コルト9mmSMG

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コルト 9mm SMG
Colt 9mm SMG 635 10.JPG
コルトM635(弾倉未装着状態)
コルト 9mm SMG
種類 短機関銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 コルト・ファイヤーアームズ
仕様
口径 9mm
銃身長 10.5インチ
使用弾薬 9x19mmパラベラム弾
装弾数 32発
作動方式 ブローバック作動方式・クローズドボルト
全長 730mm(28.9インチ)(銃床展開時)
650mm(25.6インチ)(銃床折畳時)
重量 2.61kg
発射速度 700-1,000発/分
銃口初速 396m/s
有効射程 100m
歴史
製造期間 1982年 -
配備先 アメリカ海兵隊など
テンプレートを表示

コルト9mmSMG(Colt 9mm SMG)は、コルト社がM16小銃を元に設計した短機関銃である[1]

外見上の特徴はM16小銃のカービン・モデルであるコルト・コマンドーとほぼ一致するものの、いくつかの差異も見られる。外見上の特徴は、9x19mmパラベラム弾を装填する細身の専用箱型弾倉と排莢口の大型デフレクタである。また、作動方式に標準的なM16系小銃で用いられるリュングマン式ガス圧作動方式ではなく、クローズドボルトブローバック作動方式を採用している。

一方、操作方法などはおおむね従来のM16系小銃と共通しており、M16系小銃を使用した経験があれば新たに複雑な訓練を積む必要がない。分解に特別な工具が必要ないというのもM16系小銃と同様である。

歴史[編集]

1980年代初頭、世界各国の法執行機関向け短機関銃市場を西ドイツH&K MP5が席巻した。ライフル市場で成功を納めながらも、法執行機関の求める「市街地での運用に適した、低威力の拳銃弾を用いる短機関銃」を販売していなかったコルト社は、短機関銃市場への参入を決断し、新製品の開発に取り掛かった。プロジェクトはヘンリー・"ハンク"・タトロ技師(Henry “Hank” Tatro)の元で進められ、検討の後にM16小銃(AR-15)のレイアウトを踏襲することが決定された。これはM16小銃のレイアウトが人間工学上優れているとされたことに加え、M16小銃を使い慣れた者が特別な訓練を受けることなく使用できるだろうと考えられたことによる[2]

当初はオープンボルト方式の銃として設計されていた。しかし、銃を落とした時や揺すった時に暴発しやすく、射撃精度も低かった。初期にはM1911拳銃のようなグリップセーフティが設けられていたが、オープンボルト方式の見直しに伴い廃止されている。抽筒子も元々は5,56mm弾用のものをそのまま使用していたが、製品化までに9mm弾用のものが新たに設計されている[2]

アッパーレシーバーはコルト・コマンドーのものと良く似ており、ボルトフォワードアシストは備わっていない。リュングマン式ガス圧作動方式からブローバック方式への転換にあたって、ボルトの構造が完全に再設計された。ボルトおよびボルトキャリアは単一の鋼材から機械加工で成形された。後退を遅延させるため、ボルト後端にはウェイトが追加されている。撃針は軽量化され、バネが取り付けられている。これは雷管が撃発しやすい拳銃弾を用いることから、不意に撃針が触れて暴発することを避けるための設計である[2]

ロアレシーバーは伸縮銃床を備えるM16系小銃のものとほぼ同一で、主な変更点はバッファと弾倉周りである。通常のカービン用バッファをそのまま使うと、フルオート射撃時の発射速度は1,250発/分を大きく上回り、制御が困難なばかりか、銃の破損につながる恐れもあった。そのため、重量のあるスチール製2ピース式バッファが新たに開発され、発射速度は1,000発/分程度まで低下した。必要に応じ、さらに発射速度を650 - 850発/分程度まで低下させる油圧式バッファを取り付けることもできた。ハンマーピンおよびトリガーピンは、通常のM16小銃よりも激しく動作することから、十分強度のあるステンレス鋼製のものに変更された。部品の共通性を最大限に保つため、弾倉口はM16小銃と同型のままで、ここにイジェクターやフィードランプを含むマグウェルブロックを差し込み、ロールピンで固定することになる。ボルトキャッチは延長されたものに交換された。構造上、マグウェルブロックを取り外し、ボルトキャッチを交換すると、5,56mm弾仕様小銃のロアレシーバーに転用することができた[2]

