コスモス楽園記

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コスモス楽園記
ジャンル ファンタジー漫画SF漫画
漫画
作者 ますむらひろし
出版社 スコラ
メディアファクトリー
ほか
掲載誌 コミックバーガー
発表期間 1986年 - 1989年
巻数 全5巻
話数 全72話
テンプレート - ノート

コスモス楽園記』(コスモスらくえんき)は、1986年から1989年まで隔週誌コミックバーガー(現:コミックバーズ)に連載されたますむらひろしの青年漫画。

概要[編集]

名誉のために未開の島へ降り立った新人カメラマンの青年が、その島に生きる進化した猫人たちと出会い、1942年にその島で起きた核実験の真実に迫る。 全5巻構成で主人公の藤田康介の視点から奇妙なロバス島の実態を描く物語であるが、1~2巻までがストーリーを進行させる縦軸となっており、3~5巻は話の主題を掘り下げる横軸となっている。連載当時の日本を連想させる描写が強く、ブラックな労働問題や金銭問題が話の根幹を成すなど、作者の他作品とは一線を画している。作中で登場する新聞の記事からすると、物語内では連載当初から終了まで、3年の月日が経過していることが分かる。

単行本第1巻には、本作と同一の世界観と思われる描き下ろしフルカラー短編「植物ポスター」が収録されている。

サブタイトル一覧[編集]

本作では第1話、第2話…ではなく、その1、その2…と表記される。

1巻
描き下ろし短編「植物ポスター」
1. 呼吸の夜
2. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
3. ムーンライト・キネマ
4. ジプレッション設計師
5. 漂流博物館
6. I’M THE EGG MAN
7. 牛肉を買いに
8. 硫黄谷の種
9. EGG MANの散歩道
10. 胞子
2巻
11. HELP&GET BACK
12. 水色網目
13. 網目の底
14. スネール
15. オレンジ
16. サイレント・サイダー
17. IMAGINE
18. 新聞記者
19. ねこねこ第4工場
20. ブルー・パニック
21. ポンペイTOWN
22. THE ROLLING TIME
3巻
23. ノドが鳴る
24. ボンゴ・マン
25. ジョジマアル・ワイン
26. 脳にしみる声
27. ポーカー
28. オレの腹はよく泣く腹だ
29. 美食評論クラブ
30. 美食の極致を食べる時
31. ホルム草が飛んでくる時
32. 酒仙猫
33. 星ヒゲ祭
4巻
34. 春のオフロ
35. コペルニクス・ジュース
36. A SONG FOR YOU
37. 木靴屋
38. サイレンス
39. 木打ち通信
40. 水色の町
41. イナズマ床屋
42. 虫はなんでも知っている
43. 真昼の心臓
44. 静寂(しじま)の響き
45. お香クジ
46. バロックハウス
47. 建築家
48. ロバス銀行
49. クレーター・カクテル
50. 心の言葉
51. 恐竜絶滅表現
52. マダラ旋律
53. CAN YOU HEAR ?
54. 地下プール
55. 無敵の胃袋
56. 腹掘ドリンク
5巻
57. 魚偏調査
58. 盆裁狂
59. 盆栽返し
60. 地図
61. 血の流れ
62. ポッタ村祭り
63. 南洋日本風景
64. ブッシル草のドブロク
65. FULL MOON
66. NINJA
67. 冷涼服
68. 籠城大会
69. サプォム
70. サプォム探し
71. リズム合戦
72. さよならロバス・さよならニッポン

あらすじ[編集]

