クリスマス

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クリスマス: Christmas)は「キリストのミサ」という意味で、一部の教派が行うイエス・キリストの降誕祭[1]。あくまで誕生を祝う日であって、イエス・キリストの誕生日とは異なる[2]

毎年12月25日に祝われるが、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦1月7日に該当する日にクリスマスを祝う[3][4]。ただし、キリスト教で最も重要な祭と位置づけられるのはこの祭ではなく、復活祭である[5][6][7][8]

キリスト教に先立つユダヤ教の暦、ローマ帝国の暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では, 現代の常用時とは異なり、日没を一日の境目としているので、クリスマス・イヴと呼ばれる12月24日夕刻から12月25日朝までも、教会暦上はクリスマスと同じ日に数えられる[9]。したがって、教会暦ではクリスマスは「12月24日の日没から12月25日の日没まで」である。

キリスト教国英語版以外でも、年中行事としても楽しまれ、ジングルベルなどのクリスマスソングは多くの人に親しまれている。

概要[編集]

教会暦における降誕祭の日付の概要。教会暦の一日は日没から始まり日没に終わる。12月24日の日没からクリスマスが始まり、12月25日の日没にて終わる。従って24日の昼間は「クリスマスイヴ」ではなく、24日の日没以降がクリスマスイヴである。

新約聖書には、イエス・キリスト誕生日を特定する記述は無い。

イエスがヘロデ王の代に、ユダヤベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。 — マタイによる福音書第2章第1・2節(口語訳聖書
恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救世主がお生まれになった。このかたこそ、主なるイエス・キリストである。あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである。 — ルカによる福音書第2章第10~13節(口語訳聖書)

クリスマス(12月25日)は、「降誕[注釈 1]を記念する祭日」と位置づけられているのであって、「イエス・キリストの誕生日」とされているのでは無い[10]。イエス・キリストが降誕した日がいつにあたるのかについては、古代からキリスト教内でも様々な説があった(例えば3世紀の初め頃には、アレクサンドリアのクレメンス5月20日と推測していた)[2]

キリスト教圏では、クリスマスには主に家族と過ごし、クリスマスツリー常緑樹で、一般にモミの木)の下にプレゼントを置く。プレゼントを贈る気持ちである「」の日でもある。

正教会では、正式なフルネームとしては「主神我が救世主イイススハリストスの降誕祭」として祝われる(イイスス・ハリストスはイエス・キリストのギリシャ語読み)[要出典]エルサレム総主教庁ロシア正教会グルジア正教会と、非カルケドン派教会であるコプト正教会ユリウス暦の12月25日(21世紀現在、グレゴリウス暦1月7日にあたる)に降誕祭を祝うが、ギリシャ正教会、ブルガリア正教会などでは修正ユリウス暦の12月25日(21世紀現在、グレゴリウス暦の同日にあたる)に執り行う[要出典]。正教会では、降誕祭と神現祭(主の洗礼祭:降誕祭の12日後)とは奉神礼として一連のものであり、構造は同じである[要出典]。降誕祭の祭前期には「聖列祖の主日」で原祖アダム以来のキリストの肉に縁る先祖を、「聖世祖の主日」では神の祖父母イオアキムアンナら歴代の義者を祭る[要出典]

起源[編集]

古代ローマの宗教のひとつミトラ教では12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされ、太陽神ミトラを祝う冬至の祭があったが、これを引き継いだソル・インウィクトゥス(ローマの太陽神)の祭りを転用したものではないかといわれている。12月25日の生誕祭は、遅くとも354年には始まった。それ以前にはギリシアやロシアで1月6日説が採用されており[11]、降誕祭とは別に、西方教会では1月6日にキリストの公現を祝う(公現祭)。

サンタクロースは、キリスト教の聖人である奇蹟者聖ニコライ(ニコラウス)の伝説が起源とされる。

クリスマスツリーの習慣は、中世ドイツ神秘劇アダムとイヴ物語を演じた際に使用された樹木に由来している[12]。またクリスマスツリーに飾りつけやイルミネーションを施す風習は19世紀以降のアメリカ合衆国で始まったものである[12]

クリスマスの日付の候補と決定[編集]

西暦325年第1ニカイア公会議において、キリストの誕生を祝う日について議論された。日付の候補は、主なものだけでも、1月6日、2月2日、3月25日、3月28日、4月2日、4月19日、4月29日、5月20日、11月8日、11月17日、11月18日、12月25日があったが、このうち冬至に当たる12月25日が「誕生を祝う日」として決定された[13][14]

