スカイカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モラー・スカイカーは いまだ飛行に成功していない

スカイカー(skycar)とは飛行可能な自動車のことである。単に空飛ぶ車とも。英語では浮上可能な自動車全般を指してflying carと表現される。この中には空陸両用の軽飛行機との見方ができるものも含まれている。

また、SF作品などに登場する空気の力で浮上する車はエアカー(aircar)とも呼ばれる。ただし、エアには「空中」、「空」という意味もあるので、浮上が空気によるものとは限らずスカイカーと同義で使われる場合もある。ここでは浮上可能な自動車全般について取り扱う。

概要[編集]

従来から飛行可能な自動車の研究は行われてきたが、航空機は単発ピストンエンジンの単座機でもスーパーカー以上の価格であり、実際に操縦するには自動車免許の他、最低でも自家用操縦士航空特殊無線技士が必要で、飛行計画の事前提出が求められるなどハードルが高く、個人やベンチャー企業の小規模な研究にとどまっていた。その後無人航空機オートパイロットの発展により、自動操縦により免許不要で利用できる小型エアタクシーの計画が大手企業の出資でスタートしている[1]

2018年現在は法的な位置づけが不明瞭であり国際民間航空機関でも単に地上走行可能な航空機とみなされているが、自動操縦によるスカイカーの開発が各国で急速に進んでいるため、運航のルールなどを検討する協議会が設立されるなどしている[2]

開発中のスカイカー[編集]

Moller Skycar[編集]

Moller Internationalによるモラー・スカイカーM400を宣伝するポスター

カナダ発明家、ポール・モラー(en:Paul Moller)がMoller Internationalで開発した空を飛ぶ自動車(スーパーカー)である。そのうち、モラー・スカイカーM400 (Moller Skycar M400)は4人乗りで最高時速350マイル(約560km)、垂直に離陸が可能である(VTOL)。飛行機ヘリコプターなどとはあくまで一線を画しており、スカイカーはあくまで自動車のように、庶民の誰もが運転できるようになる、手軽な交通手段としての普及を目指している。現在は競売価格で4億円程度と高額だが、大量生産が始まれば、近い未来には10万ドル以内(1000万円程度)での販売を視野に入れている。

2013年、モラーは米国企業と中国企業のコンソーシアムと共同生産することで合意した[3]

Transitionの飛行モード

Transition[編集]

米国企業のテラフージア(Terrafugia)によるもので、2011年中に生産を開始すると発表している。30秒以内に地上走行モードから飛行モードへの切り替えが可能。また、燃料の満タン時には640~720キロの飛行ができ、最高速度は時速185km、価格は1600万円~2100万円と発表している。現在、同社のホームページにて1万ドル(約80万円)で予約を受け付けている[4]

テラフージアではこの他にDARPAトランスフォーマーTX英語版というスカイカーの製造を担当[5]した他、「AirCar」(エアカー)という名称のスカイカーも開発している[6]

2017年11月にテラフージアは中国の吉利汽車の親会社の浙江吉利控股集団に買収され[7]、3倍の人員と資金を得てTransitionの開発体制を安定させたことから2019年の市販を発表し[8]2018年10月に世界初の量産型スカイカーとして注文開始した[9][10][11]

flying Maruti[編集]

インドバンガロールに住むヴィシュワナート(A.K. Vishwanath)がマルチ・スズキ・インディアマルチ・800(2代目スズキ・アルトベース)を改造して製作。バンガロール空港で開催された航空ショー「エアロインディア2011」に展示された。ミツバチの飛行能力などを参考にし開発に16年を費やしたとしているが、航空力学的に飛行出来ないと言われ現在のところ飛行試験は行われていない[12]

パラジェット社製スカイカー[編集]

英国企業パラジェット(Parajet)によるモーターパラグライダーを利用したスカイカー。バギー風の車にパラグライダーのような翼を持つ。レイジ・モータースポーツ(Rage Motorsport)との共同生産、スカイカーの考案は冒険家のニール・ロートン(Neil Laughton)である。地上走行モードから飛行モードへの切り替えは3分程、離陸するための速度は時速約56km、200メートル以上の滑走路により離陸可能である。飛行モードでの最高速度は時速約110km、巡航高度約600~900メートル、最高高度約4500メートルとなっている。また、地上走行モードでの最高速度は時速約160km、4.5秒で時速約97kmまで加速できる。ロンドンからアフリカマリ共和国トンブクトゥまで飛行するプロジェクト「スカイカー・エクスペディション2009」に成功した。将来的には車体を80kg軽量化し、約142psのヤマハ燃料噴射式3気筒エンジンを搭載する予定である[13][14]

CARTIVATOR[編集]

日本の業務外有志団体による計画。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 日本発の空飛ぶクルマ「SkyDrive」、2020年に実現へ――NECがCARTIVATORとスポンサー契約を締結 - ITmedia エンタープライズ
  2. ^ 「空飛ぶ車」実用化目指す 官民で運航ルールなど検討へ - NHK
  3. ^ Skycar® developer, Moller International, Signs MOU with US-based Firm” (2013年1月23日). 2017年12月18日閲覧。 from eAthenaTech.com
  4. ^ 「空飛ぶ車」、年内に生産開始へ-米テレフギア社 (サーチナ:2011年2月8日)
  5. ^ Huang, Gregory T. "Terrafugia, Aurora Flight Sciences, Metis Design take wing in $65M DARPA program to design Flying Humvee" Xconomy, 2 December 2010.
  6. ^ Is is a car? Is it a plane? Actually it's both, and it certainly beats sitting in traffic jams(Mail Online)
  7. ^ 「空飛ぶ車」を買収、中国・浙江吉利の株価が24年ぶり高値更新” (2017年11月14日). 2017年12月18日閲覧。
  8. ^ 空飛ぶクルマTerrafugia、2019年の市販開始を発表。吉利の買収で開発体制が安定” (2018年7月19日). 2019年1月15日閲覧。
  9. ^ 動画:吉利集団、10月に「空飛ぶ車」予約受付 19年に納車” (2018年10月2日). 2019年3月30日閲覧。
  10. ^ World's first FLYING CAR that can turn into a plane in less than a minute and soar along at 100mph is going on sale in the US next month” (2018年9月26日). 2019年1月15日閲覧。
  11. ^ World's first flying car about to go on sale” (2018年9月27日). 2019年1月15日閲覧。
  12. ^ 「空飛ぶ車」?インド発明家が開発(AFPBB News:2011年2月12日)
  13. ^ 世界初のバイオ燃料スカイカーの製品モデルが2010年に登場!(Autoblog JP)
  14. ^ パラグライダー+エンジンで人が飛ぶ「パラジェット」:「空飛ぶ車」も開発中(WIRED.jp)

関連項目[編集]