「ロバス島初上陸編」(1話)
藤田光介は新人カメラマン。番組制作会社に入社して2年経過した後に、未開の島の謎を取材する仕事を貰った。その島は40年前に核実験が行われていたロバス島という島で、自身の名誉と昇進をかけて島の謎を解き明かそうとするが、島の内部ではゴッホの絵画に類似した空間が広がっており、島民は皆進化した猫人だった。島民である文太と知り合った康介はカメラで島の風景を撮影しようとするが、猫人達にボートを押収され島から出られなくなる。一手を取られた光介は渋々文太と友人になる事になり、彼の親友の煙鳥に出会う。煙鳥は光介の名前を聞いた時に何か聞き覚えのある素振りを見せたが、詳しいことは煙鳥自身も分からないらしい。自分の名前に聞き覚えがある猫人達と島全体がゴッホを模倣したような空間であることに何か繋がりを感じた康介は、島に秘められた謎を解明する事を決意する。
「ゴッホの絵筆編」(4~6話)
光介達は島の謎を解明する手がかりを探すため、島の建築物家のジプレッション設計士に会う事になる。彼が設計に携わった建築物の写真を見ると、全てゴッホの絵画を模倣したような建築物だった。光介は何故模倣したかを聞いてみると、ジプレッションはゴッホの存在など全く知らない上に模倣した覚えなどないと激怒し、光介との面談はそこで終わってしまった。一度は島の謎を解明するチャンスを逃してしまった光介達だが、ロバス島の海岸にゴッホ直筆の絵画と絵筆が流れ着いたという奇妙な情報を康介達は入手する。惜しくも既に絵画はゴミと判断され焚き火によって処分されていたが、なんとか絵筆は入手できた。本物かどうか疑わしいせいかそれを鑑定した針王は当てにならないと判断して相手にしなかったが、確かに光介達はその絵筆がゴッホ本人の物だと信じていた。そんな時に文太が発作で開発したロボットのエッグマンが本物と証明するために絵筆に触れて内部に眠るゴッホの記憶を甦らせた。すると絵筆から謎の絵の具があふれだし、街と融合して空間全体が絵画のようになった。数日経つと絵の具は影も形も無くなって街も元に戻ってしまったが、それはロバス島自体がゴッホの記憶を継承した不思議な島という証拠だった。
「謎の牛肉編」(7~8話)
ゴッホの絵画空間が消えて3日後、ロバス島には光介の後を追ってボートで漂着した真弓の姿があった。真弓は猫人達によって保護されたが、島から出られない様にするために島の規則に従いボートを押収されてしまう。文太は彼女に好意を抱き、歓迎会を兼ねて農場で牛肉パーティを開く事になる。光介はロバス島の猫人達が自分達人間と同じように牛を殺傷して食糧にしている事を予測して躊躇するが島の牛は生き物ではなく半植物で、文太曰く協調する事で成長する未知の牛植物らしい。真弓は牛植物の起源を調べるために種を割るが、動物細胞と植物細胞の二つが混じりあった未知の種だった。つまりは植物でありながら動物と同じように知識を得て成長する不思議なテクノロジ―を秘めた植物らしく、光介はロバス島の猫人達が牛植物と同じ原理で何者かの手によってゴッホに関する記憶をインプットされたと推測した。
「オキアミ教祖編」(9話)
光介が島のルーツを解明する糸口をつかんだ一方、島では「オキアミ教」というオキアミを神と崇め食糧にする者は教団に没収される奇妙な宗教が広まっていた。教団は猫大仏がある場所を本拠地として1時間置きに教祖の演説が行われていたが、何故かテロリストとして襲来したエッグマンに大仏の一部を「これは偽物」と言われる破壊される。中には教祖が至福を満たすためにオキアミを食べており、偽装がばれて教団は解体される。エッグマンの洞察力の高さを知った光介達は、彼がロバス島に関する真実を知っているかと推測し尾行するが、行き着いた先は巨大な葉っぱに「IOUDANI(硫黄谷)」と葉脈で書かれた謎のメッセージが記されていた。エッグマンは康介達が自分を尾行した事に気付き、葉っぱの付近に埋められていた謎の箱を差し出す。開けて見ると中には古い写真が入っており、その写真には硫黄谷と思わしき山の光景と謎の管が映った写真だった。
「スネール邂逅編」(10話~15話)
文太曰く、硫黄谷は猫人達の間でも恐れられている自殺の名所で、そこに行けばロバス島の謎を解明できると康介は推測した。光介達が硫黄谷に行くとそこには自堕落になったロバス島の猫人達が数名おり、まるで何かに取り憑つかれたかの様に空虚な状態になっていた。光介が空虚になっていた猫人達の原因を探ると原因は硫黄谷に生えてた巨大な植物が放出する胞子にあった。その胞子に触れた者は過去の幻影に取り憑かれ空虚な状態に陥る仕組みで、光介と真弓も胞子に取り憑かれてしまった。文太に助けられた二人は正気に戻ったが、他の猫人達に取り憑いた胞子は群を成して巨大な一つの形を形成していた。それは岩手県の山の形でロバス島の猫人達の記憶の奥底には特定の人物の記憶が眠っているという事だった。一方、ねんねこ商会の針王とその部下の勉虎も島の秘密を解き明かすために康介達を尾行していた。真弓は今まで起きた事件を整理した結果、ロバス島には猫人達を創造した人物が硫黄谷の何処かに存在していると確信した。猫人達がゴッホの絵画に似た空間を作り上げたのも創造主が絵画好きだった影響が強いと思われ、硫黄谷に集まった猫人達が見ていた岩手の幻覚もかつての創造主の出身地だと思われる。エッグマンが島に関する真実を知ってると思ってた康介達だが肝心な創造主が何処に居るか手掛かりが見つからず、真実を教えてくれないエッグマンに対して文太は少々苛立ちを感じていた。それどころか「文太ですら本物ではない」と言い出し、「自分には真実が見える」と言う。文太はエッグマンが本当に自分の目で真実を見透かしているのかを確かめるために大きな目に触れてみると、エッグマンが見ている世界が文太にも見えた。