名称[編集]

各国語と語源[編集]

日本語での当祭の呼び方には、英語Christmas に由来する「クリスマス」の他に、「降誕祭」、「聖誕祭」、「聖夜」などがある。

英語の Christmas は、「キリストChrist:クライスト)のミサmass:マス)」に由来する。これは、古英語Crīstes mæsse(初出 1038年)が、中英語において Cristemasse となり、現在につながる[15][16]

ヨーロッパ各国語では、「キリストの誕生」あるいは、 "キリストの" にあたる部分を省略した「誕生」を指す言葉(転訛含む)で当祭を指す例がよく見られる。以下の表において「誕生」は、日本語におけるキリスト教用語の「降誕」と書き表す。

「クリスマス」にあたるヨーロッパ各国語
言語 表記 由来 発音
国際音声記号 音声ファイル 片仮名表記
ギリシア語 Χριστούγεννα キリストの降誕 [xɾisˈtuʝɛna] フリストゥーイエナ
ラテン語 Christī Nātālis クリスティー・ナーターリス
イタリア語 Natale 降誕 [naˈtaːle] It-Natale.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ーレ
フランス語 Noël [nɔɛl] ノエル
スペイン語 Navidad [naβiˈða(ð)] Es-Navidad.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ナビ
[naβiˈðaθ][注釈 2] (ナビース[注釈 2]
イベリアポルトガル語 Natal [nɐˈtaɫ] (ー)
ブラジルポルトガル語 [naˈtaw] (ー)ウ
ロシア語 Рождество [rəʐdʲɪstˈvo] Ru-рождество.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ラァジディストヴォ
ポーランド語 Boże Narodzenie 神の降誕 [ˈbɔʐɛ ˌn̪arɔˈd͡zɛ̃ɲɛ] Pl-Boże Narodzenie.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ージェ・ナローニャ
英語 Christmas キリストのミサ [ˈkrɪsməs] en-us-Christmas.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] スマス
オランダ語 Kerstmis [ˈkɛrs(t)məs] nl-kerstmis.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ルストゥミス
ドイツ語 Weihnachten 聖夜 [ˈvaɪˌnaxtən] De-Weihnachten.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ヴァイナハテン
デンマーク語 Jul 冬至祭
ユール
[juːl] ール
ノルウェー語 Jul [jʉːl] No-jul.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ール
スウェーデン語 Jul [jʉːl] Sv-jul.ogg 音声[ヘルプ/ファイル] ール
フィンランド語 Joulu [jou̯lu] ウル

略記[編集]

英語 "Christmas" を略記する際には、ギリシア語 Χριστος(Christos)の頭文字である「Χ」(ケー、キー、カイ)、または、それと形が同じラテン文字X」(:イクス、:エ(ッ)クス)を "Christ" の省略形として用いている。

そのような例は、中英語では「Χρ̄es masse」が見られる[16]。また、現代の英語圏では「Xmas」や「X-mas」が頻繁に見られる(これらはスタイルガイドでは推奨されていないとされる[17])。

他に、アポストロフィを付けた「X'mas[18]Christ の末字 "t" を添えたXtmas[19]や「Xtmas」、Χριστος の頭二文字をラテン文字に置き換えた「Xpmas」などもある。

日本ではアポストロフィを用いた「X'mas」「X'Mas」の表記が和製英語とする説[20]や、アポストロフィを付するのは誤りとする説、現在はアジア圏でのみ使用とする説などがある。Engrishの代表との誤解もある[21][22]。しかし、歴史的に和製英語でないことは、19世紀の書籍でも確認できる[23]。現在の英語圏でも出版物などで一般的に使用されており[24][25]Twitterにおいても米国のラジオ局が発信したツイートや、英米の著名人・一般人のツイートにも見られる(2012年現在)。

ロシア語での略記は、"Рождество Христово"(ハリストスの降誕) の頭文字からとった「РХ」で表される。ロシアでは、聖堂などに「РХ」とネオンサインで表示する様子がしばしば見られる。ロシア正教では「ハリストス生まる! 崇め褒めよ!」がクリスマスの挨拶である。

世界のクリスマス[編集]

フランスでは多くの教会堂内武または外部に「降誕場面」が飾られる。

キリスト教の中でもカトリックの影響の強いイタリアポーランドフランススペインなどでは、クリスマスは12月25日に始まり、1月6日公現祭(エピファニア)に終わる。クリスマスの飾り付けは23日頃に行う。24日はクリスマス・イヴとして夜を祝う。

