イーグル金貨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

イーグル金貨(イーグルきんか、Eagle Gold)とは、アメリカ合衆国政府が発行してきた本位貨幣としての10ドル金貨である。現在では1986年から発行された地金型金貨の名称として用いられる。

1795年の10ドル金貨[編集]

ターバンヘッドの旧タイプ2種

1792年の貨幣法(Coinage Act of 1792)では金品位は22カラットであり、イーグル金貨(10ドル金貨)は270グレーン(17.496g)(品位22/24、純金247.5グレーン: 16.038g)に定められた。

ターバンヘッドタイプのイーグル金貨は1795年から1804年銘まで製造発行された[1]

以下1/2イーグル(5ドル金貨)135グレーン(8.748g)(品位22/24、純金123.75グレーン: 8.019g)、1/4イーグル(2.5ドル金貨)67.5グレーン(4.374g)(品位22/24、純金61.875グレーン: 4.009g)と額面に比例していた。この時の金銀比価は1:15であった[2]

1834年の金貨[編集]

1839年リバティヘッド(旧)
1865年リバティヘッド(新)
1866年リバティヘッド(モットー)
1907年インディアンヘッド
1908年インディアンヘッド(モットー)

しかし、銀相場の下落から金貨の国外流出・溶解が起こったため、1834年の貨幣法(Coinage Act of 1834)では金貨が減量され品位も116/129(899.2/1000)とやや下がった。イーグル金貨は258グレーン(16.718g)(品位116/129、純金232グレーン: 15.033g)、1/2イーグルは129グレーン(8.359g)(品位116/129、純金116グレーン: 7.517g)、1/4イーグルは64.5グレーン(4.180g)(品位116/129、純金58グレーン: 3.758g)となった。しかし、このタイプのイーグル金貨は製造されず、1/2イーグルと1/4イーグルが製造された[1]。これにより金銀比価は1:16.00となった。

1837年以降の10ドル金貨[編集]

1837年には量目は変えず金品位を僅かに上げ、116/129(899.2/1000)から900/1000と微調整された。イーグル金貨は258グレーン(16.718g)(品位900/1000、純金232.2グレーン: 15.046g)となった。

リバティヘッド(コロネット)タイプのイーグル金貨は1838年から1907年まで、インデアンヘッドタイプのイーグル金貨は1907年から1933年銘までが製造された[1]。リバティヘッドは1866年銘からモットーが入り、インデアンヘッドは1908年からモットーが入った。

以下は額面に比例であり、1/2イーグルは129グレーン(8.359g)(品位900/1000、純金116.1グレーン: 7.523g)、1/4イーグルは64.5グレーン(4.180g)(品位900/1000、純金58.05グレーン: 3.762g)となった。これにより金銀比価は1:15.99となった。

1849年からはダブルイーグル(20ドル金貨)(516グレーン: 33.436g)(品位900/1000、純金464.4グレーン: 30.093g)および1ドル金貨(25.8グレーン: 1.672g)(品位900/1000、純金23.22グレーン: 1.505g)、1854年からは3ドル金貨(77.4グレーン: 5.015g)(品位900/1000、純金69.66グレーン: 4.514g)も製造された[1]

1792年以来、アメリカは金銀複本位制を採ってきたが、1850年台終盤頃のネバダ州における膨大な銀鉱の開発から銀価格が下落し、1873年の貨幣法(Coinage Act of 1873)では銀貨が補助貨幣扱いとなり金本位制となった[3]。金本位制は1900年に正式に法律に金1オンス=20.67ドルと明記された。

1933年にはルーズベルト大統領は大統領命令6102号を発令してアメリカ市民の金保有を禁止し、金本位制・金貨の製造も停止された。この時市民は金1オンス=20.67ドルの平価で収集用金貨を除く金貨や金制品の供出を強制された。このため1933年銘の金貨は全て溶解されたことになっていたが、最終年号である1933年銘の20ドル金貨がオークションに出品され、アメリカ政府は金貨の所有権をめぐって提訴する事件に至った[4]

地金型金貨[編集]

イーグル金貨(表)
イーグル金貨(裏)

現在の地金型金貨の主流はK24の純金であるが、イーグル金貨は22カラット(91.67%)である。かつての流通用金貨がそうであったように、およびとの合金とすることによって、純度と引き換えに耐磨耗性を得ていることが特徴である。K22の地金型金貨としては他にクルーガーランド金貨南アフリカ)、ブリタニア金貨(イギリス)がある。

種類はそれぞれ純金量1,1/2,1/4,1/10トロイオンスの4種。合金分を含んだ総重量は若干多い。額面は1トロイオンス貨からそれぞれ50,25,10,5ドルだが、発売・取引価格を大きく下回る。また収集用にプルーフ加工(鏡面加工)されたものも発行されている。

他に現代アメリカの地金型貨幣としては、1986年からは純度99.9%のイーグル銀貨が、1997年からは純度99.95%のイーグルプラチナ貨が、2006年からは一般的な地金型金貨同様に99.99%の純度をもつバッファロー金貨が、それぞれ並行して発行されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]


出典[編集]

  1. ^ a b c d Chester L. Krause and Clofford Mishler, Colin R. Brucell, Standard catalog of WORLD COINS, Krause publications, 1989.
  2. ^ Annals of Cong. 2115 (1789–1791), cited in Arthur Nussbaum, The Law of the Dollar, Columbia Law Review, Vol. 37, No. 7 (Nov., 1937), pp.1057–1091.
  3. ^ Carothers, Neil (1930). Fractional Money: A History of Small Coins and Fractional Paper Currency of the United States. New York: John Wiley & Sons, Inc. (reprinted 1988 by Bowers and Merena Galleries, Inc., Wolfeboro, NH). ISBN 0-943161-12-6.
  4. ^ 米政府:1933年鋳造の幻の金貨、ダブルイーグル所有権めぐり提訴