ギル (ストリートファイター)

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ギル プロフィール

ギル (Gill) は、カプコン対戦型格闘ゲームストリートファイターIII』シリーズなどに登場する架空の人物。

キャラクター設定[編集]

紀元前のはるか昔から世界を支配している、謎の秘密結社の総統(後に「天帝」となる)。西暦2200年の地球上に理想の世界を作り上げんとしている。自らを、の如き尊い存在であると自負し、勝利時のメッセージでは相手を諭すように理知的な話し方をする。なお初代『ストIII』と『2nd』以降では口調が異なり、主に初代『ストIII』の時は高慢な話し方であった(例:二人称を「貴様」と呼ぶなど)が、『2nd』以降は先述のように穏やかな話し方(例:二人称を「君」と呼ぶなど)である。プロフィールによると、出身地はもちろん名前以外は全て「不明」になっている[1]

ギルの国籍は不明だが、初代『ストIII』では地中海、『2nd IMPACT』以降は南極[要出典]をホームステージにしている。『2nd IMPACT』以降のホームステージでは、顔をすっぽりと覆う頭巾をかぶった部下たちが背景に登場する。

対戦後の勝利メッセージは日本語だが、対戦中に発する言語は英語である。

『ストIII』シリーズの前日談にあたる『ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)にも登場し、ゼネラルストーリーのエンディングではユリアンの配下であったヘレン[2]の正体がコーリン[3]であることが判明する。コーリンのストーリーモードでは、戦争によって故郷を無くし名を捨てた彼女を雇い入れた。

体の特徴[編集]

普段はローブを着用しているが、闘いの際にはのような着衣のみの姿となる。中平正彦の『RYU FINAL』では普段は長身の白人だが、闘いの際に体が変色する描写がある。

体の色は正中線を境に左右で異なり、右半身は赤色、左半身は青色(この配色はゲーム中で向きが変わっても入れ替わることはない)。そして右半身と左半身で使用できる能力がそれぞれ異なる。右半身は炎の力、左半身は氷の力を自由自在に操り、通常技の強攻撃を当てると、(左から当てれば)相手の体を燃やし、(右から当てれば)凍らせることができる。また、戦闘中にレバーニュートラルにしておくと、ギルの体から炎や氷が現れては消える。

『3rd STRIKE』では、リザレクション発動中や敗北時を除き、体が常に点滅している。

ボスキャラクターとして[編集]

『ストリートファイターIII』シリーズにおいてボスキャラクターを務める。初代では全キャラクター共通の最終ボスであったが、『2nd IMPACT』ではキャラクターごとに最終ボスが設定されており、最終ボスとは限らなくなったが、その場合はその1つ前で対戦することになるため、どのキャラクターを使っていてもエンディングへ進む過程で必ずギルと戦わなければならない。『3rd』で再び全キャラクター共通の最終ボスとなったが、対ギル戦の直前、特定の相手との会話が用意されている[4]

家庭用の対CPU戦でギルを使用して進むと、最終ボスは初代『ストIII』では自身との同キャラ対戦、『2nd』ではユリアン、『3rd』ではアレックスとなっている。

『2nd IMPACT』にて、特定の条件を満たすと現れる真・豪鬼を倒してクリアすると、スタッフロールが流れる背景にはギルが倒れており、それが終わると起き上がってポーズをとりながら体を発光させる。

他キャラクターとの関係[編集]

秘密結社の女性メンバー・コーリンは彼の秘書である。時系列が『ストIII』シリーズの前である『ストV』ではロシア風の防寒服を着た「ヘレン」という女性の姿でユリアンの秘書として登場する。書物の予言の通りに「組織の技術を与えて復活させた戦士にシャドルーを壊滅させる」使命を受けており、ナッシュハン・ジュリ、ラシードを利用するが、ベガを倒したのは復活させたナッシュではなくリュウであった。ギルは「多少の誤差は仕方のないこと」と言い、ヘレンをコーリンの姿に戻した。