フランスの多くの教会堂の内部あるいは外部で「降誕場面」(フランス語で「クレーシュCrèche、キリスト生誕時の情景を表した模型)が飾られ、それを見て人々はその出来事に想いを馳せる。大人たちは、12月初旬からクリスマスにかけて、愛情を込めた言葉を記したクリスマスカードを郵送しあう。子供達がプレゼントを貰うのは1月6日である。

イタリアのほとんどの地域ではプレゼントを持って来るのは、魔女ベファーナとされる。これらの国々でのクリスマス期間は12月24日から公現祭までで、飾り付けは1月6日を過ぎてから取り払われる。

オランダドイツの一部地域などでは、12月6日がニコラウスの日で、子供達はプレゼントをもらう。ドイツでプレゼントを持ってくるのは北部ではヴァイナハツマン(Weihnachtsmann、「降誕祭の男」)、南部ではクリスト・キントChristkind、「キリストの子」)と呼ばれている。プレゼントを貰えるのは、それまでの1年間に良い子だった子供だけで、悪い子は石炭を与えられたり、木の枝で打たれることになっている地域もある。

北欧のクリスマスはユールと呼ばれ、聖ルチア祭から始まる。古代ゲルマン冬至祭の影響を色濃く残しており、ユール・ゴート(ユールブック)と呼ばれる、ワラで作ったヤギを飾ること、妖精がプレゼントを持って来てくれることなど、独自の習慣が見られる。また、クリスマスの時期は真冬であるため、小鳥たちがついばめるように、ユールネックというの穂束を立てる習慣もある[26]

イギリスやアメリカのクリスマスではサンタクロースが強調されるが、この原型はシンタクラースまたはミラのニコラオスだと考えられている

アメリカ合衆国では、イギリス流のクリスマスが一般的で、日本のクリスマスもイギリス流を受け継いでいる。この日の前に、クリスマスの挨拶にとクリスマスにちなんだ絵はがきカードグリーティングカード)を送る習慣がある。

イギリスやアメリカでは、クリスマスは基本的に自宅で家族と過ごすものであり、クリスマスのずいぶん前から一緒にリースクリスマスツリーを作ったり、家を飾り付けるなどの協同作業をすることで家族で一緒に過ごす喜びを確認し、クリスマスの当日には家庭料理を味わうのが一般的であり、あえて外出するのはクリスマスミサに参加するため、教会に行くくらいである。

イギリスではサンタクロース(Father Christmas)が12月25日にプレゼントを持って来る。アメリカ合衆国では、プレゼントを家族全員で交換し合う習慣がある。クリスマスの日には台所周辺にヤドリギが飾られる。19世紀のイギリスを中心に、ヤドリギの下に偶然女性が立った場合、その女性にキスをしてもよいとする習慣があった[27]

ソビエト連邦時代のロシアでは、クリスマスは伝統的な祭りとして禁止こそされなかったものの政府側は良い顔を見せず、キリスト教的な考えを壊そうとする、ソビエト共産党の意向沿ったものにするなど政治色の強いものとなっていた。特にヨシフ・スターリンの時代では、クリスマスがスターリンの誕生日の四日前ということもあり、クリスマスツリーにスターリンの写真をつるすといったことも行われた。子供は、サンタクロースに手紙を書く代わりにクレムリンに平和への感謝を記した手紙を書くように強いられた[28]

1990年代からアメリカ合衆国では、宗教的中立の観点から[注釈 3]、またユダヤ教の祭日ハヌカーがほぼ同じ時期であることもあり、クリスマスを祝わない立場の人に対して「メリー・クリスマス」の代わりに「ハッピー・ホリデーズ(Happy Holidays)」(「楽しい休日・祝日を」)の挨拶を用いる場合がある(ポリティカル・コレクトネスを参照)。

1990年代後半から、政教分離の原則のもと、公共の空間に飾られたクリスマスツリーを「ホリデーツリー」と言い換えるケースが出てきたが、キリスト教右派団体から批判を受けている。また、1960年代からアフリカ系アメリカ人の間で、クリスマスの翌日からアフリカ民族の伝統を祝うクワンザーという行事を家庭で行うことが増えている。

欧米諸国、さらに大韓民国中華人民共和国香港特別行政区、同マカオ特別行政区では、クリスマスは法定祝日である。ヨーロッパでは12月24日(イヴ)から1月1日(元日)までクリスマス休暇が続く(曜日配列の関係で12月22日もしくは12月23日から始まったり、或いは1月2日もしくは1月3日まで続く年もある)。12月25日(24日の終電から26日の始発まで)は、ロンドン地下鉄ロンドンバスは全線運休になる[29]

