ウルシ科

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ウルシ科
Rhus chinensis
ヌルデ Rhus chinensis
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類II Eurosids II
: ムクロジ目 Sapindales
: ウルシ科 Anacardiaceae
学名
Anacardiaceae
(R.Br.) Lindl. (1831)
タイプ属
Anacardium
和名
ウルシ科
英名
cashews、sumac family
  • 本文参照

ウルシ科(ウルシか、Anacardiaceae)は、双子葉植物に属するで、約83860ほどを含む。日本にはウルシやヌルデ、ハゼノキなどが自生する。ウルシ以外にも、マンゴーやピスタチオ、カシューナッツなど経済的に重要な植物を含む。

学名のAnacardiaceaeはカシューナッツをタイプにしている。牧野 (1940) はヤマハゼの別名から和名をハゼノキ科としている[1]

特徴[編集]

木本で、低木または高木。葉や根、幹の皮層、髄、師管、木部放射組織などに樹脂道があることが多く、樹脂や乳液は時に強い毒性を示す。特に髄の樹脂道は多くの種で見られるウルシ科の特徴とされる。タンニン細胞もよく見られる。

ウルシ科では道管要素が単穿孔で連結されていることが多いが、一部では階段状穿孔も見られる。隣接する柔組織細胞とも単穿孔で連結されている。

葉は落葉性または常緑性で、ふつう互生まれに対生、托葉はなく、ふつう奇数羽状複葉まれに偶数羽状複葉または単葉、小葉はふつう対生まれに互生。葉脈はふつう羽状まれに掌状、二次脈は多様。

花は小さく目立たない。花序は円錐花序で、頂生または腋生し、苞がある。花は両性または単性で、多くでは両性花と雄花の咲く株と両性花と雌花の咲く株がある。萼片と花弁は同数で3-7個で瓦重ね状、まれに花弁はなく萼片のみ。雄しべは離生し、花弁の数の2倍またはそれより多く、雌しべの下、肉質の輪状または杯状の蜜盤の基部から出る。子房は上位で、雄花では1室、雌花では1室または4-5室、まれに4-6室で離生心皮。花柱は心皮と同数または1本、胚珠は1子房室につき1つ。

果実はふつう核果、裂開しない。種皮は非常に薄く、胚乳はないか、あってもほぼない。子葉は肉質。

分布[編集]

熱帯亜熱帯に多く、温帯に分布する種は少数。熱帯アメリカ、アフリカ、インドに多くの種を産する。カイノキ属とヌルデ属の数種が南ヨーロッパで見られ、北アメリカではヌルデ属が広くみられる。南アメリカではサンショウモドキ属が広くみられる。

利用[編集]

樹脂を含み、これをなどの塗料として利用するが、特にウルシに近縁の種(Rhus および Toxicodendron 属)は、ウルシオールまたはラッコールを多く含み、これによってアレルギー皮膚炎を起こしやすい。

また、果実の果肉に高融点中性脂肪を含むものが多く知られ、しばしばこれを広義のとして利用する。種子の中の子葉に蓄えられた貯蔵栄養素も、主として脂肪であるものが多く、ナッツ類として食用になるものがある。

経済植物としては、ウルシのほか、果樹マンゴー、ナッツ類として利用されるカシューナッツピスタチオ香辛料とされるコショウボク(ピンクペッパー)、また和蝋燭の原料の蝋を採取するハゼノキなどを含む。アフリカのマルーラなど、原産地周辺でのみ食される果樹も多い。

分類[編集]

歴史[編集]

ウルシ科に相当するアイデアの初出は、1789年に植物学者アントワーヌ・ローラン・ド・ジュシューが記載した「Terebintaceae」である。これは1759年、叔父のベルナール・ド・ジュシュー小トリアノン宮殿の庭園を設計する際に用いたグループ分けに基づいており、カシューナッツ、タイトウウルシ、マンゴー、ウルシ、ヌルデなどの属に加え、現在別科のマメモドキ属が含まれていた。

ロバート・ブラウンは、ジェームズ・ヒンストン・タッキー率いるコンゴ川の調査に同行した、クリステン・スミスが作成した標本を調べ、1818年にまとめた。ここでブラウンはジュシューの枠組みを引き継ぎ、スミスの残したウルシ科標本にはヌルデ属しか含まれていなかったものの、新たにTerebintaceaeの下位分類群として「Cassuvlae(Anacardeae)」を認めた。

1824年、オーギュスタン・ピラミュ・ドゥ・カンドールは、ブラウンの使用した名称を用いて、カシューナッツ属、タイトウウルシ属、マンゴー属を残しつつも、ウルシ属などは別科として除き、カイノキ属、ウミソヤ属、アストロニウム属、コモクラディア属、ピクラムニア属を追加した。

1831年、ジョン・リンドリーは、現在のようにカシューナッツを基準とする「Anacardiaceae」の枠組みを用いて、再びウルシ属などを含め、現在の分類に近づいた。

アドルフ・エングラーはウルシ科に5つの連を認めていた。アルメン・タハタジャンはこれらを2つの亜科にまとめ、これは分子系統解析でも裏付けられた。

カイノキ属は、単純化した花の構造や、花粉の形態、羽毛状の花柱などに基づいてしばしばカイノキ科として分けられていたが、胚珠の形態やDNAはウルシ科の一員であることを示している。

主な属[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 牧野, 富太郎牧野日本植物圖鑑』北隆館、1940年。

参考文献[編集]

  • 茂木透写真『樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、272-293頁。ISBN 4-635-07004-2。

関連項目[編集]