かつてアレックスの同居人にして恩人でもあるトムをストリートファイトで倒したことがあり、アレックスが世界を廻るきっかけを作った。

初代『ストIII』と『2nd』では、かつてダッドリーの父の所有物であったジャガーを所有していたために対戦を挑まれた。ギルは敗北後にダッドリーにジャガーを返還している。ギルはこの車を「良い車」と評価している。

同じくいぶきが獲得を目指していた「Gファイル」を所有していたために対戦を挑まれた。ギルは敗北後にいぶきに「Gファイル」を渡している。しかし、いぶきに対して「これを見たところで、誰にも何もできない」と発言している。

初代『ストIII』と『2nd』では実験体1号だったネクロと、同じく実験体でネクロの彼女・エフィーに脱走されている。彼らの情報の漏洩はギルの組織にとっては都合が悪いため、彼らの捕獲・抹殺を試みている。なお、前述のダッドリーといぶきについては対戦前の約束を守っていたが、ネクロについては約束を守らず、彼らを抹殺しようとしている。

弟にユリアンがいる。ユリアンはギルとともに幼少の頃から総統候補として英才教育を受けてきた。しかし、「情緒不安定」で弟であるという理由から、兄ギルが総統に選抜される。これにより、ユリアンは副総統の座に甘んじることになり、その屈辱からギルは弟から激しい憎悪と殺意を向けられている。

『2nd IMPACT』でヒューゴーの最終ボスとして登場した場合のエンディングでは、「束の間の戯れ」としてヒューゴーと組んでCWAのタッグトーナメントに出場している。タッグ名は「ラグナロクウィナーズ」で、ギルは「再生と破壊の帝王」と紹介されている(ヒューゴーは「世紀の大巨人」)。『3rd STRIKE』のヒューゴーのエンディングではヒューゴーが打ち負かした他のキャラクターと同じようにH.W.A.(ヒュージ・レスリング・アーミー)に参加している様子が描かれている。その際、観客に対して笑顔で応えている。

ゲーム上の特徴[編集]

全作品を通じてアーケード版では使用不可能(『3rd STRIKE』でトゥエルヴを使用した場合、ギル戦でスーパーアーツ(以下『SA』と表記)の「X.C.O.P.Y.」を使用することにより、ギルのSAを除いた技を使用可能)。家庭用では、特定の条件を満たすことで使用できる。家庭用オリジナルの要素として、対同キャラ戦時の勝利台詞、そしてエンディングも追加されている。

格闘スタイルは弟のユリアンとほぼ同じで、通常技のモーションもユリアンと同じものが多いが、全体的にユリアンよりも隙が小さく、攻撃力も高い。とりわけ通常技の強攻撃は、威力の高さもさることながら、ガードされても相手の体力を削る能力を持つ。必殺技も高性能なものが揃っており、ボスキャラクターに相応しい圧倒的な強さを誇る。

カプコンのスタッフは『3rd』のギルについて、「ギルは今回えげつないスーパーアーツを備えました。脅威の全方位攻撃を出されないように上手く倒して下さい。健闘を期待します」「ギルは今回、『天帝』として現れました。『人を超越した者』として。その名にふさわしく今回はかなり手強いです。全画面攻撃までします。演出面でも『神々しさ』にこだわった作りをしました」と述べている[5]

技の解説[編集]

パーソナルアクション[編集]

その場で高笑いをする。終わった直後に打撃技か投げ技を決めると威力が上がる。たとえ空振りしても、相手に技が決まるまでは効果が持続する。笑い終えるまでに一定の時間がかかり、そのあいだのギル本体は無防備。

投げ技[編集]

※初代『ストIII』においてはギルの投げは「ブロッキング」(上段・下段ともに)が可能。この現象はプレイヤー側が何の前触れもなく先にブロッキングの動作をした後で、ギル側が中か強の通常技を出すという流れでそれらを確認できる。なお初代『ストIII』および『2nd』では投げが不成立であった場合はその時押したボタンの技が出るという仕様で、『3rd』では投げ失敗モーションが出る。また初代『ストIII』においてはこれ以外にファジィブロッキングが存在するため、ギル側からは相手を切り崩す手段がほぼ皆無に等しいいわゆる詰み状態となる。