どうやら彼の目は透視眼になっており、物体の内部構造が全て見えるらしい(オキアミ教の陰謀を暴いたのもこの眼力によるものだと思われる)。辺りを透視すると地中に写真の中に映っていた管が埋まっており、光介達は管が何処まで続いているか後を辿ってみた。たどり着いた先は沼の様な場所であり、光介達の耳に謎の助けを求める声が聞こえてくる。すると沼にスライムのような謎の物体が集合し、「fujitagousuke(藤田剛介)」という救難メッセージを提示した。その名前を見た瞬間に煙鳥は自分が昔、藤田剛介と呼ばれてた事を思い出す。自分達のルーツを解き明かす鍵がこの沼の下にあると確信した煙鳥は中に潜ってみる事を決意し、真弓と文太もスライムのような謎の物体を採取した後に潜る。内部は謎の異次元空間になっており、そこに生えてる木の枝には救難メッセージを発信した謎のスライムがいた。康介達に張り付かれるとスライムに知識を植え付けられたかの様に世界中の知識を喋り出し、引き剥がすと意識が元に戻った。どうやら個々のスライムには知能があり、張り付かれると意識が乗っ取られて記憶を植え付けられる様だ。エッグマンは本物の創造主を知っているらしく沼の最深部まで到達するが、そこには人工物と思わしき巨大な実験場があった。実験場にはエッグマンと瓜二つの機能停止したロボットが設置されており、エッグマンはデータを抜き取る。どうらや彼の発言によると自分はこの実験場の量産形ロボットらしく、創造主が文太を導いて造らせたらしい。奥から聞こえる助けを求める声を頼りに光介達は奥の部屋に行くと、そこに藤田剛介の人とは思えないかけ離れた姿があった。藤田剛介は巨大なスライムの様な姿に変わり果てており、巨大な目玉で文太を見ると自らが企てた実験が成功したのかと語る。藤田剛介曰くロバス島の猫人達は彼の記憶から生み出された産物であり、ロバス島自体も元は戦争兵器を開発するための島だった。つまり藤田剛介達によって知的生物に進化した猫人達は元々戦争兵器として戦場に駆り出される筈で、その一環で記憶を植え付けられたと思われる。そして猫人達を産み出した10年後の1952年に最強の生物兵器「スネール」を生み出す事に成功したと藤田剛介は語る。スネールは他者の記憶その物を奪う事で成長していく兵器で、沼に張り付いていたスライムはスネールの幼生だと思われる。藤田剛介自身もスネールを制御出来ず、体ごと飲み込まれて現在の姿に変わり果ててしまったと言う。真実を告げた藤田剛介は理性を保てず暴走してしまい、巨大化し実験場を全体を飲み込んでしまう。光介達は暴走した彼から逃げるために急いで地上へと続く脱出口を探すが、光介だけが逃げ遅れて幼生のスネールに捕まってしまった。しかし、何故か文太に対してはスネールは近寄らずスネールが逃げている隙に康介を救出した。なんとか実験場から脱出した真弓達は康介の安否を確認するが、光介曰く「スネールに体ごと乗っ取られた気分で危うく死に至りそうだった」らしく、ロバス島の真相を知った一行は街に帰還する。
「もう一人の藤田光介編」(15話~17話)
ロバス島の街には消息を絶っていたオレンジ色のスネール(康介の記憶を奪ったスネールの幼生)が文太のアパートの屋根の上に居た。猫人達は珍しいものを見たいがために大勢集まり、文太もオレンジ色のスネールをビジネスに利用出来ないかと企む。彼(?)は自分自身を光介のクローンだと名乗り、康介が過去に経験した事全てを知っていた。もう一人の自分がそこにいる事を知った光介は得体の知れない恐怖感を感じるが、猫人達が大勢集まった事を知ったスネールは硫黄谷の方に帰っていく。自分達以外に未知の存在がいることを知ったロバス島病院の院長はその存在に興味を持ち多額の賞金を掛ける。月日が経つにつれ院長は賞金を増額させるがスネールは全くと言って良いほど姿を見せず、ついには光介自身も賞金に目が眩んでしまった。そんな時に光介の元にブルチャガ伯爵と言う猫人が現れ、康介に俳句を書いて欲しいと依頼する。俳句の依頼と失踪したスネールの捜索が重なり焦る光介だったが、硫黄谷の森に雷のようなものが落ちたと奇妙な情報を入手する。康介達が森に行くと落雷の正体はスネールで森全体と同化していた。その事実を知った煙鳥は康介とスネールが同一の存在であることを思い出し、森自体が康介の脳内の様なものではないかと推測する。その推測を聞いた光介は頭の中で銀河に流れる滝を思い浮かべて見た。すると星空が光介の脳内と同じ空間になり森は美しい銀河の滝に覆われ、この事件でスネールは光介の記憶が他人に譲れない物だと証明してくれた。
「新聞記者編」(18話~20話)
スネールと和解できた光介は文太と共に新しいビジネスを立ち上げてようとしたが、中々上手く行かず行き詰まっていた。そんな時に活張と言う新聞社を営む猫人の男が光介の元に現れ、新聞社に就職して欲しいとスカウトする。新聞記者になった光介は活張から「高額でチョコレートを販売している奇妙な店があるからその実態を調べてきて欲しい」と依頼されるが、平凡なチョコレートが高額で売り出された上に完売すると言う奇妙な事態が起きていた。他の商売をやってる店でも同じような事態が起きており、光介はその真相を知るためにコーヒーポットを買い漁る猫人達の人混みの中に入って行く。人混みの中から出てきた光介の手には所持金はたいて買った大量のコーヒーポットがあり、光介曰く「何かに洗脳されたかの様に買い漁ってしまった」と言う。後にねんねこ商会関連の商品が猛烈に売れてる事が判明し、光介は重役の針王と会長の孫娘ラニアを取材する。光介は特別な方法で商売してるのではないかと二人に聞くが、針王は販売している商品は全て優良で不備は無いと否定する。しかし商会の動きが活発になってるそんな時に島で稼働している第4工場の立ち入りが厳しくなっている情報を光介は入手し、光介と文太は内部で何が起きてるか確かめる為に侵入する。