一方、アメリカでは25日と1月1日だけが祝日で、後は個人で各々有給休暇を取得して休むのが一般的である[30][31]も休暇となり、基地や宿営地は閉鎖され、派兵中でない兵士達は自宅へ帰宅する。

オーストラリア南米など南半球の国々では、クリスマスは真夏となる。そのためクリスマスパーティーは、屋外やプールなどで開催されることも多い。

正教会圏に含まれるロシアでは、クリスマスは「冬祭り」、サンタクロースは「マロース爺さん」(ロシア語で、マロースは「吹雪」の意味)と呼ばれており、スネグーラチカ(雪娘)を連れているとされる。ロシア正教会セルビア正教会など、ユリウス暦を使う正教会の降誕祭(クリスマス)は、1月7日(ユリウス暦で12月25日)である。

宗教弾圧が行われていたソビエト社会主義共和国連邦は、表向き大々的に降誕祭が祝われることは無かったが、ソビエト連邦の崩壊後の旧ソ連諸国で、降誕祭が大々的に祝われるようになった。

日本のクリスマスの歴史・行事[編集]

歴史[編集]

明治維新以前[編集]

1552年(天文21年)に周防国山口(現在の山口県山口市)において、カトリック教会イエズス会)の宣教師であるコスメ・デ・トーレスらが、日本人信徒を招いて降誕祭のミサを行ったのが、日本で初めてのクリスマスである[注釈 4]。しかし、その後江戸幕府禁教令によってキリスト教が禁止されたので、明治の初めまでの200年以上の間、隠れキリシタン以外には全く受け入れられることはなかった。

一部の例外として、長崎出島オランダ商館に出入りするオランダ人たちは、キリスト教を禁止する江戸幕府に配慮しつつ、自分たちがクリスマスを祝うため、オランダの冬至の祭りという方便で「オランダ正月」を開催していた。これには幕府の役人や、通訳蘭学者などオランダ人と付き合いのある日本人も招かれた。また、長崎に住むオランダ通の日本人たちの間でも、これを真似て祝うことがあった。オランダ商館の者たちは、江戸に出仕することもあったが、彼らを迎え入れる江戸の役人たちは、オランダ正月を参考に、オランダの料理や文物などを用意して、オランダ人たちをもてなしたとされる。

明治・大正時代[編集]

子供之友』1914年12月号挿絵

日本でクリスマスが受け入れられたのは、1900年[32](明治33年)に明治屋が銀座に進出し、その頃からクリスマス商戦が始まったことが大きな契機であった。

大正時代になると、児童向け雑誌や少女雑誌の12月号には、表紙をはじめとしてクリスマスにまつわる話や挿絵がたくさん導入された。1925年(大正14年)に日本で初めてクリスマスシール(結核撲滅の寄附金付切手)が発行される。

昭和(戦前)[編集]

明治以来、皇位継承に伴って日が変更される休日には天長節天皇誕生日)と先帝祭(先帝崩御日)の2つがあった。1926年(大正15年)12月25日の大正天皇崩御に伴い、1927年昭和2年)3月4日に当時の休日法「休日ニ関スル件」が改正され、昭和時代の先帝祭にあたる大正天皇祭(12月25日)が設定された。日本でクリスマスの習慣が広く普及したのは12月25日が休日となっていたこの時代からとされている。1928年(昭和3年)の朝日新聞には「クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースは立派に日本の子供のものに」と書かれるまでに普及していた[33]

昭和初期の頃、銀座渋谷道玄坂から浅草にいたるまでの多くのカフェや喫茶店においてはクリスマス料理の献立を用意し、その店員はクリスマスの仮装をして客を迎えた。この様子を1931年(昭和6年)12月12日都新聞は、「七千四百余のカフェと二千五百余の喫茶店に華やかにクリスマスが訪れサンタ爺さん大多忙を来たす」と報じた。

第二次世界大戦の最中、1944年に撮影された『加藤隼戦闘隊』では、前線部隊の食堂でクリスマスツリーが飾られているシーンが映っているなど、戦争中でもクリスマスを祝う者はいたようである。

昭和(戦後)以後[編集]