ギルティーボム
相手を両手で抱え上げ、振り落とす勢いで「パイルドライバー」で落とす技。『2nd』までは投げる方向が指定できない(『3rd』では可能)。他のキャラクターの通常投げに比べて威力が高く設定されている。
インパクトクロー
相手を片手で持ち上げ、後頭部を連続で掴んで真下に落とす。

特殊技[編集]

パームアッパー
レバーを後方に入れながら中パンチを出すと、上方向へアッパーを出す。地上での中パンチよりも発生が若干遅い。
クォーラルキック
レバーを前方に入れつつ中キックを出すと、前へ踏み込みつつ横蹴りを放つ。ユリアンの使うものと同じ。『2nd IMPACT』以降で使用可能。

必殺技[編集]

※ギルの必殺技はパイロ(クリオ)キネシスを除き、ボタン強弱による威力や性能差は無い。

パイロキネシス(Pyrokinesis) / クリオキネシス(Cryokinesis)
両腕を突き出し、前方へ2ヒットする飛び道具を放つ。ユリアンの「メタリックスフィア」よりも弾速が速く、動作の隙も少ない。発射される飛び道具はギルの向きによって変化し、右向き時はの玉(パイロキネシス)、左向き時はの玉(クリオキネシス)が放たれる。弱中強のパンチボタンで真横、少し斜め前、斜め前と、射出方向の撃ち分けが可能。『3rd』のみ、弾発射直後にSAでキャンセル可能。
なお、技名は(「炎の」を意味する)「Pyro」、(「冷凍の」を意味する)「Cryo」に、連結単語の「kinesis」を付加した造語である。
また、「Cry- 」は「クライ」と読み、ゲーム中でもそのように発音している。
サイバーラリアット(Cyber lariat) / パイロヒート(Pyro heat) / クリオヒート(Cryo heat)
炎(左向き時)または氷(右向き時)の力を腕に纏いながら、前方へ突進してパンチまたはラリアットを放つ。
遠距離の場合はパイロ(クリオ)ヒートとなり大振りのパンチで燃焼(凍結)のけぞりさせ、近距離の突進直後に食らうとサイバーラリアットとなりその場でダウンさせる。一部のキャラクターに対しては空中で2ヒットする場合があり、さらに浮かせられるため、引き続き追撃が可能。ただしランダム要素も強いため、安定性に欠ける。
サイコヘッドバット (Psycho head-butt)
前方へ低く飛び上がりながらヘッドバットを放つ。食らった相手は食らい判定を残しつつ吹き飛ぶため、そこから空中連続技に移行できる。制限こそあるが、しゃがみ強パンチと組み合わせることで、連続で出して当て続けることも可能。
ムーンサルトニードロップ (Moonsault knee drop)
コマンド入力を完了した瞬間の相手の位置に飛びかかり、ムーンサルトを決めつつ相手の頭上目掛けて両膝で蹴る。攻撃は2ヒットし、ガードされても反撃は受けにくいが、ブロッキングされると隙が生じる。なお、相手が前進したりしゃがんでいる状態でこの技を当てると1ヒットに減ることがあるが、その場合はすぐに着地し、ギルの隙も小さくなる。

スーパーアーツ[編集]

※他のキャラクターでは選択制だが、ギルのみこれに該当しない(SAの番号は登場順に表記される)。家庭用でプレイヤーとして選んだ場合、初代『ストIII』では番号が存在せず、セレクト枠3つ全て「リザレクション」となっている。『2nd』ではI〜IIIの番号どれもが「メテオストライク」となっている。『3rd』ではセレクト枠が出ないうえ、対2P戦時のVS画面にはそれぞれ使用するSAが表示されるが、ギルにはSAの表示が一切出ない。『2nd』ではCPUとして登場する際SA表示は常に番号は「II」でコマンド表記が無いが、プレイヤー使用時にはコマンドが表示される。

