叢毛そうもうで被われている[3]。前翅は黄土色で光沢があり[1][3]、明瞭な紋[注 1]が3点ある。後翅は淡灰色で、翅頂部と外縁は色が濃い[3]T. pellionellaと比べて前翅・後翅ともに色がかなり淡い[1]

幼虫[編集]

幼虫の体長は7ミリメートル程度[3]。体は淡黄白色で頭部は黒い[3]。体毛はない[3]

本種に類似するT. pellionellaの成虫(左)と幼虫(右)

生態[編集]

年2回から3回発生する[3]。25℃においては1世代に約55日を要する[4][2][3]。日本では屋内において成虫は4月から11月まで見られる[2]。幼虫態で越冬する[2][5][3]

幼虫は繊維を加工してやや扁平で両端が開口している筒状の鞘を作り、その中で生活する[3][6]。鞘をつけたまま移動し、摂食は頭や胸を鞘の先端から出して行う[3][6]。幼虫は衣類、毛織物、動物標本、乾魚、魚粉、鰹節などを食べる[2][3]。幼虫は老熟すると吐糸で鞘の一方を固定し、鞘の中で蛹になる[2][3][6]。蛹化から1週間程度で羽化する[6]。成虫は繊維の隙間や動物標本など幼虫の食物となる場所に産卵する[3][6]

野外においてはツバメやハトなどの鳥類の巣に生息している[5][7]

分布[編集]

世界中に広く分布している[8][9]

脚注[編集]

注釈[編集]

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  1. ^ 紋の色については森内 1982, p. 168では暗灰色、野淵 1993, p. 4では褐色としている。

出典[編集]

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  1. ^ a b c d 森内 1982, p. 168.
  2. ^ a b c d e f 森内 1982, p. 169.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 野淵 1993, p. 4.
  4. ^ Kuwana & Nakamura 1963, Abstruct.
  5. ^ a b 那須ら 2007, p. 93.
  6. ^ a b c d e 山野 2013, p. 13.
  7. ^ 富岡・中村 2000, pp. 101-102.
  8. ^ 田中 1987, p. 37.
  9. ^ 山野 2013, p. 14.

参考文献[編集]

  • Kuwana, Zyuiti; Nakamura, Sigeko (1963). “Studies in Mothproofing: Part II: Feeding Damage to Several Kinds of Fibers by the Larvae of Two Species of Clothes Moth, with a Note on Their Life Histories”. Textile Research Journal 33: 649–660. doi:10.1177/004051756303300807. 
  • Robinson, Gaden S. (1979). “Clothes-moths of the Tinea pellionella complex: a revision of the world's species (Lepidoptera: Tineidae)”. Bulletin of The British Museum (Natural History) Entomology 38: 57–128. doi:10.5962/bhl.part.785. 
  • 井上寛、杉繁郎、黒子浩、森内茂 『日本産蛾類大図鑑』1、講談社、1982年9月。ISBN 4-06-124037-4。
    • 井上寛、杉繁郎、黒子浩、森内茂 『日本産蛾類大図鑑』2、講談社、1982年9月。ISBN 4-06-124036-6。 - 上記文献において参照している文献(Kuwana & Nakamura (1963)およびRobinson (1979))を特定するために利用
  • 田中和夫「日本産屋内害虫目録(害虫目録) (PDF) 」 、『家屋害虫』29, 30、都市有害生物管理学会、1987年3月10日、 34-52頁、 NAID 1100077245562016年9月10日閲覧。
  • 富岡康浩、中村茂子「鳥の巣から見つかった昆虫類(1) : 特に衣類害虫および食品害虫について (PDF) 」 、『家屋害虫』第21巻第2号、都市有害生物管理学会、2000年1月30日、 100-104頁、 NAID 1100077241802016年9月10日閲覧。
  • 那須義次、村濱史郎、坂井誠、山内健生「日本において鳥類の巣・ペリットおよび肉食哺乳類の糞から発生したヒロズコガ(鱗翅目,ヒロズコガ科) (PDF) 」 、『昆蟲. ニューシリーズ』第19巻第2号、日本昆虫学会、2007年12月25日、 89-97頁、 doi:10.20848/kontyu.10.4_89NAID 1100071644662016年9月10日閲覧。
  • 野淵輝「家屋内で発見される木材害虫とその疑いのもたれる昆虫類(V) (PDF) 」 、『木材保存』第19巻第1号、日本木材保存協会、1993年、 2-12頁、 doi:10.5990/jwpa.19.22016年9月10日閲覧。
  • 山野勝次 (2013年8月20日). “<昆虫学講座 第6回> シミ目・チャタテムシ目・チョウ目 (PDF)”. 文化財虫菌害研究所. 2016年9月10日閲覧。
  • イガ - みんなで作る日本産蛾類図鑑