1948年(昭和23年)7月20日に「国民の祝日に関する法律」が施行され、大正天皇祭は休日から外されたが[注釈 5]、以降もクリスマスは年中行事として定着し、行事も盛大に行われるようになった。また、12月23日生まれである明仁が皇位にあった平成年間には、クリスマス・イヴが天皇誕生日振替休日となる年もあった(1990年2001年2007年2012年2018年)。

東京・丸の内ビルディング(2006年)

商業施設では早いところは11月上旬からクリスマスツリーが飾られ、クリスマスセール等が行われる。店内にはクリスマスソングが流れ、洋菓子店ではクリスマスケーキが販売される。街中では街路樹に豆電球2010年代以降は省エネに配慮してLED照明)が飾り付けられる(イルミネーション)。庭のある家庭では、庭木などに電飾を施すこともある。商業施設などの場合、12月24日のクリスマス・イヴにイベントなどを開くことがある。

イギリスおよび英連邦諸国では、12月26日に使用人や配達人などにプレゼントを渡すボクシング・デーがあり、1月6日までをクリスマス期間ともしている[注釈 6]のに対して、日本では12月26日になると、クリスマスの飾りが一転して門松などの正月飾り(日本の神道式)に付け替えられたり、小売店などでも正月準備用や大掃除用商品の陳列・販売が中心となる、BGMも『お正月』が流れる、という点が世界的に見て特徴的である。これは「クリスマス」を神聖な宗教行事としてではなく、商業行事としてみなすだけで、正しい理解を示さないがために起こる状況である[34]。近年では、1月1日の「カウントダウンイベント」が盛んになる12月31日深夜まで、イルミネーションがそのままにされているところも出てきている。

日本でもクリスマスは大きなイベントとして定着したが、やはり本場のキリスト教圏と比べるとその規模は小さいという指摘もある。2014年に旅行サイトのスカイスキャナーが発表した「宗教的あるいは個人的、思想的な理由などでクリスマスを祝う習慣がなく、クリスマスの大騒ぎを避けたいと思っている」人に勧める「クリスマスを避けるために行く国トップ10」のランキングでは、イスラム国家サウジアラビアアルジェリアイランや、仏教国のタイ社会主義国家の中国北朝鮮などを押さえ、日本が1位となっている[35]。「サンタをたまに見かけるかもしれないが、日本はクリスマスが祝日でなく、12月25日も人々は普段通り仕事をする」ためである[35]

ファーストフードでクリスマスを祝う風潮は日本独自のものであり、海外では「キリストの生誕祭を安価なファーストフードで祝うのは如何なものか」という見方が主流[36][37]

個々の場合[編集]

教会でのクリスマス[編集]

日本のキリスト教教会(日本基督教団甲南教会)のクリスマス讃美礼拝、2010年

キリスト教教会は一般に、キリスト教徒であるか否かに関係なく門戸を開いており、教徒でない人もクリスマスの礼拝に出席することは可能である。日本各地の、正教会の晩祷聖体礼儀や、カトリック教会ミサに出席し参加することができる。また、聖公会プロテスタントの諸教会でも、非信徒をも歓迎しているところが多い(各教会堂の掲示板に「クリスチャンでない方もお気軽にどうぞ」と掲示が出る[注釈 7])。

家庭のクリスマス[編集]

日本人男女を対象とした2006年平成18年)の統計調査によると、クリスマスは誰と過ごすか、との質問に対し「家族」との答えが約6割と圧倒的多数を占め、またクリスマスの過ごし方は「家でのんびりする」が群を抜いて1位(66%)となるなど、日本人がクリスマスを家庭で過ごす傾向が明らかになった[38]。また子供たちにとってはサンタクロースがプレゼントを持って来てくれる嬉しい日である。

独身者のクリスマス[編集]

家族と過ごす人、恋人と過ごす人、友人と過ごす人、家で独りで過ごす人など、クリスマスの過ごし方は様々である[39]

しかし、1930年代から、パートナーのいる人にとっては着飾ってパートナーと一緒に過ごしたり、プレゼントを贈ったりする日となっている。1931年(昭和6年)には、パートナーのいない"不幸な青年たち〔ママ〕"独身者には方々のレストランが「一円均一」のクリスマスディナーを売り出すなどして歓迎した、とも報じられた[40](現在の相場に換算すると約3,000円。例えば、朝日新聞朝刊購読料が昭和6年で約1円の時代)。

2005年(平成17年)11月に行われた1都3県の20〜39歳の独身男女計474名のインターネット利用者を対象とした調査では調査対象者の約7割が「クリスマスは恋人と過ごしたい」と考えていると回答した[39]

