グレイト・アメリカン・ソングブック

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グレイト・アメリカン・ソングブック (Great American Songbook)、ないし、アメリカン・スタンダーズ (American Standards) は、20世紀はじめ以降、最も重要で大きな影響力をもったアメリカ合衆国トラディショナル・ポップ英語版ジャズスタンダード・ナンバーとして定番となっている楽曲の総称。この名称をそのまま表題にした冊子体の楽譜集も何種類かあるが、グレイト・アメリカン・ソングブックという表現は、特定の書籍なり、楽曲リストを具体的に意味するものではなく、おもに1920年代から1950年代にかけてブロードウェイ・シアターミュージカルや、ハリウッドミュージカル映画のために生み出された、最も人気が高く、息長く支持されている楽曲群を緩やかにまとめた呼称である。こうした楽曲は、数多くの、また、広く多様な背景を持った歌手たちや、様々な楽団、ジャズ・ミュージシャンたちによって演奏され、録音が残されてきた。グレイト・アメリカン・ソングブックは、ジョージ・ガーシュウィンコール・ポーターアーヴィング・バーリンらによるスタンダード曲を含み、さらにジェローム・カーン, ハロルド・アーレンジョニー・マーサーリチャード・ロジャースなどの作品が入っている[1][2][3][4][5]

こうした楽曲は、伝統的なスタイルの歌手やジャズ分野の歌手、ミュージシャンたちの間では、廃れることはなく長らく取り上げられ続けてきたが、1970年代以降は、グレイト・アメリカン・ソングブックヘの新たな関心が高まり、数多くのロック系、ポップ系の歌手たちが、グレイト・アメリカン・ソングブックに関心を寄せ、吹き込みを行なってレコードを出した。  

定義[編集]

リチャード・ロジャースロレンツ・ハート英語版

どの楽曲が、グレイト・アメリカン・ソングブックに入っているのか(いないのか)についての一致した見解はない。ハル・レナード[6]J・W・ペッパー&サン[7]アルフレッド・ミュージック[8]をはじめ、いくつもの音楽出版社が『Great American Songbook』を表題にした楽譜集を出版している。アルフレッド・ミュージックは、ソングブック (Songbook) をひとつのジャンルとしてリストを作成している。

音楽評論家の中には、決定版となるリストを作り上げようと試みる者もいる。例えば、アレック・ワイルダーの1972年の研究書『American Popular Song: The Great Innovators, 1900–1950』では、ソングライターや批評家などが、グレイト・アメリカン・ソングブックに入るのにふさわしいと思うアーティストは誰か、名前を挙げながら格付けを試みている。自らも作曲家であるワイルダーは、この著書の中で、作曲家とその創造的努力を特に強調している[9]

ワイルダーがこの本で、ひとりの作曲家についてひとつの章を割いているのは、ジェローム・カーンアーヴィング・バーリンジョージ・ガーシュウィンリチャード・ロジャースコール・ポーターハロルド・アーレンの6人だけである。ヴィンセント・ユーマンスアーサー・シュワルツはふたりでひとつの章を成しており、バートン・レーン英語版ヒュー・マーティン英語版ヴァーノン・デュークも合わせてひとつの章となっている。また別の章でワイルダーは、彼が「偉大な職人 (The Great Craftsmen)」と見なした、ホーギー・カーマイケルウォルター・ドナルドソンハリー・ウォーレン英語版アイシャム・ジョーンズ英語版ジミー・マクヒューデューク・エリントンフレッド・E・アーラート 英語版リチャード・A・ホワイティング英語版レイ・ノーブル英語版ジョニー・グリーン英語版ルーベ・ブルーム英語版ジミー・ヴァン・ヒューゼンといったソングライターや作曲家たちを、まとめて取り上げている。

ワイルダーは最後に、67ページを費やして「Outstanding Individual Songs: 1920 to 1950(特筆すべき個別の曲:1920年-1950年)」という章を設けて、個別の楽曲を書き加えている。

ある意味では、ソングブックの時代を終わらせたのは、ロックンロールの出現であった。ワイルダーは、1950年までで記述を止めている。

ラジオ・パーソナリティで、ソングブックの熱烈な支持者であるジョナサン・シュワルツ英語版は、このジャンルを「America's classical music(アメリカのクラシック音楽)」と呼んでいる[10]

脚注[編集]

  1. ^ Miller, Michael (2008). The Complete Idiot's Guide to Music History. Penguin. pp. 175. https://books.google.com/books?id=Jv-A9t9gGxIC&pg=PA175. 
  2. ^ What is the Great American Songbook?”. The Great American Songbook Foundation. 2016年5月28日閲覧。
  3. ^ Kenyon, Peter (2015年2月21日). “After An Education In American Jazz, A Musician Tackles The Turkish Songbook”. NPR. 2016年5月28日閲覧。
  4. ^ Feinstein, Michael (2015年2月11日). “‘The B Side,’ by Ben Yagoda”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2015/02/15/books/review/the-b-side-by-ben-yagoda.html?_r=0 2016年5月28日閲覧。 
  5. ^ Friedwald, Will (1993年6月14日). “Jazz Vocalists”. New York Magazine: p. 6A. https://books.google.com/books?id=vScAAAAAMBAJ&pg=PA74 2016年5月28日閲覧。 
  6. ^ The Great American Songbook – The Composers”. 2015年7月20日閲覧。
  7. ^ The Great American Songbook – Jazz”. 2015年7月20日閲覧。
  8. ^ Great American Songbook”. 2015年7月20日閲覧。
  9. ^ Wilder, Alec (1990). American Popular Song: The Great Innovators 1900–1950. New York & Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-501445-6. 
  10. ^ Deborah Grace Winer (2003年9月1日). “Girl Singers: From nightclubs and concert halls to recordings, today's best vocalists put a new spin on old favorites”. Town & Country. 2013年11月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年9月9日閲覧。(Paid subscription required要購読契約)

関連文献[編集]

  • Furia, Philip (1992). Poets of Tin Pan Alley. New York & Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-507473-4. 
  • Wilder, Alec (1990). American Popular Song: The Great Innovators 1900–1950. New York & Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-501445-6. 
  • Bloom, Ken (2005). The American Songbook: The Singers, the Songwriters, and the Songs. New York: Black Dog & Levental Publishers. ISBN 1-57912-448-8. 

関連項目[編集]