シリーズ全作共通で、SAゲージのストック数は1、長さは128ドットに設定されている。なお、家庭用でゲージストック数を変更した場合でも全てのSAはゲージストックがMAX時でしか発動ができない(リザレクション発動は1ラウンドに1回のみという点は変わらない)ため、ギルでゲージストック数を増やすと、ギルにとってはかえって不利になる。

リザレクション (Resurrection) -SAI-
自分の体力を最大まで回復する。ただし、技中に攻撃を受けるとその時点で回復は中断される。発動中は相手を押し返す効果があるが、突進技に対しては無力なことも多い。
自発的に使用(コマンド入力は不可であり、家庭用版初代「ストIII」においてプレイヤー使用時にもコマンド表示が一切出ない)することはできず、SAゲージが満タンになった状態で体力が全てなくなって初めて自動的に発動される。
1ラウンドに1回のみ発動する仕様になっているため、回復量にかかわらずそのラウンド中はSAゲージが一切溜まらなくなる。
『3rd』でこの技が発動すると、SAゲージがバグることがあるが、次のラウンドでは直っている。
なお、Resurrectionは「リザレクション」ではなく、「ザレクション」と読み、ゲーム中でもそのように発音している。「死者の復活、蘇生」「イエス・キリストの復活」の意。
メテオストライク (Meteo strike) -SAII-
『2nd IMPACT』にて追加されたSA。ギルが前方へ踏み込みつつ画面に背を向けて片手を振り上げると、炎の隕石と氷の隕石を、自分の後ろ上方から前方へ大量に降らせる。
ヒューゴー以外のキャラクターは、ギルが画面端を背負っていない場合に限り発動直後に密着してギルを押し続けることにより、隕石を回避可能。
セラフィックウィング (Seraphic wing) -SAIII-
『3rd STRIKE』にて追加されたSA。画面中央に飛び上がって6枚の翼を広げ、その直後に眩い光を発する。画面全体攻撃であり、一旦攻撃が発動するとどこにいても回避はできない。
最初に画面中央に移動するまでは無防備であるため、相手の攻撃に潰されることもままあるがその攻撃力の高さは尋常ではなく、しゃがんだ相手に攻撃を当てると『III』シリーズ特有のシステム「しゃがみダメージ」が適用され、豪鬼のような耐久力の低い相手ならば体力満タンの状態からでも全体力を一気に減らすほどの強力な技である。ゲージを消費するのはギルが中央に移動して暗転した後であるため、発動前に潰されてもゲージは残ったままであることもこの技の強さの一因である。
なお、この技はガードは可能であるが、ブロッキングは全段不可能となっているため、瀕死状態の相手に発動できればガードの上からでも大きく体力を削り、そのままKOできる。
セラフィック(seraphic)とは、「天使のような」「気高い」「清らかな」の意。

その他の登場作品[編集]

担当声優[編集]

  • ブルース・ロバートソン(Bruce Robertson) - 『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』および『ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-』。なお、ロバートソンは『2nd』まではダッドリーナレーションボイスも兼任している。
  • ローレンス・ベイン(Lawrence Bayne) - 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』
  • 立木文彦 - 『ストリートファイターV』
  • リアム・オブライエン - 『ストリートファイターV』(英語版ボイス)

脚注[編集]

  1. ^ キャラ図鑑077:ギル|キャラ図鑑|活動報告書|CAPCOM:シャドルー格闘家研究所
  2. ^ キャラ図鑑131:ヘレン|キャラ図鑑|活動報告書|CAPCOM:シャドルー格闘家研究所
  3. ^ キャラ図鑑142:コーリン|キャラ図鑑|活動報告書|CAPCOM:シャドルー格闘家研究所
  4. ^ 戦闘前に会話するのは、ユリアンユンなど。
  5. ^ ゲーメストムック Vol.194『ストリートファイターIII サードストライク コンクルージョンステップ/マスター・ザ・シークレット』40ページ。いずれも、新たに追加されたSA「セラフィックウィング」を指している。

関連項目[編集]