2006年(平成18年)、インターネットリサーチ会社、DIMSDRIVE『クリスマスの過ごし方』に関するアンケートでは、30歳代女性の43.5%が「自宅でパーティーなどをする」と回答している[41]

これらの風潮について批判もあり、イタリアの「ベネルディ」誌は2010年12月24日、『クリスマスの東京 愛を祝う』と題した記事で、“人口の僅かしかキリスト教徒が居ないのに、多くの人がプレゼントを交換しあうほか、男女の愛の祭りとなっている”と評した[42][注釈 8]。多くの日本人は、宗教行事としてイベントを行ってはいない。

教育機関のクリスマス[編集]

クリスマス行事は幼稚園保育所小学校などでも行われることがある(通常冬休みの直前に行うため、12月24・25日ではないことがほとんどである)。祈りを伴った正式の形で行われるのはいわゆる“ミッション系”に限られている。

スポーツの場合[編集]

クリスマスに大一番がある時には、どの大会でも聖夜決戦と呼ばれることがある。中央競馬有馬記念(グランプリ)がクリスマスに行われる場合はクリスマス・グランプリといわれることがある。

祝日化[編集]

12月24日若しくは25日又は1月6日若しくは7日にクリスマスが祝日と定められていない国

クリスマスは多くの国で祝日となっており、日本でも祝日にしようという動きもある。クリスマスの後に年末年始休暇となるため、有給休暇などを活用すれば、長期休暇が取りやすいという利点がある。しかし、多くの企業にとって、年末はいわゆる「繁忙期・かき入れ時」であることもあり、実現の見通しは全く立っていない。さらに、日本国憲法が規定する政教分離の原則から、特定の宗教の記念日を祝日とすることは難しい。

なお、平成時代においては天皇誕生日12月23日であったため、クリスマスを祝日にした場合は両日に挟まれた24日が自動的に国民の休日となり、3連休が発生するケースがあった。明仁2019年4月末で退位したことに伴い実現はしなかった(明治天皇や昭和天皇と違って指定は解かれ残らなかった)。

キリスト教が後世に伝来した、日本以外のアジア諸国は、クリスマスを法定祝日とする国では、古くから信仰される宗教への配慮から、他の宗教の記念日も、クリスマスと同等に法定祝日とする場合がある。

商業主義に対するローマ教皇の懸念[編集]

2000年を特に顕著とし、米ドルのマネーサプライはクリスマスの買い物シーズンに合わせて毎年増加している。

第265代教皇ベネディクト16世は、「無原罪聖マリアの祭日」(12月8日)とクリスマスの間の「聖なる降誕祭を準備する期間」(アドベント)について2005年、以下のようなコメントを発している。

現代の消費社会の中で、この時期が商業主義にいわば「汚染」されているのは、残念なこと。このような商業主義による「汚染」は、降誕祭の本来の精神を変質させてしまう恐れがある。降誕祭の精神は、「精神の集中」と「落ち着き」と「喜び」であり、この喜びとは、内面的なもので、外面的なものではない。 — 教皇ベネディクト十六世の2005年12月11日の「お告げの祈り」のことばカトリック中央協議会

また2012年12月19日には、フィナンシャル・タイムズへ寄稿し、その中で、以下のように述べた。ローマ教皇が経済紙に寄稿するのは非常に異例だという[43]

クリスマスには聖書を読んで学ぶべきだ。政治株式市場など俗世の出来事にどう関わるべきか啓示は、聖書の中に見つけられる。……
……貧困と闘わなければならない。資源公平に分かち合い、弱者助けなければならない。強欲搾取には反対すべきだ。……
……クリスマスはとても楽しいが、同時に深く内省すべき時でもある。私たちはつつましく貧しい馬小屋の光景から何を学べるだろう。 — A time for Christians to engage with the world(キリスト者が世界と繋がる時)

関連作品[編集]

書籍[編集]

  • パラダイス山元 著/監修 『サンタクロース公式ブック〜クリスマスの正しい過ごし方〜』 小学館、2007年、ISBN 4-09-387748-3(ISBN-13 978-4-09-387748-0)、『サンタクロース、ライフ。』 ヤマハミュージックメディア、2002年、ISBN 4-636-20653-3(ISBN-13 978-4-636-20653-1)
  • 若林ひとみ 著 『クリスマスの文化史』 白水社、2004年、ISBN 4-560-04075-3(ISBN-13 978-4-560-04075-1)
  • クラウス・クラハト:克美・タテノクラハト共著 『クリスマス どうやって日本に定着したか』 角川書店、1999年、ISBN 4-04-883598-X
  • 『キリスト教神学事典』 教文館、2005年、ISBN 4-7642-4029-7
  • ジャンニ・ロダーリ作・杉浦明平訳『青矢号のぼうけん』(少年文庫改版で「青矢号―おもちゃの夜行列車」) 岩波書店(岩波ものがたりの本)

