カプノグラフィ

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カプノグラフィとは呼気中の二酸化炭素の濃度を測定する装置である。その数値や波形、経時的変化から気管挿管や呼吸回路の外れ、閉塞などの気道トラブル、手術中の空気塞栓などの重篤な合併症や人工呼吸器の動作不良の早期発見に役立つ[1]

概要[編集]

呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)は、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の値を反映することが知られていて、PaCO2の値を推測することが可能である。適切な換気がなされているかをリアルタイムかつ連続的に監視でき、換気状態の目安として人工呼吸器使用中患者などに多く使用される[2]。換気以外にもその他の循環や代謝のモニタリングとしても有用性が高く、周術期や集中医療、救急医療において欠かせない存在となっている。カプノグラム波形から気道狭窄や呼吸回路のトラブル、自発呼吸の出現、肺血栓塞栓症などの情報が得られる[1]

PaCO2やPETCO2の正常値は、35~45mmHg程度であり、これらの値は、基本的に換気量に依存しており、換気量が多いと、二酸化炭素がたくさん排出され、PaCO2は低下する。逆に換気量が少ないと、血液内にCO2が貯まるので、PaCO2が上昇する[3]

他にもPETCO₂は低体温、心拍出量低下や肺血流量低下に伴って低下し、高体温や心拍出量増加に伴って上昇する[1]

世界におけるカプノグラフィ装置の市場規模は、2024年までに11億3,000万米ドルの規模に達すると予測されている[4]

種類[編集]

カプノグラフィにはセンサーを配置する位置によって「メインストリーム方式(フロースルー方式」と「サイドストリーム方式(ガスサンプリング方式」とがある。

メインストリーム方式[編集]

二酸化炭素センサを患者のすぐそばに設置する形式[2]。呼吸回路内にアダプタとCO₂センサーを組み込みアダプタのチャンバー部位を流れる呼気ガスを直接測定するもので、測定の時間的遅延がない利点がある。欠点としてはセンサーが重いため呼吸回路の外れ、気管チューブの閉塞位置のずれなどに注意が必要な点がある。また、アダプタ部分が死腔となるため、死腔量が増加する[1]

サイドストリーム方式[編集]

サイドストリーム方式は、患者に接続された呼吸回路から、患者の呼気の一部をサンプリングチューブを介して吸引し、離れたところにあるカプノメータ本体の二酸化炭素センサでPETCO2を測定する方式。麻酔ガス濃度も測定できるので手術室などで使用される[2]。麻酔中では、主に気管チューブに接続した人工鼻にサンプリングチューブをつける。利点としては、気道確保がされていなくてもサンプリングチューブを鼻腔などに留置し呼気ガスを採取することにより、PETCO₂の測定が可能となる。欠点としてはサンプリングする位置が患者から離れるほどPETCO₂が低く測定される点、水分や分泌物などによるサンプリングチューブの詰まりが測定誤差の原因となる点がある[1]

マイクロストリーム方式[編集]

近年、徐々に増えつつある。

カプノグラム[1][編集]

吸気及び呼気の二酸化炭素分圧を連続的に測定して経時的に曲線で表したもの。横軸が時間、縦軸がPCO₂を示し第Ⅰ~Ⅳ相からなる。この波形や時間経過から得られる情報は非常に多い。患者の呼吸や循環の状態を把握するのに有用であるほか、麻酔中の様々な気道のトラブルを早期発見することができる。

・第Ⅰ相:吸気の最後から呼気の初期。気管チューブや気管・気管支など解剖学的死腔に存在するガスが呼出されるPCO₂は0mmHgを示す

・第Ⅱ相:次第に肺胞からのCO₂を含んだガスが解剖学的死腔のガスと混合して排出されてくるため、二酸化炭素分圧は徐々に上昇する。

・第Ⅲ相:肺胞からのガス排出。正常ではほぼ平坦であり、呼気終了時の値がPETCO₂である。

・第Ⅳ相:吸気が開始され、二酸化炭素分圧が急激に下降し、基線(0mmHg)まで戻る。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 周術期管理チームテキスト 第3版. 公益社団法人 日本麻酔科学会. (2016年8月10日). 
  2. ^ a b c カプノグラフィとは?グラフの見方, http://breathok.com/petco2 
  3. ^ 萓島道得 『呼気炭酸ガス濃度計(カプノメータ)EMERGENCY CARE2005』。
  4. ^ カプノグラフィー装置市場の分析・予測 2024年:メインストリーム方式・サイドストリーム方式・マイクロストリーム方式, https://www.gii.co.jp/report/grvi368031-capnography-device-market-analysis-by-product.html