弾倉はウージー・サブマシンガン弾倉を原型に、20連発のものと32連発のものが設計された。ほぼ同型であり、ウージーの弾倉の左側面にあるマグキャッチノッチを削り取ると、そのままコルト9mmSMGに装填することができる[2]

1985年、R0635として初めて発表された[2]

派生型[編集]

原型となったM16自動小銃と同様、様々な派生型が存在する。当初、コルト社によって開発されたコルト9mmSMGには、安全/単発/フルオートの3段式セレクティブファイアー・トリガーグループを備えるR0635と、安全/単発/3点バーストの3段式セレクティブファイアー・トリガーグループを備えるR0639の2種類があった[1]。両モデルとも26.7cm長の銃身、コルト・コマンドーやM4カービンと同様の折畳式銃床、M16形式の固定キャリングハンドル、およびA1形式のリアサイト(ただし、50mと100mの切り替え式)を備え[1]、フォワード・アシスト機能を備えない。コルト9mmSMGとして広く流通しているのはR0635であり、刻印される商品名がSMG 9mm NATOに改められているものもある。

R0635の銃身を7インチ (180 mm)まで短縮したR0633は、ブリーフケースSMGという通称で知られた[2]

セミオート射撃のみ可能な民生用モデルもいくつか開発された。R6540は、最初に発表された民生用モデルで、16インチ銃身を備えたモデルである。R6430(スポーター・ライトウェイト)は、着剣装置を省略して固定式銃床を備え、新型のセミオート射撃用トリガーグループを組み込んだモデルである。MT6430(マッチ・ライトウェイト)は、1994年のアサルトウェポン規制法に基づき、フラッシュハイダーを廃止したモデルである[2]

現在、コルト社では警察などの公機関向けにR0991およびR0992の販売を行なっている[3][4]。これらはM4カービンと同様、キャリングハンドルが着脱式となり、レシーバー上部およびハンドガードにピカティニー・レールが追加されている。セミオートオンリーのカービンモデルとしてはAR6050AR6951の2種類が製造されており、これらは民間でも所有することができる[3][5]

また、ブッシュマスター社もカーボン15 9mmカービン(Carbon 15 9mm Carbine)の名称で、民間向けに16.1インチのセミオートオンリーカービンを発売している。同様のAR-15式9mmセミオートオンリーカービンは数社で生産されている。

主要なコルト9mmSMG

  • R0633 - 短銃身型フルオートモデル。
  • R0635 - フルオートモデル。制式名称からM635とも呼ばれる。
  • R0639 - 3点バーストモデル。制式名称からM639とも呼ばれる。
  • AR6950 - セミオートオンリー。16.1インチ (410 mm)長の銃身を備える。
  • AR6951 - セミオートオンリー。16.1インチ (410 mm)長の銃身を備える。AR6950とはストックの形状が異なる。
  • RO991 - 新型フルオートモデル。
  • RO992 - 新型3点バーストモデル。

運用[編集]

アルゼンチンの旗 アルゼンチン
アルゼンチン陸軍が使用[6]
バングラデシュの旗 バングラデシュ
ダッカ警視庁SWATで広く運用されている[7]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アメリカ海兵隊[8][9]および麻薬取締局連邦保安官などの連邦法執行組織で使用されている[10]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c Colt Weapon Systems "9mm Submachine gun"”. 2011年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h The Colt 9mm NATO SMG/Carbine”. SmallArmsReview.com. 2020年2月9日閲覧。
  3. ^ a b Colt 9mm Submachine Gun (SMG)”. 2015年1月16日閲覧。
  4. ^ Colt 9mm Submachine Gun (SMG)”. 2015年1月16日閲覧。
  5. ^ 2015 Colt Product Brochure (PDF)”. Colt. 2015年1月16日閲覧。
  6. ^ Algunas armas utilizadas por el actual Ejército Argentino”. Aquellas armas de guerra. 2014年11月15日閲覧。
  7. ^ Dhaka Metropolitan Police SWAT - Overview”. bdmilitary. 2009年2月22日閲覧。
  8. ^ MSGBN T&R MANUAL (PDF)”. USMC (2006年4月4日). 2012年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月19日閲覧。
  9. ^ Modern Firearms - Colt mod.635”. 2015年1月16日閲覧。
  10. ^ Chuck Taylor's ASAA -THE COLT M635 9mm SUBMACHINE GUN”. 2015年1月16日閲覧。