音楽[編集]

楽曲一覧
音楽チャート

アメリカのビルボードチャートでは、クリスマスソングに限定したシングルチャート「Christmas Singles」が、1963年1973年1983年1985年の12月前後に発表されていた(なお1963年〜1972年はクリスマスソングはレギュラーのBillboard Hot 100のランキング対象外であった)。2011年からは「Christmas Singles」チャートの事実上の復活といえる楽曲チャート「Holiday 100」が毎年12月前後に発表されている。

またビルボードチャートでは、クリスマスアルバムに限定したアルバムチャート「Christmas LP's」「Christmas Albums」「Hoilday Albums」も毎年12月前後に発表されている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 一部の教派で、「誕生」ではなく「降誕」の語を用いる。
  2. ^ a b マドリード首都圏での発音。
  3. ^ イスラム教の預言者生誕祭は年の前半で、ヒジュラ暦に基づく
  4. ^ これを記念し、山口市では1997年より「日本のクリスマスは山口から」というイベントを開催している。
  5. ^ 先帝祭は休日から外されてしまったものの、宮中祭祀では変わることなく行われている。1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇崩御に伴い、平成時代の先帝祭にあたる昭和天皇祭が、ユリウス暦を採用する正教会のクリスマスと同日の1月7日となり、2代続けてクリスマスにまつわる日となっている。
  6. ^ カトリック教圏では、クリスマスプレゼントはクリスマス期間初日の12月25日ではなく、12日目の最終日である1月6日に渡されることが多い[要出典]アルメニア教会では1月6日当日がクリスマスにあたる。
  7. ^ 2020年に限り、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、「直接参加は会衆のみ」の注意が各地で出た。代わりにインターネットでの動画配信が普及している
  8. ^ イタリアは言うまでもなくカトリックの総本山・バチカンを抱える。

出典[編集]