そこには針王と会長の孫娘のラニアがおり、工場のユニットにスネールが組み込まれていた。その光景を見た光介と文太は陰謀を暴く手掛かりを入手する為にユニットから排出されるスネールの一部を瓶に詰めてその場を退散する事にした。翌日、文太は活張と光介の意見を聞かずに勝手に新聞を書いて印刷所に原稿を納品してしまう。印刷所の主任は酔った勢いで文太の書いた低俗な新聞を町中にばらまいてしまい、光介は憤りを感じたが新聞記事の中に事件の真相を探る手掛かりが隠されていた。新聞の写真に写っていた看板の文字が撮影した時と現在で色が違い、何者かが看板にスネールを仕込んで細工したと思われる。その時同じくして活張が新聞の記事を執筆した時に光介と文太が工場で入手したスネールの入った瓶をインク代わりにしたのが原因で意識を乗っ取られてしまい、これによりスネールが間接的に意識を乗っ取って洗脳する能力がある事が判明した。後に街の殆んどの看板からスネールが発見され、針王の陰謀は阻止される。その事件の終息する様を見た真弓は「スネールは人間の意識そのものでは無いかと」ふと思うのであった。
「スネール消滅編」(21話~22話)
光介と文太の大英断により針金の陰謀は暴かれたが、彼はスネールのテクノロジーを利用して新たなビジネスを企ていた。それはスネールが発する熱エネルギーを利用したロバス島全体の文明開化で、島のガス器類の火力を大幅に上げようと言う計画だった。巷でガス器類のブームが押し寄せている中、光介は新聞記者としての職務を果たす為にロバス大学の化石研究室に取材しに行く。研究室の所長は文太の叔父の星巻博士で彼が言うにはねんねこ商会が化石研究室のスポンサーになっているらしく、商会が場所を借りてスネールの実験を行ってる代わりに多額の資金援助を受けてる事を星巻博士が教えてくれた。そんな時に工場のユニットに組み込まれてるスネールが暴走し、島を多い尽くす。島民の猫人達は一斉に屋根の上に登るが、星巻博士は自分だけ逃げようとせずに何とかしてもブラキオザウルスの頭だけでも運ぼうとした。過去の遺物を守る星巻博士の姿を見た藤田剛介は何か感銘を受け、自分達に未来を作っていく資格がないと考えた末に光介達に生命の歴史を映像を見せ消滅する。その後、光介は幾度となく物思いにふけ「どんな生き物でも過去の記憶の蓄積の上に成り立ってる」と考えるようになった。スネールが消滅した後でも光介と真弓は島に残留し藤田剛介の意思を受け継ぐ為に未来を作っていく事を決意する。
「VS横ジマ商会編」(25話、27話、28話)
アパートの家賃を滞納していた文太は大家の猫人から追い出される寸前だった。家賃を払う為に海に水没した幻のワインを探してそれを売ろうとするが横ジマ商会のゴン雷も狙っており、康介と文太は争奪戦を繰り広げた末にワインを入手する。永らく行方不明になっていたワインが戻って来た事に島の猫人達は歓喜し康介も試しに飲んでみるが、絶妙な美味さを感じ自分が今まさに生きている事を実感する。
数日後、敗北したゴン雷の代わりに右腕の風路が文太に全財産を賭けたポーカーデスマッチの勝負を挑む。ゴン雷は3年前に文太に同じ勝負を挑んだ過去があり、文太のイカサマにより全財産とアパートの部屋を全てを奪われてしまった過去を持つ。文太は前回と同じ様にイカサマを企むが、友の悪行を阻止する為に真弓と康介は寝ている隙に文太が身に付けていたイカサマコンタクトレンズを只の透明なゴムにすり替える。これにより文太は本来の戦略で攻める事が出来なくなり風路に敗北してしまうが、康介はゴン雷から「敗北したら康介と共にゴン雷が経営する見世物小屋で働く」と文太が誓約書を書いたことを知る。数日後には康介と文太は強制的にキノピオショーに出演する事になり、実質的に横ジマ商会側の勝利となった。
「美食評論クラブ編」(29話~30話)
文太と康介は食材を探す為にロバス島の山奥に来ており、珍しい鈴キノコを採集した。腹を空かせた二人は山奥の近くにある料理屋「海猫亭」に寄るが、そこにリトバルスキ率いる美食評論家達が訪れ、彼らは自分達の主観だけで店の料理を評価する偏った集団だった。メニューを酷評した評論家達は店を去る際に「明日もう一度来店し、新作の出来が悪かったら店の出来の悪さを世間に公表する」と宣言する。それを知った料理屋の店主バルダノは文太にトンデモメニューを作って彼らの舌を驚かせて欲しいと頼む。翌日の夕刻に美食評論家達が訪れ文太は鈴キノコを隠し味にした自身のヨダレと鼻クソを混ぜたパスタを完成させるが、評論家達は身分等を忘れてしまい獰猛な猫の理性でパスタを完食してしまった。これにより猫人達がどんなにロバス島で地位を築いても、根本的な動物としての性は変わらない事が判明した。
「木靴編」(37話~38話)
光介と文太は牧鳥月尾と言う木靴屋の男に自作した木靴を履いて欲しいと頼まれる。木靴を履いた光介は何故か牧鳥から履いた瞬間の早朝3時25分を記録され、木靴を回収した牧鳥は近々自分の個展が有るから来て欲しいと言い残して去っていった。翌々日の早朝3時に個展に招待された光介達は殺風景な街に先日履いた木靴が置かれていたのを発見するが、その木靴からあの日を再現した光介達の影か出現した。牧鳥曰く木靴に使われたガジュマルの木は記憶を刻む木で、木靴展はたった一度だけの幻想的な個展だった。
「ロバス島水没編」(39話~41話)
彫刻家ガリウムが13年掛けて完成させた像「喜びの泉」が島の猫人達の前にお披露目されようとしていた。像は島の貯水庫と繋がっており、木太鼓で暗号音を発信する事によって貯水庫に居る木太鼓叩きと通信する事が出来る。文太と光介は像と貯水庫の暗号音を円滑に通信出来る様に中間森林地帯に木太鼓を持って待機させられており、像から送られて来る暗号音が送られて来る前に酒を飲んで酔ってしまった。その結果酔った勢いで「最大で水を放出する」事を貯水庫に伝達してしまい、喜びの泉は崩壊。ロバス島は水没してしまった。
