オカルト

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オカルト英語: occult)は、秘学・神秘(的なこと)・超自然的なもの[1]

概要[編集]

ラテン語: occulere過去分詞 occulta(隠されたもの)を語源とする。で見たり、触れて感じたりすることのできないことを意味する。そのような知識の探求とそれによって得られた知識体系は「オカルティズム」と呼ばれている。ただし、何をもって「オカルト」とするのかについては、時代や論者の立場等により見解が異なる。

オカルティズムはフランス人魔術師エリファス・レヴィが能動的な魔術体系を提唱した時に使用した語である[2]。対して「オカルト」という形容詞が英語圏で一般に使用されるようになったのは、英国の神智学協会会員のアルフレッド・パーシー・シネット英語版が1881年に出版した神智学書『オカルトの世界英語版』(The Occult World)からとされる[2]。オカルティズムが比較的限定的に用いられたのに比べて、オカルトは広く用いられた[2]

この語は、ヨーロッパにおいては、論敵にレッテルを貼るために使われてきた歴史を持つ。特に、正統派を自認している側から、そうではない側をこの名称で呼ぶことが行われた。ただし、その正統派が誰なのかという点は時代とともに変遷する。

例えば、アイザック・ニュートン万有引力を提唱した時には、同時代の学者たちから“オカルト・フォース”を導入しているとの非難が浴びせられた。だが、その後はニュートンの説のほうが次第に正当との扱いになり、“オカルト”ではなくなり、レッテルを貼っていた側のほうが非正統派となってしまったわけである。またこの事例は、自らの理論体系・知識体系がその一部に(万有引力のようにまさしく)「目で見たり触れて感じたりすることのできないこと」を含んでいても、論者自身は通常それを“オカルト”とは呼ばないものであるということも示している。

そもそも、この語がこのような使われ方をする別の理由としては、立場が異なる知識体系の内容はそれがどんなものであれ、大抵はとりあえず慣れないうちはひどく意味不明であり、まるで得体の知れないものを扱っているように感じられることから、“隠されたもの”という語があればその語を用いて非難してしまいたくなるという人間の心理上の事情もある。宗教信仰の分野においても、そのような原理は働いており、自らの信仰体系とは異なるものは即「オカルト」と呼ぶことにもつながる。

実際、キリスト教が正統派とされていた(あるいは自身でそう自認できた)19世紀ヨーロッパにおいて、いわゆる“正統派キリスト教会”の信仰体系とは異なる信仰体系(異教)が復興してきた時には、それが「オカルト」と呼ばれることになった。

この歴史の影響から「19世紀以降の、正統キリスト教以外の平常の生活から隠された人間の知識を超えた神秘の研究とその結果である神秘主義体系がオカルティズムと呼ばれる」と解されることもある。

もっとも、上述の心理的原理により、その後この「オカルト」という語は拡張的に利用されていくことになった。後年、自然科学の分野が発展すると、自らを“正統な科学”の担い手と自認する勢力が自らとは異なる手法を「オカルト」と呼ぶことも起きた。今日では、伝統宗教からはずれた“異端”宗教、民間宗教、宗教的俗説のようなものに限らず、単に「一般的でない知識」まで「オカルト」と呼ばれることが多い。

日本では、このような知識についての記事が学習研究社の児童用雑誌に掲載され好評であったため、そこからスピンアウトした同社の雑誌『ムー』により、人々に広く知られるところとなった。『ムー』はオウム真理教信者の中に愛読者が多かったことで知られ、宗教学者の大田俊寛オウム真理教も『ムー』が始めた現代オカルトブームから発生したと語る[3]

脚注[編集]

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  1. ^ 國廣哲彌ほか編 「occult」『小学館プログレッシブ英和中辞典』 小学館2003年、第4版。ISBN 4-09-510204-7。2012年3月28日閲覧。
  2. ^ a b c 吉永進一 執筆 「オカルト」『現代宗教事典』 井上順孝 編、弘文堂、2005年、pp.66-67.
  3. ^ 大田俊寛「オウム真理教事件の真の犯人は「思想」だった」 SYNODOS

参考文献[編集]

関連項目[編集]