シハイスミレ

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シハイスミレ
Viola violacea sihaismr01.jpg
シハイスミレ (2009年3月撮影)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スミレ目 Violales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: シハイスミレ V. violacea
学名
Viola violacea
和名
シハイスミレ(紫背菫)

シハイスミレViola violacea Makino)は、山間部に見られるスミレ科スミレ属植物の1種。早春に赤みの強いの花をつける。

特徴[編集]

立ち上がる茎のない、小柄なスミレ類で、スミレに似ているが、やや小柄で赤みが強い。全体にがない。

早春に落ち葉をかき分け花を咲かせるため、よく目立つシハイスミレ

地下茎はごく短く、また太くならない。あまり株立ちにはならない。匍匐茎も出さない。は少数を根生する。背丈はせいぜい10cm、より低いこともある。葉は長い柄があり、葉身は2-4cm、葉柄はそれと同じくらいか長い程度。葉身は細長く、三角状狭卵形、基部は深い心形。縁にはごく浅い鋸歯が出る。葉は柔らかく、表面は深緑色で時に白い斑が入る。裏面は緑の色が薄く、それに紫の色が乗るのが普通である。紫の色には個体差があり、薄く紫のものからかなり濃いものまであり、色の濃いものでは葉柄なども紫がかる。両面とも毛はない。

花茎は細く立ち上がる。花期は4-5月と言われるが、同じ地域のスミレの中でも早いほう。花は赤みの強い紫だが、ほとんど白く見えるほど薄い場合もある。花弁は長さ8-11mm、側弁はふつう無毛、距は5-6mm、細くて上を向いている。

名称は紫背菫で、葉裏が紫であることを指したものとのこと。

生育環境[編集]

山間部に生育する。標高が高い場所とは限らないが、市街地や耕作地の周りに出現することはなく、雑木林や森林の林縁などに生える。やや木陰に見られることが多い。数は多く、生育地では密集した群落は作らないが、まばらに多数が生えた結果として一面に花が咲いているのを見ることがある。

分布[編集]

本州中部(長野県)以西、九州に分布し、国外では朝鮮南部から知られる。

近縁種等[編集]

個体変異は多く、以下のような品種が記載されているが、普通の図鑑では取り上げられるほどのものではない。こういうのにいちいち名前が付いているのはスミレならでは、と言えなくもない。それぞれの特徴はその名そのままである。

  • f. albida (Nakai) F. Maek.:シロバナシハイスミレ
  • f. concolor Nakash.:ミドリシハイスミレ
  • f. versicolor E. Hama:フイリシハイスミレ

種内の変種としては以下のものがある。さらにその変種もある。

  • V. violacea var. makinoi (H. Boiss.) Hiyama :マキノスミレ
    • f. variegata E. Hama:フイリマキノスミレ
本州から知られる。 シハイスミレよりさらに葉が細く、萼片はより幅広く、距はより長いなどの違いがある。


他に、自然雑種が知られており、エイザンスミレ V. eizanensis とのものは以下の名を与えられている。さらにその変種も記載されている。

  • V. x taradakensis Nakai:フギレシハイスミレ
    • nothof. variegata E. Hana ex T. Shimizu:フイリフギレシハイスミレ

ヒゴスミレ V. chaerophylloides var. sieboldiana との間には以下のものがある。なお、これは原記載の段階ではエイザンスミレとの自然雑種と考えられていた。

  • V. x ogawae Nakai :カツラギスミレ
    • f. nothof. variegata E. Hana ex T. Shimizu:フイリカツラギスミレ

シハイスミレに似た別種にはゲンジスミレ V. vriegata var. nipponicaフジスミレ V. tokubuchianaヒナスミレ V. takedana などあるが、それらはより幅広い葉を持ち、有毛であるなどの点で違いがある。

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本II 離弁花類』,(1982),平凡社