数日後、水没した後でも猫人達は前向きだった。多くの者は水泳に興じ、中にはかき氷を販売してビジネスを企てたりする者もいた。光介は予約していたイナズマ床屋に行こうとするが、文太からあそこも水没したと聞かされる。営業してる訳が無いと思った光介だが泳いで床屋まで行ってみると、水没した状態でも営業していて光介は驚く。光介は酸素マスクを付け、床屋の店主に水中散髪をお願いした。店主曰く「水没により店の営業を停止する猫人達が気に入らなかった」らしく、その勤勉さに感心した光介はその時の感想を「ロバス島には世界一涼しい床屋さんがあります」と述べる。
「真昼の心臓とロバス・フタバ編」(43話~44話)
ロバス島には樹齢1000年の歴史を持つ「ロバス・フタバ」がある。針王は島の整備の為にごみ処理所設立の為に伐採する事を決意し、文太と康介の反対を押し切って根元から切り倒す。島の繁栄と言う正当性があるとは言え、自己中心的な針王の態度に腹を立てた康介は文太の提案により島の名所である「真昼の心臓」と呼ばれる時計塔に行く事になった。その時計は生きた時計で、秒針が刻む音はその場にいる猫人達のストレスを解消してくれた。康介はルーツを探る為に時計塔を管理してる猫人に話を聞くが、実は2つとも初代ねんねこ商会の所有物で、真昼の心臓の動力源はロバス・フタバの根元である事が判明する。ロバス・フタバが伐採される度に真昼の心臓は力を失い商会の所有物だと知った針王は勉虎に伐採の中止を命じるが、時既に遅しでロバス・フタバは伐採された。こうしてごみ処理所の設立は実行され、針王は自身の独断で商会の遺産を2つも破壊してしまった。儚い最期を見た康介はその光景をしっかり心に刻む事にし、救いのない結末を見届けることになった。
「大富豪文太編」(45話、54話~55話)
文太は康介の有り金を横領し、当選額30億の花火くじに参加する為のくじ券を購入した。10mのお香の中に参加者の当選番号が書かれた花火が仕掛けられており、花火が上がった場所によって当選者が決まると言う仕組みだった。だが主催者側は30億なんて渡す気は無く、どこの当選番号にも該当しない場所で花火を打ち上げようとした。しかし、打ち上げる前にゴン雷が部下の分童に火薬を強奪する事を命じ、自分の当選番号の位置で花火を打ち上げる様に命じた。しかし分童は文太の当選番号の場所で打ち上げてしまい、30億は文太の手に渡った。貧民街の上に建つ豪邸に済む事になった文太は、25億の大金を手に豪遊する。しかし隣の静かな豪邸が気に入らないと言う理由で巨大な杭打ち機を持ち出しプロパカンダの為に騒音を鳴らすが、そのせいで豪邸の地下が崩壊して財産が貧民街に流れてしまった。こうして文太は元の一般人に戻ってしまう。
マダラ旋律編(42話~43話)
ロバス島では音楽大会「春の作曲コンテスト」が開催の開催が近づいていた。煙鳥は亡き祖父マダラの残した曲「月のつまびき」を出展する事を考えていて、光介曰く「今まで聞いた事の無い不思議な音階」で曲の出展会場は旋律通りだった。開催当日になるとマダラの曲目当てで猫人達が集まり、会場は多いに盛り上がった。しかしそんな中で1人の猫人の青年が月のつまびきを鼻で笑い、「下らん」と一蹴して去って行く。その青年の態度に文太は腹を立てたが、曲を聞いた光介は月のつまびき自体が音階が途切れた未完成の曲だと気付く。その時、文太の家の外で存在するはずのない曲の続きが聞こえてくる。その曲を演奏していたのは月のつまびきを鼻で笑った青年で、彼は文太に「明日の夜7時に野霧矢丘で待つ」と書かれた置き手紙を残して去っていった。約束通り光介達は野霧矢丘に来たがそこにはインカ文明らしき古代の遺物が置かれていて、そこに謎の青年がいた。円龍と名乗る青年は南アメリカ大陸から漂流したインカ文明の発見者で、文明の遺産を使って死者と交信する儀式を身に付けていた。未完だった月のつまびきを引けたのも、あの世で曲を弾き続けているマダラと交信したのが最もな理由だった。
腹掘ドリンク編(56話~57話)
文太はロバス島で開発されてる激薬を試飲するバイトを引き受ける。薬の開発者は腹掘と言う猫人の男で、彼の開発した薬は体調不良を引き起こしたりするなど周囲から評判が悪かった。彼曰く最も体毛の美しい猫種はペルシャであり、劇薬の開発を成功させる為に文太と雇用契約を結んだ。実験用の激薬を全て飲んだ文太は凄いスピードで体毛を成長させ、全身毛だらけの姿に変貌してしまう。元の姿に戻りたいと腹掘博士に懇願する文太だったが、彼曰く「藤田剛介が生前に残した猫の体毛実験に関する研究レポートに謎を解くヒントがある」と言う。調べた結果、藤田剛介は鰤のエキスを使って体毛実験をしていた事が判明した。ロバス島の寿司屋から鰤を調達して文太を元に戻したが、エキスが効きすぎて全て体毛が無くなってしまった。
鉱物盆栽編(58~59話)
文太の毛が戻った数日後に、ロバス島は盆栽展が開かれていた。中でも紀学と言う猫人の男が手掛けた鉱物盆栽は目を見張る美しさがあり、展示会に来ていた者から非常に評判が良かった。しかし紀学自身は創作に対してノイローゼに掛かっており、師匠である岩食斎に会いたがっていた。文太は行方不明になっていた岩食斎と去年会った事があると発言し、その記憶を頼りに紀学は彼に会いに行く事になった。岩食斎は鉱物同士を融合させて巨大な植物に生まれ変わらせる事の出来る鉱物盆栽の匠で、彼の生み出す盆栽からは純金が取れる事が判明する。噂を聞きつけた勉虎は鉱物盆栽から取れる純金を針王と共に盗む事に成功するが、光介達は盗んだ鉱物盆栽に成長速度を増幅させる電波を流して鉱物盆栽のあった針王邸を崩壊させる。

