サーブ 340
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サーブ 340
サーブ 340(Saab 340)は 近距離用双発ターボプロップ旅客機である。
概要[編集]
開発[編集]
スウェーデンのサーブ社とアメリカのフェアチャイルド社が共同開発した。1983年1月に初飛行し同年6月にクロスエアに初納入された。最初はSF340という名前であったが、1985年にフェアチャイルド社が生産から撤退したため以後340A型に名前が変えられた。
客室は最大幅2.16m、最大高1.83m、長さ10.39mでシートは通路を挟み1+2の横3列で最後列を横4列配列した場合最大37席設置可能、通路と座席接地面は段差を付けることにより、通路の高さを確保している。手荷物および貨物室コンパートメントは客室後方に配置されている。化粧室は客席配置により客室前方および後方いずれにも配置可能である。また、機内騒音に関して客室内に集音マイクを付けデジタル信号処理し、別に設置されたスピーカーから騒音を打ち消す逆位相の音を発生させ騒音を減少させる、アクティブ騒音制御装置(消音スピーカー)を取り付け、ジェット機並みの騒音レベルに近づけている。なおAPUがない型式はエンジン停止中はエアコンなどが動かせないので電源車で電気を送る光景が空港などで見られる。
操縦室はCRT表示装置を使用したグラス・コックピット仕様で、デジタル飛行誘導および自動操縦システム、カラー気象レーダー、電波高度計は標準装備されている。
バリエーション[編集]
改良型の340B型は1989年から運用されている。改良点は、エンジンをGE・アビエーションCT7シリーズの出力向上型へ換装し、プロペラ径を340A型の1985年以降の後期型と同じ直径3.35のものにしたことである。これにより離陸重量が増大し、ペイロードおよび航続距離性能が向上し、高地・高温下での運用性も高まった。
また、1995年にはさらに改良したB+型が開発されて、同型機は1,200mの滑走路で離着陸可能である。さらに、主翼端を片側0.6m(全幅で1.2m)延長し離着陸時の安定性を高め、プロペラブレーキとAPUを装備しさら運用性を向上させたB-WT型も開発された。またサーブ340を大型化したサーブ2000も生産され、日本では国土交通省航空局で運用されている。
運用[編集]
世界各国の航空会社や軍で導入されているほか、日本にも導入されており、主に日本航空機製造YS-11型の後継機として日本エアコミューターの340B型、北海道エアシステムの340B-WT型などの航空会社のほか、海上保安庁でも使用している。日本の航空会社の時刻表では「SA」「SF3」等と表記されている。なお、日本エアコミューターではATR 42の導入に伴い2019年12月20日を最後に運航終了しており北海道エアシステムも同機種の後継機としてATR 42を導入している。
スウェーデン軍では機体上にエリアイレーダーを装備した早期警戒管制機(AEW&C) を運用している。サーブの事業見直しにより1999年に生産が終了した。量産機数は500機以上である。
オーストラリア最大の地方航空会社であるリージョナル・エクスプレス航空の保有機は全てサーブ340となっている。
スウェーデン空軍の早期警戒管制機型 S100B アーガス(サーブ 340 AEW&C)
仕様[編集]
Saab340B型式
- 乗員:3名(操縦士2名・客室乗務員1名)
- 乗客:33-37名
- 航続距離:1,735km
- 全巾:21.44m (70ft 4in)
- 全長:19.73m (64ft 9in)
- 全高:6.97m (22ft 11in)
- 巡航速度:522 km/h
- エンジン:GE社製CT-7-9A/9B型ターボプロップエンジン 2基
- 出力:1,870 shp
- プロペラ:Dowty Rotor or Hamilton Standard (Total Diameter 132in) 4枚羽
- 最大離陸重量:13,155 kg
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- Saab 340(英語) Saab Aerotech