  1. ^ クリスマス』 - コトバンク
  2. ^ a b キリスト教大事典 改訂新版』350〜351頁、教文館、1977年 改訂新版第四版
  3. ^ 百貨店業界など小売業界を中心に盛大に祝われる。東京ディズニーリゾートにとっても重要なお祭りである。 質問:クリスマスは12月25日?ロシアでは1月7日に祝うと聞いたのですがニコライ堂
  4. ^ 正教会では降誕祭は1月7日で祝われると教えられましたが、教会の予定表では12月25日ですね、どうしてですか名古屋ハリストス正教会
  5. ^ 正教会の出典:正教会の復活祭 2003年復活祭フォトレポート名古屋ハリストス正教会
  6. ^ カトリック教会の出典:四旬節 断食(大斎・小斎) カーニバルカトリック中央協議会
  7. ^ 聖公会の出典:復活祭を迎える日本聖公会 東京教区 主教 植田仁太郎)
  8. ^ プロテスタントの出典:『キリスト教大事典』910頁、教文館、1973年9月30日 改訂新版第二版
  9. ^ 3. なぜ12月25日にイエスの誕生を祝うのですか。」『』。2018年4月6日閲覧。
  10. ^ 八木谷涼子:キリスト教の歳時記 - 知っておきたい教会の文化、p.47、講談社、ISBN 978-4-06-292404-7、2016年12月9日 「イエスがいつ生まれたかを正確に特定できる記録は一切残っておらず、従って、ナザレのイエスが実際にこの日に生まれた、と主張するクリスチャンは(子供を除いては)存在しない。あくまで12月25日は、イエスの誕生を記念する日なのである。」
  11. ^ Laudate | キリスト教マメ知識 女子パウロ会
  12. ^ a b 許油「釈迦とイエスに関する類似性と差異性について」『アジア・キリスト教・多元性 現代キリスト教思想研究会』第3号、京都大学キリスト教学研究室、2005年、 pp. 97-99。
  13. ^ クリスマスってどういう日? チコちゃんに叱られる!、木村正裕による説明、NHK、2018年12月21日放送[信頼性要検証]
  14. ^ Expose'; Ten Facts About the Christmas Holiday 3. Christmas Instituted by The Council of Nicea in 325AD、 「In 325 A.D. Emperor Constantine called together the Council of Nicea which was in essence the first council of the Roman Catholic church. At this council meeting, it was decided that December 25th, the well-known pagan holiday dedicated to Mithras the Persian Sun-god, would be re-dedicated to the celebration of the birth of Jesus Christ.」、Salvation Station
  15. ^ "Christmas", The Catholic Encyclopedia, 1913.
  16. ^ a b Middle English Dictionary
  17. ^ Griffiths, Emma, "Why get cross about Xmas?", BBC website, December 22, 2004.
  18. ^ 例えば、Kempe, Alfred John, "The Loseley Manuscripts", London: John Murray, 1836, p.81, 90 や Safford, William H., "The Blennerhassett Papers", Cincinnati: Moore Wilstach Keys, 1861, p.572 など。
  19. ^ 例えば Akerman, John Yonge, "Moneys Received and Paid for Secret Services of Charles II and James II", London: Camden Society, 1851. p.12 参照。
  20. ^ 安岡孝一:『X'mas』か『Xmas』か、人文情報学月報、第39号
  21. ^ 研究社の英和辞典
  22. ^ 星新蔵 『あやまりやすい英語表現』 1965年
  23. ^ 『Manuscripts and Other Rare Documents』 1836年 John Murray
  24. ^ 『4 X'mas』 2008年 George Cameron Grant
  25. ^ 『PHOTOVIDEOi』 2006年12月号
  26. ^ ジェリー・ボウラー著 『図説 クリスマス百科事典』笹田裕子・成瀬俊一訳、中尾セツ子監修、柊風舎、2007年、550-553頁。
  27. ^ 藤高 (2018), pp.148-149
  28. ^ 「クリスマスさまざま 共産党へのお祭りに力こぶ」『朝日新聞』昭和25年12月25日
  29. ^ All About 2005年12月20日『クリスマス休暇中の運行・営業時間に注意
  30. ^ 月刊しまね いわみマガジン『石見男Noviからのミシガン便り 日本は祝日が多い!?
  31. ^ 米の企業、クリスマス休暇
  32. ^ First Christmas Clara D. Lepore
  33. ^ クラウス クラハト、克美・タテノクラハト『クリスマス〜どうやって日本に定着したか』角川書店、1999年、ISBN 4-04-883598-X
  34. ^ そもそも日本はクリスマスに限らず、バレンタインデーハロウィンにも同じ事が言えるように、宗教行事の神聖性を軽視し、おしなべて商業行事として捉える傾向が非常に強い
  35. ^ a b “「クリスマス騒ぎを避けるための国」トップ10、日本が第1位”. AFPBB News. (2014年12月20日). http://www.afpbb.com/articles/-/3034674 2015年1月4日閲覧。 
  36. ^ 「キリスト不在」「なぜファーストフード?」外人が「なんで?」と思う日本のクリスマス10選 マイナビ 学生の窓口 フレッシャーズ 2014/12/23 (2021年3月23日閲覧)
  37. ^ 「クリスマスはKFC」に海外から驚きの声 「ジョークか何かだろ」「本気なのか」 J-CASTニュース 2012年12月25日18時19分 (2021年3月23日閲覧)
  38. ^ 楽天リサーチのインターネット調査。全国18歳から69歳の男女計720人を対象に行った。|市場調査・マーケティングリサーチ会社の【楽天リサーチ】” (日本語). 楽天インサイト(旧:楽天リサーチ) (2006年12月8日). 2011年11月4日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月2日閲覧。
  39. ^ a b 「独身男女のクリスマス動向調査」 (PDF) マッチ・ドット・コム インターナショナル リミテッド社調べ(2005年11月調査、2006年11月発表)
  40. ^ 1931年(昭和6年)12月25日付 報知新聞
  41. ^ DIMSDRIVE『クリスマスの過ごし方』に関するアンケート
  42. ^ 伊誌、日本のクリスマスを特集 「愛の祭」「教徒わずか」 共同通信 2010年12月25日
  43. ^ 「クリスマス、深く内省を」 ローマ法王、経済紙に寄稿 朝日新聞 2012年12月24日 ローマ支局・石田博士記者

参考文献[編集]

  • 藤高 邦宏「英米文化の背景 英米人の迷信・俗信考(18)4 年中行事(その7)クリスマス(キリスト降誕祭)(1)」『倉敷芸術科学大学紀要』第15巻、倉敷芸術科学大学図書館、2010年、 143-152頁。

関連項目[編集]