作中年表[編集]

1942年
無人島だったロバス島に科学者達が入植し始める
時期不明(1942年~1952年の間)
科学実験により島で飼育していた猫達が人並みに進化する。
1952年
スネール誕生。暴走して島にいた科学者達は全滅してしまう。
藤田剛介がスネールに飲み込まれて故人なるが、記憶を複製したスネールが新たな藤田剛介となり事実上の生存者になる。
1963年(推定)
藤田光介誕生。祖母の妙や妹の葉子と共に幼少期を岩手県で過ごす。
1986年
藤田光介がロバス島に初上陸するが、密航が猫人達にバレて取り押さえられる。その後、島の謎を解くために文太と共同生活を送りながら様々な奉仕活動をすることになる。
1989年
光介と真弓の3年間に渡る贖罪が完了し、ロバス島の永住権を得る。

地名・用語[編集]

ロバス島
南太平洋に位置する本作の舞台となる島。元は自然環境に恵まれた無人島だったが1942年に化学者達が戦争兵器を研究する為に入植し始め、その研究者の内の一人が藤田剛介だった事が物語の全ての始まりとなる。物語開始の時点である1986年の段階では化学者達はスネール化した藤田剛介を除いてほぼ全滅しており、光介と真弓が不法侵入するまでは研究兵器の成れの果てである猫人達しか島に在籍してなかった。秘匿された研究島であるせいか島の周囲に霧が立ち込めており、外界との関わりを遮断している。生態系自体も独特で、現代科学では解明できない動物細胞と植物細胞の混合した植物が存在している奇妙な島である。南太平洋に位置しているが文化自体は日本に近く、島民の猫人達の名前は一部の身分の高い猫人達やミュウレル一族を除いて日本名である。島には見回り局(警察)が存在しているが、法律と言う概念が希薄なせいで犯罪は多発して死者は多く出ている。文太の発言によると猫人以外にも様々な珍獣が棲息しており、異常発達した昆虫等も存在が確認されている。
ロバス島の猫人達(作中では服を着て立って歩く猫達と表記)
本作のキーとなる存在の一つ。戦争兵器の成れの果てとも言える存在であり、元は藤田剛介が飼育していた数匹の猫が起源となっている。産み親の知識と記憶を受け継いでいるせいか人間とほぼ同等の存在に進化したミュータントだが精神性は成人男性よりも幼く、常識性や倫理観に乏しかったりする。(些細な事で激昂してテーブルを引っ掻いたり、医者の身分でありながら気に入らない患者を放置する等)ロバス島の核実験跡であるクレーターに街を建設しており一見すると奇妙な非生物に見えるが、文太やラニアに親族がいる事から繁殖で生態系を拡大している様である。藤田剛介の記憶が生態系発祥の起源となっているせいか島民全体が彼の生まれ変わりとも言えるが記憶は100%受け継がれて無い為、曖昧な形で街の文化に反映されてる。精神性は幼いが性格は猫らしく楽天的で、正月休みが異様に長かったりする。政治経済は存在しており「ねんねこ商会」を中心とする起業グループが島の文明を発展させ、金貨○○枚を通貨としている。学校教育は存在し、作中では生徒が10人間程度の小学校と文太が在籍していたロバス大学が判明している。藤田剛介が芸術に長けてたせいか島の猫人達は芸術に関しては長けてるらしく、島にある印刷所を通して新聞をや書籍を発行している。ただし出版されている内容に関しては猫人達の感受性が発達してないせいか稚拙な物が殆んどで、作中では文太の書いた新聞とラニアが書いた「走れキノコ」が明かされている。一部の組織の間では拳銃やマシンガン等が出回っているらしいが、スネールやエッグマンに対して打っても効果が無いことから威力はあまり高くない様だ。作者が得意としてる毎回恒例の猫の擬人化だが、本作では科学的に生い立ちが説明されてる珍しいケースである。
スネール
藤田剛介が生み出したアメーバの姿をした最強の生物兵器で、作中のもう一つのキー。生き物の思考を喰らう事で成長し、喰らった対象の記憶と人格を丸々複製する事が出来る。(つまりスネール自体が複製人間の雛形と言う事である)スネールに取り込まれ続けると記憶や意志を全て奪われ、やがては死に至る恐ろしさを持つ。ロバス島の硫黄谷に多数の個体が存在し取り付いても軽く意志を乗っ取られる幼体も存在すれば、明確な意志を持ち記憶の大部分を喰らいに来る攻撃的な成長体も存在する。「新聞記者編」で登場したスネールはかなりの上級体で、寄生せずとも間接的に猫人達を洗脳する能力を持つ。兵器としてはこの上無い位の完成形だが実際は不安定で、暴走しやすい傾向にある。形を持たない自分達に未来を作っていく資格がないと考え、消滅する最期に光介とロバス島の猫人達に生物の歴史の流れを見せて消えて行った。
ねんねこ商会
作中3番目のキーである猫人達の経済を形成する商会。会長のミュウレルを端に発した商業のネットワークは幅広く島の文明開花に貢献しているが、労働環境はあまりよく無くブラック企業に近い。企業体制は猫らしく服従心を上手く利用したものであり、社員はミュウレルに絶対服従しないといけない決まりがある。社員は一日の労働を終えた後に給金塔から金貨を貰うが、給金塔から出てくるロボットアームに対して労働者としての服従心を表さないと銅貨は貰えない仕組みになっている。現会長はミュウレルだが商会自体は彼の先代が設立したものであり、元は善良企業だったらしく腐敗はミュウレルが会長に就任した時から始まったらしい。
横ジマ商会
ゴン雷を筆頭とするロバス島の犯罪者集団の集まり。文太の発言によると万引きスリ置き引き等を常習的に行う悪行の絶えない集団だが、間抜けな一面を持ってる為不発に終わる事が多い。

登場人物[編集]

藤田光介(ふじた・こうすけ)
本作の主人公で人間。男性。大学卒業後にテレビ番組の製作会社に入社し、二年目で謎の島の単独取材の仕事を貰った。言うなれば人間と猫人の間に板挟みされた中立的な存在で、当初の目的はロバス島の猫人達をカメラを収め、それを収穫として番組制作会社に持って帰ろうとするが、猫人達にボートを奪われて阻止される。以降は永久滞在するフリをして島の秘密を暴こうとするが、自分よりも素直で人間らしい心を持つ猫人達に次第に感化され成長していく。作中ではハッキリと明されていないが、ロバス島の創造主の藤田剛介との共通点が多い事からすると恐らく同じ血筋だと思われる(同じ名字と同じ出身地、共に絵画好きである事から)。当初はカメラマンとしての職務に忠実で中立的な性格だったが幾度となく猫人達と対立する事によって自らの意志に目覚め、番組製作会社のカメラマンではなくロバス島の住人として生きていく事になる。岩手県盛岡市出身でロバス島に行ったまま日本には帰還していないので、関係者及び親族からは死亡扱いされている。真弓とは大学時代からの同期だが、相思相愛には至らず友達以上恋人未満と言った関係である。大学時代から絵画や文学に秀でており、卒論ではゴッホの模写などを行っていた。大学出身で大手の番組製作会社に入ってたせいか基本的には日本人らしい勤勉な性格で、ロバス島での肉体労働もこなせる好青年である。初期はロバス島の秘密を暴き自身の利益にする事が行動原理だったが、硫黄谷の一件でスネールから過去に関する記憶を盗まれて以来、秘密保持に関して慎重になる (慎重になった動機として記憶を盗んだスネールがロバス島の猫人達から珍獣扱いされ賞金まで掛けられたから)。精神的に成長していくと同時に内省的な服装や髪形が変化し、髪を逆立て額に八巻きを身に付けた不良青年の様な格好に変化していく。頭に浮かべた俳句の力で自身の分身であるオレンジスネールと意識を共有し和解した事がきっかけで猫人達の会社に就職する事を決意し波頭日報の新聞記者になる。有能なせいかその後も建築現場の仕事に携わったりするなど、アルバイトを掛け持ちしている様だ。過去に関しては断片的に明かされており、佐野元春好きの妹の葉子と祖母の妙がいる事や小学生の頃から学業に関しては優秀だった事が本人の口から語られている。
文太(ぶんた)
もう一人の(と言うより真の)主人公。アタゴオルのヒデヨシと似た性格と容姿だが彼の方が頭脳の回転が速く、光介の記憶を盗んだオレンジスネールを売り物しようと企む等ビジネスマンとしての素養がある。一見すると愚かな存在に見えるが、躊躇なく汚れ役を引き受ける強靭なバイタリティを持ってる事から島の猫人達からは好かれている。カラーページやコミックスの表紙でもメインとして必ず描かれており、光介が現実サイドの主人公だとしたら文太は相反する非現実サイドの主人公だと言っても過言ではない。初登場時は光介に対して馴れ馴れしく接したりする等、彼の内向的な性格を手玉に取るために交友関係を演じていた。しかし康介が自らの意志に目覚め、ロバス島で成長していく内に一目置くようになる。康介が上陸した後に彼と同棲することになるが家事や料理に関しては全くもって無能であり、特に料理に関しては食べた人間(猫人含む)が理性を喪失したり体調不良を引き起こしたりする程の腕前を持つ。普段は体たらくだが時折何処から電波を受信したかの様に発明する癖があり、何かにとりつかれる様にロバス島全体を管理するコンピューターロボットの複製品を開発したことから本人が自覚のないうちに藤田剛介に導かれた事になる。針王と同じくスネールに触れても記憶を奪われない特殊な体質を持っており、針王は後に藤田剛介から他の猫人達とは違う存在である事が伝えられるが彼も同じ存在だと思われる。これに関しては明確な回答は明かされてないが、針王と文太はロバス島で生まれた猫人達の中で突然変異の遺伝子を持って生まれた存在の可能性が高い。叔父の星巻博士の発言からすると学校教育は受けてるが、殆んど身に付いておらず学業自体もサボってた事が分かる。文字が全く読めないヒデヨシと違い自ら針王の陰謀を報道するために新聞王と名乗り記事を書いたりするが、感受性に関しては小学校中学年程の感性である事が分かる。また、その記事からすると彼の住むアパートは中トロ通りと言う変わった通りの近くにあるらしい。
水本真弓(みずもと・まゆみ)
光介の大学時代の後輩。日本で行われた光介の葬式に参列した時に、関係者内唯一彼が死亡扱いされている事実を受け止める事ができずに康介の安否を確かめる為にロバス島に一人で上陸した事から恋愛感情は高いと思われる。当初は光介との関係は友達以上恋人未満の関係だったが、4巻でストーカー気質の猫人チョビ安に千望草を通して告白された時に「好きな人がいるから付き合えない」と言って交際を断っている事から恋仲に発展した事が示唆されてる。唯一の人間の女性であるせいかロバス島の猫人達からも好かれており、上陸後は光介と文太の世話役をやっている。作中の描写からすると文太のアパート部屋の隣に住んでおり、文太が夕食のお代わりを要求するほど料理や家事には長けてるらしい。日本に在籍していた頃は大学院で研究者を務めており康介よりも先にロバス島の謎を解く。また学者気質で少々変わった感性を持つが、作者が理想としているヒロイン像であるせいか「オーロラ放送局」や「惑星ミマナ」等でも彼女と似た容姿の女性主人公が登場している。初登場はゴッホの絵筆事件の後だが、文太が発明したビートルズベットが投影した光介の夢の中で彼女と思わしき幻体が登場している。作中での役割は文太と光介のまとめ役で粗暴で突っ走りがちな二人をフォローしつつ、スネール事件の核心を探る役でもある。様々なアルバイトを掛け持ちしている光介とは違い烏丸本屋と言う書店に勤務しているが、店長がパチンコに嵌まってるせいで一人で店を切り盛りしている様だ。ロバス島の小学校に臨時教師として赴任した時に出身地を東京浅草と明かしている。
煙鳥(えんちょう)
文太の親友。ロバス島の猫人の中では比較的まともな方であり、詩を書いて生計を立てる事を職業としている。文太が島の猫人達から拒絶されてるのに対して彼だけは文太を拒まずに受け入れてくれることから心の広い性格だと思われる。ロバス島に来たばかりの光介に興味を持ち、自分達が生まれたルーツと光介が何か関係あるのではないかと考え協力者となる。その勤勉さはロバス島の中でも有名で、スズモリサンゴから島でトップの読書家として認められる程である。しかし常識人故に文太の言動に終始驚かされたり、藤田剛介が語る自分達のルーツに動揺したりするなど非常時に脆い一面を持つ。
エッグマン
文太が開発したロボットであり序盤の重要人物。一つ目の卵から六本足が生えたような外見。文太が開発したにもかかわらずロバス島の秘密を知っており、性格は文太とは対照的に知的で理性的な性格を持つ。高性能な特集能力を持ち、オキアミ教の陰謀を透視眼で暴いたりゴッホの絵筆に眠る記憶を甦えらせたりしている。硫黄谷にオリジナルの機体が存在しておりエッグマン自身は複製品の位置付けに当たるが、文太が硫黄谷に眠っている藤田剛介との意識を共有した事で無意識の内にエッグマンを開発してしまった経緯を持つ。
針王(はりおう)
文太のライバル的存在。金銭に盲目的な性格は文太と変わらないが、彼の場合友情や他人に対しての信頼と言う概念は存在しない為作中では純粋な悪役と言える。ねんねこ商会のエリート社員で藤田剛介が島に残したロストテクノロジーを掘り起こして革命を起こす事を目的としている。ねんねこ商会に寝返った勉虎を助手にして光介と同時進行で硫黄谷に入るが、そこで自分が文太と同じスネールを寄せ付けない遺伝子を持ってる事に気づきスネールを従えてロバス島の支配を企む。何かと文太と光介を軽蔑しており、自信の美学に反する物をに対してはドライな感情を抱く冷めた性格を持つがスネールのロストテクノロジーに頼ってばかりで島を発展的させる事を出来ずに計画は失敗に終わる。その後もねんねこ商会の会長の孫娘と組んでビジネスを立ち上げるが、前述の通り信頼の概念が存在しないせいか関係は決裂してしまう。
勉虎(べんとら)
針王の右腕。元は波頭日報の新聞記者だったが、意思を持たない軽率な性格のせいで呆気なく針王に従い光介達を裏切ってしまう。針王は人を信用しない性格だが勉虎だけとは相性が良く、信頼関係を築いている。帽子に眼鏡にオーバーオールと言うどこか小者臭い服装をしており、悪役の針王とは違い憎めないキャラクター造詣を成している。
迷路医者(めいろいしゃ)
ロバス島唯一の病院の院長。仮病程度で病院に押し掛ける患者を追い払いう為に病院の周囲に巨大な迷路を建設し、突破した者だけに診察権を与えると言う過激なシステムを考案する。迷路には様々なトラップが仕掛けられており中には到達出来ずに道中で命を落とす者もいるが、医師としての技術は本物である。しかし限られた患者しか診察しない偏屈な性格な為ビートルズベットで投影された光介の精神状態を一種のサイコパスだと批判したが、投影された映像の中に真弓を思う映像も含まれていた為に光介の素直な気持ちに感化され謝罪した。その後「もう一人の藤田光介編」で再登場し、光介の記憶を盗んだオレンジスネールを捕まえてペットにしたいと考え多額の賞金を掛ける。
ジプレッション
島で一番の溜まり場である「レストラン・ドレシーヌ」を建設した建築士の猫人。島の有名な建築物は彼の手によるものであり文明の発達に貢献しているが、ゴッホの記憶を色濃く継承しているせいで大半の建築物はゴッホの作品の模倣である。本人はその事を否定し自分は悪くないと激昂して光介を強く引き離すが、結局最後まで改心しなかった。その後の再登場はなかったが硫黄谷で空虚な状態になっていた猫人達の中で彼も混じっていた。
教祖
本名不明。ロバス島のあちこちに出没し自らを神と称する猫人の男で、特定の食べ物を信者に回収させる新興宗教を三度立ち上げる。一度目はオキアミを神と崇める宗教で「オキアミは神の化身だから食べずに回収しなさい」と教えを説き信者から島中のオキアミを回収させるが、エッグマンの透視眼で集めたオキアミを食べていた陰謀が暴かれ教団は解体される。二度目は卵を崇める宗教で、信者を集めようとしたが殆ど相手にされなかった。最後は文太を怠け者の教祖に仕立て上げ、彼を間接的に支配する事で労働している猫人達から金を巻き上げていた。しかし、次第に掴み所の無い文太を支配する事が出来ずに目論みは長くは続かなかった。結局は自分の好物を食べたいが為に信者にウソの教えを吹き込んで好物を回収させてるワガママな猫人の男である。その後の登場はなかったが、4巻で全ての目論見が打ち砕かれた末にホームレスになっていたことが判明する。(尚、河川敷で寝転がっている彼の表情は満足そうだった)
ゴン雷
トラジマ商会を纏める元締め。上半身裸にサングラスを掛けた容姿を持つヤクザに近い猫人の男だが、文太に騙されて家を奪われたりするなど、間抜けた一面を持つ。普段はショーを経営しているが客入りは余り良くないらしく、密漁や博打や借金取立ての犯罪行為で銅貨を稼ぐ事の方に長けてる事から文太との共通点が多い。犯罪気質だが器の大きな男であるせいか商会の面々からの信頼は厚く、取立ての際に他人に対しても厳しいと自身で発言している。特技はギャンブルだが余り博打が当たらないらしく、いつも文太に敗北している。
美食評論クラブの猫人達
ロバス島の上流階級の猫人達3人。クラブの名前の通り、辛口の料理評論家でありながら様々なロバス島の料理屋に立ち寄っては気に入らない料理を批判するタチの悪い集団である。作中では海猫亭に来店し、出された料理がマズいと判断したら悪評をロバス島に公表すると宣言した。
月尾牧鳥
ロバス島の木を伐採してそれを木靴として形に残す事を職業としている木靴職人の男。メガネを掛けた学者風の猫人で、木靴を作る事のできる木がロバス島から無くなってきているので感謝の意味を込めて「月尾牧鳥最後の木靴展」と題して光介達を招待する。既婚者で妻からは木靴に対しての執着っぷりに呆れてる模様。形は違うがガジュマルの木を使って陰人間を生み出す技術を持っているので、その点では藤田剛介の技術を受け継いだ継承者とも言える。
ゴウドラ
芸術家の猫人であり、文太が買い取った屋敷の真の持ち主。ロバス島の病院で療養していたが退院すると同時に屋敷に戻って来た為、文太と対立する事になる。独特の芸術センスを持ち、屋敷の庭に建てられてる奇妙なカタツムリの石像や鯨の長椅子等は彼が作り出した作品である。
チョビ安
貝殻通りに住むストーカー気質の猫人の青年。アルコールを浴びせる事で葉の中に収録された音声を再生出来る千望草を数日置きに真弓のポストに入れて、何度も告白しようとした。しかし真弓との関係は上記の一方的なストーカーの関係で、彼女が勤務している烏丸本屋に出入りしているだけで何もしなかった。後に真弓の恫喝が収録された千本草で反撃され撃沈する。
円龍
音楽家兼考古学者の青年。既存物の音楽や創作物対して満足しない気難しい性格で、プライドが高いせいか島の猫人達の前には姿を現さない神出鬼没な性格を持つ。しかし考古学者でもあるせいか解明されてない古代の謎を追う事にロマンを感じ、作中ではロバス島に漂流したインカ文明の遺産を研究していた。大雑把な性格の文太とは意見が合わず、対立する事になる。
腹堀
「実験用の薬ビンを試飲したら銀貨を払う」と言う怪しい雇用契約を島の猫人達に持ち掛け、無謀な実験を行うロバス島の狂科学者。 実験と称して猫人達の体に悪影響な激薬を飲ませる為、雇用契約を結んだ被験者からは苦情が絶えない。(作中では実験の副作用で瞼が閉じなくなったり、文太の体毛が抜け落ちたりする等)本人曰く「被験者のうめき声から新薬のアイディアが生まれる」と言う過激な思想を持つが、ロバス島の猫人らしく藤田剛介の残した実験レポートが解読出来なかったりする事から語学力は低いと思われる。体毛の長いペルシャ猫をライバル視しており、激薬の研究をしている。
藤田剛介(ふじた・ごうすけ)
ロバス島の創造主。元は戦争兵器を開発していた科学者の集団の内の一人で、彼以外は何らかの事情で死亡してしまった或いは早々に島から退散したと思われる。作中の描写からすると生物の持つ感情や意識を別の生物に転移させて人工的に生物を増殖させるクローン研究を行っていたらしく、成功すればどんな生物でも生み出す事が出来た。しかし自身が生み出したスネールに飲み込まれ、ロバス島での兵器研究は終わりを告げる。(つまり硫黄谷の研究室にいる藤田剛介は彼の記憶を複製したクローンであり、本人自身は故人である)その後、彼の兵器研究の産物である猫達が文明開花に目覚め一つの種族としてロバス島を支配する事になるが、記憶を受け継いでいるので猫人達は藤田剛介の生まれ変わりとも言える。20数年前に体を失ってクローン体に変化してからは硫黄谷の地下で眠っており、光介達と再会してようやく自分の研究が成功した事に気付く。しかしクローン体であるせいか目覚めてから早々に暴走し始めて光介達を襲うが、なんとか光介達が地下から脱出した頃には藤田剛介自身は行方不明になっていた。その後の登場はなかったが、30話で針王に捕獲された形で生存していた事が判明する。だが幾らクローン体でも永久に生存する事は不可能らしく、異形の自分に未来を築いて行く事は出来ないと考えた末に今を生きる光介達に未来を託して消えて行った。研究している内容からして悪人に見えるが、元を辿れば絵画が好きな研究熱心な人なだけで、ロバス島の文明の始祖であることから父の様な存在でもある。
ゴッホ
藤田剛介が尊敬していた人物。猫人達の人格を発現させる為に藤田剛介はゴッホの絵画を利用するが、良くも悪くもロバス島の歪な文明を誕生させるきっかけを作ってしまった。直接の登場はないが、ロバス島の海岸に彼の絵筆と本物の絵画が流れて来たことからあの世の超常的な存在としてロバス島に自分の所持品を送ったと推測される。作中ではジプレッションが「アルルの跳ね橋」に似た橋を建設したり、猫人達が「晩鐘」の構図を体で真似したりしている。